目次
- はじめに
- プラン作り
- 宮城県気仙沼市から岩手県一関市まで
- 岩手県一関市から宮城県黒川郡大和町まで
- 宮城県大和町から同・白石市まで
- 宮城県白石市から福島県伊達郡国見町まで
- 福島県国見町から同・郡山市まで
- 福島県郡山市から栃木県矢板市まで
- 栃木県矢板市から埼玉県所沢市まで
- おわりに
はじめに
帰路は時間的制約が無いので、「強行軍で帰って明け方に着く」のと、「どこか途中で一泊して帰る」の2つの選択肢がありました。さらに、泊まる場合の方には「宿」と「車中泊」の2つの選択肢が。後者に備えて、「念のため(笑)」シェラカップや登山用小型ガスコンロ、シュラフ(寝袋)、愛飲しているワインも持って来ています。
仲間の乗るBEVは、最少容量でも24kWhのリーフ以上で、40kWhが複数、それにNote e-Power。24kWhチームは途中で一泊の方向だとか。う〜ん、どうしようかな。せっかく時間があるので、福島県内で一泊も良いかな、というように心が傾いてきました。
以前赴任していたこともあり土地勘あるし、温泉もたくさんある。もっとも、「土湯峠(つちゆとうげ)」の上の方、「吾妻(あづま)山」の中にある、福島赴任時代からの知り合いが経営する「赤湯温泉」や、その周辺の「鷲倉(わしくら)」・「野地(のじ)」・「新野地」の各温泉にしても、やや北に位置する「高湯(たかゆ)温泉」、尾根伝いの南にある「安達太良(あだたら)山」の中の「岳温泉(だけおんせん)」も、4号線沿線からはかなりの標高を登らなければならないので、今回は無理かな(^^;)。
平地で行ける温泉だと、福島市の北部にある「飯坂温泉」が便利ですね。どこかで車中泊して、朝風呂を飯坂の「共同浴場」に入るのも良いな♪ ということで、車中泊も現実味を帯びてきました。って、気仙沼出る時点で宿をちゃんと予約していなかったことも、車中泊に心が傾いていた証拠なんですけどね(笑)。
じゃ、出発しますか。
After Embarkment Checklist:
1. System activated!
2. Energy storage checked!
3. Sensors on!
4. Navigation activated!
5. Destination input!
6. Course set!
7. Cloaking device on!
8. Engage!!!
(と、Star Trek風に。3.はナビがGPSをちゃんと捉えているかとミラー展開の確認、7.はデフォルトでオンになってる近接音を切ることです。cloaking deviceとは、クリンゴンの宇宙船「バード・オブ・プレイ」に装備されている「姿を消す」装置のことです。そして8.はJean-luk Picard艦長の「発進!」の言い方でした。)
プラン作り
帰路では、往路とは違い、気仙沼からは国道284号を使って東に進路を取り、岩手県最南端に入って一関市を目指すことに決めていました。一関に出てしまえば、あとは大幹線の国道4号線沿いを南下するだけです。比較的平坦なコースですし、狭い半径のカーブもほとんど有りませんから、夜間でも楽です。
途中の充電箇所は最初、以下のように考えていました。
1. 岩手県一関市
2. 宮城県仙台市北部
3. 宮城県仙台市南部
4. 福島県福島市
5. 福島県郡山市
6. 福島県白河市
7. 栃木県矢板市
8. 埼玉県幸手市
計8回、それぞれの間隔は50〜80km程度です。充電箇所は「エリア」で考えていて、絶対にそこでなければならない縛りは掛けません。郡山市が、南に隣接する須賀川市に変わっても構いません。これが一般道移動の強みです。この充電プランなら、多少上りが続いても、何も考えずに10.5kWhの電池でも走破できそうです。それでは、細かく見てみましょう。
宮城県気仙沼市から岩手県一関市まで
太平洋沿岸から内陸までは、南は茨城・福島県境から、北は八戸付近まで、必ず山越えをしなければなりません。大まかに言ってしまえば、仙台周辺以外は、東北地方は「南北方向に連なる2本の山脈によって、3つの地域に分けられている」と表現しても構わないでしょう。
