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ごめんなさい日産サクラ!【EV買い替えレポート02】インスターのグレードやオプション選択とEV購入時の留意点

ごめんなさい日産サクラ!【EV買い替えレポート02】インスターのグレードやオプション選択とEV購入時の留意点

著者陣の中尾真二氏が「日産サクラ」からヒョンデ「インスター」への買い替えを決断&決行したレポートをシリーズで紹介する第2弾。バッテリー容量や標準装備が異なるグレード選択の理由や思いの説明を通じて、EV購入時の留意点まで紹介します。

目次

購入したのは49kWhバッテリーの「Voyage」グレード

2025年2月の日産サクラお試し下取り査定から半年を経て、ヒョンデ「インスター」を正式に注文した。前回は、注文に至った経緯や家族の説得などについて紹介した。今回は購入決定からグレードやオプション選択までを、EV購入の注意点を交えて紹介する。

まず、今回筆者が購入したインスターの仕様について整理しておこう。選んだグレードは49kWhのバッテリーを搭載して、装備を抑えた「Voyage(ボヤージュ)」だ。

Hyundai INSTER 購入車種概要
グレードVoyage(ボヤージュ)
全長3,380mm
全幅1,610mm
全高1,615mm
ホイールベース2,580mm
ホイールトレッド(F/R)1,415/1,425mm
車両重量1,360kg
最小回転半径5.3m
一充電走行距離(WLTCモード/ 国土交通省審査値)477km
最高出力85kW(115ps)/5,600~13,000 rpm
最大トルク147Nm(15.0kgfm)/0~5,400rpm
バッテリー容量49.0kWh
タイヤ185/65 R15
ホイール5.5J/P.C.D100/4穴(ハブナット・テーパータイプ)
車両価格(税込)3,355,000円

インスターはPHPによる輸入車ではなく国交省の型式指定をとっている。4名乗車だが車両重量は約1.3トンしかない。コンパクトカーとして「軽い」とは言えないものの、「EVは重い」という論評は、大容量バッテリーを搭載した大型車を前提とした荒っぽい決めつけであることがわかる。ボヤージュにはないガラスサンルーフやスマートエントリーキーなどがついたLounge(ラウンジ)でも1400kgだ。ラウンジは205/45R17とワイド+ロープロファイルなタイヤとなるが、最小回転半径はどちらも5.3メートル。ホイールベースが長いこともあり、軽自動車に比べるとやや大きい。

サンルーフやスマートエントリーキーは悩んだが、チェーンやスタッドレスタイヤのことを考えると205で17インチより185で15インチのほうが安く手に入る。いま思えば、スタッドレスタイヤだけ185サイズを購入することにして、ラウンジを選択してもよかったと思うが、20万円の差をどう評価するかによって変わってくるだろう。

関東在住なので、スタッドレスを活用する機会が少ない。「オールシーズンタイヤの設定はないのか?」とCXC(ヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンター横浜)スタッフに聞いたが、ないとの返事だった。個人的には、販売地域によっては純正装着タイヤはオールシーズンタイヤであってもよいと思っている。北米では降雪地帯を含めてスタッドレスよりオールシーズンタイヤ(M+Sタイヤ)を通年で装着するユーザーが一般的だと聞く。

ラウンジとボヤージュの選択は充電ケーブルの有無がポイント

中国車や輸入EVは、グレードの違いは主にバッテリー容量や駆動方式で分類される。したがって、グレードの違いは装備に現れにくい。

インスターはバッテリー容量が42kWhでベース車両ともいえるカジュアル、49kWhバッテリーを搭載したボヤージュ、ボヤージュにAC200V充電ケーブル、サンルーフ、スマートエントリーキー、スマートフォンのワイヤレス充電(Qi)、前席シートベンチレーション、17インチアルミホイールなどを追加したラウンジ、そして最近追加されたアウトドア志向のクロスの4グレードがラインナップされている。

サンルーフやアンビエントライト、シートベンチレーションなど快適装備が+20万円で装備できることを考えると、ラウンジのほうがコストパフォーマンスは高い。だが、車両の基本性能にボヤージュとの違いはない。安全装備や動力性能は同じなら、あまり使わない機能はなくてもよいという考え方も成立する。

