「モーターショーを見れば世界の自動車トレンドがわかる!」と言いつつ、モーターショーは世界的に見て縮小傾向が続いています。以前ほどでは無いような気もしますが、それでも一堂に最新の車を見ることができるのがモーターショーの醍醐味です。
これまで「世界の三大モーターショー」のひとつと言われていたフランクフルトモーターショー。ドイツメーカーのお膝元ということもあり、他のモーターショーには変化があってもフランクフルトは関係無いと思っていましたが……、今年は今までとは少し違っていました。
ご存知の通り、参加する自動車メーカー、ブランド数は前回に比べて愕然とするほど減っています。イタリア、アメリカメーカーは一つも出展がなく、日本のメーカーも出展しているのは唯一「ホンダ」だけ。
これまで大々的にブースを構えていたBMWもフォルクスワーゲングループもブース面積を縮小。こちらも唯一、一棟丸ごとショー会場を改築してメルセデスベンツの世界を作り出す「メルセデスベンツの館」は相変わらずですが、それでも前回までのような派手さではありません。その代わり、隣にコネクテッドのブースを作っていました。
しかし同時期にフェラーリがイタリアで独自イベントを行うなど、「モーターショー離れ」はヨーロッパ、そしてドイツも例外ではない様子。この先、世界のモーターショーはどうなっていくのかが懸念されます。
そして、今年のフランクフルトショーも「電気自動車祭り」でした。
市販間近な電気自動車をピックアップ!
前回のフランクフルト、そして最近の世界各地のモーターショーでは各社ともに電気自動車(EV)、あるいは電動化(プラグインハイブリッドやハイブリッドモデル)の車が目立っています。欧州メーカーも完璧に電動化にシフトしています。
というわけで私がフランクフルトモーターショーで気になった市販予定のEVを5台選んでみました!
メルセデスベンツでは初めての一般公開となる「EQV」
「EQV」はミニバンであるVクラスのEV版。展示されていた「EQV 300 AVANGARDE(EQV 300 アバンギャルド)」は最高出力150kW[204PS]。最高トルク362Nm 、バッテリー容量90kWh、航続距離は最大405㎞(WLTPモード ※EPA換算推定約361km)です。
内燃機関のVクラスはもう少しイカツイイメージですが、EQファミリーになったら心なしか優しい顔に見えるのは気のせいでしょうか?
車内のスイッチ系はだいぶ整理されてスッキリしています。でも最近のメルセデスベンツでもACCがシフトレバータイプからやっとハンドルでの操作型に変わっていますが、そこの部分がEQVでも旧型なのが残念です。
2020年から生産開始された、インフォテイメントシステムの呼びかけは「Hey! メルセデス」です。
日本メーカー唯一の出展だったホンダの『Honda e』
フランクフルトショーで、日本の自動車メーカー唯一の出展はホンダ。「Honda e」の市販車が世界初公開されました。ホンダの往年のコンパクトモデルを思い出す、どこか懐かしいデザイン。「Honda e」のロゴが細字になっていて、VWのロゴも細字で2Dになることが今回のモーターショーで発表されましたが、流行りなのでしょうか?
駆動方式はなんと後輪駆動。パワートレインは出力違いで2種類あります。バッテリー容量は35.5kWhで航続距離は220㎞(EPA換算推定約196km)。パーソナルアシスタントの呼びかけは「OK HONDA」。日本発売は2020年とのことです。
中国メーカーの元気さが目立っていました
日本メーカーの代わりに(?)元気だったのが中国メーカー。
「BYTON」「WEY」「紅旗」が出展していて、私が気になったのは「BYTON」の「M-BYTE」です。
バッテリーは2種類。72kWhは航続距離が最大360㎞。95kWhは航続距離が最大460㎞とのこと。
48インチ(!)の巨大なディスプレイが印象的でした。今年の上海モーターショーでも中国メーカーの進化と新鮮に感じるアイデアに驚きましたが、「BYTON」も不気味な存在です。中国メーカーの乗用車が日本に導入される気配はまだないですが、これはぜひ、試乗してみたい魅力を感じました。
ポルシェ「Taycan(タイカン)」は七福神顔!
