ヨーロッパで電気自動車の売上とシェアが拡大中【最新情報/2020年5月期】

電気自動車の売り上げがヨーロッパで飛躍的に伸びてきています。1つの理由として、地域の主だった国が2025年~2040年の間に石油・ディーゼル車の新車販売禁止に向けて動いているという背景があります。2020年5月の新車販売数情報をまとめました。

ヨーロッパで電気自動車の売上とシェアが拡大中

■2020年6月23日更新
※この記事は、ヨーロッパの電動車販売シェア動向に着目し、定期的に更新していきます。

引き続きコロナの影響は続くが回復傾向

5月の欧州自動車市場は昨年同月比57%減と、コロナの影響は続いていますが、4月に比べて売り上げは倍以上に伸びており、回復傾向にあります。厳しい外出制限が出ていた国が多い欧州ですが、徐々にディーラーが再開し始めたので、6月はさらに売り上げが伸びると見られます。

さて第1四半期(1〜3月)の欧州では、電気自動車の売り上げが昨年比57.4%増となりました。自動車全体の売り上げの中でのシェアは4.3%ですが、ドイツ、フランス、オランダなどでEVシフトのための手厚い補助金政策が始まるため、今後はさらにシェアの拡大が期待されます。

2020年5月の国別シェア一覧

国名EVPHEVEV+PHEVEV+PHEV販売台数自動車販売台数
イギリス12.0%4.0%16.0%3,24920,247
フランス3.2%4.3%7.5%7,17695,706
ドイツ3.3%4.0%7.3%12,333167,544
スウェーデン5.0%15.2%20.4%3,42316,759
ノルウェー43.1%22.6%65.6%5,2497,998
オランダ9.3%4.5%13.8%2,02314,661

※タイトル行の車種をクリックすると数値順にソートできます。

2020年4月の国別シェア一覧

国名EVPHEVEV+PHEVEV+PHEV販売台数自動車販売台数
イギリス31.80%2.20%34%1,4694,321
フランス5.90%1.90%7.80%1,64621,102
ドイツ3.80%4.70%8.50%10,253120,623
スウェーデン5.70%16.90%22.60%4,27018,893
ノルウェー49.70%19.90%69.60%5,1687,425
オランダ10.00%4.00%14.00%2,13915,278

イギリスが4月期にコロナの影響で暫定的にEVシェアが急増したのが元の水準に戻ったのを除き、ほとんどの国でEV+PHEVシェアはほぼ横ばいで、やや減少した印象です。各国見ていきましょう。

おもな国別の状況

イギリス

イギリスEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月3.2%2.5%5.7%(2.6%)4,56679,594
3月4.8%2.5%7.3%18,512254,684
4月31.8%2.2%34.0%1,4694,321
5月12.0%4.0%16.0%3,24920,247

イギリスでの電気自動車シェアは4月期にICEの売り上げが昨年比98%減となった影響で一時的にEV+PHEV比率が34%まで跳ね上がり、5月期は16%に落ち着きました。2020年の平均シェアは今のところ7.2%で2019年の約3倍となっています。3,000台を割り込む一方で、PHEVよりも純電気自動車の方が人気で、特にテスラのモデル3は4月に引き続き2カ月連続で、ICEを含む全車種の中で売り上げ1位となりました。

イングランド内のディーラーは既に営業再開をしており、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドももうすぐそれに続く予定です。

国全体としては2035年からガソリン・ディーゼル車を販売禁止にする予定ですが、都市レベルで見るとロンドンでは2030年までにICE(内燃機関車)の中心地への乗り入れ禁止を発表しています。さらにオックスフォードでは今年2020年12月から、中心地の6つのストリートをゼロ・エミッション・ゾーン(ZEZ)に指定してICEの乗り入れ禁止にすることを発表しています。

フランス

フランスEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月5.6%2.3%7.9%(2.6%)13,317168,569
3月8.8%2.9%11.7%7,31862,547
4月5.9%1.9%7.8%1,64621,102
5月3.2%4.3%7.5%7,17695,706

5月期のフランス自動車市場は昨年比50%のダウンでしたが、5月11日にディーラーが再開したのもあって4月の89%減に比べると大きく回復しました。その中でもEV+PHEVシェアは7.5%で、昨年同月比の3倍となりました。

フランスでは6月から自家用車向けの新しい補助金制度をスタートさせ、車両価格45,000ユーロまでのBEVにはこれまでより1,000ユーロアップの7,000ユーロを、車両価格50,000ユーロ且つWLTP航続距離が50km以上のPHEVには据え置きの2,000ユーロの補助が出ます。さらに古いタイプの排出ガスが多いICEを下取りに出せば5,000ユーロがプラスされます。これらの補助金により、6月以降は電気自動車の売り上げが伸びると見られます。

