須磨海岸で自動運転のEVバス『MiCa』体験試乗会開催/乗車はLINEで要予約

9月23日(土)〜9月29日(金)、神戸市の須磨海岸で、自動運転レベル4に対応できる小型EVバス『MiCa(ミカ)』の体験乗車会が実施されます。BOLDLYが日本導入を進めるMiCaが一般向けに運行するのは日本初。秋が近付くアーバンビーチで未来を体感してみては?

須磨海岸で自動運転レベル4のEVバス『MiCa』体験試乗会開催/乗車はLINEで要予約

須磨海岸で自動運転バスに乗車を体験

神戸市街に近いアーバンビーチとして知られる兵庫県神戸市の須磨海岸で、2023年9月23日(土)~9月29日(金)まで、「須磨海岸自動運転バス体験乗車会」が実施されます。

須磨海岸は一帯が公園などになっており、今年9月1日には再整備が進んでいた須磨海浜公園の西半分と、にぎわい施設「松の杜ヴィレッジ」がオープン。今回の自動運転バス乗車会では、海岸の西端に位置するJR須磨駅前から、中央広場を経て、松の杜ヴィレッジに近い東広場までの区間(片道約1.2km)を、おおむね30分間隔のダイヤで自動運転バスが往復で運行します。

須磨海岸。

運賃は無料。ただし、事前にLINEで「須磨海岸自動運転バス体験乗車会」を友達登録した上で、案内に従って乗車予約することが必要です。今日(9月19日)の時点では、まだ完全に予約が埋まっている日はなく、ある程度乗車時間を選べそうな状況でした。

期間中の運行予定時間は以下の通りです。

●2023年9月23日(土)
11時00分〜13時00分、15時30分〜18時30分

●2023年9月24日(日)~2023年9月29日(金)
10時00分〜13時00分、15時30分〜18時30分

LINE予約のアクセス用に、二次元バーコードが入った案内チラシの画像を貼っておきます。

クリックすると拡大表示。

全国各地でBOLDLYの自動運転バスが運行中

今回、須磨海岸を走る『MiCa(ミカ)』は、ソフトバンクの子会社であるBOLDLY(ボードリー)株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐治友基氏)が日本導入を進めているエストニアのAuve Tech(オーブテック)社製の小型EVバスです。車内にハンドルはなく、遠隔操作や自動での障害物回避が可能であるなど、レベル4の自動運転に適した性能を備えているのが特長です。

BOLDLY は2016年の設立。「UPDATE MOBILITY」を理念に掲げ、自動運転技術を活用した持続可能な移動サービスの実現に向け、自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を開発・提供して、全国各地で実証実験を行うなどの取り組みを進めています。

茨城県境町では2020年11月から国内初となる公道での自動運転バス実用化を実現(町の自動運転バス紹介ページ)。現在も定常運行を続けています。また、北海道苫小牧市では2023年9月20日(水)から10月15日(日)まで実証運行を実施。さらに、今年だけでも石川県小松市、東京・臨海副都心などで自動運転バスの実証実験的な期間限定の運行を行ってきています。

境町などで利用されてきた車両はフランス・ナビヤ社製の『ARMA』というEVバスが中心でした。ARMA は定員が11名、今回の須磨海岸で使われる MiCa は定員が8名(ともに安全のためのオペレーター含む)という違いがあります。

加えて、最も大きな違いとして挙げられるのは、MiCa がレベル4自動運転に対応するための最新の設計を採用していること。BOLDLYの運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」との連携を前提とした車両設計になっているので、最新の遠隔監視システムによる運行と相性がいい、最先端の自動運転バスになっているのです。

MiCa

今回、神戸市が MiCa による体験乗車会実施を決めたポイントとしては、公園内の管理用通路を運行するため道幅が狭く、コンパクトな車両が最適であったこと。また、通路上への駐輪などもあるので、MiCaが路上の障害物を自動回避する性能を備えていることだったとのこと。

ちなみに、期間終了後、継続的に自動運転バスを運行する可能性については、2024年に海浜公園の西側にリニューアルオープンする予定となっている「須磨海浜水族園」へ、JR須磨駅からの歩行者需要がどの程度になるかといった状況を見極めながら検討したいということでした。駅と水族館を結ぶ自動運転バスというのは、海浜公園のアトラクション的(もちろん有料でいいでしょう)にもなかなか素敵ではないかと思います。実現すると、いいですね。

MiCa は今年5月、メディア向けの発表会などが行われましたが、期間限定とはいえ運行ダイヤを組んで一般客が乗車できるのは日本国内で初めてのチャンスです。須磨海岸で、自動運転バスの最先端を体験しよう、ということですね。

EV情報専門メディアに関わっていながら、お恥ずかしいことに境町の取り組みなどについて詳しく知りませんでした。

YouTubeのBOLDLYチャンネルに、境町での自動運転バス運行を支える町の人たちの声を紹介する動画がアップされていたのでリンクを貼っておきます。

個人的には、冒頭でパン屋さんの女性が語る「そんなの出来ないんじゃないのではなくて、じゃあ、自分ができることは何? って考えたら、もっと活性化できるんじゃない?」という言葉が印象的でした。「できることから始める」とか「使えるように使う」とでも言いますか。これって、EV普及にも繋がる意識転換だと感じます。

来週、できることなら須磨海岸に行ってみたいし。それが無理でも、近いうちに機会を作って、境町の自動運転バスに乗りに行ってみようと思います。

最後に念のため、自動運転のカテゴリーを表にしておきます。完全自動運転の実現にはまだ時間が掛かる。まして日本ではなかなか難しい、なんてどこかで思い込んでもいましたが……。未来はもうすぐそこまで来てますね。

名称主体概要
レベル1運転支援
(運転者)
ACCなどの運転支援システム
レベル2部分運転自動化
(運転者)
ハンズオフを含む高度な運転支援システム
レベル3条件付き運転自動化
(システム)
一定条件下で視線を外す「アイズオフ」が可能
レベル4高度運転自動化
(システム)
限定領域下でドライバー不在の「ブレインオフ」が可能
レベル5完全運転自動化
(システム)
すべての状況でブレインオフの自動運転

文/寄本 好則

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事