そしてポルシェ初の量販市販車で、ついに生産が開始された「Taycan(タイカン)」も今回、初めての一般公開です。
これも見たいクルマのひとつでした。シルエットはパナメーラ風でカッコイイのですが、フロントライトと繋がって下に下がる黒いラインが、何度か見ていると目のように見えてきて、よく見ると七福神顔。と思ったら、急に親近感がわいてきました。もしかしたらポルシェを今までより身近に感じる(値段は普通の人には身近じゃないけど)人が増えるかもしれません。
先行発売されたターボとターボS。ポルシェのブースには「タイカン」がずらりと展示され、まさに「タイカン祭り」という印象でした。
アウディ『e-tron55 quattro』には試乗もできました
そして、すでに欧州で販売されているアウディのSUV電気自動車「e-tron 55 quattro」。
モーターは前後に2つ。バッテリー容量は95kWh、航続距離は400㎞(WLTPモード ※EPA換算推定約357km)。車両重量は2490㎏。最大出力360hp、最大トルク664Nm。
特徴的なのは、フロントマスクのシルバーフレーム。これがクールで未来感を醸しだしています。そして堂々としたサイズ。Q7よりは若干小さいものの、Q5よりは大きいというなかなかの迫力です。
そしてデジタルサイドミラー……。実は今回、ドイツで「e-tron55 quattro」に試乗しましたが、残念ながらデジタルミラーの仕様では無かったのが残念でした。
走り出した途端、抜群にどっしりしながらも滑らかに走る印象を受けます。2490㎏もの車両重量+3名乗車。700㎏ものバッテリー重量が床下に格納されていて、抜群の安定感があります。
しかし残念だったのは、今回、急速充電を体験できなかったこと。欧州仕様の高出力の急速充電を試したかったのですが、アメリカでバッテリー火災が起きてリコールが起きたため、今回の旅では「念のため」ということで充電はできませんでした。
しかし、試乗で行ったアウディミュージアムの駐車場にはアウディ本社所有の10台以上の「e-tron」が駐車してありましたが、充電している(普通充電だけど)車両もありました。おそらく試乗車で充電OKにしてしまうと、万が一マッチングの悪い急速充電器で充電したり、ミスユースを未然に防ぐための「念のため」ということなのかもしれません。
日本の自動車ユーザーの方のなかにも、急速充電のことがよくわからないという方は多いのではないでしょうか。誰にでもわかりやすく、シンプルで効率的な急速充電環境が整うことが、これからの電気自動車普及のポイントかも。
コンパクトな『Honda e』から迫力満点の『タイカン』まで。そして『EQV』などのSUVも続々と登場している世界の電気自動車事情。日本でもいろんな車種のEVが選べるようになるといいですね。
(吉田由美)
レポートお疲れ様でした…やっぱり電気自動車祭りとは(笑)
学校教育で自動車を環境破壊の悪者にと教育した代償が相当大きいでしょ。ある意味教育が産業の「敵」になっているような。
※僕なんかそれにいち早く気づき、尾崎豊の如く「この支配からの卒業」しちゃいましたが(自爆)
欧州は排気ガス問題がありディーゼル不正で今後の危機を募らせて電動化に舵を切ったと思いませんか!?
その意味では大気汚染のひどい中国も同じだとも思いませんか!?
…日本が変われないのは、むしろ排気ガス浄化技術成功の成果が仇になった形にも見えてきます。
あと日本からの参加企業が少ないことにはCHAdeMOとV2Hなど災害対策や自立型電源構築のネタも既に出した上に、その海外版(電源電圧が違う)出品にまで目が行かなかったのもあるでしょう。
(電気屋としていろいろ調べたら欧米各国では過去に配電線停電(ブラックアウト)が何度かあったそうです。それを知らない日本の電力系人間が多いのも問題)
電気自動車先進国ニッポンもこのままじゃ後進に追いつかれるでしょ…後から来たのに追い越され泣くのが厭ならさぁ歩け!ですよホンマ(水戸黄門の歌詞じゃないが)。