日本国内における電気自動車の売上とシェアを確認【最新情報/2023年4月】

欧米や中国などを中心に、世界ではEVのシェアが急拡大しています。日本国内では過去数年間にわたり普及が停滞していましたが、2022年の後半に軽EVの納車が始まったことで、欧米や中国に続くように拡大を始めました。この記事では日本国内の電動車販売シェア動向に着目し、定期的に更新していきます。

日本国内における電気自動車の売上とシェアを確認

【アップデート/2023年5月15日】

※記事中でしばしば用いる「BEV」は「Battery Electric Vehicle」、つまり100%電気自動車を意味しています。同様に「PHEV」は「Plug-in Hybrid Electrical Vehicle」、外部から充電可能なハイブリッド車を意味します。また、BEVとPHEVを総称して、「プラグイン車(Plug-in Vehicle=外部から充電可能な電動車)」としています。また、BEVとPHEVの総称として「EV」を用いている場合があります。

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2023年4月の日本国内のEV販売台数とシェア

2023年4月の日本国内の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は289,525台で、2022年4月の244,292台からは18.5%増加し、COVIDによる影響を受ける前の2019年4月(314,950台)と比べても大きな遜色はありませんでした。

このうちEV(BEV+PHEV)の販売台数は10,185台で4月としての最高記録を更新、前年の4,033台からは約2.5倍(BEVは3.5倍)の成長となりました。4月は日産サクラや三菱eKクロスEVなど軽自動車の成長が減速したものの、登録車はここ数ヶ月の成長を維持、EV全体では2023年で2番目のシェアを記録しています。

なお、自動車の販売台数は季節や月によって大きく変わるため、比較する際は前月ではなく、前年の同月と比べる必要があります。本記事でも次の章にて前年同月比で解説していますので、合わせてご参照ください。

燃料別販売台数とシェア一覧(2023年2月)

●BEV:6,227台(乗用車全体の2.15%、前年比+253.00%)
●PHEV:3,958台(乗用車全体の1.37%、前年比+74.44%)
●BEV+PHEV(EV合計):10,185台(乗用車全体の3.52%、前年比+152.54%)
●FCV:25台(乗用車全体の0.01%、前年比-69.51%)
●EV+FCV(ZEV合計):10,210台(乗用車全体の3.53%、前年比+148.12%)
●HV:125,897台(乗用車全体の43.48%、前年比+25.76%)
●ZEV+HV(電動車合計):136,107台(乗用車全体の47.01%、前年比+30.59%)

【メーカー・車種別台数】

2023年4月のトップメーカーは引き続き日産の4,323台で、前年の1,002台から4倍以上増加。2位の三菱を2倍近く引き離し、ダントツの1位となりました。この数カ月の間4,000台前後を維持していた日産サクラは2,370台に減少し、前月から3,000台未満で推移。前月に初めて1,000台を突破した日産アリアは1,102台で安定して推移、日産リーフも851台と引き続き登録車が好調な月となりました。

2位は先月に続いて三菱で、前年の1,066台から2,198台に倍増。このうち533台が軽自動車のeKクロスEVと公開されており、過去最高を記録した前月の1,544台からは大きく減少したものの、同社で唯一のBEVとして販売を支えています。さらに980台がアウトランダーPHEVと公表されており、残りの685台がエクリプスクロスのPHEVモデルと推測されます。

3位も前月に続いて1,857台を販売したトヨタは、前年の697台から2.5倍以上に増加。引き続きPHEVが1,689台で販売を牽引しており、先月に続きハリアーやRAV4のPHEVモデルの増加に伴うものと思われます。この他153台がbZ4XなどのBEVの登録車、15台が軽自動車のC+Podと公開されています。

輸入車の合計は1,657台で、こちらも前年(1,005台)から順調に増加。JAIA(日本自動車輸入組合)の「車名別輸入車新規登録台数の推移(月別)」によるとOthersは313台で、ほぼ全数がテスラと思われます。また、電動車専業メーカーのHyundaiは20台、BYDは91台とされています。

前月にソルテラの納車増加により141台の最高記録を達成したSUBARU、そしてCX-60 PHEVの納車開始により100台以上が続いていたマツダはそれぞれ76台、44台となり、両社とも発売から数ヶ月が経ち落ち着きを見せています。

【本記事に掲載している販売数データのソースについて】

●登録車:一般社団法人日本自動車販売協会連合会(JADA)の燃料別販売台数(乗用車)より
●軽自動車:一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報、及びメディア向け資料より
※シェアは上記の販売台数より独自集計