たとえば福島県を東から西に見ると、最初の太平洋岸の平地が「浜通り(はまどおり)」、隣りにある南北につながる東側の山脈は「阿武隈(あぶくま)山地」で比較的なだらかです。その西の平地が、国道4号線・東北自動車道・東北本線・東北新幹線の通る東北のメインルート「中通り(なかどおり)」と呼ばれます。中通りの西には険しく温泉がたくさんある磐梯・吾妻・安達太良の山脈がそびえ、その西の平地が「会津」となっています。さらにその先、日本海に面する新潟県までの間にも山間地はあるんですけどね。東北のメインルートは内陸部にありますが、一概に言ってその西の山は険しく、東の山は高原のようななだらかになっていることが多いようです。
話がそれましたが、Yahoo! ルートラボによると、気仙沼から、メインルートにある一関の日産プリンス岩手一関店までの距離は51km、途中の山越えでは213mを登り、最終的には気仙沼より50mほど海抜が上の場所に向かうことになります。暖房も必要無さそうなので、この条件なら楽に行けるでしょう。
途中の道は快適でした。少ない信号も、時速60km程度で流れる交通も、電費にはプラスに働きます。サミットを越えたあたりで日没。出発から1時間強で、夕闇が迫り「青白い」光に包まれた一関の町に降り立ちました。
充電箇所:岩手県一関市:日産プリンス岩手一関店(充電1回目)
電池の温度も適温範囲らしく、44kWの充電器で85%まで125Aで吸い込んでくれます。米どころである当地の名物「餠御膳」でも食べたいところですが、夕飯にはまだ早いので、ここは先に進むことにします。
岩手県一関市から宮城県黒川郡大和町まで
この区間は、取り立てて難しいことは無さそうです。なにしろ大動脈の国道4号線を走るので。充電も終わり、早速出発です。
私の記憶では、岩手・宮城県境あたりのアップダウンを越えると、その後は宮城県北部の穀倉地帯の真ん中を南下します。「築館(つきだて)」のあたりでも若干のアップダウンはありますが、基本は平野を走るルートでしょう。
ルートラボを見ると、予想通りの高低差でした。電力量を気にして走る高低差も距離の長さもありませんので、好きな曲をかけて淡々と進みます。軽快に進みたい気分なので、Hampton Hawesトリオでもかけますか。
今回の遠征の直前に、アイミーブにスピーカーを増設したばかりです。以前はフロントに4スピーカーでした。左右のドアにコアキシャルのスピーカーと、左右のAピラーにツィーターが着いた、購入時のままのスタイルでした。少し前に友人のお母様に譲った三菱アイにも使っていた余剰のコアキシャルが2台あったので、それをリアドアに取り付けました。一般的に自動車メーカーに関しては、フロントスピーカーしか装備されていないグレードでも、リアまで配線が載っている場合が少なくありません。いちいち装備を変えるとかえってコストがかかるらしいのです。三菱車では特にこの傾向が強く、過去にもいくつかの車種でこうした経験をしています。果たしてアイミーブにも配線は搭載されていました。スピーカーにポン付けできるカプラーまで着いていました。
宮城県北の田園地帯を走っていると、福島県の郡山北部なのか、矢吹付近なのか、はたまた栃木県の矢板付近なのか野木とか間々田あたりなのか、東北には錯覚するほど似た景色があります。軽快に南下し、1時間半ほどで大和の倉庫街(工場街)のような場所に到着しました。
宮城県黒川郡大和町:日産サティオ宮城吉岡店(充電2回目)
宮城県大和町から同・白石市まで
このルートは、東北随一の都市圏「仙台市」を通ります。夜間なので、国道4号をストレートに進みます。敢えて東のバイパスを通らず、旧道を通って町の中心街を突っ切ります。
途中、ナビにCostcoの表示が出て来ました。そうだ、仕事用のボタンダウン・シャツを買い足そう。Costcoは、関東圏と東北圏のように地域が異なると在庫が違っていることがよくあるので、別の地方に行くと覗いてみることにしています。果たして、東京近郊の店舗、多摩境や入間では見かけないボタンダウンがありました。また、安くなっていたので、パープルの毛布も一つ買っておきます。色違いのワインレッドと紺のものは自宅にありますが…。
そろそろお腹が空いてきたので、東北に来るとよく寄る牛タンのチェーン店「利休」さんの「泉店」で夕飯を食べることにします。仙台の街中に入る前にある泉地区は、ここでご飯を食べたあと東北道に乗って仙台市の西を通って南下するもよし、便利な位置にあります。(飯テロ、ご注意!)
