ヒョンデ・モビリティ・ジャパンがスモールEV「インスター」をベースにしたデザインコンセプトカー「INSTEROID(インスタロイド)」の日本初公開イベントを開催しました。盛り上がる会場奥の個室で、七五三木社長とデザイン部門トップのロスビー氏にインタビュー。日本市場に向けたメッセージを受け取りました。
「クルマを超えた体験」を具現したデザインコンセプトカー

2025年10月22日(水)、Hyundai Mobility Japan株式会社(HMJ)が、4月に日本でも発売されたスモールEV「INSTER(インスター)」をベースにしたデザインコンセプトカー「INSTEROID(インスタロイド)」の日本初公開イベント「INSTEROID Night by Hyundai」を東京都内で開催しました。
会場となったベイエリアのホールには、ヒョンデEVのオーナーをはじめ、メディア関係者、インフルエンサー、クリエイターなど約150名が招待されて来場。インスタロイドのお披露目に続き、DJ SO-SO & DJ Ryota によるスペシャルライブなどで盛り上がりました。

インスタロイドは「ゲームカルチャーと空力設計を融合し、遊び心と機能美を両立した次世代EVデザイン」というデザインコンセプトを掲げた「創造と遊びの実験車」とのこと。ややこしい技術論や理屈はさておき、「楽しそう!」「このクルマで走ってみたい!」というパッションが、スピーカーからの大音量とともに参加者の心に響いたのでした。

七五三木社長とデザイナーのロスビー氏にインタビュー
ホールではDJのスペシャルライブが続く中、会場内の個室でHMJ社長の七五三木敏幸氏と、Hyundai Motor Group Hyundai Design Center のトップであるSimon Loasby(サイモン・ロスビー)氏に単独インタビューすることができました。10分程度という制約の中で聞くことができた。いくつかのポイントを紹介します。
Q. インスタロイドを通じて日本の人たちに伝えたいメッセージは?
【ロスビー氏】われわれは、デザインを通じてみなさんの笑顔を見たいと思っています。インスタロイドでは、オプティミスティック(楽観的)で明るいメッセージを、責任あるカタチで実現することを目指しました。今夜、インスタロイドのアンヴェールでも会場のみなさんが素晴らしい表情を見せてくれました。日本のみなさんのそうしたメンタリティにアピールしていきたいですね。

イベント参加者へのドレスコードは「Orange」。オレンジ色のスーツで熱弁を振るったHyundai Motor Group Hyundai Design Center長のサイモン・ロスビー氏。
【七五三木社長】今回、ジャパン・モビリティ・ショー(JMS)にはHMJとして初めて出展します。ヒョンデが日本市場にどんな熱意をもって、どんな未来を思い描いているか。インスタロイドはこれからの日本におけるヒョンデを象徴する1台として、JMSにも出展することを決めました。
インスタロイドという、思いを込めたデザインコンセプトカーを披露して、日本のみなさんからご意見をいただくことで、今後のヒョンデEVのデザインに反映していきたいと考えています。
Q. インスタロイドにインスパイアされたような「インスターN」を期待しちゃいます。
【七五三木社長】私も期待したいですね(笑)。クルマが好きで、ドライブが好きな人であれば絶対に欲しくなると思います。もちろん約束はできませんし、計画の有無にも触れることはできませんが。インスタロイドを通じて次世代EVへの明るいメッセージを受け取っていただけるといいですね。

七五三木社長のプレゼンテーションも、躍るように楽しげな様子が印象的でした。
Q. IONIQ 5、KONA、インスター。ヒョンデのEVに込められた共有のデザインメッセージは?
【ロスビー氏】フィロソフィカル(哲学的)な要素が2点。ビジュアル的な要素がひとつあります。フィロソフィカルな最初のポイントが、EVであることを活かしたホイールベースの長さです。これによって最大で快適な室内空間を実現します。2点目は、最新のサステナブルな素材を活用すること。現時点で最も環境に優しい材料を選ぶことは、ヒョンデのEVすべてに共通した哲学です。
ビジュアル的なポイントは、シンプルなスクエアによる「ピクセル」デザイン。それがヒョンデEVのアイデンティティとなっています。

ピクセルデザインはもちろんインスタロイドにも踏襲されています。
Q. ヒョンデのEVがもっている「強み」はどのような点だと感じてますか?
【七五三木社長】IONIQ 5、KONA、インスター、3車種のEVに共通していえるのは、お客様の日常で気持ちよく使い倒していただける「最高の普通のクルマ」であることですね。そのためには、最高水準の基本性能をもったEVを、コストパフォーマンス高くご提供しなければいけません。これは、本社に感謝したいことですが、たとえばインスターはあのコンパクトなサイズでありながら、477km の一充電走行距離を実現しています。
重厚長大なショールームで片膝ついて出されるお茶を飲むより、ちゃんと試乗して、しっかりとしたクルマの説明を得られればそれでいいと考えるお客様に買っていただくことが大切だと思っています。
Q. 日本でもっとヒョンデのEVを知らしめるために。さらに注力するポイントは?
ひとつは、試乗できる拠点を充実させることですね。もうひとつがアフターセールス。いわゆるディーラー網の展開は考えていませんが、お客様が困ったときに、15分以内でいけるような場所にメンテナンス拠点のネットワークを拡げていくことが大切だと思っています。
「最高の普通のクルマ」という言葉に深く共感

ワクワク感いっぱいのコックピット。ブーストボタンや機能本位のデジタルメーターとか、市販車にいい感じでフィードバックされたら楽しそうです。
インスタロイドはあくまでもコンセプトカーなので、すぐに市販モデルに反映されることはないでしょう。とはいえ、七五三木社長によると今回のようなイベントは「一夜限り」ではなく、「日本のEVマーケットをヒョンデが元気にしていきたい!」という思いとともに今後も各地で開催していきたいとのこと。楽しみです。
なにより、単独インタビューで七五三木社長が示したヒョンデのEVが「最高の普通のクルマ」であるという言葉には、一人のKONAオーナーとして深く共感することができました。私のKONAは48.6kWhと小さなバッテリーしか積んでいないエントリーグレードです。装備も上級グレードに比べてシンプルですが、補助金使って300万円程度で購入した大衆車ながら、シートベンチレーションや空気清浄機能などが標準装備。安全性能は満載で、先進運転支援(ADAS)の信頼性は、ときにプレミアムブランドのEVを凌駕すると感じることがあるほどです。
お世辞ではなく、日々「上質な素材を使った普段着」とでもたとえるべき満足感に包まれています。
人それぞれ、いろんな思いや好みはあるでしょうが。まずは、一度試乗してみてください、ってことですね。来週にはJMSが開幕します。今後のヒョンデ、そして日本のEV普及躍進に期待しています。
取材・文/寄本 好則






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