日本におけるEV普及の推移

【2023年の累計】

2023年1月〜4月の累計ではBEV+PHEVの販売台数が49,598台、シェアは3.44%に達し、それぞれ前年の22,892台、1.86%から大幅に上昇。例年4月〜5月は販売が減少するものの、前年と比べると、過去に類を見ないペースで増加が続いています。日産のBEVやトヨタのPHEVなど一部の車種では引き続き納期が長期化しており、これらの車種の生産・納車が今後の成長を左右すると見られています。

【前年同月との比較】

2023年4月の販売台数は例年通り3月から大きく減少したものの、前年と比べると2.5倍以上にあたる10,185台まで増加。一方で減少傾向だったシェアは増加に転じ、前年と比べると2.1倍以上、2023年としては2番目にあたる3.52%となりました。5〜6月頃までは前年比で大きく増加を続けるものと思われますが、2023年は有力な新車種が少なく、2022年に日産サクラや三菱eKクロスEVの納車が本格化した7月以降の成長は注視が必要です。

補足:記事の冒頭でも触れた通り自動車の販売数には季節性があり、月によって大きく変動します。国内では四半期の初めに減少し、四半期の終わりに増加するほか、年度末に増加する傾向があります。販売台数を比較するときはこれらの季節性を考慮する必要があります。

販売台数とシェアの推移データ

月別(2020年1月〜)、四半期別(2018年Q1〜)、年別(2018年〜)の燃料別乗用車販売台数とシェアのグラフとデータを紹介します。このデータとグラフは、今後定期的(月1回程度)にアップデートしていきます。

【月別】

月別の販売数とシェアは記事冒頭の通り月や季節により大きく変動するものの、2020年頃を底に上昇に転じ、2022年の年末に向けて大きく成長していることが読み取れます。この勢いは2023年に入っても衰えることはなく、4月も順調に増加を続けています。

BEV
台数
BEV
シェア
PHEV
台数
PHEV
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BEV+PHEV
台数
BEV+PHEV
シェア
乗用車全体
台数
2023年4月6,2272.15%3,9581.37%10,1853.52%289,525
2023年3月9,6312.02%5,5701.17%15,2013.18%477,943
2023年2月8,8072.47%3,6231.02%12,4303.49%356,281
2023年1月8,5102.66%3,2721.02%11,7823.68%319,870
2022年12月8,4762.98%3,1591.11%11,6354.09%284,329
2022年11月7,0892.30%2,1840.71%9,2733.01%308,059
2022年10月4,3771.48%1,9320.65%6,3092.13%295,809
2022年9月8,6912.67%4,6231.42%13,3144.10%324,901
2022年8月6,2332.66%2,8631.22%9,0963.88%234,143
2022年7月6,1762.14%4,1471.44%10,3233.58%288,145
2022年6月5,6042.09%3,3061.23%8,9103.32%268,077
2022年5月1,8800.89%2,9531.39%4,8332.28%211,856
2022年4月1,7640.72%2,2690.93%4,0331.65%244,292
2022年3月4,3511.02%3,5430.83%7,8941.85%426,393
2022年2月2,3800.82%2,7560.95%5,1361.77%289,848
2022年1月1,7920.66%4,0371.48%5,8292.14%272,445
2021年12月2,4980.89%3,0521.09%5,5501.98%280,141
2021年11月2,2180.76%1,9810.68%4,1991.44%291,665
2021年10月1,7340.75%1,3020.56%3,0361.32%230,499
2021年9月2,5530.99%1,8290.71%4,3821.71%256,963
2021年8月2,2460.85%1,3980.53%3,6441.38%263,602
2021年7月1,9630.63%1,7430.56%3,7061.20%309,463
2021年6月1,3300.45%2,3160.78%3,6461.23%296,623
2021年5月1,2520.48%1,5120.58%2,7641.06%261,522
2021年4月6990.24%1,5980.55%2,2970.80%288,397
2021年3月2,6700.52%2,7140.53%5,3841.05%510,386
2021年2月1,4380.40%1,7740.49%3,2120.89%361,891
2021年1月1,0920.34%1,5580.48%2,6500.82%324,546
2020年12月1,8920.60%2,9270.93%4,8191.53%315,200
2020年11月1,5650.46%1,2740.38%2,8390.84%336,908
2020年10月1,0190.30%1,2750.38%2,2940.67%339,923
2020年9月1,8870.48%1,3870.35%3,2740.84%390,847
2020年8月7190.27%7440.28%1,4630.54%270,350
2020年7月7670.23%9460.29%1,7130.52%330,771
2020年6月6460.23%1,0220.36%1,6680.59%283,893
2020年5月3780.22%5190.30%8970.51%174,404
2020年4月3300.15%6350.29%9650.44%219,231
2020年3月1,4120.29%1,6350.34%3,0470.63%485,207
2020年2月3,1090.86%1,2560.35%4,3651.21%362,052
2020年1月8800.29%1,1210.37%2,0010.66%301,195

