吉田由美の「CES2024」見聞録〜バンクーバーのEV事情も体感!

1月にラスベガスで開催された「CES2024」。少し時間が経ってしまいましたが、カーライフエッセイストの吉田由美さんによる旅行記的な楽しさも詰め込んだレポートです。旅程で立ち寄ったバンクーバーのEV事情もお伝えします!

吉田由美の「CES2024」見聞録〜バンクーバーのEV事情も体感!

新名所のスフィアやベガスループも体感!

今年最初の海外は新年早々、カナダ・バンクーバー経由、米国ラスベガスへの旅でした。今、海外はホテル代や物価が高騰しているので、できるだけミニマムな日程で行きたいところでしたが、私が「CESに行こう!」と思ったタイミングで取れたのはこのコース。バンクーバーは、以前から遊びに行こうと思っていたお友達もいるし。バンクーバーでも2泊することにして、決行しました!

ご存じのように「CES」は、米国ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市。バンクーバーからラスベガスに入った翌日。まるまる空き時間だったので周辺のお散歩。ホテルからラスベガスの新名所「Sphere(スフィア)」まで約15分ほど歩き、その後プレスパスをピックアップ。プレスパスはプレスデー数日前から空港のほかラスベガス内の指定されたホテルなどでもピックアップが可能で、私はスフィアの隣のホテルでピックアップしました。

スフィアはラスベガスに出現した世界最大の球体。約5.4万平方メートルの外側にはLEDパネルが設置され、巨大なディスプレイとなっています。そこに映し出される映像はいろいろ変わるのでずっと見ても飽きません。企業のCMのようなものもあれば、グラフィックのようなものもあり、常時なにかが映し出され、フォトジェニック。さすがラスベガス!「眠らない街」をさらに華やかに演出していました。

内部は2万人を収容するアリーナになっており、昨年の9月末に行われたこけら落としはU2の公演だったそう。さまざまなライブやスポーツイベントなどが行われますが、そういった催しが無いときは4D技術を使ったコンテンツ「ポストカード・フロム・アース」という没入型の作品を体験できます。私も鑑賞。凄い迫力でした! ラスベガスへ訪れた際にはぜ行ってみてください。

ラスベガス市内ではテスラ車と日本車が目につきます。ラスベガスでの移動は基本的に手軽に使えるUberを利用しましたが、ひとつだけ体験したいものがありました! CESの期間中、CESのメイン会場「LVCC」のホール間を移動できる「VEGAS LOOP(ベガスループ)」です。しかし、自動運転でもなんでもなく、細いトンネル内を「モデルY」「モデルS」「モデルX」などテスラのBEVがドライバーの運転で走っています。とはいえ会場内は広いため、乗っている時間は約1~2分ほどですが、徒歩だと10分以上掛かるので、時短と疲労軽減になって助かりました。

プレスパスを紛失するアクシデントも!

というわけでラスベガスを満喫しつつ。2日間のプレスデーと一般公開初日の会場で気になったトピックを。

プレスデー初日は、フランスのテクノロジー企業「Valeo」(ヴァレオ)が開催した日本のメディア向けプレゼンテーションへ。ヴァレオは自動車の電動化、自動運転、ソフトウェアなどを手掛ける自動車部品メーカー。今回の目玉は2024年に市販予定の最新ADASで最新のLiDAR「SCALA 3 LiDAR」(スカラ3)。これはCES2024のイノベーション賞「車両および先進モビリティ」部門を受賞。

また、EVの航続を24%向上させ、バッテリーの寿命を延ばすソフトウェア「Predict4Range」(プレディクトフォーレンジ)。自動運転車を遠隔操作する「Valeo Drive4U(R)」のデモンストレーションなどが行われました。

2日目はいろんなメーカーのコンファレンス三昧。まずは人工知能のAIテクノロジーで自動車向けの音声コントロールインターフェイスを開発する「Cerence」(セレンス)と「フォルクスワーゲン」の共同コンフェレンスへ。フォルクスワーゲンに「セレンス」の「Cerence Chat Pro」が搭載されるため、最新フォルクスワーゲンのEV「ID.7」の車内で「ChatGPT」のデモが行われ、2024年第2四半期から順次展開されるそう。

LVCCの会場では、ソニー・ホンダ モビリティの「アフィーラ プロトタイプ」世界初公開。アフィーラは2026年春に北米、2026年後半に日本でデリバリー開始。見た目的には大きな違いは感じませんでしたが、進化したのは中身……ということでしょうか!?

