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三菱ふそうと鴻海が日本に「新バスメーカー」を設立/EVバスの受注開始は2027年を予定

三菱ふそうと鴻海が日本に「新バスメーカー」を設立/EVバスの受注開始は2027年を予定

三菱ふそうトラック・バスと台湾の鴻海精密工業(Foxconn)が共同記者発表会を開催。日本国内で競争力のあるZEVバスを開発するための新会社を合弁で設立することを発表しました。新バスメーカーは2026年後半に設立。まずはEVの大型路線バスを2027年中に受注開始する予定です。

目次

EVバスの開発・製造拠点は富山県富山市に

三菱ふそうトラック・バス株式会社 代表取締役CEOのカール・デッペン氏のプレゼンテーション。Foxconnとの協業により「両社の強みをいかして公共交通における最先端のソリューションを提供して持続可能な社会実現に貢献し、グローバルなパートナーシップでチャンスをつかむ!」ことを強調しました。

2026年1月22日、三菱ふそうトラック・バス株式会社(三菱ふそう)と、台湾の鴻海精密工業股份有限公司(Foxconn=フォックスコン)が、共同で新たなバスメーカーを設立する最終合意が締結されたことを発表しました。新会社には三菱ふそうと鴻海がそれぞれ50%を出資。2026年後半に設立予定。新会社の最高経営責任者(CEO)には三菱ふそうのバス事業本部長であり、三菱ふそうバス製造株式会社の代表取締役会長を務める高羅克人氏が就任する予定です。

新会社のミッションは「日本国内で競争力のあるZEVバス開発を推進」すること。本社は三菱ふそうと同じ神奈川県川崎市に置き、現在も「FUSO」ブランドのバスを製造している富山市の三菱ふそうバス製造の工場で開発と製造を行うことになります。また、新会社では従来のディーゼルバスラインナップの開発・製造も担いつつ「競争力の高いZEVバスの共同開発を加速させることで、質の高い公共交通を求める社会のニーズに応えることを目指す」としています。

公共交通のバスにはEVがぴったり

フォックスコン電気自動車事業最高戦略責任者(CSO)の関潤氏。

フォックスコンは、2020年に台湾の自動車メーカーである裕隆集団との合弁でEV開発を手掛けるFoxtron(鴻華先進科技)を設立。2025年5月には三菱自動車にOEM供給する覚書を締結するなど、自動車メーカーとのパートナーシップによるEV開発を進めています。記者発表会で登壇したフォックスコンの電気自動車事業最高戦略責任者(CSO)である関潤氏は、EV開発の実績を紹介しつつ「(フォックスコンは)黒子の天才」と自負していることを説明しました。

さらに「シティバスが繰り返す発進・停止はEVの大好物。1日の運行距離がそれほど長くはなく一定で、車庫に戻って充電できるからEVに最適。騒音や排気ガスなどに関する環境性能が優れているだけではなく、化石燃料に比べてランニングコストが安価で、長距離を走る必要がなければ搭載するバッテリーをある程度小型化できて、おもに普通充電で運用するから長寿命を期待できる。また、今後は必ず必要になる自動運転やSDVにも対応しやすい」など、交通エコシステムを電動(EV)化することのメリットを強調しました。

最初に発売されるのは大型路線バスの「Model T2」

三菱ふそうトラック・バス株式会社バス事業本部長の高羅克人氏。

プレゼンテーションの最後に登壇したのは新会社社長に就任予定の高羅克人氏でした。まず、観光バスの「エアロクィーン/エアロエース」やマイクロバスの「ローザ」が日本市場でナンバーワンの支持を得ていることを説明。すでに台湾で街を走り始めている大型路線バスの「Model T」の新会社版となる「Model T2」を、最初の発売モデルとして2027年中に受注開始予定とすることを発表しました。さらに、小型バスの「Model U」を日本市場に投入する計画です。

また新会社はアジア初、日本初のバス専業メーカーであり、「アジアの新たなバスOEM」として、バス市場でチャンピオンを目指す意気込みが示されました。

先行するBYDを超える勝算は?

グローバルにおけるEVバス市場では、中国のBYDが2025年の1年間で4,234台を輸出。世界市場のシェア24%を獲得し、EVバス輸出では3年連続世界ナンバーワンを達成するなど、圧倒的に先行しています。

質疑応答で「BYDへの勝算は?」と質問してみました。

高羅氏の回答は「まず、FUSOブランドを掲げながら本社と協業で進めていける点。また日本市場においては国内企業であることがストロングポイントになると思います。さらに、フォックスコンの協力によって、仕向地(ことに日本)に合わせたスペックや仕様で開発を進めていくことができるといった点をしっかりPRしていきたい」とのことでした。

また、「Model T のバッテリーが前輪の上に搭載されていて車内空間を圧迫しているのを少し残念に感じているが、それを含めて、日本向けにどのような最適化、改良を想定しているのか」について関氏に質問。

Model Tの車内空間。

「EVバスのバッテリーは床下がスタンダードだが、どうしても段差ができたりフロアが高くなってしまう。ルーフに積むケースもあるがバランスが悪い。バッテリーの配置はまだ迷っているところではあるものの、これ(Model T)は台湾でもう5年運用しており、バッテリーが4席を取っていることでそれほどの問題はなく、現状は最適であるとも考えている。
日本市場への最適化について、現段階であまり具体的なことはいえないが、日本で開発して最適化を進めたい。コンセプトは、As much as possible in Japan です」(関氏)という回答でした。

日本での Model T2 発売予定が2027年中と聞いて、正直「まだ、あと2年ほども掛かるのか」と感じたものの……。その時間を有効に活用して、日本はもちろん、グローバルでも大きなニーズを得ることができる、魅力的でコストパフォーマンスの優れたEVバスを開発&製造してくれることに期待しています。

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取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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