『令和元年かもオフ』開催〜電気自動車オーナーたちのSDGsスピリッツ!

2019年5月18日、日曜日。埼玉県熊谷市で、電気自動車オーナーが集まる『令和元年かもオフ』が開催。私もお誘いいただいたので、日産リーフ30kWhで参加してきました。かもオフの「かも」とは、合鴨農法で活躍するカモのこと。集まった子どもたちがカモのヒナを田んぼに放ち、バーベキューを楽しむイベントでした。

『令和元年かもオフ』開催〜電気自動車オーナーたちのSDGsスピリッツ!

主催者は電気自動車オーナー家族

「かもオフ」を主催しているのは、自ら電気自動車オーナーである江守広章さんのご家族です。奥様と子どもが2人。江守さんのお宅は代々続く農家で、現在は江守農園として法人化、約15ヘクタールの田んぼで米や小麦などの栽培に取り組んでいます。

江守さんは初代発売当初からの日産リーフオーナーで、『かもオフ』参加者のみなさんは江守さんが今までにさまざまなオフ会やオーナーミーティングなどで知り合った電気自動車オーナー仲間です。開催の告知などはFacebookのイベント機能を使い「友達」限定で招待。誰でも参加できるわけではありません。私は以前から江守さんを何度か取材したことがあり、今回、私も中古リーフを購入したので、初めて招待していただきました。

会場の江守さん宅。最近、テスラモデルS85Dを中古で購入。リーフ、ミニキャブミーブトラックと合わせてEV(走れるヤツ)は3台に。

かもオフの「かも」とは、合鴨農法で活躍するカモのこと。もともと有機農法に取り組んでいた江守さん。10年以上前、テレビ番組の『鉄腕ダッシュ』で合鴨農法のことを知り、「これはいい!」と思ったものの何から手を付けていいかわからず、改めて農業大学校に通い直して知識や技術を学び、試行錯誤を重ねながら続けています。

田植えが終わると、カモのヒナを田んぼに放し、雑草の繁殖を抑え(カモが雑草を食べるのではなく、水かきで雑草を踏み潰す、感じらしいです)ます。『かもオフ』を始めたのは6〜7年前のこと。親しくなった電気自動車仲間に「みんなで田んぼにカモを放して、庭でバーベキューでもやりませんか?」と声を掛けたら大好評。以来、毎年の恒例行事になっているのです。

ブロワーで炭火をおこしているのが、江守さん。

101羽のヒナを田んぼに放ちました!

この日の参加者は大人が30名、子どもが18名、全部でなんと48人が集まる盛大なバーベキューパーティになりました。田んぼに放たれたカモのヒナは101羽。ビニールハウスの囲いの中でしばらく育てられていたヒナたちを子どもたちが捕まえて、まずはプラスチックのかごに移し、田んぼに運んで放ちます。ヒナを田んぼに運ぶ時には、大人たちもバーベキューの準備の手を止めてみんなで合鴨農法の田んぼに集まります。

今年、合鴨農法を行う田んぼの広さは「8反5畝(約8430平方メートル=約2500坪)」とのこと。この田んぼは有機認証を受けています。ただし、合鴨農法で作った米はやや品質が不安定になりがちで、ほかの田んぼの米と一緒に出荷しないので「ほぼ自家消費用」らしいです。

ヒナたちはまず、広い田んぼの角に建てられた小屋のそば、板で仕切られた一画に放ちます。カラスやイタチなどの天敵に襲われることもあり、この小屋は夜を過ごす「巣」のような場所。でも、仕切りをせずにいきなり広い田んぼにヒナを放つと、水草や虫などの餌を夢中で食べ続けて放浪し、戻るべき巣の場所がわからなくなってしまうそうです。

バーベキューでは鴨肉も!

鴨肉BBQ、美味しかったです!

