優しく存在を知らせる音が出ればいいのに
私もずいぶんいろいろな電気自動車に乗ってきましたが、手作り改造のEVスーパーセブンであれ、テスラモデルSやジャガーI-PACEのような高級車であれ、マイカーの日産リーフであれ、共通して困っちゃうことがあります。それは、狭い道を走るとき、前方の歩行者が電気自動車の存在になかなか気付いてくれないこと。
オープンカーで視点が低いEVスーパーセブンの時には「すみませーん、クルマが通りまぁす」と声をかけることもしばしばありました。今乗ってるリーフなど、最近の市販EVは低速走行時に「キュイーン」という電子音を出すようになってはいますが、音量はそれほどでなく、雑音が多い街のなかではやっぱり気付いてもらいにくい。
クラクションを鳴らすと驚かせてしまいそうで申し訳なく。「クルマが通ります」と優しくアナウンスしたり「軽快な音楽がチロリーンと流れるようなスイッチがあればいいのにな」と、つい先日も助手席の妻にぼやいたところでした。
で、数日前のこと。FacebookのTesla Owners Club Japan【テスラオーナーズクラブジャパン】グループのタイムラインで「音がしないモデル3で歩行者に気付いてもらえるように無線チャイム買いました」という投稿に遭遇。
無線チャイムなるアイテムの存在を知らなかったので「こ、これだ!」と共感してしまいました。
在庫切れだったのでAmazonで検索して、ポチッ!
この投稿者が購入したのはコレだったのですが、リンク先を確認すると「在庫切れ」でした。
ここはやはり、いつものAmazonで。「ワイヤレスチャイム」で検索すると、2000円前後のお手頃価格でいっぱいヒットしました。
電池で動作するヤツを選びましょう
おおむね、どれを見てもいろんな音色や音楽を選べるようで。あとは、デザインとか価格のお好み次第。一点、注意しておくべきなのが、スピーカーが電池で動くかどうかです。基本的に玄関チャイムやナースコール的な使い方を想定している商品なので、コンセントに差し込むタイプのものがけっこうあります。
私も、デザイン的にはコレがいいかなと思うヤツが見つかったんですが「電池不要」タイプ、つまりコンセントからの電源供給だったので断念しました。
最終的には、黒基調のデザインがいいかな、と、コレにしました。
メーカーやブランド名はもちろん見たことも聞いたこともなく、商品説明に製造国の表記もありませんでしたが、「Amazon’s Choice」になってるから、まあ、大丈夫だろう、という判断です。値段は1650円。私はプライム会員なので送料無料。もし、ダメだこりゃということになっても、お昼についつい誘惑に負けて「うな重」食べちゃったと思えばどうってことない金額です。
翌日届いて、あっけなく設定完了
ポチった翌日にはさっそく届きました。
送信ボタンとスピーカー側端末、ボタン電池や両面テープ、小さなマイナスドライバーも付属してました。
スピーカー側は単三電池2本。これは別売りです。電池まで「Amazon Basic」なのはご愛敬。ちょっと心配なのは、スピーカー側の防水性能が明記されていなかったこと。まあ、できるだけ濡らさないよう気をつけます。
送信ボタン側は、本体をマイナスドライバーでこじ開けて、リチウムイオンのボタン電池(CR2032)をセットします。
EQAの広報車にガムテで装着。いい感じ、です
実は、今夜(11日)から長距離試乗の取材へ行くので、借りてきたばかりのメルセデス・ベンツEQAの広報車に、ガムテで装着してみました。ボンネットを閉めたときにぶつからないのは確認済み。
防水のことを考えると、さらに奥深い場所がいいかなとも思いましたが。まあ、数日のことですし。もちろん、取材から戻ったら自分のリーフに付け替えます。
ちょっとした隙間があれば、簡単に設置できるのがいいですね。
送信ボタンは固定とかせず、グローブボックスに置いておきます。やっぱり、黒が無難でした。
音楽は『赤鼻のトナカイ』をチョイス。無事に機能するようです
音色は36種類から選択可能。といっても、スピーカー端末裏面の選曲ボタンを押す毎に音色が変わっていく仕組み。お気に入りを探して決めるのが、今回、もっとも手間取る作業ではありました。どんな音色があったのか。一応、動画でアップ(YouTubeの個人アカウントで限定公開。曲数が多いので無駄に長いですけど)しておきます。