前回来たのは、2016年夏に、1歳前の息子を連れて、秋田・岩手の旅から帰る途中のことでした。(このときは、EVではなく、FIATの古い169Pandaでしたが…。)
お腹もいっぱいになったので、懐かしい北山の東北福祉大近くを通り、市内では常禅寺通りを少し通って、広瀬河畔通りを南下して市街地南部の鹿の又の方に向かいます。東北道に乗るときは「鈎取(かぎとり)」の方に抜けますが、今回は下道なので国道4号との合流を目指します。鈎取は、仙台近郊の「秋保(あきう)温泉」に向かう道の分岐点にあります。秋保でひとっ風呂も捨てがたいですけどね〜。(仙台には、奥座敷と呼んでも良い温泉があり、この秋保に加え、「作並(さくなみ)」がそれにあたります。)
広瀬川を渡ると、仙台名物の「大年地山(だいねんじやま)」のテレビ塔が見えてきます。翌日の天気によって、照明の色合いが変わる、仙台市民にとって日常生活の一部を構成するランドマークです。東北新幹線だと、東京方面から仙台に着く直前、左手に見えます。大年地山を中心に新幹線は大きく左折して仙台駅に入るので、まるで山がずっと左手にあって回転しているように見えます。3本の鉄塔の位置関係が次第に変わって見えてビックリです。福島県北部を発祥とする伊達家、その歴代の墓所は、今はこの山にあります。運転にそれなりに疲れてきたので、仙台銘菓の「萩の月」とか、私が住んでいた頃には「X橋(えっくすばし)」近くにまだいくつも残っていた「仙台駄菓子」を、お茶とともに頂きたい気分です。笹かまぼこも良いですね。
仙台平野から西の山に入る地点「大河原(おおがわら)」を通過。春にはこの辺りは桜が咲き乱れ、春の夜に通ると、まるで吹雪のような「桜吹雪」に遭遇することが珍しくありませんでした。
東北道白石インターの出入り口を過ぎた先が、目的地の宮城日産白石店です。営業時間が終わってしばらく経つので、店舗も充電スペースも真っ暗です。女性ドライバーがEVの充電で嫌がる「暗闇QC」ですね。目の前を通る4号線に交通量があるので、足下も見えないほど暗くはありません。
宮城県白石市:宮城日産白石店(充電3回目)
16分ほど充電して99%まで回復。走行可能距離は125kmの表示。22:00も過ぎたので、伊達の国見にある道の駅で車中泊がよさそうです。
宮城県白石市から福島県伊達郡国見町まで
白石近郊を淡々と走り、サミットの越河を目指します。夜道は楽ですね。東北本線の越河駅を右手に見てサミットを越えると、あとは登りよりやや急な勾配の下り坂で、回生充電量が少しずつ増えてきます。福島盆地北部の街の灯りが見えてきました。
「道の駅 国見あつかしの郷」に着きました。24時間営業のコンビニもあり、休憩や仮眠には最適です。アイミーブの後席の座面を取り外して、後席背ずりを前に倒すと、わりとフラットな空間ができます。助手席を前に動かして背ずりを倒し、外した後席座面を適当に凹んだ場所におけば完成。少々疲れたので、コンビニでおつまみを買って、ワインで晩酌して、早々に眠ることにします。(到着時の画像を撮るのをすっかり忘れていましたが、メモによると残量は76%でした。)
福島県伊達郡国見町:道の駅国見あつかしの郷(車中泊用給電)
ここは広々としていて、施設も新しく、快適な道の駅です。アイミーブの窓の内側が曇りまくっているので、まずは窓を全部開けて換気しながら、ガラスの内側を拭く。続いて暖房をかけてガラスを乾かす。これで結構な電力を使ってしまいましたので、前夜到着時と同じ76%まで急速充電器で補充します。