【四半期別】

2023年Q1は2022年Q3を上回る39,413台を記録、シェアは2022年Q3に次ぐ3.42%となりました。年度末にEVの販売台数が最高となる傾向は2020年度から続いており、2022年度もこれを引き継いだ形となります。2023年Q2はQ1と比べて一時的に減少する可能性が高いものの、年度末に向けて成長を続けるものと予想されます。

BEV
台数
BEV
シェア
PHEV
台数
PHEV
シェア
BEV+PHEV
台数
BEV+PHEV
シェア
乗用車全体
台数
2023年Q126,9482.33%12,4651.08%39,4133.42%1,154,094
2022年Q419,9422.25%7,2750.82%27,2173.06%888,197
2022年Q321,1002.49%11,6331.37%32,7333.86%847,189
2022年Q29,2481.28%8,5281.18%17,7762.45%724,225
2022年Q18,5230.86%10,3361.05%18,8591.91%988,686
2021年Q46,4500.80%6,3350.79%12,7851.59%802,305
2021年Q36,7620.81%4,9700.60%11,7321.41%830,028
2021年Q23,2810.39%5,4260.64%8,7071.03%846,542
2021年Q15,2000.43%6,0460.51%11,2460.94%1,196,823
2020年Q44,4760.45%5,4760.55%9,9521.00%992,031
2020年Q33,3730.34%3,0770.31%6,4500.65%991,968
2020年Q21,3540.20%2,1760.32%3,5300.52%677,528
2020年Q15,4010.47%4,0120.35%9,4130.82%1,148,454
2019年Q44,1300.48%3,4510.40%7,5810.88%859,932
2019年Q36,2240.54%5,8920.51%12,1161.05%1,155,457
2019年Q23,7210.37%3,7210.37%7,4420.74%1,009,343
2019年Q17,2550.57%4,5580.36%11,8130.93%1,276,359
2018年Q44,4270.43%5,8430.57%10,2701.00%1,023,851
2018年Q37,1170.66%5,7500.53%12,8671.20%1,075,284
2018年Q24,2670.43%4,9530.50%9,2200.93%988,114
2018年Q110,7390.82%6,6940.51%17,4331.34%1,303,911

【年別】

2020年以降の傾向として、乗用車全体が減少すると同時にEVは台数・シェアともに増加傾向が加速し、2022年は前年から2倍以上に増えています。乗用車全体の減少は単純な供給不足のほか、海外で指摘されているようなEV普及前の買い控え(オズボーン効果)の可能性も考えられます。供給不足は2023年も続くものの徐々に緩和すると見られており、引き続き販売台数を注視する必要がありそうです。

BEV
台数
BEV
シェア
PHEV
台数
PHEV
シェア
BEV+PHEV
台数
BEV+PHEV
シェア
乗用車全体
台数
2022年58,8131.71%37,7721.10%96,5852.80%3,448,297
2021年21,6930.59%22,7770.62%44,4701.21%3,675,698
2020年14,6040.38%14,7410.39%29,3450.77%3,809,981
2019年21,3300.50%17,6220.41%38,9520.91%4,301,091
2018年26,5500.60%23,2400.53%49,7901.13%4,391,160

取材・文/八重さくら

この記事のコメント(新着順)13件

  1. 今後数年で軽自動車はEVでないと競争力を保てないようになるでしょう。
    来年発売が噂されるホンダとスズキの軽EVが楽しみですね。

  2. 軽自動車EV

    ガソリンの軽自動車に、乗った事有り!
    でもエンジンが弱くて、持たない(泣)
    壊れる!(汗)
    永く走れない!

    でも、軽自動車EVならば?
    下手な小型車よりも、永く走れますね!(笑)

    来年は、ホンダさんもサクラ等と同じ20キロのバッテリー、商用軽自動車EVを出すようです!

    サクラやekクロスEVも良いが、如何せん高級車(汗)

    かつてのスズキ・アルト47万円の様な?
    安価な商用の軽自動車EVが、乗用車として普及してくれると良いですね!(^-^)

    1. アルト47万円を覚えてる世代です(笑)…もっとも物価高や安全装備追加でいまや90万円台ですが…価格が二倍二倍やないですか(CV)高見山大五郎

      たしかに2024年発売予定のホンダN-VAN EVは興味あります。えてして商用車は荷物積載で軽量化の必要があるため内装は簡略化されその分価格も安くなるはずです。
      もちろん1979年のアルト47万円とて当時の鈴木修氏が徹底的なコストカットを施せた前提は商用バンだったから。贅沢は敵といわんばかりにメーカーオプションの代わりにディーラーオプションで対応してましたよ!?それに今ほど安全装備の装着義務もなかったからあそこまで安価に仕上げれた。
      そう思うと政治や行政の庶民目線のなさを恨みたくなりますよ(爆!) お前ら逃げるな!!マヂそれが本音。

