電気自動車になったルノー『サンク』が2025年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝く

EVとして復活したルノー『5(サンク)』が、2025年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。アメリカのメディア『CleanTechnica』が思い入れたっぷりに伝える記事を、全文翻訳でお届けします。

電気自動車になったルノー『サンク』が2025年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝く

【元記事】Renault 5 Is Car Of The Year In Europe 2025 by Jesper Berggreen on『Clean Technica

幻の名車「ルノー5ターボ」の思い出

あれは1976年のことでした。鮮やかな黄色のかっこいい車が、私の家に続く細い砂利道を勢いよく駆け上がってきた光景を、今でも忘れられません。そう、父が新型ルノー5を試乗していて、7歳だった私にもどうしても体験をさせたかったのです。当時、我が家の車はシトロエン2CVでしたが、この初代ルノー5はとても新鮮で、スタイリッシュで速く、室内も広々としていて、私もすっかり虜になりました。今でも、幻の名車「ルノー5ターボ」をいつか手に入れたいと思っています。しかし……

ルノーは、24年間売れ続けていたこの車の生産を終了し、1990年からは後継モデルのルノー・クリオを販売するようになりました。それがどうでしょう皆様、なんと新型ルノー5が誕生しただけでなく、EVとして帰ってきました。さらにヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー2025にも選ばれたのです。しかも、またあの黄色いボディ! もちろん他の色も選べるでしょうが、そんなことはどうでもいいのです。1976年に私が感じたあの興奮を思い起こさせてくれる車なのです。これは私だけでなく、おそらく多くの人々も同じ気持ちではないでしょうか。

ルノー5は姉妹モデルのアルピーヌA290と共同で、この栄誉ある賞を受賞しています。

審査委員長のSøren W. Rasmussen氏と受賞した2台。(FDMニュースリリースから引用)

デンマーク自動車協会(FDM)からのプレスリリースの一部を以下に紹介します:

「当協会はルノー5を2025年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに選出しました。このコンパクトなレトロEVは、ベルギーのブリュッセルで今年開催された有名モーターショーのオープニングの一環として金曜日の朝に名誉あるタイトルを獲得しました。ルノー5は姉妹車であるアルピーヌA290と共に、このタイトルを分かち合っています」

「2位には『2025年デンマーク・カー・オブ・ザ・イヤー』にも選ばれたKia EV3が入賞しました」

「今年で62回目を迎えるヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーは、23カ国から集まった60人の欧州自動車ジャーナリストによる審査で決定されます」

FDMの自動車技術編集者で、審査委員長のSøren W. Rasmussen氏は次のように述べています:

「ルノー5は、約20万デンマーククローネ(約433万円)という価格帯で優れたEVを購入できると示してくれました。エントリーモデルは18.5万デンマーククローネ(約400万円)からで、トップモデルは23万デンマーククローネ(約498万円)です。つまり、ルノー5は昨年同じタイトルを獲得した兄貴分のルノー・セニックの足跡を辿っているのです」

デンマークではEVの人気が高まっていますが、ヨーロッパ全体では販売の伸びがやや鈍い傾向にあります。今年の最終選考に残った7台のうち、エンジン搭載グレードがない純粋なEVは3台だけでした。

「それでも、カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルが再びEVに与えられたのは自然なことだと思います。なぜなら、北欧諸国ほどEVシフトが進んでいない国もあるものの、政治家や自動車メーカーが決めた方針は明らかで、EVは急速に普及しています。今後数年でさらに多くのEVが登場するでしょう」とSøren W. Rasmussen氏は語ります。

審査員団の最終結果は以下の通りです。

●ルノー5 / アルピーヌA290(EVのみ) — 353ポイント
●Kia EV3(EVのみ) — 291ポイント
●シトロエンC3/ë-C3(ガソリン/EV) — 215ポイント
●ヒョンデ・インスター(EVのみ) — 172ポイント
●ダチア・ダスター(ガソリン/ハイブリッド) — 168ポイント
●クプラ・テラマール(ガソリン/ハイブリッド) — 165ポイント
●アルファロメオ・ジュニア(ガソリン/EV) — 136ポイント

面白いのは、ルノー5は本当に素晴らしい車で、もし私が今のテスラ・モデル3を手放さなければならないなら、次に選ぶのはこれでしょう。試乗すら必要ありません。乗ったら絶対に笑顔になってしまうでしょう。あっ、そういえば娘が車が欲しいって言ってたなぁ……。

翻訳/池田 篤史(翻訳アトリエ)

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この記事の著者


					池田 篤史

池田 篤史

1976年大阪生まれ。0歳で渡米。以後、日米を行ったり来たりしながら大学卒業後、自動車業界を経て2002年に翻訳家に転身。国内外の自動車メーカーやサプライヤーの通訳・翻訳を手掛ける。2016年にテスラを購入以来、ブログやYouTubeなどでEVの普及活動を始める。

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