「電気自動車のF1」フォーミュラE 2018-2019 に日産登場! 吉田由美が香港で生観戦!!

2019年3月10日(日)。その日、私、吉田由美は香港にいました。香港で電気自動車のF1といわれる「ABB FIAフォーミュラE選手権」が開催、今シーズンから日本車メーカーで初めて「フォーミュラE 2018-2019」に参戦している「日産 e.dams」チームの観戦&取材です。

「電気自動車のF1」フォーミュラE 2018-2019 に日産登場! 吉田由美が香港で生観戦!!

『EVsmartブログ』読者のみなさん、はじめまして。カーライフエッセイストの吉田由美です。これから私も『EVsmartブログ』に寄稿することになりました。最初にお届けするのは、香港でのフォーミュラE観戦レポートです。

フォーミュラEに今シーズンから日産が参戦!

日産と言えばこのところは車以外の話で世間をざわつかせ、重いニュースが多い中で、このフォーミュラE参戦は、明るい話題と言えるのではないでしょうか? 実際、今回の香港ラウンドでも、日産の若手ホープ、オリバー・ローランド選手がレース序盤でトップを激走。私も「もしかして……」と期待を持ちましたが、後続車に追突されたときに間違ったスイッチを押してしまって失速。そして痛恨のリタイヤ。元F1ドライバーで日産のエースナンバー「23」を背負うセバスチャン・ブエミ選手もリタイヤで、「日産e.dams」チームは残念な結果で香港ラウンドを終えました。

レースは、アンドレ・ロッテラー選手(DSチタータ)がトップを死守していましたが、最終周でサム・バード選手(ヴァージン)が後方から接触し、ロッテラー選手はリタイヤ。

サム・バード選手がトップチェッカーを受けるも、その後、審議にかけられ6位に降格。エドアルド・モルタラ選手(ヴェンチュリ)が繰り上げトップという結果になりました。

「フォーミュラE」が行われるのは世界各国の大都市やリゾート地の市街地コース。今シーズンは世界各国12か所、13戦で開催され、香港は5戦目。今シーズンは11チーム、22名のドライバーで争われます。

香港のコースは「100万ドルの夜景」と呼ばれる香港島のビクトリアピークを臨むハーバーフロント沿いの市街地をコースにした「セントラル・ハーバー・フロントサーキット」。香港島で一番の高層ビル「インターナショナル・ファイナンシャル・センター」や「コンベンションセンター」、地上60mの大観覧車などの前を通るコースです。

実は日本でも、横浜のみなとみらい地区や東京のお台場などでの開催の話が時々出ますが、なかなか実現は難しい様子。香港で開催できた背景には、車両価格の40%~、中には115%という高い自動車取得税が背景にあり、香港政府は2017年3月までEVには課税しないという特例措置をとったことで、一気に電気自動車ブームに。期間が終了してそのブームは落ち着きましたが、そもそもガソリン代が高価なので、電気自動車に対する市民の関心が高いということも背景にあるようです。そして香港観光局の強いバックアップも。官民が足並みをそろえないとなかなか前進しないようです。

フォーミュラEの見どころは?

「フォーミュラE」は、45分+1周で行われます。コースの全長は1周約1.8㎞。マシンの最高速は280㎞/hですが、このコースだとストレートで210~220㎞/hぐらい。それでも道幅が狭く、荒れた路面で、さらにコンクリートの壁が迫っているこのコースでこのスピードで争うことは、尋常ではありません。

シャシー、バッテリー、タイヤなどは全チーム共通のものを使っていますが、モーター、インバータ、トランスミッション、冷却やマネジメントシステムは独自開発。

日産グローバル・モータースポーツ・ディレクター マイク・カルカモ氏によると「日産はリーフを世に送り出したEVの世界的リーダーとしての経験を活かし、パワートレーンを開発しました」と自信をのぞかせていました。そもそも日産の電気自動車の歴史は1947年「たま」で始まり、これまで70年以上に渡ってEVのパイオニアとして活躍してきた自負があるため、日産はなんとしてでも「フォーミュラEで勝ちたい」という意気込みが伝わってきます。

今シーズンの見どころは、電力量が従来のおよそ2倍(28kWhが54kWhへ)にもなる第二世代新型シャシー「Gen2」が導入されたこと。これによって、これまでのようにレース中にマシンを乗り換えず、1台のマシンでのレースが可能に。

また、コッピットの上には頭部を保護するための「HALO(ハロ)」が装着されていますが、LEDが内蔵されていて、ファンの人気投票で選ばれた上位5人にだけ与えられる「ファンブースト」の時はブルー。今シーズンから導入される、一時的に出力を上げることができる「アタックモード」の時には赤のライトが点灯して外からもわかるようになっています。これらを使うタイミングによって、順位が変わる面白さは「フォーミュラE」ならでは。

ほかにも後輪の回生ブレーキに自動調整機能(ブレーキ・バイ・ワイヤ)が使われることになったとか。

そして最も難しいのがエネルギーのマネージメント。パドルシフトで回生量を自分で変えられますが、そのバランスが難しいようです。パドルシフトを引きすぎるとタイヤがロックしてしまいます。また、ちょっと頑張りすぎると電欠になるし、うまくゴール時に電力を使い切るようにするために、シミュレーションでの練習と、レースのシナリオ作りが重要だそうです。

何はともあれ、日産チームには次に期待しましょう!

会場は「電気自動車祭り」状態!

そして「フォーミュラE」だけに、会場で見かけるほかの電気自動車も気になる。

ちなみに先導車は「BMW i8」。フォーミュラEのサポートレースにはジャガーの電気自動車のSUV「I-PACE」のワンメークレース「ジャガー I-PACE eTROPHY」が今シーズンから始まりました! 前レースでは女性レーシングドライバーが優勝。香港でも3位表彰台という快挙。このまま頑張って欲しいものです。

「I-PACE eTROPHY」もそうですが、「フォーミュラE」のレースは、迫力のあるエンジンサウンドは楽しめませんが、無音……ではなく、実際にはモーターなどの音が意外と大きい。「エンジン音がしないレースなんて」という声も聞きますが、その分、コーナーやマシン同士が接触した時のぶつかり音が、エンジン音に消されないので丸聞こえ。これが迫力あります! まさに「クルマのプロレス」状態。むしろ静かだからこそ、ぶつかり音の大きさのインパクトがあります。この迫力は本家のF1を凌ぐかも!?

ファンの人たちが楽しめるエリア「Eヴィレッジ」では、レース終了後に表彰式が行われました。このエリアにはBMWのブース、ジャガーのブース、Eスポーツのブースなどなどもあり、さながら「電気自動車祭り」の会場です。

そして最後は、香港の電飾いっぱいの夜景を楽しむという、電気尽くしの1泊3日の旅でした。ちなみに「フォーミュラE」レース当日の私の歩数は2万1821歩。これは残念ながら電動化できず、自分の足での歩行。これこそ電動化したい……。

(カーライフ・エッセイスト 吉田由美)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. フォーミュラEを日本🇯🇵で必ずやりたいと思っているものです。山本左近さんも自分が乗った経験から 推奨してます。経産省も石油問題があろうかと思いますが、世耕さんも巻き込んで必ずや 都会や 熱海などの観光地 地方サーキット場での実現を果たしたいものです。自動運転や無人ゲームも考えて、また、重いエンジンや火災がない仕様にも期待を寄せて‼️

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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