日本のEV充電器数:急速8,033件/普通12,481件(2023/1月現在 ※EVsmart調べ)
商業施設や宿泊施設などのお出かけ先で充電する「目的地充電」がまだ十分ではなく、EVのメリットである「ながら充電」できる環境が整っていないのが、日本国内におけるEV充電インフラの現状です。日本全国に公共の普通充電施設は1万2000基ほどあるにも関わらず、宿泊するホテルなど「使いたい場所」に設置されているケースが少ないので、筆者の3〜4年EV運用でまともに目的地充電をしたことは数えるほどしかなく、いつも経路で急速充電をしています。
エネチェンジでは6kW普通充電器を普及すべく続々と設置を進めており、2027年までに最大300億円を投じ、国内で3万台のEV普通充電器設置を目標に掲げています。今回はそんな普及真っ最中なエネチェンジ充電器とアプリを使用してきた充電レポートになります。
EV充電エネチェンジでの充電記
今回、3施設で充電をしてきました。充電スポットの様子をお伝えすると「充電区画の確保(コーンなどを置く=EV充電区画であるアピール)」がまだ足りていないことが課題に感じました。アプリで満空情報を確認してから向かい、幸い空いていましたが、コーンを置いていない充電スポットではEV以外の車が停まって充電器が使えないことが多々あります。これはエネチェンジに限らず、様々な充電スポットでも発生していることです。
①KDX武蔵小杉(武蔵小杉駅近)
・駐車場無料。
・コーンなし。
・荷物捌き駐車場4区画の1つ、時間帯によっては埋まっていそう。
・ビル裏の出入り口で人通りは多め。
②ゆふいん秦葉
・コーンなし。
・宿泊者専用駐車場に充電器設置。
・宿泊者以外も利用可能。フロントへ充電器利用のお声がけ必要あり。
・日帰り温泉があり。
③相模湖カントリークラブ
・コーンなしだが枠線が黄色。
・駐車場が満車時には奥まったとこになるので止めにくい
・充電器4基で駐車枠も黄色い枠が4つ
【充電までの流れ】
・目的の充電スポットに着いたらケーブル付き充電器のコネクタを車両の充電口にさし込む。
・アプリを起動して充電スポット情報確認。
・「充電を始める」を押す。
・カメラで充電器本体のQRコード読み取り or 充電器番号で認証。
・照合した充電器番号や料金単価を確認して「充電開始」。
※クレジットカード情報など、事前にアカウント登録を済ませておくとスムーズ。
【アプリ画面例】
アプリの右上、赤いEVマークの絞り込みをするとエネチェンジが設置する充電器のみ表示します。満空情報も出るので充電できるか向かう前に判断できます。
充電スポット詳細情報では充電スポットの詳細位置を案内しています。これはとても大事なことで、極端な例ですが大規模な駐車場がある施設では入り口を間違えると充電スポットへ辿りつけないようなこともあります。充電の区画まで案内するのはとても親切です。
充電スポットによって価格が変わります。「6kW=55円/10分、3kW=27.5円/10分」がエネチェンジのベースとなります。
全てのEVドライバーが適正料金で利用できるように
今回の朗報は、最大6kW出力で整備されているエネチェンジEV充電のスポットで、「3kWと6kW充電出力に応じた料金変動の仕組み」という新たな充電課金システムが導入されたことです。今まで普通充電が最大3kW対応のEVやPHEVでも、6kW対応のEVと同じ料金で利用するしかありませんでした。新システムの導入により出力に応じて料金が算出されるようになり、全てのEVドライバーが適正価格で充電サービスを利用できるようになったのです。
【プレスリリース】
「エネチェンジEV充電サービスで軽EVに対応した新充電課金システムを導入」
【検証例①】
KDX武蔵小杉では、45分間16A設定で充電。自動的に3kW出力の料金。
5×27.5円=137円
【検証例②】
ゆふいん秦葉では、37分間16A設定で充電。自動的に3kW出力の料金。
4×27.5円=110円
【検証例③】
相模湖カントリークラブでは、61分間16A設定で充電。自動的に3kW出力の料金。
7×27.5円=192円
1分でも超えると10分分の料金が追加されます。
「6kW=55円/10分、3kW=27.5円/10分」
充電量や料金の明細は以下の通りです。
場所 | 出力 | 充電時間 | 充電量 | 充電料金 |
---|---|---|---|---|
①KDX武蔵小杉 | 3kW | 45分 | 2.6kWh | 137円 |
②ゆふいん秦葉 | 3kW | 37分 | 2.03kWh | 110円 |
③相模湖カントリークラブ | 3kW | 61分 | 3.4kWh | 192円 |
Twitterで繋がっている別のテスラオーナーにも試して頂き料金変動を確認することもできました。
「3kW/6kWの充電出力に応じた料金」は自動適応
つまり、今回の新課金システムは充電を開始する際、エネチェンジアプリ上で充電出力を選ぶといった操作や設定の必要はなく、実際に充電を行った車の対応出力に応じて自動的に課金料金が変わるということです。例えば、日産アリアは6kW対応なので6kW充電課金となりますし、日産サクラは2.9kWまで対応なので3kW充電課金が行われます。また、テスラ車のように出力設定できる車種では「宿泊中は長くゆっくり充電/ゴルフプレイ時間に合わせて」などお好みに応じて利用できるし、基本的に充電器を利用するEVユーザーの手間が増えることはありません。
一人のEVオーナーとして「ながら充電」をしたい
EVユーザーとしては「ながら充電」を出先でできるのが当たり前なほど充電器が様々なところに設置されているのが理想です。よく「EV普及が先か充電インフラ整備が先か」などと言われていますが、充電インフラの不安を払拭しない限り多くの人はEV購入をしないだろうと、いろんな方の話を聞いて思う今日この頃です。
急速充電も普通充電も、公共充電インフラの大半が国の補助金を使って設置されています。適当に設置するのではなく、きちんとEVユーザーが使う場所、使える性能、使いたくなるようなサービス設計であることが重要です。筆者は様々な充電サービスを使ってみましたが、エネチェンジの充電器は「充電器本体の使い勝手(ケーブルで手が汚れない、発見しやすい)とアプリ上での充電器の位置案内がわかりやすい」など、トータルで使いやすいことを実感しています。
ちなみに、私自身、昨年11月の事業譲渡に伴ってアユダンテから移籍して、今はENECHANGE株式会社の社員となっているのでやや手前味噌ではありますが、EVsmartブログの記事ですから、あくまでもEVオーナーの一人として、ユーザー目線の感想です。読者のみなさんも、ぜひ、エネチェンジをはじめとするさまざまな充電器を使ってみて、コメントで感想などいただけるとありがたいです。
また、EVオーナーからは「普通充電サービスは価格が高い」とよく耳にします。自宅充電ができる方からするとご家庭のkWh単価などと比較しやすいというのもありますし、無料で充電ができる充電スポットを一度でも味わってしまうと割高感が否めないです。しかし、EVインフラ拡大にはEVオーナーがお金を落とさないと好循環は生まれません。外出先でもさまざまな充電器を上手に使って、よりEVで走りやすい日本にしていきましょう。
取材・文/石井 光春