あまり悩んでもしょうがないので、季節はずれの『赤鼻のトナカイ』をチョイス。理由は、なんとなく好きな曲だから。曲調も穏やか&軽快で、歩行者を笑顔にはしても驚かせることはないでしょう。音量は、歩行者への威嚇になることを危惧するほどには大きな音ではなかったので、最高(6段階)に設定しておきました。
さて問題は、運転席でボタンを押して、ちゃんと音楽が流れてくれるかどうかです。試してみました。
システムをONにしたばかりでエアコンの音がすごいですけど、YES! ちゃんと鳴りました。ちょうど自転車で出かけるところだったお向かいの若奥様が、柔らかい笑顔を向けてくれました。まずは、OK。思った以上に、実際に使ってみるのが楽しみな感じです。
規則的にはやや微妙。使用はあくまでも自己責任で
ただし! Facebookのタイムラインでも話題になったのが「警報器の使用制限違反になるのではないか」という危惧でした。
ググってもこんなケーススタディは出てこないので、警視庁に電話で質問してみました。一市民として総合受付に電話して、事情を話して繋いでくれたのは「交通相談」の窓口で。ご担当者が「ちょっと待ってくださいね」と調べてくださった結果として。
道路運送車両の保安基準に「自動車(緊急自動車を除く)には、車外に音を発する装置であって警音器と紛らわしいものを備えてはならない。ただし、歩行者の通行その他の交通の危険を防止するため自動車が右左折、進路の変更若しくは後退するときにその旨を歩行者等に警報するブザその他の装置又は盗難、車内における事故その他の緊急事態が発生した旨を通報するブザその他の装置については、この限りでない」という項目があり、電気自動車の通行に関する記述はありませんが「この項目に当てはまると考えてよいのではないか」ということでした。
とはいえ、別の方が神奈川県警に尋ねると「歩行者保護の観点から驚かせると無用なトラブルに発展してしまう恐れがあり、徐行または停止が望ましい」という見解だったとのこと。
選挙とかの街宣カーのように大音量で走り回るわけじゃなし。軽快な音楽を適度な音量で響かせることが法に触れるとは、人の世の常識として(選曲がキモいとかはさておき)私には思い及びませんが、ワイヤレスチャイムのひと工夫を導入される電気自動車ユーザーの方には、あくまでも自己責任であることを申し添えておきます。
そういえば、ちょうど今、寝る前読書している浅田次郎氏の『天使蒙塵』(第2巻)で、関東軍暴走を食い止める的な役回りで描かれる武藤信義司令官兼特命全権大使が、溥儀との会話で発した「人の世は、礼が廃れたのち法が生まれました」という言葉が思い出されます。何ごとも、人としての礼を欠かぬようにお使いなさい、ということですね。
それにつけても、電気自動車のまわりには、急速充電器設置に関わる電気事業法とか、従量課金の計量法とか、前時代の法や規制に収まりきらない点が多いように思います。個々に、徐々に規制緩和などがされつつあるとはいうものの、総ざらいに課題を洗い出し、法改正や規制改革を検討する場や機会がそろそろ必要なのかも知れません。
もし、正解をご存じの詳しい方いらっしゃれば、コメントで教えていただけるとうれしいです。明確にNGであれば、この記事にもその旨追記した上で、すぐにガムテを剥がし、オフィスのドアチャイムに転用します。
実際に使う機会を重ねたら続報します
ともあれ、今日のところは「届いた」「鳴った」の第一報。EQAで、そして自分のリーフで、実際にチャイムを鳴らす機会を何度か確認してみた後で、改めて気付いたことなどがあればこの記事に追記したいと思います。
お盆休み本番ですね。みなさん、新型コロナと交通安全に気をつけて、楽しい夏休みをお過ごしください。
(文/寄本 好則)
これ見てふと思った。
「どうせなら車載インバータから音階を出せばエエやん!!」
…鉄オタならご存知、京浜急行の一部車両にあったドレミファインバータを取り付けるんです(笑)発車後約10kmまで音階を奏でてれば歩行者も気が付くはずですよ。って騒音基準以下にせんとアカンし、仮に成立したとしても特許がドイツのシーメンス社にあるからメンドクサイですが!!(自爆)
結論:これを実行できるのは音鉄(録音する鉄道マニア)くらい!?