カモを放したら、あとはおのおの庭にしつらえられたテーブルにつき、気ままに電気自動車談義をしながら焼き上がった肉やソーセージなどをいただくバーベキュータイムです。初参加の私は「自己紹介とかしなきゃいけないのかな」と思っていたら、堅苦しい段取りや仕切りは一切なし。ただ、思い思いに食べて話すのが恒例、とのことでした。

初参加の身としては気楽な反面「ちょっと心細いな」と思っていたら、参加者のみなさんから「EVsmartブログ見てますよ」とか、「Eマガジン VOL.2のEVオーナーアンケート(私が企画制作を担当)に答えましたよ」などと話しかけていただいて、スムーズに打ち解けることができて一安心。

2012年ごろ、i-MiEVで東京〜兵庫往復取材に行った際、往路の東名で玉突き充電状態になって会話を交わしたリクリンさんというリーフオーナーと再会を果たすことまでできました。

エアロチューンいろいろ、マットグリーンの初代リーフで参加した「じろう」さんは、24kWhリーフを3台所有。
農園のフォークリフトも電気でした。

ちなみに、バーベキューのメニューには「鴨肉」もありました。実は、毎年田んぼに放たれて育った合鴨は、秋になると江守さんが業者に持ち込んで「肉」になります。ヒナたちのかわいい姿を思うとちょっと複雑ではありますが、感謝しながら「いただく」のもサステイナブルな営み、です。炭火で豪快に焼いた鴨肉は、抜群に美味しかったです。

食べて、話す!
庭には滑り台やブランコも!

電気自動車や環境への思いを、楽しく実践している人たち

畑が臨時駐車場。集まったEVを全部並べての写真は、無理でした。新型リーフニスモが人気でした。

二酸化炭素排出量削減のために、電気自動車シフトが必要だといわれています。一方で「化石燃料で発電している限り電気自動車でも意味はない」とか「バッテリーを作る際に二酸化炭素を排出するだろ」といった反論もあります。でも、実際に電気自動車を日常的に使ってみると、何はともあれ自分にできることを実践するのが大切で、何よりも「電気自動車はエンジン車より気持ちいい」ことや「自動車ってエネルギーいっぱい使うなぁ」ということを実感できます。

『かもオフ』に集まっているのは、もう何年も電気自動車を使いこなしてきた人ばかり。電気自動車の必要性や気持ちよさ(初代リーフからのオーナーが多いので、ちょっと手が掛かることの楽しさも)は、自ら身体を張って理解している同士であるからこそ、鴨肉をいただきながらの会話も盛り上がります。

最近、2015年の国連で採択された「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」が注目されています。17のゴールと169のターゲットが示されて、先進国も途上国も一体となって持続可能な世界の実現を目指そう、という行動指針です。

【JAPAN SDGs Action Platform】(外務省)

日本でも国や自治体、企業や大学、さまざまな団体などでSDGsに根ざした取組が行われています。とはいえ、個人として「何ができるか」と考えると、ちょっと途方に暮れてしまうのも確かです。

電気自動車を愛しつつ、自宅の屋根には太陽光発電パネルを載せて、有機栽培や合鴨農法を実践している江守さん。そして、電気自動車を愛しつつ、江守さんの取組に共感し、バーベキューに集まり、江守農園の米を買っていく(江守さんの農業への応援ですよね)参加者のみなさんの姿に、「この『かもオフ』は個人個人が楽しみながら実践できるSDGsだな」とも感じたのです。

太陽光発電やリーフtoホームを導入し、車検切れのリーフを蓄電池として活用。壁には新しいテスラの充電器も設置されていました。
江守さんの初期型リーフと……
ミニキャブミーブトラック。

個人的に、持続可能な自動車文化を享受していくためには、電気自動車シフトが不可欠だと思っています。でも、堅苦しく論じたり、声を大にして叫んでみても、世の中はそうそう変わるものではありません。

まずは何より、自分自身が電気自動車ライフを楽しめばいい! と、気付かせてくれる一日になったのでした。

ちょっとした公園のように広い江守さんちの庭はちょっと特別ですけど、電気自動車で自然に優しく楽しめることっていろいろあるはず。全国の電気自動車オーナーのみなさん、楽しいオフ会やオーナーミーティングの情報があれば、ぜひ『EVsmartブログ』にもお知らせください!

「みんな気ままに話すだけで、今まで撮ったことがない」という集合写真を撮影させていただきました。w

『かもオフ』参加者のみなさま、江守さん、ありがとうございました。また、どこかのオフ会などでお会いしましょう!

(寄本好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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