フランスでは2040年までにICEの新車販売禁止を目指しており、パリはそれに先駆けて2030年までに禁止する方針です。

ドイツ

ドイツEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月3.4%3.5%6.9%(2.5%)16,508239,246
3月4.8%4.4%9.2%19,145208,097
4月3.8%4.7%8.5%10,253120,623
5月3.3%4.0%7.3%12,333167,544

ヨーロッパ最大の自動車市場を持つドイツでは、5月期の売り上げは昨年比50%減で、4月の61%減から緩やかに回復しています。ただBEV+PHEV市場は順調で、昨年比56%増、特にPHEVは107%増でした。

フランスが新しいEV補助金制度を発表したのに続き、ドイツも手厚い政策を発表しました。車両価格40,000ユーロ以下のBEV、PHEV、FCVの購入者(自治体を含む)は、今までの倍の6,000ユーロの補助金を受けることができ、この40,000ユーロ以下という制限はフォルクスワーゲン社のID.3、ID.4の販売に追い風になるでしょう。また2025年までとされていた免税も、2030年までに延ばされています。

ドイツでは2030年までにICE新車の販売禁止を目指しています。

スウェーデン

スウェーデンEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月6.1%18.2%24.3%(11.8%)5,43522,366
3月10.9%16.3%27.2%7,79428,654
4月5.7%16.9%22.6%4,27018,893
5月5.1%15.2%20.4%3,42316,759

スウェーデンのBEV+PHEVシェアは5月も20%を越え、昨年同月比でほぼ倍となりました。自動車全体の売り上げは昨年比50%減となっています。スウェーデンでは相変わらずBEVよりもPHEVの方が人気で、プラグインハイブリッド車売り上げのトップ5はボルボS/V60 PHEV、キア・ニロ・PHEV、VW・パサートGTE、ボルボXC60 PHEV、キア・オプティマPHEVという顔ぶれになっています。

公的自動車連盟のBIL Swedenは、2020年の自動車売り上げ台数が27万台になると予想しています(2019年は35万6,000台)。EVシェアはこのうち25%以上をキープすると見られています。

ノルウェー

ノルウェーEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月49.7%18.4%68.1%(53%)7,05510,359
3月55.9%19.3%75.2%9,35012,433
4月49.7%19.9%69.6%5,1687,425
5月43.1%22.6%65.6%5,2497,998

ノルウェーの5月期BEV+PHEVシェアは66%で昨年同月の47%より大幅に増加しています。自動車市場全体の売り上げは昨年比39%減でした。プラグインよりもBEVの方が人気で、その比率は大体2:1になっており、BEVセールスのトップ5はVW・e-ゴルフ、アウディ・e-トロン、ヒュンダイ・コナEV、日産リーフ、スコーダ・オクタヴィアとなっています。

ノルウェーにおけるEV市場の増加は劇的で、2013年から2018年の間に10%から50%まで延ばしています。市場サイズ自体は小さいのですがEVの占める割合が非常に高いため、各企業がEV戦略を考える際この国は無視できない存在になっています。2020年のEV販売台数は9万~10万台になると予測されています。

オランダ

オランダEVPHEVEV+PHEV(昨年同月の値)EV+PHEV販売実数自動車販売台数
2月9.5%2.5%12%(8.2%)3,68530,708
3月9.0%3.0%12.0%5,10242,516
4月10.0%4.0%14.0%2,13915,278
5月9.3%4.5%13.8%2,02314,661

5月のオランダ自動車市場は昨年比53%減と大きく落ち込み、プラグイン市場もそれに引き摺られて28%減となりました。ただその減少幅が全体に比べて小さかったため、BEV+PHEVのシェアは14%を堅持しています。

オランダでも新しい補助金制度が導入され、EVの新車を購入・リースする人には4,000ユーロ、中古EVの購入でも2,000ドルの補助が出ます。この制度は2025年までつづ空れる予定です。

オランダでも2030年までにICEの新車販売が禁止されますが、アムステルダムでは今年から2005年以前に作られたディーゼル車の市内への通行禁止が始まり、2030年までにPHEVを含むすべての非ゼロ・エミッション車両が市内に入れなくなります。

終わりに

今年度からゼロ・エミッション車両のみ通行可能な都市が出てくるなど、ヨーロッパは確実に脱ICEの方向で進んでいます。国産の自動車が大半を占める日本では中々多くの種類の電気自動車を見る機会がないかもしれませんが、オランダのパートで触れたように、ヨーロッパでは確実に日本以外の自動車メーカーがEV部門でしのぎを削っています。これから日本市場も変わっていくのか注目です。

【参照メディア】
『EV Sales』
『CleanTechnica』
『INSIDE EVs』
※記事中のデータは、さまざまなメディアの最新情報を参照しながら編集部が独自に作成したものです。必ずしも公的な統計データを出典としたものかどうかの確認などは行っていないことをご承知おきください。

