激戦のトップ争いを制したのはBYD『SEAL』
日本国内で発売された電気自動車の中から「社会が求める魅力的な電気自動車」を選出する第3回「Japan EV of the year 2024(ジャパンEVオブザイヤー)」。今回は、2023年11月~2024年10月の期間中に日本国内で発売された電気自動車のうち15車種が選考対象となりました。
【特設サイト】
Japan EV of the year 2024
2024年12月9日~ 2025年1月31日まで、読者のみなさんからの一般投票を募集。また、EVsmartブログ執筆陣やEV関連企業の方々、EVオーナーのキーパーソンなどによるエバンジェリスト投票を実施した結果、第1位は195ポイントを獲得したBYD『SEAL』、第2位は182ポイントでホンダ『N-VAN e:』、第3位が176ポイントのヒョンデ『IONIQ 5 N』に決定しました。
BYDは前回『DOLPHIN』がグランプリ、『ATTO 3』が優秀賞のダブル受賞だったのに続き2年連続のグランプリ獲得となりました。ヒョンデは第1回の『IONIQ 5』、前回の『KONA』に続いて3年連続の優秀賞です。ホンダはジャパンEVオブザイヤー初受賞。商用車が受賞するのも初めての快挙です。
記事末で獲得ポイントの表を紹介しますが、今年のグランプリ争いは大激戦でした。157ポイントで4位になったテスラ『モデル3パフォーマンス』とグランプリの『SEAL』でも、その差はわずか38ポイントしかありませんでした。エバンジェリストの「10点」が1人か2人違っていたら、順位は入れ替わっていたかもしれません。
今年の候補車種全体の印象でもありますが、日本市場にも多様な個性と魅力をもったEV車種のバリエーションが増えてきたことを改めて実感します。
グランプリ&優秀賞の受賞理由
ジャパンEVオブザイヤーの投票時には、一般投票、エバンジェリスト投票ともに推薦コメントを必須としています。投票いただいたみなさんのコメント内容などをまとめた各車の「受賞理由」は以下の通りです。
【グランプリ】
BYD SEAL(BYD)/195ポイント
読者、エバンジェリストともに、多くの方が洗練されて個性的なデザインを魅力に挙げました。82.56kWhという大容量バッテリーを搭載し、AWDモデルでは0-100km/h加速3.8秒(RWDモデルは5.9秒)という卓越した動力性能を実現しながら、先進運転支援機能などがフル装備で528万円(税込)〜というコストパフォーマンスの良さが高く評価されました。EV性能はもちろん、クルマとしての質の高い走りを楽しめる優れた電気自動車です。
【優秀賞】
N-VAN e:(Honda)/182ポイント
商用バンの軽自動車でありながら、実用的にして上質なインテリアで個人のマイカーとしても魅力的な点。また、29.6kWhのバッテリーを搭載し、急速充電は50kW、普通充電は6kWの最大出力に対応するなど、EVとして使い勝手のいい性能を備えた点が高く評価されました。「ラストワンマイルの軽バンこそEVにすべき」、「EVに合っている」といった社会課題解決ツールとしてのポテンシャルを評価するコメントも多かった印象です。
【優秀賞】
IONIQ 5 N(ヒョンデ)/176ポイント
ハイレベルなサーキット走行が可能な性能を実現しながら、日常のマイカーとしても十二分な実用性を備えたパッケージングが高く評価されました。今後設置が進むであろう350kW級のチャデモ急速充電器にもいち早く対応。858万円(税込)という車両価格にさえ「1000万円超えでもおかしくない」「高性能とコストパフォーマンスを兼ね備えたスポーツEV」「価格設定が魅力」などと評価するコメントが多く寄せられました。
読者のみなさまからの一般投票に感謝します
一般投票では、投票者1名につき3車種まで選択可能。投票した車種に各1ポイントを加算する方法で行いました。投票には推薦コメントが必須で、コメントがなかったり意味をなさないなど不適切な場合、また、同一車種への重複投票は無効としています。
有効投票者総数は348名で、EVやPHEVを所有している方が187名(約54%)、購入を検討している方が71名(約20%)、いずれにも当てはまらない方が90名(約26%)という割合でした。
●車種別獲得ポイント最終結果
車名 | 一般投票 | エバンジェリスト投票 | 合計ポイント |
---|---|---|---|
SEAL | 117 | 78 | 195 |
N-VAN e: | 83 | 99 | 182 |
IONIQ 5 N | 85 | 91 | 176 |
モデル3パフォーマンス | 50 | 107 | 157 |
ミニキャブEV | 104 | 12 | 116 |
EX30 | 52 | 46 | 98 |
G 580 with EQ Technology | 20 | 38 | 58 |
COOPER E/SE | 41 | 15 | 56 |
日産アリア NISMO | 34 | 16 | 50 |
600e | 7 | 10 | 17 |
Avenger | 9 | 8 | 17 |
RZ300e | 7 | 0 | 7 |
iX1 eDrive20 M Sport | 6 | 0 | 6 |
SQ8 Sportback e-tron | 6 | 0 | 6 |
エメヤ | 1 | 0 | 1 |
ジャパンEVオブザイヤーは「広く多くのユーザーが求める1台を選んで讃えたい」という主旨で実施しているプロジェクトです。EVが脱炭素社会実現に貢献するには広く社会に普及しなければなりません。化石燃料を燃やすエンジン自動車によって高まった移動の自由を、EVでどのように守っていくかということは重要な課題です。今回受賞した3車種はそれぞれに、魅力的なEVの「カタチ」を指し示していると言えそうです。
多くの人が求める「いいEV」とは何なのか。EVsmartブログではこれからも、ユーザー目線を大切にしながらさまざまな記事をお届けしていきます。
たくさんの投票をいただき、ありがとうございました。
文/寄本 好則(EVsmartブログ編集長)