ヒョンデの電気自動車オーナーが集まる「Hyundai Motor Club JAPAN」(旧IONIQ OWNERS QLUB)がローンチイベントを開催しました。イベントには多くのヒョンデ車オーナーが集まったほか、韓国のオーナーズクラブ代表も来日。世界で2番目になる、ヒョンデ車のオーナーズクラブ設立を祝いました。
ヒョンデ車オーナー限定の「Hyundai NIGHT!」
今年で4回目を迎えた「EV Summer Camp 2025」(8月2日〜3日)は、静岡県富士宮市のキャンプ場「TREE LINE chillax field」に約80台が集まり、盛況のうちに幕を閉じました。
EV(電気自動車)によるサマーキャンプは、EVからAC100V電源を取り出す「V2L(Vehicle to Load)」機能を備えたヒョンデ『IONIQ 5』のオーナーによって、2022年にIONIQ 5オーナーのオフ会として始まりました。翌年からはEVの車種を限定しない集まりになり、4回目の今年は主催が「EV SUMMER CAMP 2025 実行委員会」になって規模がさらに拡大しました。
さらに今年はもうひとつの目玉イベントが予告されていました。EV SUMMER CAMPからスピンオフした、ヒョンデモビリティジャパン協賛の「Hyundai NIGHT!(ヒョンデ・ナイト!)』です。
と言っても、Hyundai NIGHT!で何が起きるのか、特設サイトの案内には「with DJ KENTA SPECIAL PLAY!!」とあるだけで詳細は不明でした。迎えた8月3日の日曜日夕方、ようやくイベントの目玉がわかりました。
韓国以外では初めて、つまり世界で2番目にできたヒョンデ車オーナーのファンコミュニティー、「Hyundai Motor Club JAPAN」(ヒョンデ・モーター・クラブ・ジャパン=HMCJ)のローンチイベントだったのです。
幅広い活動を通してオーナーの意見を本社に届けるクラブ
HMCJのローンチイベント、ヒョンデ・ナイト! には24台のヒョンデ車が参加しました。さらに会場にはヒョンデ・モーター・ジャパン(HMJ)の七五三木敏幸社長のほか、ヒョンデ・モーター・クラブ・コリア(HMCK)のキム・ジュヒョン会長をはじめとする多くの関係者も来日し、HMCJの設立を祝いました。
韓国のHMCKは、12万人以上の会員を有する巨大組織だそうです。それでもテスラのオーナーズクラブのようにメーカー公式のクラブではなく、独立した組織として運営されています。HMCKの特徴は、オン&オフラインのミーティングにとどまらず、独自のアマチュアレーシングチーム「TEAM HMC(THMC)」の運営や、会員による社会貢献活動などを積極的に行っていることです。
ローンチイベントで登壇したHMCKのキム会長は、「自動車同好会という次元を超えて、社会に対して何ができるかを考え、悩んで、新しい活動を模索してきました」と、幅広い活動を続けていることを強調しました。
またHMCKのボランティア担当者は、HMCKが大きく成長した要因のひとつは、家族と一緒に活動できるボランティア活動があったのではないかと話し、「同じメーカーの車に乗るということだけでなく、どんな良いイメージを定着させることができるかを考えて、いろいろな役割を果たしています」と、これまでの活動を紹介しました。
続けてHMCJの辻榮亮会長も、「ボランティアを通してヒョンデのイメージアップができればと思っています」と抱負を述べました。
HMCKはヒョンデの公式団体ではありませんが、活動にはヒョンデ本社も注目していて、オーナーの意見を集約し、車の開発に反映させたりしているそうです。