筆者はサクラで使っていた充電ケーブルを持っていたので、ラウンジにすると充電ケーブルが2本になってしまう。自宅用と車載用で2本あってもよかったのだが、駐車スペースはガレージとして囲われているわけではなく、庭先だ。コンセントもケーブルも外から見えてしまうので、自宅用ケーブルをつなぎっぱなしにしておくことができない。付属ケーブルは不要というのもラウンジを選んだ理由のひとつだ。

日産サクラで使っていた普通充電ケーブルはインスターでも問題なく使用できる。インスターには、V2Lアダプターが標準装備されている。

ただし、AC200Vの充電ケーブルを持っていないなら+20万でもラウンジ一択だろう。ケーブル自体は8万円ほどで購入できるが、追加の快適装備一式が10万円そこそこで手に入るお得感が違う。

オプションは最低限でOK

ヒョンデなどの輸入EVはオプションの選択肢が多くない。逆にいうと、オプションをいろいろ付け足さないと実用にならないということが少ない。インスターもどうしても必要なオプション、装着品はあまりなかった。小物類は量販店で好きなものを揃えればよい。

今回装着したオプションは、ETC車載器、ドアノブプロテクター、ドアバイザー、プレミアムナノコート(ボディコーティング)、助手席シートバックテーブルのみとした。テーブルは家族の希望による。国内ディーラーだとお約束のように盛られてしまう愛車セットやフロアマットは付けなかった。筆者の場合、そもそもマイカーのフロアマットは取り外して量販店で購入した樹脂製のマットに取り換えてしまう。このほうが汚れを気にせず掃除もしやすいからだ。

ドラレコのオプション設定はあったが、価格が8万円もするのにIVI(In-Vehicle Infotainment=車載インフォテインメント)統合型ではなく、カメラも本体も後付けになる。録画をメインスクリーンで確認することもできないというので、これも量販店で購入して自分で後付けすることにした。

業界の思惑や各省庁のしがらみもあるだろうが、そろそろETCも車体番号との紐づけ(登録)をなくして標準装備化してほしいところだ。

コーティングは下取り査定に有利?

コーティングは、新車購入時には施工をお勧めする。そのあとの洗車やメンテナンスが各段に楽になるうえ、下取り・買い取りの査定にも有利に働く。今回3年目の車検を迎え走行距離が15000kmのサクラが80万円以上で売れたのも新車時にコーティングをしており塗装の状態が良いと判定されたことが大きい。

車両価格で300万円以上するサクラが3年で80万円にしかならないのは、やはりEVのリセールはよくないとも言える。しかし、軽エンジン車のホンダ N-ONEでも3年落ちは90万円からの下取り価格となる場合もある。走行距離が1万キロ以内なら100~120万超えもあるという。リセールが悪いといわれるEVで80万円なら、人気車種と10から20万円違うだけだ。次の車両の購入費用と考えれば極端に悪い数字ではない。購入価格からの落差は大きいかもしれないが、売却時にいくらになるかの絶対金額だけを考えれば、まったく値段がつかないわけではない。

細かいところではドアノブプロテクター。ドアハンドルやラッチの内側は、開閉時に爪があたるので思いのほかキズがつく。サクラでもプロテクターをつけたが、値段のわりにはボディ保護の効果が高い。筆者は必ずつけるようにしている。ドアバイザーは小雨でも窓を開けることができる。換気や曇り止めにエアコンを使わないという選択肢を増やしてくれる。どちらもEVかどうかに関係ない便利なオプションといえるので、できれば標準装備としてほしいくらいだ。

車内でAC電源が使えるV2LアクセサリーコンセントやV2H機能は、ベースグレードのカジュアルでも標準装備。

シートヒーター、ハンドルヒーター、ドアミラーの側方近接アラーム、アルミホイールやLEDランプ類など、エントリーモデルや中間モデルではオプション扱いが多いところ、インスターはカジュアル以外横並びの仕様になっているのもうれしい。なにより、車室内にAC100VのアウトレットとV2Lアダプターが標準装備(ボヤージュ以上)という親切ぶりだ(300万円以上するので当然かもしれないが)。

購入決定後、このようにグレードや装着品を決定した。次回はいよいよ正式な注文から納車までを解説する。

【シリーズ記事】
ごめんなさい日産サクラ!【EV買い替えレポート01】なぜインスターに買い替えを決断したか(2025年11月30日)

文/中尾 真二

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この記事を書いた人

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。「レスポンス」「ダイヤモンドオンライン」「エコノミスト」「ビジネス+IT」などWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアをカバーする。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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