広くて清潔かつ明るいトイレでひげ剃りと洗顔を済ませると、共同浴場の営業開始時間が近づいてきたので、飯坂温泉に移動します。せっかく土地勘があるので、4号線ではなく、国見・桑折(こおり)・伊達付近の田舎道を通って、飯坂温泉の東側にある「湯野(ゆの)をめざします。湯野は、飯坂温泉を流れる「摺上川(すりかみがわ)」の東側にある地区で、温泉の周りには桃とリンゴの畑が広がります。
1980年代は、飯坂温泉の共同浴場に入るには、町のたばこ屋さんなどの「入湯券販売所」で入湯券を買っておかなければなりませんでした。今では「鯖湖湯(さばこゆ)」だけは直接行っても現金払いで入れるように変わったようです。
鯖湖湯の湯は相変わらず熱め。地元の常連さんが朝から来ているようだ。一言断って水を入れてぬるくしてもよいが、今朝は足からゆっくりと入って、次第に慣らして入ってみた。熱めなので、浴槽の外に出て涼んだり、また湯に入ったりして楽しんだ。
一風呂浴びたあとは、福島市内を数カ所回って、お土産を買うために町の西に向かいます。「岩代屋敷大王(いわしろやしきだいおう)」の「いもくり佐太郎」です。
その後、どこでブランチを食べるか迷いながらネットで検索し、駅前の老舗ホテルのランチに決めました。ちょっと和食っぽいものが食べたかったので。
福島にはソースカツ丼をはじめ、近年では餃子など美味しいものを出す店がいくつもあるのですが。また、昔からお世話になっている方が経営される素敵な茶屋も西の外れにありますが、電気容量と時間を考えて今回はパスします。
食事も終わったので出発します。郡山市北部の富久山(ふくやま)地区にある、東日本三菱のディーラーにあるQCを目指します。
福島県国見町から同・郡山市まで
福島市内で走り回ったので、けっこう電気は使ってしまいました。でも、距離を考えれば、高低差を勘案しても、充分に行ける距離だと思います。
国道4号線を南下し、福島盆地を囲む山に登ります。山の上まではバイパスを走りますが、その後は二本松市まで例によって旧道を使います。山の縁を乗り越えると、福島大学の入り口が見えます。
二本松市からは4号バイパスに入り、本宮市街を越えればもうすぐだ。ショッピングモールにある観覧車が見えると、目的地はもうすぐです。郡山市街に向かう旧道と、市街西部を半円を描いてパスするバイパスとの分岐点に、この観覧車はあります。1時間強で、郡山市街の北に位置する東日本三菱の富久山店に到着しました。表示で3コマ(3セグ)残り、走行可能距離は22km、テクトムの電費計によるバッテリー残量は29.5%でした。
福島県郡山市八山田:東日本三菱郡山富久山店(充電4回目)
中速充電器だと時間がかかってもどかしい。もっとも、ゆっくり充電したから「電池温度の上昇が抑えめだった」とプラスに解釈することもできる。SCiBの我々にはほぼ無関係ですけどね〜。
福島県郡山市から栃木県矢板市まで
さて、次の区間は鏡石や白河のアップダウンがあり、距離も長めなので、ちょっとした冒険です。矢板まで到達出来なそうなら、途中の白河の日産や、栃木県に入って那須高原に登りさえできれば、その先の西那須野の三菱・日産で継ぎ足すことができます。
冬の太陽は沈むのが早く、すでに夕方の光になってきたので、淡々と進みます。矢吹町を越えて、盆地状になっている白河の町に到達しました。白河で継ぎ足さなくても大丈夫そうです。
白河を越えて、いよいよ県境の山を登ります。14km/kWh近くまで伸びていた区間電費が、じりじりと下がって来ます。とうとう11.5km/kWhを切りましたが、そのすぐ後にサミットを越えました。あとは高原をならだらかに下るルートです。西那須野で継ぎ足さずとも矢板まで行けそうです。
17:45矢板到着。途中、須賀川と白河のコンビニに立ち寄って休憩したこともあり、矢板までは3時間強かかってしまいました。
栃木県矢板市:栃木日産矢板店(充電5回目)
栃木県矢板市から埼玉県所沢市まで
