11月の東京でEVイベント3連発/同乗試乗で「EVシフト」への関心拡大を実感

2024年の秋は電気自動車関連のイベントがめじろ押しでした。日本で発売されているEVの車種が増え、社会の関心が高まっているということでしょう。3週続けてイベントをお手伝い&同乗試乗インストラクターを務めた筆者が、中の人としての思いをつづります。

11月の東京でEVイベント3連発/同乗試乗で「EVシフト」への関心拡大を実感

六本木ヒルズにEV&PHEVを展示

最初は11月9日〜10日で開催された「EV&SDGsフェア2024 in 六本木ヒルズアリーナ」です。EV&SDGsフェア実行委員会(株式会社モーターマガジン社・株式会社新創社内)が主催するイベントで、今年で2年目です。モーターマガジン社はそれ以前にもEV系のイベントを開催していて、筆者も何度もお手伝いをしました。場所が六本木ヒルズということもあり、家族連れはもちろん外国人旅行客の方も多く訪れていました。
※冒頭写真は六本木のイベントでの試乗の様子。

展示のメイン会場は六本木ヒルズのアリーナと呼ばれる広場。ライトアップの始まったけやき坂からもアリーナが見えることもあり、集客力はバツグンでした。この会場にはアウディ、ヒョンデ、マツダ(PHEVのみ)、ミニ、三菱(PHEV含む)、日産、トヨタ(PHEV含む)の14車種を展示。

「EV&SDGsフェア2024 in 六本木ヒルズアリーナ」は在京のFM局であるJ-WAVEが後援、DJブースを作って情報発信を実施しました。モーターマガジン社の千葉知充室長、藤田巧巳MC、ノイハウス萌菜ナビゲーターらが担当。DJブースではゲストを招いたトークセッションを実施、展示されたEVの解説や各社のEVやSDGsへの取り組みを紹介しました。さらにDJ TARO氏によるミュージックパフォーマンスやアンケートに答えることで可能なガラポン抽選会なども行われました。

「EV&SDGsフェア2024 in 六本木ヒルズアリーナ」の試乗体験は来場者が自ら運転するタイプのものです。試乗車として用意されたのは、アウディ Q8スポーツバックe-トロン、ヒョンデ アイオニック5、ヒョンデ アイオニック5N、マツダ CX-80 PHEV、トヨタ bZ4Xの5車種で、bZ4X以外の車種は自動車ジャーナリストが同乗、bZ4Xはトヨタ自動車の社員が同乗して車両解説をしました。コースは六本木ヒルズをスタートし青山一丁目近くを通り、乃木坂経由でヒルズに戻るというものです。

筆者の担当はマツダCX-80 PHEVでした。試乗体験した方の中には昨年も参加された方や、某自動車メーカーの開発者の方などもいて、こちらの解説を聞いていただけることはもちろんですが、体験者の方からも貴重な意見をうかがえました。

東京駅ではJAIAのEVイベント

翌週、11月15日〜16日は東京駅丸の内口を中心に日本自動車輸入組合(JAIA)が主催した「JAIAカーボンニュートラル促進イベント in 東京」が行われました。

このイベントは15日と16日で若干プログラムが異なっていました。15日は東京駅から皇居に向かうメインストリートの行幸通りに、大注目のメルセデス・ベンツGクラスの4モーターEVであるメルセデス・ベンツG580 with EQ Technologyや新世代ワーゲンバスとして発売が待たれるフォルクスワーゲンID. Buzz、ジャガーとポルシェのフォーミュラEマシン、ポルシェの東京マラソン先導車仕様なども展示されたほか、バッテリーリサイクル企業やJAFの路上救援などのブース展示がありました。行幸通りの展示は15日だけで終わってしまい、せっかくの土曜日に展示環境のいい会場でのイベントが行われなかったのはちょっと残念でした。

また15日には明治安田ホールにて「EV市場の現状・課題と今後の動向」、「充電インフラの環境整備」、「クルマ・社会・パートナーシップ大賞と地方連携」、「自動車整備人材の課題と取組」をテーマとしたトークセッションも行われました。このトークセッションは現在ユーチューブで限定公開(トークセッションは14分ごろからスタートします)されています。

15日・16日と共通して展示が行われたのは丸の内エリアの丸ビル屋外スペース、KITTEテラス、東京ビルTOKIAガレリアでこちらにもJAIA加盟社のEV(2輪車を含む)が展示されたほか、急速充電機関連やリサイクル関連などの展示も行われました。

