「手が届きやすい価格のEV」がトップ3を独占
日本国内で発売された電気自動車の中から、「社会が求める魅力的な電気自動車」を選出する第2回「Japan EV of the year 2023」。今回は日本国内で2022年10月から2023年10月に発売(受注開始)された電気自動車、18車種が選考対象となりました。
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Japan EV of the year 2023
2023年12月4日〜2024年1月31日まで、読者のみなさんからの一般投票を募集。また、EVsmartブログ執筆陣やEV関連企業の方々、編集部からお声がけしたEVオーナーのキーパーソンなどによるエバンジェリスト投票を実施して、第1位は241ポイントを獲得したBYD『DOLPHIN(ドルフィン)』、第2位が151ポイントのヒョンデ『KONA(コナ)』、第3位は僅差の145ポイントでBYD『ATTO3』という結果となりました。
第1位のDOLPHINをグランプリ、第2位のKONAと第3位のATTO3を優秀賞として、後日、記念トロフィーを進呈する「お祝いインタビュー」を行い、記事として紹介する予定です。
今年のキャッチフレーズは「2023年、EVが主役になってきた」というもので、車種や価格の幅が広がり、各メーカーのフラッグシップにもEVが増えてきたことを意図した言葉でした。投票の結果を見ると、上位の3車種がともに比較的手が届きやすい価格帯で、必要十分なEV性能や先進運転支援機能、快適な装備を備えた車種となったのは、多くの方が自らの選択肢としてEVを検討できる時代になってきたことを示しています。
EV普及が本格化するためには「手の届きやすい価格のEV」が不可欠であることを示す結果とも言えるでしょう。
BYDは、日本市場に投入したDOLPHINとATTO3がダブル受賞。ヒョンデのKONAは、昨年IONIQ 5が優秀賞に輝いたのに続きメーカーとして2年連続の優秀賞獲得となりました。
グランプリ&優秀賞3車の受賞理由
ジャパンEVオブザイヤーの投票時には、一般投票、エバンジェリスト投票ともに推薦コメントを必須としています。投票いただいたみなさんのコメント内容などをまとめた各車の「受賞理由」は以下の通りです。
【グランプリ】
BYD DOLPHIN/241ポイント
BYDによる第2弾の電気自動車として2023年9月に日本発売。バッテリー容量44.9kWhのスタンダードモデルが363万円。バッテリーが58.56kWhと大容量で出力やトルクも高めたロングレンジモデルでも407万円で、先進運転支援機能などの装備が充実しているコストパフォーマンスの高さが多くの方に評価されました。
グローバルモデルの車高は1570mmだったのを、立体駐車場に入れやすい1550mmに下げるなど、日本の市場に合わせた丁寧なローカライズを施している点も好評でした。
【優秀賞】
ヒョンデ KONA/151ポイント
ヒョンデが日本市場に送り出す第2弾の電気自動車。しっかりと室内空間を確保した使い勝手のいいコンパクトSUVで、バッテリー容量48.6kWhのエントリーグレードである「Casual」では399万3000円と400万円以下を実現。バッテリー容量64.8kWhで充実装備の上級グレード「Lounge」でも489万5000円と、日本の一般ユーザーにも手の届きやすい価格帯で発売されたことが高く評価されました。
KONAのEVは2代目のモデルとなり、自動車として、またEVとして進化を遂げた走りや快適さの性能が、とくにジャーナリストなどからの高評価に繋がりました。
【優秀賞】
BYD ATTO3/145ポイント
BYDの日本進出第1弾で投入されたコンパクトSUVタイプの電気自動車です。バッテリー容量58.56kWh、先進運転支援機能や電動パワーシートなどの快適装備がほぼフル装備の1グレードで、価格は440万円。国のCEV補助金が発売当初は65万円だったのを、型式認定を取得して85万円に増額されるなど、BYDが日本市場に賭ける「本気」を示す1台で、充実装備とコストパフォーマンスのインパクトが多くの支持を集めました。