予定では埼玉県の幸手市あたりで充電するつもりでしたが、矢板で充電した時点で99.5%で「132km走行可能」の表示が出ました。最終目的地までは139kmもあります。しかし、Yahoo! ルートラボで念のためチェックしておいた高低差は「一方的な下り」で全体で180mは海抜を下る恰好です。夜の移動ということもあり、ここは「賭けてみる」ことにします。どのみち、無理だと判れば途中でどこかに寄ればいいのですから、心配は要りません。さて、どうなることか。
実際に走り出してみると、下り続ける栃木県の小山市あたりまでの平均電費は「14.8km/kWh」と驚くべき好電費が表示されています。時速は、アイに関して開発の方から「効率が良かった」と聞いたことのある「56km/h」前後を保つように走ります。(このあたりはずっと運転していたので、電費計を撮影することはできませんでした。なにしろ信号でほとんど停まることもなく、交通量もそれなりにあったので、路肩に停めて撮影しにくい状況でした。)もっとも、この時速56kmは、ガソリン版の「三菱アイ」に関して聞いたことなので、エンジンの燃料消費率や4速のときのギアの効率などからはじき出されたものでしょう。よって、変速機を持たないアイミーブで通用するかは解りません。これまでの8万キロに及ぶMタイプとの付き合いで、感覚的には時速50〜60kmあたりが電費が良さそうな印象を持っています。
ここは心を落ち着かせるため、しっとりとした静かなジャズに変えます。
小山からも、速度を上げて空気抵抗で電力を無駄にしないようにクルーズコントロールをセットします。平坦なコースが続く栃木県小山から埼玉県新座市までの間も、平均電費は落ちたとは言え「13.2km/kWh」前後を示しています。これなら行けそうです。往路(12.21km/kWh)より電費が良いのは、気温の関係か、電池の温度の関係か、などと考えながら走りましたが、アイミーブMにはこうしたデータを吸い出すデバイスがほとんど無いので、どうしようもありません。(EVステーションさんがTechtomさんとタイアップして作っている「EV Manager」を使えば、Mでも電池温度を表示することができます。)往路は早朝でしたから、電池温度は復路より低かったはずなので、それが違いを生んでいそうな気がします。
最後の難関は、新座市から所沢市に入ったところ、(その後、新河岸川を経由して荒川に流れる)柳瀬川の削った低地から、東所沢の位置する台地に向かって50mほど登れれば成功です。(関越道の所沢インター付近のルートは、この台地を削って貫通しているので、手前の東京都清瀬市の旭が丘のトンネルがあったり、所沢インターは高速から上って一般道に出る形になっています。)
最後の登坂です。先ほどまで「13km/kWh台」を示していた今回区間の平均電費が見るみる落ちて来ます。「11.5km/kWh」がJC08によるカタログ値120kmを走れるかどうかの分岐点です。最後は11.4km/kWhまで落ちてきました。じつは、坂を登る少し前から、残量を示すメーターは「1コマ点滅」を始めていました。でも大丈夫、坂に挑む時点で、まだ残量は16%はあったので。とうとうカタログ値を切りました。でも、もう丘の上まで到達です。街の灯りが濃くなってきました。
到着です。残容量は15%、走行可能距離は「- – -」(いわゆる「蛇」表示)ですが、「亀マーク」はまだ点灯していませんでした。Mタイプだと15%から下は亀マークが点灯するという経験がEVOC(EV Owner’s Club)サイトのブログに多くポストされていますが、うちのMはこれまでも「亀」はなぜか出ません。「900番台」のプロトタイプなのかな?「百式」の試作型なのか?