私は自転車のハンドルに取り付けるベル(親指で押すとチリンチリンと鳴る完全にアナログなヤツ)を運転席脇のケースに常備しています。窓を少し開けてチリンチリン・・・とやれば、ほとんどの人は振り返ってくれます。周囲にもやさしいですし。
本当は大型犬の鳴き声がするチャイムを付けたいですが、歩行者が驚いてしまうので猫の鳴き声で我慢します。
楽しそう!
バッテリー走行時に音のならない頃のハイブリッドカー(初代プリウス、レクサスHS)を12年乗り、現在はテスラモデル3に乗っています。
バッテリー走行時もタイヤの転がりや回生の音はそれなりにあるので、気付いてくれる方が大半です。そうでなくてもしばらくすれば気が付いてくれるので、歩行者や自転車にクラクションを鳴らしたことはここ数年の記憶にありません。
モデル3に乗り換えて近接音が鳴るようになったのですが、車内からは聞こえず役にたっているのかはいまいち実感がありません。アメリカのモデル3はココナッツを鳴らして馬の歩行を模した音にもできるそうなので、これは試してみたいですね。
京成バスシステムの小さなバスは狭い道路を通行の際、バスに気おつけて下さいとチャイムで知らせて運転してます、OKなのでは無いかと思います
私も同様のものを取り付けたことがありますが、あまり使う機会がないので取り外してしまいました。
使ってみて思ったのは、チャイムややさしい音楽では、音を聞いた人が自分に対する警告だと思わないということです。クラクションの音は人間の頭に車による危険通知という刷り込みがあるため、対処行動に結びつきますが、チャイムではそういうことは起こりません。
EVや低速だと電気で走るHVには、車両接近通報装置が付いていますが、微妙な音で特に耳が遠い高齢者には気づきにくいですね。歩行者をびっくりさせることになりますが、やはりクラクションを鳴らすしかないと思います。ただ、エンジン音には人は敏感に反応します。チャイムの代わりにエンジン音を鳴らすと気づいてくれるかもしれません。エンジン音が鳴るEV、風刺がきいてていいかもしれません。
本文太字にある通りでNGです。以前私はリーフに同様の装置を取り付けようと警察署と陸運支局へ問い合わせたことがありますがNGとの回答で諦めました。
実行していませんが、もし裏技を考えるならばトラックがウインカー連動で付けている警告音装置をEVに取り付けてウインカーを出すことで音を出す位でしょう。これの乗用車への取り付けを実行する際は適合条件の有無を改めてお調べください。
今は必要な場面があれば窓を開けてオーディオの音量を少々上げていてこれで十分かなと思っています。
リーフおやぢ 様、コメントありがとうございます。陸運支局と警察でも見解が違うのかもしれませんね。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.html
保安基準第43条4項ですね。43条の心は、警音器として紛らわしいラッパみたいなものを禁止するのが目的だと思いますので、最寄りの警察に確認の上、小音量なら問題ないと考えます。
オーディオの音を外に漏らすのも全く同じような。。
チャイムは「警音器と紛らわしいもの」ではないし、そもそも街宣車や廃品回収車も堂々と音声や音楽を出しているわけで、警報機の音と勘違いしない限りこの法律には触れないでしょう。
逆に陸運局がNGと言った根拠が知りたいですね・・・。
しょう@八重さくら運営さんに同意します
クラクションとは全く異なる音(クラクションは大小や音の高低が変わらないものと規定されています)ですし、チャイムの音がメロディであれば聞き間違えることはあり得ません。
音も小さく公害になることもありません。
ただサイレンや鐘の音はだめそうですね。
「緊急自動車の警光灯と紛らわしい灯火を点灯し、又はサイレン音若しくはこれと類似する音を発しないこと」(東京都道路交通規則 第8条第13号)
交通の弁護士に聞いてみることをお勧めします。