16日にはジャーナリストが運転する最新EVへの同乗試乗が行われました。試乗車として用意されたのはメルセデスベンツG580 with EQ Technology、メルセデスベンツEQA、BMW iX1、BMW i4、BMW iX3、BMW iX M60、ヒョンデIONIQ 5、ヒョンデKONA N Line、レンジローバーPHEVです。筆者が担当したのはメルセデス・ベンツG580、BMW i4、レンジローバーPHEVでした。コースは東京駅前の丸ビル地下駐車場を出て、皇居を一周するという比較的長い距離でした。

先日の六本木ヒルズでの試乗会は来場客に実際にハンドルを握ってもらう試乗でしたが、こちらは同乗ということで気軽に試乗者が集まる雰囲気でした。六本木ヒルズのイベントに比べると若干年齢層が高めという印象でした。ジャーナリストが運転しているということで、本人が感じている印象というよりも、筆者が乗ってどう感じるか? などを質問されることが多くありました。

日本EVフェスティバルは30周年!

さて、最後に紹介するのは日本EVクラブが主催した「日本EVフェスティバル」です。ハイブリッド車のプリウスすら登場していない時代からコンバートEVを手作りするなどEVの普及活動を含めて、さまざまな提案や提言してきたのが日本EVクラブです。筆者はクラブ員ではありませんが、ずいぶん前から日本EVクラブの各種イベントのお手伝いをしてきました。

日本EVフェスティバルは今年で30周年を迎えました。以前は筑波サーキットに手作りした改造EVが集結して耐久レースなどを行っていましたが、市販EVモデルの増加を受けて、現在は東京で開催する都市型フェスティバルになっています。日本で、いや世界でも指折りの早い時期から開催が続いている本格的なEVイベントです。

筑波サーキットで行われた「コンバートEV 1時間ディスタンスチャレンジ」(2018年)。

最新の市販EVやPHEV、充電サービスなどが出展する「EV関連展示」や「最新EV&PHEV試乗会」のほか、クラブ員が手作りしたEVレーシングカートや改造EV、オリジナルの電動モビリティなどを展示する「EV技術発表展示」がユニークなところ。「私たちはEVをこう考える」をテーマとしたEVシンポジウムも実施されました。

ここでは私がお手伝いした「最新EV&PHEV試乗会」についてご報告します。「最新EV&PHEV試乗会」は来場客自身がハンドルを握り運転するタイプの試乗会で、用意されたEV&PHEVは日産サクラ、日産アリア B9、BYDドルフィン、BYDアット3、BYDシール、フォルクスワーゲンID.4プロ、ホンダN-VAN e:、三菱アウトランダーPHEV、ミニ・クーパーSE、ミニ・カントリーマンSEオール4の10台です。なかでも三菱アウトランダーPHEVはマイナーチェンジ直後で、参加ジャーナリストの人たちも「まだ公道で運転したことがない」と興味津々。一般の参加者にとっては貴重な試乗機会となりました。

このうち筆者はミニ・カントリーマンSEオール4を午前中、午後はホンダN-VAN e:とBYDシールを担当しました。六本木ヒルズや東京駅前丸ビルのイベントは通りすがりの方がふらりとやってくることもありましたが、日本EVフェスティバルは東京臨海地区にある東京国際交流館で、近くには日本科学未来館などがあるもののあまり人出の多い場所ではなく、日本EVフェスティバルを目的として来場している方がほとんど。そのためEVに対する知識も豊富で、現在EVに乗っているという方も多く見受けられました。午前の部と午後の部の最終枠では、目の前にある日本科学未来館など近くの充電施設を利用しての急速充電体験のプログラムが用意されていました。

急速充電の体験も!

六本木、東京駅、東京国際交流館とそれぞれ異なった場所で、異なるパターンの試乗会を3周連続でお手伝いしましたが、いずれもEVに興味がある方が集まるだけに、EV全般に対して肯定的な意見が多かった印象です。そもそも、こうしたEV試乗会は数年前には日本EVクラブが主催する日本EVフェスティバルや白馬でのジャパンEVラリーくらいしか実施されていませんでした。2020年以降くらいでしょうか。11月に限らず、全国各地でさまざまなEVイベントや試乗会が開催されるようになったのは、日本でもEVへの関心が拡大していることを示していると感じます。

ディーラー試乗などでは特定のブランドしか試乗できませんが、イベントではいろんなブランドの最新モデル(状況次第では複数台!)に試乗できます。まだEVに乗ったことがないという方は、機会を作ってこうした試乗会に参加してみるのがオススメです。

取材・文/諸星 陽一

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					諸星 陽一

諸星 陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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