GMが7億5000万ドルを投資して4万基を超えるEV用普通充電器を設置するプログラムを発表

2021年10月26日、ゼネラルモーターズは、北米に最大4万基の電気自動車用AC充電器を設置する計画を発表しました。このプログラムは2022年から7億5000万ドルを投資して開始され、GMの「Ultium Charge 360」エコシステムによって充電インフラを拡大します。

GMが7億5000万ドルを投資して4万基を超えるEV用AC充電器を設置するプログラムを発表

北米に4万基を超える高出力AC充電器を設置予定

ゼネラルモーターズ(GM)は、充電サービスの行き届いていない地域のEV充電の利便性を高めるため、ディーラーなどと協力して、職場、集合住宅、スポーツ施設や娯楽施設、大学などの主要な場所に交流電源で10kW以上の出力を持った充電ステーションを、GMが充電器を提供して配備していくプログラムを発表しました。投資額は7億5000万ドル(約854億円)。新たに設置される充電ステーションは、GMのEVを購入した人だけでなく、すべてのEVユーザーが利用できます。

10kW以上のAC200Vの高出力普通充電器を設置

今回GMが発表した充電設備「アルティウム充電器(Ultium Chargers)」は、10kW以上の出力となるAC充電器です。

●11.5kW/48Aのスマート充電器
●11.5kW/48Aのプレミアムスマート充電器
●19.2kW/80Aのプレミアムスマート充電器

ユーザーは、GMが用意するモバイルアプリを介して、認証や課金をはじめ、充電スケジュールの設定や充電器のステータスの表示などの機能を活用できます。なお、最初のアルティウム充電器は2022年初めに設置される予定です。

GMは過去にアルティウムバッテリーを発表した際に、10kW以上のAC充電出力に対応した設計をしていると明らかにしています。高出力充電に対応した車載充電器と高出力のAC充電インフラによって、自社EVの普及を着々と進めていく計画であることが伺えます。

高出力のAC充電器で日常生活の充電ネットワークを広げる

EVの充電には、目的地に向かう途中で充電する直流(DC)急速充電器を使う「経路充電」だけでなく、日常生活のシーンや宿泊先などの「目的地充電」や自宅に設置する「基礎充電」などの交流(AC)による普通充電があります。

今回の発表は、電源設備の初期コストを抑えて設置できる交流(AC)による充電器を増やす計画のようです。GMの発表によると、ディーラーとの充電プログラムの一環として、まずは各EVディーラーにAC200Vの充電ステーションを提供。また、GMとディーラーは、地域コミュニティのパートナーなどとともに、地域で人気の目的地や職場に最大4万基のAC200V充電器の設置を支援して、多くの都市部や農村部の充電インフラ不足を対処するとしています。

自宅に充電設備を設置できないオーナーにも対応

GMは、EVユーザーが充電ネットワーク、GM車両モバイルアプリ、およびその他の製品とサービスを統合して、GM電気自動車ユーザーの全体的なEV生活をより便利にするサービスである「Ultium Charge 360」を通じて、コミュニティリーダーや業界のグループなどと協力し充電ステーションやインフラをより迅速に展開して、アパートの住人など自宅に充電機器を設置できない人々の充電課題を改善しようとしています。

GMが提供する「Ultium Charge 360」では、電力会社や政府機関などと協力して家庭・職場・公共およびフリートの充電充電スポットへのアクセスやモバイルアプリによる認証や充電料金の支払いなどができます。

またGMは、3つのAC200V高出力普通充電器をディーラーやオンラインを通じてユーザーに提供。多くの充電設備をEVユーザーに提供することで、家庭用や商業用の充電設備を広く普及させるとのことです。

GMのマークロイス社長は、「この計画は、すべてのEVユーザーの充電をさらにシームレスにするという私たちのプランの一部です。私たちは、アメリカとカナダ全体でサービスの行き届いていない都市部や地方の充電設備の拡大を加速するために、ディーラーネットワークと協力しながら、ユーザーに適切なツールと必要なときに必要な場所で充電できる場を提供したいと考えています。」と述べました。

GMは、アルティウムバッテリーを搭載したプラットフォームのEVと今回発表した充電器の普及によってGM製EVのシェア拡大を狙っているといえるでしょう。EVの課題とされる充電インフラの問題が、GMの「Ultium Charge 360」で解決へと近づけるのか。今後の展開に注目です。

(文/齋藤 優太)

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 例えば、会社の従業員用駐車場では、AC充電器をもっと増やして欲しいと感じています。
    出社してから昼休みまで充電するとか、昼休みから帰宅時まで充電するとか、簡単には自席を離れられない場合が多いですので、手軽に使えるAC充電器があると助かります。

    もし急速充電器を増やされても、仕事の途中に自席から離れられずに、ずっと課金されてしまうというのも嫌ですので。

    ですので従業員用駐車場では、”スピード”より”数”が大事のように思います。

  2. 日本では6Kwの普通充電器もまだまだなのに、羨ましい限り。

    そこら中に普通充電器が設置されたら継ぎ足しで走れるからバッテリーも小さめで良くなるし(人間は休憩や食事が必要だから、食後の昼寝もしたらそこそこ充電出来る?)、後は走行充電出来る仕組みが高速道路に設置出来たらね。

    東芝製SC-IBの出番が来る?!

  3.  各国で夢のような充電環境整備の記事が続きます。本日夕方、都内某高速道路PA内急速充電器を利用したところ、5分ほどでアウトランダーが隣のEVスペースに駐車し、20分で取り止めようと車外に出たところ、スペース外にLEAFがハザードをつけて待機していました。
     そろそろ限界ですね。どう考えても。

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この記事の著者


					齊藤 優太

齊藤 優太

静岡県静岡市出身。大学卒業後、国産ディーラー営業、教習指導員、中古車買取を経て、フリーランスへ。現在は、自動車ライター、ドライビングインストラクターとして活動をしている。保有資格は、教習指導員(普通自動車一種・普通自動二輪)、応急救護指導員、運転適性検査指導員。

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