12基設置のスーパーチャージャー探訪〜日の丸交通の「モデルY」ハイヤーを応援したい

東京都世田谷区の日の丸交通世田谷営業所に12基がズラリと並んだテスラ「スーパーチャージャー」が開設。日の丸交通では電気自動車のテスラ『モデルY』をハイヤーとして導入。乗客としての利用方法などを含めて、ドライバーさんに取材してきました。

12基設置のスーパーチャージャー探訪〜日の丸交通の「モデルY」ハイヤーを応援したい

12基のV3が並ぶスーパーチャージャーは壮観

2024年2月14日、東京都世田谷区の日の丸交通世田谷営業所に、日本で97番目のテスラスーパーチャージャー「東京-芦花公園」が開設されました。設置されているのは最大出力250kWを誇る「V3」スーパーチャージャー(SC)がなんと12基。日本国内のSCでは最大規模のステーションです。

テスラ車での試乗取材などでSCは何度も利用したことがありますが、12基がズラリと並ぶ光景は壮観です。

環八に面した駐車場の入口付近に並んでいます。

日の丸交通ではオンライン配車サービス「UberプレミアムEV」専用車両として、2023年11月に30台のテスラ『モデルY』を世田谷、足立、江戸川などの営業所に配備。2024年中に100台に拡大する計画を発表しています。

世田谷に先駆けて、千住営業所(足立区)の駐車場内にもSC「東京-千住」を開設。こちらは6基のSCが設置されています。芦花公園も千住も、モデルYのハイヤーが充電利用することになりますが、もちろん一般のテスラユーザーも普通に24時間利用可能です。

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日の丸交通に確認したところ、SCの設置はテスラジャパンが主導して行ったもので、日の丸交通は「場所を提供している」ということです。とはいえ、モデルYハイヤー以外にも多くのタクシー車両が出入りする駐車場でもあるため「場内の駐停車禁止ゾーンでの待機は、タクシーの運行に支障をきたすことがありますので、ご遠慮いただけると幸いです。また、場内は禁煙となっており、ごみのポイ捨てや大声での会話は近隣住民にご迷惑となりますので、お控えいただくようお願いいたします」ということでした。テスラオーナーのみなさん、ルールを守ってご利用ください。

ちなみに、日の丸交通がEVを導入するのは「モデルYが初めて」で、今後についても「他のハイヤー・タクシーのEV車両については、現段階では計画がございません」ということでした。

80%充電で運用〜1日の走行距離は約350km程度

2月下旬、開設直後の芦花公園SCを訪問するのに合わせて、日の丸交通でモデルYハイヤーを担当しているドライバーさんに取材してきました(記事が遅くなってごめんなさい!)。

ドライバーの小川達也さん。

対応してくださったドライバーさんは小川達也さん(60歳)。外資のIT企業を早期退職後、2022年5月に未経験だったドライバーデビュー。「UberプレミアムEV」のサービス開始に向け「電気自動車やテスラへの興味はあるし、会社が一大プロジェクトとして取り組むEVハイヤーのドライバーにチャレンジ」することを決めたそうです。

モデルYを担当した感想は「静かで速くてドライバーとして快適。お客様の受けもいいですね」とのこと。乗務として1日の走行距離は「おおむね350km」程度。車庫に普通充電器などは設置されていないので、充電は営業所のほか、都内各所のSCを活用して行っています。

乗務時には「満充電にすると充電速度の効率が落ちるのと、回生ブレーキが効きにくくなるので、会社のルールとして充電は80%まで」で運用しているとのこと。モデルYのグレードはバッテリー容量が大きいロングレンジAWDではなく「RWD」でしたが、それでも80%で350kmくらいは走れるはず。乗務中はそんなに充電することはないのでは? と尋ねたら「いえいえ、長距離のお客様が乗車されることがありますし、50%を切りそうになったら、休憩や食事の時間を活用して都内のSCで充電しています。1日の乗務で2回くらいは充電します」というお答えでした。

モデルYのハイヤーに乗る方法は?

前述のように、日の丸交通のモデルYは「UberプレミアムEV」専用車両です。私はまだ利用したことがなかったので、小川さんにアプリの操作や乗車方法などを教えていただきました。

そんなに難しいことではありません。Uberアプリで配車を選択すると、車両選択のメニューに表示される「EVプレミアム」を選択すればOKです。ただし、現時点で配車可能なエリアは東京都の「千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区」、そして羽田空港限定で、その他のエリアから配車を依頼しようとしても「EVプレミアム」のメニューが表示されません。

ちなみに、羽田空港第1ターミナルから渋谷駅までを調べてみると、普通の「空港定額タクシー」が6,300円に対して「空港定額EVプレミアム」は6,600円と差額はわずか。六本木ヒルズから世田谷区若林の自宅までの運賃は、普通のタクシーが「1,410〜2,302円(最大600円程度の迎車料金&手配料が別途必要)」のところ、EVプレミアムは「2,567円」と表示されました。普通のタクシーの安値と比べてやや割高ではありますが、思ったよりお手頃な印象もあり、今度、機会があったら(酔っ払って気が大きくなっている時とか)利用してみたいと思います。

EV普及って、一夜にして道を走るクルマがごっそりとEVに置き換わるわけもなく。日の丸交通のモデルYハイヤーのように、少しずつEVを活用したサービスが増えていくことが大切だと感じています。私自身、旅先のレンタカーなどは可能な限りEVを選ぶようにしていますが。都内でも、モデルYのハイヤーをできるだけ利用することが、EV普及を応援することにも繋がるはず、ですね。

あと、YouTubeのEVsmartチャンネルで、テスカスさんが千住でEVハイヤーに乗車してみたレポート動画があったのでリンクを貼っておきます。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 居住性や耐久性、充電性能などからモデルYが選ばれたのでしょうね。
    アリアやbZ4Xでないのがちょっと残念です。アイオニック5も強敵ですね・・

  2. 本日環八を中心に1時間ぐらい車に乗りましたところ、サクラ2台、リーフ2台(1台はタクシーでした)、アリア1台(日産頑張ってます)、ベンツ2台、テスラ3台、BYD1台(初めて見ました)を見かけました。おっしゃるように、ある日突然、全ての車がEVに変わるわけは無いのですが、最近、グングン増えてきたように思います。アーリーアダプターの段階を越えると一気に増えるのでしょうね。数え切れないくらいに(笑)。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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