今回の復路で、これまでアイミーブMで実際に走った記録「138km」を1km超える新記録を樹立することができました。「1充電139km実走行」です。ルートが下り主体だったので可能だった事情はありますが(笑)。
おわりに
最後は、行程の半分程度が一方的な下り坂だったことに助けられ、往路の「所沢→真岡」を超える139kmを途中無充電で走り切ることができました。実際の走行は1,185kmでした。ただし、使った電力を表示する機能が無いので、急速充電でのロスなどが判らず、全体の電費を計算することはできません。また、急速充電器で入れた電力量も、充電器によっては表示されないので、手の施しようがありません。このあたりは悔しいですね。
概算ですが、全行程の平均電費は「12.2km/kWh前後」でした。実際の走行に近い値が出るEPAで「67km/10.5kWh」の小容量BEVとしては、季候が良かったこともありますが、わりとエコ運転だったと言えるでしょう。結局、「極力充電回数を減らす」と銘打った往路と同じ、5回の充電で600km弱を走り切ってくれました。福島の国見の道の駅で充電した電力は、夜中に冷えたのと、朝になって曇りまくっていた窓硝子を拭いたあと乾かすのに、熱として使った分とほぼ同じようにしてあります。
アイミーブM君、お疲れ様、そしてありがとう! あとでキレイに洗車してあげますね♪ 今夜はもう寝ます…。
長文にお付き合いいただき、読者に皆さんにもお礼申し上げます。 m(_ _)m みなさんの冒険も、ぜひお聞かせくださいね。ご感想のコメントも楽しみにお待ちしております。お気軽にどうぞ!
(箱守知己)
こんにちは。先日充電スポットでお会いした者です。非常に充実した時間で、充電終了後も話し込んでしまいすみませんでした。お話しの内容から、以前ミニキャブミーブトラックを共同購入した友人から紹介されたこちらのブログで一致!やはり拝見してました。楽しい内容で最後まで読ませていたにも拘わらず、気付かずに申し訳ありません。今更ですが博識なかたとお話出来、光栄です。私はというと、EV知識はほぼありませんが、全国を旅する中、電池温度など経験値は積んでいるほうと思います。凝り性で旧型プリウスPHVも電気だけで5万キロ、1回の充電で新宿まで30キロを走った事もあります。下り坂の傾向はありましたが、予測運転とアクセルワークは電トラ旅でも生きています。また何処かでお話し出来ることを楽しみにしております。最後にひとつ、鉄道にもお詳しいようなので質問なのですが、西武鉄道の拝島ライナー、雨の日の加速時にやたらとカタガタするのは、車で言うABSでも付いているのでしょうか。わかればで結構です。長文すみません。
箱守様、あれから再度調べたところ興味深い真実が明らかになりました!
多くのQCがインバータとPWM制御器の2デバイスを使いその結果サイズ重量とも大きくなっていますが日産製だけはマトリックスコンバーター1つに収め、結果サイズ重量コストの削減に成功したそうです。(産業用で分電盤のサイズを半減できるとか)
以前日産にQCを供給していた富士電機のPDF記述を見る限り、産業用大電力インバータにはリアクトル・コンデンサーなど大きく重い蓄電系素子がサイズ重量上のネックとされており、それら素子なしでスイッチングだけで必要な電圧電流を直接出しているのが特徴です。
他の方法に比べ40%損失減とあるから有望だと思いきや、20kW~30kWの中速機種がなく日産店舗への配置が進み次第製造終了したと思われます。30kWタイプがあれば道の駅向けに生産が続いたはずで、仮に存在すればアイミーブMタイプで90A台の電流が出るでしょうか。そこが惜しいです。
理工系の難しい話で申し訳ありませんが、意見質問などあればまた調べて返答したいと思います。
ヒラタツ様、返信が遅れて失礼いたしました。
そういう仕掛けがあったのですね。確かに日産の現行充電器は、他社の充電器よりスリムで省スペースな印象ですね。
リアクトル・コンデンサー、つまり大容量キャパシタですね。鉄道好きだった私には、GTOサイリスタだの、サイリスタ・チョッパー制御だの、VVVFだの、ワクワクするテクニカルタームがいっぱいの世界です。
ともあれ、道の駅向け30kWタイプがあったら、確かに嬉しいですよね。今まで30kWだと75Aは出ていた経験が多いです。現状の20kWだと、Mでは50Aしか出ませんので、進んで使う気にはなれません。
同じアイミーブM乗りの日産QC常連です…国道41号線だと湯の華アイランド・下呂合掌村・道の駅なぎさ等が該当。