過去の国別シェア一覧(アーカイブ)

2020年2月の国別シェア一覧

国名EVPHEVEV+PHEV [()内は2019年2月の値]EV+PHEV販売実数
自動車販売台数
イギリス3.2%2.5%5.7% (2.6%)4,566
79,594
フランス5.6%2.3%7.9% (2.6%)13,317
168,569
ドイツ3.4%3.5%6.9% (2.5%)16,508
239,246
スウェーデン6.1%18.2%24.3% (11.8%)5,435
22,366
ノルウェー49.7%18.4%68.1% (53%)7,055
10,359
オランダ9.5%2.5%12% (8.2%)3,685
30,708

(文/杉田 明子)


7 thoughts on “ヨーロッパで電気自動車の売上とシェアが拡大中【最新情報/2020年5月期】”

  1. なるほど西欧のEV化には都市部のエンジン車出入禁止が絡んでますね。
    それ以上に北欧の意識の高さには驚かされますが!!…考えてみれば氷河が溶け出し海面上昇で影響を喰らいやすい地域だから環境変化を嫌っているのも判りますよ。
    日本も北欧並みに大気汚染などの影響はあるはずですよ。それにつけても春の病をを花粉のせいにしている政府や医者のリテラシーの低さよ!!(爆)
    もっと国民各々がリテラシー(自ら情報収集して分析し各人ナリの回答を出す)能力を上げないと日本は衰退まっしぐらですよ!?…30年前に聞いた前世紀末の悪魔的音楽でも散々触れられていた内容であり我輩はその歌詞に秘められた内容を今も覚えてますが、警告という意味では筋が通ってますよ。

    …もう日本の政府やマスコミの発言は信用できなくなりました。まだ海外メディアや研究機関のほうが信用できるじゃないですか!?

    1. 北欧の電気自動車率が高いのは、電源構成の影響が大きいと思いますよ。
      https://sustainablejapan.jp/2020/04/03/world-electricity-production/14138
      水力発電や原子力発電が主流で電気が安く、二酸化炭素を排出していないからと思われます。
      また、各家庭にオイルパンを温める装置が普及しており、自宅充電に抵抗が無いのも聞いたことがあります。
      意識が高い低いというのでは無く、電気自動車を買った方がメリット大にならないと、日本での普及には時間が掛かると思います。

    2. メーオさんへ
      日本の火力の多さは電気屋的に重々承知です。ただし再生可能エネルギー、特に太陽光発電が多い日本の配電線はソーラー日射量の変化に対応しづらくそれに対応するには蓄電池の接続が不可欠と電力会社経験者は語ってます。
      そう考えると太陽光発電所への蓄電池設置は必須のはずですが消防の容量制限規定でまかり通らず、当面V2Hと電気自動車をセットで蓄電池代わりにするしかないようです…自身消防設備士でもあり判りますが。

      そういえばインドやブータンも電気自動車が多くなるとか…ブータンの水力発電能力がインドへ電気を輸出できるほど大きいからだそうです。インドなんかコロナ禍で車の走行が減り大気が綺麗になったと実感しており電動化が加速するんじゃないですか!?たぶん日本のスズキが影響受けそうです。
      当の日本は…コロナ禍で原油安に動いたので当面電動化は難しいかもしれませんが、それでも化学物質過敏に悩む方には排気ガス問題が軽減された恩恵はあるはずですよ!?

  2. 春の病気?

    花粉症ですね!
    まあ、国内に車の大メーカーが存在しますから。
    不都合な事を報道出来ない(泣)

    大メーカですから、つまり大スポンサーでお金を貰ってますから。
    大気汚染が、花粉症の原因と報道出来ない(汗)

    花粉症?杉の花粉?太古の昔から存在するのに。何故に、今更に問題になる!?

    杉の花粉を害毒に変える公害・大気汚染が存在する!(怒)

  3. 各国のEV:PHEV比率をみるとPHEVの時代はやってこないように見受けられますね。スウェーデンだけPHEVの比率がEVよりも大幅に高いのはなぜでしょうか?

  4. 海面上昇といえば太平洋の小島諸国ですね。
    これらは先進国では無いので意識がながされてしまっていますが、
    コロナ対策が必要なこの時期に本来無料配布できるはずのレジ袋から金を取る政策を先延ばししようとしない政府の対応に怒りを覚えます。
    本来なら離島ほどEVに適した環境はありません。防水対策もしっかりとされています。むしろ浮くようにすれば尚ヨシですね。
    環境大臣はこのところ批判の矢面に立たされていますから
    この際地球温暖化防止と同時に空気がきれいになる対策として電動化をぶち上げたら?
    と思います。
    トラックなどでやっと水素のメドもついてきたようだし、国策としてぶち上げてもらいたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です