第3回「ジャパンEVオブザイヤー 2024」投票速報/EVsmartブログ著者陣【02】

1年間を代表する新型電気自動車を選ぶ第3回「ジャパンEVオブザイヤー 2024」では、読者のみなさんからの一般投票を募集中です。1月31日(金)の投票締切に向けた投票速報。今回は著者陣投票の第2弾です。

第3回「ジャパンEVオブザイヤー 2024」投票速報

あなたが魅力を感じる電気自動車は?

広く多くのユーザーが評価する優れたEVを選んで讃えたい。黎明期から電気自動車情報を発信してきたEVsmartブログでは、社会が求める魅力的な電気自動車を選出するプロジェクトとして3回目となる「JAPAN EV OF THE YEAR (ジャパンEVオブザイヤー=EOTY)」を実施しています。

広く一般ユーザーの意見を反映するため、誰でも参加可能な「一般投票」を実施。候補車種のEVに「乗ったことがない」方や、「EVに詳しくないんだけど」という方でも遠慮は無用。EOTY はジャーナリストや業界視点だけではなく、一般ユーザーのEVへの理解と関心を深めることを目的とした表彰プロジェクトですから、一般的に得られる情報の範疇における評価でOKです。特設サイトではEVsmartブログで取り上げた各車種の記事も紹介しているので参考にしていただければと思います。

【特設サイト/投票はこちらから!】
JAPAN EV OF THE YEAR 2024

EVsmartブログの著者たちが選んだEVは?

新型EVを評する知見を有する方にEVsmartブログ編集部から投票を依頼した「エバンジェリスト」の投票速報。EVsmartブログに寄稿してくれている著者陣からの投票紹介、第2弾です。

高橋優(EVネイティブ)さんの投票&コメント

【記事紹介】
BYD『SEAL』AWDで紀伊半島へ弾丸遠征/実用性とEV充電インフラを徹底レポート(2024年9月1日)
ヒョンデIONIQ 5 N で1000km遠征など徹底テスト/走って感じたNの設計思想とは?(2024年12月11日)

【総評】まず1年間で発売された新型EVの数が海外市場と比較するとあまりにも少ないのが寂しいところ。特に国産メーカーはトヨタホンダ日産三菱それぞれ1車種のみであり、レクサスRZと日産アリアは新グレードが追加されているだけであることを踏まえると、実質的な新型モデルはホンダN-VAN e:のみというのは日本勢のEVに対するやる気のなさを率直に指摘せざるを得ない。
とはいうものの商用軽EVであるN-VAN e:が投入されたことでラストワンマイル向けの配送車両と相性の良いEVの良さが広まるのではないかと期待可能。またEVの新型モデル投入という観点でいくとBYDは毎年少なくとも1車種以上の新型モデルを日本市場に導入するとアナウンスしており、このEVのモデル数増加にも期待できそう。
いずれにしても日本勢が新型EVモデルのラインナップを拡充しないことには、日本国内のEVシフトは進まないので、2025年シーズンに導入が予定されているホンダN-ONEのEVバージョンやスズキe VITARAなどの日本勢の新型モデルに期待していきたい。

Model 3 パフォーマンス(テスラ)/10点
この新型パフォーマンスグレードは旧型パフォーマンス、現行ロングレンジグレードとは全く異なる車であると考えたほうがいいのかもしれない。電子制御サスペンションを搭載することによってモデル3の弱点だった突き上げを解消しつつ、スポーツ走行を楽しみたい場合はサスを硬くすることでスポーティーな走行性能を両立することに成功。モデル3の完成形として、モデル3の試乗経験があるユーザーも現オーナーも絶対に試乗することをお勧めしたい。

SEAL(BYD)/6点
中国からの黒船として2024年注目せざるを得ないのがSEAL。そのエクステリアデザインのかっこよさにやられて購入を決断したユーザーが多数いるのも納得のデザインは中国車とは全く感じないほど洗練。私自身が検証する1000kmチャレンジでも優れたタイムを達成しており、ファーストカーとしても実用的に運用可能。現在落ち目のセダンの人気を取り戻すためにも、競合のテスラモデル3とともにEVセダンとして販売台数にも期待。

IONIQ 5 N(ヒョンデ)/2点
新開発パワートレインを採用することで基準車とは別格の動力性能を実現するだけではなく、フランクを潰して外部スピーカーを搭載したり、マニュアルトランスミッションを擬似的に再現するなど、いい意味でエンジニアが“本気で遊んだ”EVに仕上がっている。果たして競合となる日本勢のハイパフォーマンスEVはIONIQ5 Nと同じレベルで“遊べて”いるだろうか? ぜひ日本メーカーの関係者にこそ乗ってほしい一台。2025年シーズンのEVレースにも期待。

EX30(ボルボ)/2点
日本国内でも取り回しやすいサイズ感、それでいてファーストカーとしても運用可能なEV性能、何よりもプレミアムブランドとしては非常にコスト競争力の高い値段設定を含めて、まさにプレミアムEVのエントリーモデル決定版としてEX30は見逃せない。さらにワンペダルドライブやバッテリー温度のプレコンディショニング機能など、EVに欠かせない必須機能もしっかり網羅している点も高ポイント。