壇上で挨拶をする七五三木社長と、HMCKのキム会長(左)、HMCJの辻榮会長。
HMCJについても、ヒョンデ・モビリティ・ジャパンの七五三木社長から、「これほど多くの皆さまがヒョンデの車を愛していただいているのかと、本当に心強く思っています。皆様のカーライフを健やかに、うまく進めていただけるように、全力の支援をさせていただきます」と力強い応援の言葉が贈られました。
会員数100万人を目指して
日本では、2022年にヒョンデが電気自動車(EV)などで市場に再参入した後、辻榮さんをはじめとするIONIQ 5オーナーによる「IONIQ OWNERS QLUB(IOQ)」の活動が始まりました。
それ以降、ヒョンデの車種が日本でも増えたこともあり会員資格をヒョンデ車オーナー全体に広げ、2025年4月には淡路島で、IOQから変化したHMCJとしてのオーナーズミーティングも開催しました。今回のローンチイベントは、HMCJがHMCKと公式に連携したことの発表と言えそうです。
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HMCJの会員は現在134人。HMCKの人数には遠く及びませんが、ヒョンデ車オーナーの約1割が会員になっているそうです。辻榮さんは「この割合をキープしていきたい」と言います。
その後の目標は壮大です。HMCKのキム会長は、昨年開催された日韓のオーナー交流会で会員数について、「世界で100万人を目指したい」と言ったそうです。

HMCJ会長の辻榮亮さん。
これに呼応したのが辻榮さんでした。
「この時、僕は心が震えたんですよ。でも韓国だけで100万人は無理だから、うち(当時のIOQ)がHMCJとして、世界で2番目のオーナーズクラブになって、グローバル展開で100万人を目指そうじゃないかって投げかけたんです。キム会長は、目をクルクルさせていました。なぜ日本で?って」
それはそうでしょう。ヒョンデグループの生産台数はトヨタ、フォルクスワーゲンに続く世界第3位ですが、日本市場でのシェアはわずかです。それでも辻榮さんは、こう考えたそうです。
「だからこそ、僕は価値があると思っています。どこまでできるかわかりませんし、プロダクトと政治や国家間の話はまったく別ですが、お互いの橋渡しになればいいなと。そこで、アメリカでもイギリスでもない、隣国の日本が2番目になることが大切だと思っています。そういうことをキム会長に熱く伝えたら、いいですねと乗ってくださったんです」
それから協議を続け、EVサマーキャンプのヒョンデ・ナイト! に、HMCJのローンチイベントを組み込むことになったそうです。
豪雨で中断も、幸先がいい

豪雨が2時間ほど続きました……。
ローンチイベントに続けて、ヒョンデ・ナイト!のために用意されたテントで韓国風焼肉をたらふく食べようというBBQが始まりました。サンチュで豚肉を巻いてキムチと一緒にパクパクと食べ、韓国焼酎をグビグビと飲み、DJが流すご機嫌な音楽の中でHMCJとHMCKのメンバーの交流が夜通し続く、はずでした。
ところがステージでのローンチイベントが終わる少し前から降り出した雨は、BBQ開始とともに激しさを増し、十数分後には、なんかもう災害級ではないかと感じる雨量になったのでした。

あまりの雨に、BBQの写真とか撮るのも忘れてました……。テーブルの盛り上がりがお伝えできれば幸いです。
スマホアプリで雨雲レーダーを見ると、キャンプ場周辺が赤や紫の暗い色に覆われていました。テントの天幕にはあっという間に雨水が溜まり、手で押すとザー! という音とともに大量の水が落ちてきます。椅子も用意されていましたが、横から降り込む雨であっという間に座面がビショビショになります。
豪雨の中でのBBQ。でも、上から下まで全身ずぶ濡れの参加者たちはとても楽しそうに話をしていました。むしろ一部の人たちは、レインハイとでも言えばいいのか、妙にテンションが上がっていました。

ずぶ濡れでハイテンションなキム会長。
そんな雨が1時間以上も続いたため、さすがに継続は難しくなり、ヒョンデ・ナイト!は残念ながら中断になりました。
ただ辻榮さんによれば、雨が降り出した時に韓国側スタッフから、「韓国では引っ越しなどの時に雨が降ると、雨の量に応じて福が来る。だから、すごくたくさん福が来ますよ」と言われたそうです。
言葉通りなら、抱えきれないほどの福が来そうです。吉兆です。
ということで、豪雨で中断にはなりましたが、ヒョンデ・ナイト! でのHMCJのローンチイベントは、今後の発展を予感させるひとときになったのでした。翌朝は晴天となって富士山の雄姿が祝福してくれました。世界で100万人の会員獲得に向かって動き始めた活動に、今後も注目です。
取材・文/木野 龍逸
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