温度に依存はしますが125A以下になる地点の電圧は大概290~300V。憶測ですが充電器内部にはインバータがあり、日産QCのインバータにはMPPT(最大電力点追従)機能があるんじゃないかと思った…蓄電型ソーラー発電でソーラーパネルの高電圧をリアクトルコイルで最適な電圧に変換するテクノロジーです。
銘板を見る限り、多くのQCが交流200Vを一旦直流400Vないし500V(ニチコン)へ変換してから充電しているとみられ、一方日産のQCは400VまでMPPT方式で変換して充電している印象があります。
ちなみに以前代車でリーフ借りた時の充電電流は360V地点で107A。電圧が高いから変換装置の効率上そのあたりに落ち着いているかもしれません。
もっと詳しい話はメーカーに聞くしかないでしょうが。
ヒラタツ様、くわしいコメントありがとうございます。
交流では電圧変換が柔軟にできますよね。直流の降圧の場合、一旦交流に変換して降圧させ、再度直流に変換することが行われているくらいですから。内部でどのような扱いをしたうえで、直流充電器を駆動しているかは、興味深いですね。
長距離運転お疲れ様でした。
恥ずかしながら、日産のNSQC442、同443シリーズで125A出ることを知りませんでした。44kW出力で普段リーフにしか乗らないこともあり、107Aマックスなのかとばかり…^^;
これってどのくらいの電圧までであれば125Aになるのでしょうか。
この充電器、安くコンパクトなこともあって充電網の普及にはものすごく貢献したと思っているのですが、連続充電による加熱問題、日産製だけにリーフしか考えられてないケーブルの短さ、充電中リーフ車内のメータに残り時間が出ない(設定時間のカウントダウンではなく満充電までの時間を表示してしまう)、体感的にこの充電器で充電するとセル温度の上昇が激しい気がする…などあまりいい印象がなかったのですが、ちょっとイメージが変わりました。生産終了しちゃってるのであとは減る一方なのでしょうが…。
JB 様、コメントありがとうございます。長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
「日産のNSQC442、同443シリーズ」とは、あの白っくて細身で背の高い急速充電器ですね。プラグを正面下部に差し込んで収納するタイプ。「普及型」と表記されていることがよくありますね。これに対して「初期型」は幅広で、向かって右側にプラグを収納する小さな箱が着いているタイプですね。
44kWでも125A出るんです。以前は44kWだと100Aまでだろうな、と思っていたのですが、ちゃんと観察していると125Aが出ていて驚いたことがあります。投入初期のころは不具合があり、アイミーブMだと途中で充電がキャンセルされるトラブルが続出していましたが、改修されて今は問題ありません。
電圧は正確には覚えていないので、今度記録してお伝えしますね。ちなみにMでは、85%前後まで125Aで「ぶっ飛ばして」くれます。電池の温度によっては80%くらいから下がったり、87%くらいまで行ってくれたりしています。
JBさま、
今日、日産のスリムな44kWで試してみました。二次電池61%時点で125Aで充電時に、電圧は283Vと表示されていました。
HakomoriTom様
返信ありがとうございます。
そうですね、縦細型のタイプです。
初期型(NSQC-44-A-1、同B-1、同C-1)は最近はお見かけする機会がだいぶ減ってきたような気がします。初期型も調べてみたらスペック的には125A出ることになっているんですね。こちらも初めて知りました。
日産自動車、電気自動車用急速充電器を発売 – 日産自動車ニュースルーム
https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-96fcaf6c030901a42712745345f80373-100521-01-e?year=2010
他社の44kW充電器だと110A程度が上限値として設定されているケースがほとんどですし、今更ながら驚いております。
SCiBの入出力抵抗の低さ、劣化のなさには驚きを隠せません。もっと密度を高められればEVにはもってこいなバッテリでしょうし、東芝にはぜひ頑張っていただきたいものです。
情報ありがとうございます。283Vですか、なるほど…。44kWだと計算上は350Vあたりまでは125A出てもおかしくなさそうなのですが、リーフで見ている限りそこまで出たことがないので300Vあたりで変更線がありそうです。