前田謙一郎さんの投票&コメント

【記事紹介】
次期トランプ政権とイーロンマスクの影響力/加速するテクノロジー進化とEVシフトの行方(2024年11月18日)
最先端独走へ? テスラの最新FSD バージョン13と加速するAI開発投資(2024年12月10日)

【総評】2024年は、国内外問わず新しいEVモデルが徐々に増えてきた年だったと思う。内燃機関から電動化へ進むことで、脱炭素化に貢献、さらにAIや自動運転を活用した効率的かつ安全・快適なモビリティの実現は、多くの自動車会社が目指すべきゴールだと考える。この観点から、EVにおいては走行性能だけでなく、充電能力やインフラがセットで整備されるべきであり、スマートフォン並みのインターフェースは今後の車には不可欠な装備だと考える。ただ単に従来のモデルを電気自動車にしただけでなく、未来の道筋を描いてくれる点も含めて、以下のように投票を行った。

Model 3 パフォーマンス(テスラ)/10点
新しいモデル3のハイパフォーマンスモデルは、専用スポーツシートを備え、720万円台から購入可能。EVとしての航続距離や充電能力はもちろんのこと、パフォーマンスモードやUIの完成度は、現在市場にあるEVの中でも群を抜いている。テスラ独自の充電インフラも充実しており、昨年には600基以上のスーパーチャージャーが展開され、ますます利便性が向上した。ただし、北米で注目を集めるFSDのフル性能が日本では発揮できない点が残念。

EX30(ボルボ)/5点
GeelyのSEA(Sustainable Experience Architecture)によって開発された車は、Zeekr Xと兄弟車。専用プラットフォームを採用しているだけあり、試乗時には非常によくできたEVだと感じた。シャシーはもちろん、UIにおいてもGoogleとの統合が進んでおり、他メーカーの純正ナビよりも圧倒的に使いやすい。インテリアも、これまで以上にスカンジナビアの要素を感じさせる非常にミニマルなスタイルに仕上がっている。唯一残念なのは、充電インフラが販売店の遅い急速充電器や公共のものに依存しなければならない点。サイズやデザインに関しては、日本市場に非常に適したモデルだと思う。

SEAL(BYD)/3点
ヨーロッパブランドと見間違えるようなデザイン。全幅1875mmを誇り、非常に存在感のあるセダンであるが価格も抑えられている。EVとしての走行性能やインテリアのスタイルは、ガソリン車から乗り換えても違和感なく感じられると思う。ナビゲーションやコクピット周り、操作性も非常に洗練されており、ユーザー目線でよく考えられている。販売店の拡充が進んでおり、ブランドとしての充電インフラサポートにも期待したい。非常に完成度の高い車であり、EVメーカーとして実績のあるBYDだが、日本市場でのブランディングは非常に重要なポイントであると思う。
G 580 with EQ Technology(メルセデス・ベンツ)/2点
EVとしての性能はさておき、Gクラスをそのままの形で電動化した点が素晴らしい。価格は2600万円からと非常に高額であるが、日本で人気のGクラスはパワートレインが異なっても引き続き売れるのか、今後の動向に注目したい。

池田篤史さんの投票&コメント

【記事紹介】
テスラのロボタクシーイベント「We, Robot」開催/自動運転タクシー『サイバーキャブ』など発表(2024年10月12日)
電気自動車になったルノー『サンク』が2025年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝く(2025年1月22日)

【総評】2024年も海外から強豪車種が攻め込んできていますね。人気車種は主要市場で鍛えられ、クルマとしての高い実用性を備えています。一方で日本勢は少しベクトルが異なるものの、独自の活路を見出して販売増につなげようとしている印象です。開発速度を上げて、EVの基本性能でライバルたちと互角に渡り合ってもらいたい。

Model 3 パフォーマンス(テスラ)/10点
電子制御ダンパーや静粛性の高い内装で正常進化した「ハイランド」モデル3。さらにヒョンデのIONIQ 5Nよりも100万円以上安く、最先端のスポーツEVの中で最もコストパフォーマンスが高い。モデル3は累積で300万台近く売れているため、アフターマーケットパーツが豊富で、カスタマイズを楽しめるのも利点。日本で自動運転機能(FSD)が解禁されれば快適性がさらに上がるでしょう。

SEAL(BYD)/4点
強豪ひしめくDセグメントにコストの観点から殴り込みをかけたモデル。中国車だからと先入観にとらわれず、ディーラーで試乗していただきたい1台。静粛性が高く、足回りもしっかりしています。運転支援が日本の道路に合っていないので、アップデートが待ち望まれます。ドイツ御三家やテスラほどの品質を求めない方のEVシフトに最適です。

N-VAN e:(ホンダ)/3点
2024年のEuro Car Bodyで大賞に輝いたN-VAN e:。欧州でも軽規格に注目が集まっている証拠と言えます。EVは電池を多く搭載したいけど側突の際のクラッシャブルゾーンを確保しないといけないため、全幅が大きくなりがちです。日欧の狭小路でもスイスイ走れて、Bピラーレスの大開口部を持つこの優れた商用バンは世界にどんどん売り出すべきモデルです。