  3. 連投済みませんが、国交省のリコールサイトでの数字ですので、確かだと思います。

  4. ステランティスの10月の国交省のBEVリコール(緊急停止事案e-cmpすべての車種)では対象が1960台となっていました。BEVの販売は2021年のプジョーからですので1年半で2000台近く販売されています。これは統計に入っているのでしょう。最近ステランティスのBEVはリーフよりよく見掛けます。

  5. 「3位は928台を販売した三菱で、このうち480台がおそらくBEVのeKクロスEV、残りの448台がアウトランダーとエクリプスクロスのPHEVと推測できます」

    ご存じかもしれませんが、三菱のニュースリリース・ページでは、毎月末ごろ前月の販売実績を公表しています。たとえば、9月分なら10月28日に公開されており、『アウトランダー(PHEVモデル)』2,368台 、『エクリプス クロス(PHEVモデル)』508台、『eKクロスEV』1,058台 となっています。(『eKクロスEV』は、軽四輪車通称名別新車販売確報で月半ばに見ることができますが)
    https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsrelease/

    「推測」されずに実数で確認されるなら、もう数日、三菱の公表を待ってからページを作成されても良いかもしれません。

    1. Eddy さま、コメントありがとうございます。

      データ確認方法と記事掲載タイミング。筆者の八重さくらさんと相談して検討します。

    2. 10月分は11月29日に公開され、
      『アウトランダー(PHEVモデル)』263台 、
      『エクリプス クロス(PHEVモデル)』185台、
      『eKクロスEV』480台 となっていました。

  6. 売上データを見ても、やっぱり日本のEV普及は軽自動車からなんですね(笑)
    世界初の量産電気自動車が三菱アイミーブであり、三菱自動車の「EVはまず軽自動車から提供し、順次拡大していく」方針は先見の明があったんです。

    そもそもガソリン代高騰と国民所得の実質減少(ほぼほぼポンコツ政権のせい)に加え、さらに現在は電力事情も逼迫し電気料金も高くなっているため軽EVの優位性はことさら高くなっているはず。それに業務営業車など固定ルートで1日の走行距離を管理できるなら電欠の危険も少なくて済む。自身の自営業とて電欠しそうな現場へ向かう時はあらかじめ充電場所を決めておくから全然問題ナシ…平日は充電器がゴール前フリー(笑)なんで気兼ねなく充電できますよ。働き方次第では有用というか。

  7. ❝乗用車全体では約35%が軽自動車なので、EVは内燃機関車よりも軽自動車の比率が高く❞ 

    のくだりがわからなかった。読解力なくて申しわけませぬ…

    1. ql さま、コメントありがとうございます。

      ❝乗用車全体では約35%が軽自動車なので、EVは内燃機関車よりも軽自動車の比率が高く❞ 

      EVにおける販売比率は軽EVが4割以上 > エンジン車を含む乗用車全体では約35%

      ということですね。
      編集部として、9月度の乗用車販売比率は未確認だったので、確認してみます。

    2. EVと内燃機関車の軽自動車比率を比較するなら、
      ●軽EV/EV全体
      ●内燃機関車の軽/内燃機関車全体
      を比較すべきです。
      また、軽EVが4割以上の下りですが、本文では「直近の9月では登録車が7,902台に対して軽自動車が5,412台と、軽自動車が全体の4割以上」とありますが、上記の数字から算出すると5,412台/7,902台=約68%なので、「6割以上」が正解ですよね。

    3. seijima さま、コメントありがとうございます。

      ご指摘の点、10月最新情報に更新の際、私の作業ミスで9月のものが残っていましたので、修正いたしました。

      >5,412台/7,902台=約68%なので、「6割以上」が正解

      EV全体=登録車EV(7,902)+軽EV(5,412)=13,314台
      軽EVの比率=軽EV(5,412)/EV全体(13,314)=40.65%
      となります。9月のデータですけど。

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この記事の著者


					八重 さくら

八重 さくら

現在は主にTwitterや自身のブログ(エコレボ)でEVや環境に関する情報を発信。事務所の社用車として2018年にテスラ モデルX、2020年に三菱アイ・ミーブを購入し、2台体制でEVを運用中。事務所には太陽光発電とテスラの蓄電池「パワーウォール」を設置し、車と事務所のほぼすべての電力を太陽光で賄うことを目指しています。

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