一般公開デー初日。まず気になったのが、「ホンダ」の次世代EV「0シリーズ(ゼロシリーズ)」の2台のコンセプトモデル「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペース ハブ)」を発表。「ゼロ」には、ホンダの新たな原点や出発点として、ゼロから新しいものを生み出し、独創的な発想や価値観、さらに交通事故死者ゼロや環境負荷ゼロという意味も。「サルーン」はゼロシリーズのフラッグシップモデルですが、低い全高でスポーツカールックな2ドアセダン、さらにガルウィングが見るからにワクワク感たっぷり。

自動車用テクノロジーのLiDAR企業「LUMINAR(ルミナー)」社は、今年から活躍する2024年F1セーフティカーにルミナ―社製のLiDARを搭載することを発表。CESで発表されたのは「メルセデスAMG GTブラックシリーズ」の屋根にLiDARが搭載され、フロントガラス上部に「LUMINAR」の大きなロゴが入っています。ルミナ―のLiDARは、最大500m先の物体を検知するとのこと。プレゼンテーションでは、ルミナ―・テクノロジーズのCEOオースティン・ラッセル氏が登壇し、クルマがアンベールされた後にはメルセデスーAMGペトロナスF1チーム代表 トト・ウォルフ氏と写真撮影。もしかして、F1のセーフティカーが自動運転になる!?

「Clemson Univarsity」は「DEEP14」という自動運転のオフロード車プロトタイプを展示。

中国のEVスタートアップ「U Power」がニューヨークの次世代EV企業「Olympian Motors」とコラボ。レトロキュートな4人乗りEV「Olympian Model 01」を展示。82kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は490km。最高速度は257km/h。

米国ではCESへの参加は州ごとでも力を入れているらしく、マサチューセッツ州の「Indigo Technologies(インディゴ テクノロジーズ)」は商用EVを展示。

自動車系ブースで存在感を放っていたのは「Hyundai(ヒョンデ)」。4つの大きなブースを構えていましたが、残念ながら360℃回転できるEVコンセプトカーのブースは長蛇の列だったので、時間が無い私は中に入れませんでした(涙)。

ちなみに、プレスデー初日にプレスパスを紛失するアクシデントもあって。駆け足で電動化の現実を垣間見た3日間となりました。

バンクーバーの充電事情は?

順序が逆になりましたが、ラスベガスに向かう途中で立ち寄ったバンクーバー。バンクーバーは友人がフルアテンドしてくれるので2泊3日の超快適旅! ラスベガスへの直行便が取れなかったおかげで、友人との約束も果たせることとなり、超ラッキー♪

無事にバンクーバー空港に到着して到着ロビーで再会。その後は駐車場に止めてある車へ。彼女の愛車は「トヨタRAV4プライム」というプラグインハイブリッド車。到着ロビーを出たすぐ前の駐車場に並んだ充電器で充電しながら停まってました。

友人いわく「バンクーバーの充電スタンドは6kW程度のものが多くて、RAV4プライムは満充電にすると、EVでの走行距離が夏は84km、冬は75㎞ぐらい。充電料金は場所にもよるけど1時間の充電で200円ぐらい。充電場所は市営パーキングなどの施設や、マンションの地下パーキングにあって、我が家もそのタイプ。一軒家だと大抵ガレージがあるので、110Vで6時間~8時間かけて充電しています。急速充電器よりも圧倒的にうちと同じ110Vのタイプが多いみたい」とのこと。

また「カナダでは有料の駐車場では充電料金は基本的に無料のケースが多くて、駐車場料金が無料の場所は充電料金は課金制が多い」とのこと。充電サービス事業者がたくさんあるのは日本と同じような状況。友人も、主流である「FLO」「Charge point」「Shell Recharge」「EVduty」「SWTCH」の5つを利用し、5枚のカードやアプリを常備。バンクーバーでは「Charge Point」のスポットが多いそう。

いくつかディーラーなどの充電スポットもチェックしてきました。急速充電器には、「CHAdeMO」と「COMBO」の2口タイプが多かった印象です。ちなみにカナダの電力構成は6割が水力で賄われており、BEVの脱炭素パワーは大きそうですね。

そうそう、バンクーバーで気になる話を耳にしました! カナダでは近年、旧型の「トヨタ プリウス」&「プリウスα(米国ではV)」の盗難が非常に多いとのこと。これは、マフラーの触媒コンバーター(排気ガスを浄化する装置)に使っている部品がロシアからのものが多く、流通が滞っていて価格が高騰しているためだそう。私の友人の友人も被害に遭ったそう。ちなみに現行プリウスはシリアルナンバーが刻印され、盗難防止装置もあるため被害が少ないようです。日本でも気を付けた方がよいかもしれませんね。

取材・文/吉田 由美

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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