上位3車種で過半数のポイントを獲得
今回の一般投票では、投票者1名につき3車種まで選択可能。投票した車種に各1ポイントを加算する方法で行いました。投票には推薦コメントが必須として、コメントがなかったり意味をなさないなど不適切な場合は無効としています。
一般の投票者総数は263名で、EVやPHEVを所有している方が132名(約50%)、購入を検討している方が54名(約21%)、いずれにも当てはまらない方が77名(約29%)という割合でした。
EVやPHEVのオーナーではなく購入の検討もしていないという方の割合は、昨年の12.5%から29%に増えたのは、社会的にEVへの関心が高まっていることを示しているといえそうです。
●車種別獲得ポイント最終結果(全体)
車名 | 一般投票 | エバンジェリスト投票 | 合計ポイント |
---|---|---|---|
DOLPHIN | 97 | 144 | 241 |
KONA | 62 | 89 | 151 |
ATTO 3 | 96 | 49 | 145 |
Model 3 | 50 | 61 | 111 |
ミニキャブ・ミーブ | 53 | 16 | 69 |
Abarth 500e | 31 | 38 | 69 |
RZ450e | 17 | 21 | 38 |
ID.4 | 13 | 21 | 34 |
Model S | 11 | 18 | 29 |
EQS SUV | 6 | 22 | 28 |
ASF2.0 | 15 | 11 | 26 |
Model X | 20 | 5 | 25 |
Q4 e-tron | 11 | 10 | 21 |
EQE SUV | 6 | 15 | 21 |
ELEMO-L | 3 | 16 | 19 |
iX1 | 10 | 4 | 14 |
i5 | 8 | 0 | 8 |
Q8 e-tron | 3 | 0 | 3 |
グランプリと優秀賞を獲得した3車は、ともに日本のチャデモ規格の特長である「V2L」や「V2H」といった外部給電にも対応している点を評価するコメントも多く寄せられました。また、先進運転支援機能など充実の装備をコストパフォーマンス高く実現している点も、3車種に共通した特長です。
結果の中で、三菱ミニキャブ・ミーブが一般投票で53ポイントを獲得し合計でも69ポイントで5位となっているのが目を引きます。今回のノミネートは2022年11月に販売が再開された従来モデルだったのですが、2023年11月に発表された『ミニキャブEV』と勘違いした投票もあったのではないかと推察しています。とはいえ、推薦コメントには小型で手ごろで実用的な軽規格の商用EVとしての価値を評価する言葉がたくさん寄せられました。2024年以降、さまざまな小型EVの登場に期待したいところです。
ジャパンEVオブザイヤーは「広く多くのユーザーが求める1台を選んで讃えたい」という主旨で展開しているプロジェクトです。EV普及は脱炭素社会実現のためのひとつの策ではありますが、そのためにはEVが広く社会に普及することが不可欠。化石燃料を燃やすエンジン自動車によって高まった移動の自由を、EVでどのように守っていくかということは重要な課題です。今回受賞した3車種は、現時点で求めうる模範回答の例を示してくれているようにも感じます。
多くの人が求める「いいEV」とは何なのか。EVsmartブログではこれからも、ユーザー目線を大切にしながらさまざまな記事をお届けしていきます。
たくさんの投票をいただき、ありがとうございました。
文/寄本 好則(EVsmartブログ編集長)
ミニキャブMiEVは 車中泊もできる中古価格が安いBEVという立場だったり、郵政で使われていたりと「お、こんなところに軽バンEV」とファンが多い印象です
加速が早く、エンジン軽バンの難点である運転席が熱くなることや振動も無い、航続距離さえ目をつむれば日常用途にはとても重宝する、家電のような存在であることも得票の伸びにつながったのだと思います。
チャイナEVオブザイヤーに改名した方がいいのではw
最近見かける頻度が一番高い日産サクラが入ってないのが意外でした。