IONIQ 5 N(ヒョンデ)/2点
これまでのスポーツEVはニュルブルクリンクを1周回る前にバッテリーが熱ダレを起こしたり、ブレーキが悲鳴を上げたりしましたが、さすが名前にNと付けるだけあって、全開で2ラップ走り、急速充電したら再びサーキットに戻ることができるスタミナがあります。スプリント型のEVレースでテスラと互角以上に渡り合えるのではないかと想像しています。

EX30(ボルボ)/1点
リサイクル性と美しいインテリアデザインという北欧クオリティを、中国のBEVテクノロジーと組み合わせたモデル。機能性も高く、日本のクルマ事情にも配慮した開発をしています。上位モデルしか日本に入ってきていないので高く感じますが、廉価版が導入されれば内装重視のコンパクトカーを求めている層に広くアピールできるでしょう。

八重さくらさんの投票&コメント

【記事紹介】
350kWへの期待〜EV用超急速充電器拡充を急ぐべき理由と実現への道すじを徹底解説!(2024年6月9日)
日本国内における電気自動車の売上とシェアを確認【最新情報/2024年12月】(2025年1月19日)

【総評】毎月EVsmartブログでお伝えしているように、2024年は国内のEV(BEV+PHEV)販売にとって厳しい1年となりました。JADAおよび全軽自協が公開している販売状況によれば、2022年にジャパンEVオブザイヤーが始まって以来、2024年は初めて年間の販売数とシェアが前年を下回っています。
さらに詳しく分析すると、2024年の登録車全体に占める輸入車比率は11.9%でしたが、BEVに限定するとその比率は70.6%に達しました。この数値は2022年の45.4%、2023年の51.9%から大幅に増加しています。また、12月には輸入BEV+PHEVが初めて合計4,000台を突破し、過去最高を記録しました。EVに限れば、国内の登録車市場はすでに海外メーカーの牙城になりつつあると言わざるを得ず、強い危機感を覚えています。
2025年以降、販売力の高い国内メーカーから有力なEVがさらに登場することを期待しつつ、2024年に筆者が投票した車種を紹介します。

N-VAN e:(ホンダ)/10点
宅配などに使われる軽バンはEVに最も適している車両の一つであり、内燃車に近い積載量と必要十分な航続距離を確保した点を評価し、N-VAN e:に最高となる10点を配分しました。
筆者の事務所では2020年に三菱アイミーブを中古で購入し、軽貨物に改造して使用。軽バンのミニキャブミーブではなくアイミーブを選んだ決め手は電費と航続距離で、配送拠点で充電できる法人用途なら十分でも、個人事業主として業務委託で配送する場合は、保管場所から配送拠点までの往復で航続距離に不安があったためです。
その一方で、宅配の業務委託では軽バンを必須とする事業者が多く、実は満足に稼働できない状況が続いていました。30kWhの電池を搭載したN-VAN e:は、そんな個人事業主のジレンマを解消してくれるでしょう。

ミニキャブEV(三菱)/5点
ミニキャブEVは2022年に一般販売を中断したミニキャブミーブの改良新型で、電池容量を16kWhから20kWhに増やし航続距離を向上。前述の通り宅配に使われる軽バンはEVと親和性が高く、実際に日本郵便から3,000台を受注したことが発表されています。
ミニキャブEVも配送拠点で充電が可能であれば十分な航続距離を確保しており、N-VAN e:とともに宅配としての活躍が期待できるでしょう。

SEAL(BYD)/3点
手ごろな選択肢が少ない国内のEVセダンにおいて、テスラ モデル3と競合する有力な選択肢としてSEALを選定。テスラとは対極的な全国へのディーラー網の整備や従来の自動車に近い操作性とも相まって、より幅広い層にEVの選択肢を提供することに期待しています。

Model 3 パフォーマンス(テスラ)/1点
筆者は普及の観点でコスパを最も重視しているため、本来であれば「パフォーマンス」モデルは選定しません。一方で内燃車・EV問わず、同等の走行性能をもつ車種と比べると破格とも言えます。走行性能を求めるオーナー層に対する有力な選択肢として、1点を配分しました。

IONIQ 5 N(ヒョンデ)/1点
IONIQ 5 NもModel 3 パフォーマンスと同様、決して気軽に買える価格とは言えません。一方で内燃車の音や変速を再現する機能は、EVが物足りないと感じるオーナーにとって有力な選択肢になり得ます。そのような新たな層を開拓できる車種として、1点を配分しました。

採点表

高橋前田池田八重さくら合計
Model 3 パフォーマンス101010131
SEAL634316
N-VAN e:31013
EX302518
IONIQ 5 N2215
ミニキャブEV55
G 580 with EQ Technology22

テスラのモデル3パフォーマンスに4名中3名が10点を投じて大きくポイントを伸ばしました。みなさんの評価はいかがでしょうか。投票をお待ちしています!

まとめ/EVsmartブログ編集部

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