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韓国の自動車文化も「第二形態」へ進化中?「ソウルモビリティショー2025」レポート

韓国の自動車文化も「第二形態」へ進化中?「ソウルモビリティショー2025」レポート

韓国のソウルで開催中の「ソウルモビリティショー2025」。現地取材を行ったカーライフエッセイストの吉田由美さんから「韓国の自動車文化が、多様なモビリティテクノロジーやカルチャーを包括した『第二形態』へ進化中であることを感じた」とするレポートが届きました。日本でも韓国でも、自動車は変革の時代を迎えています。

目次

韓流ブームの日本でも自動車は別?

音楽、ドラマ、食事、コスメなどなど、多くの日本人が大好きな韓国。しかし、なぜかこと自動車関連になると急に雲行きが変わります。

ソウルの人気スポット梨泰院(イテウォン)の街並み。

しかし、自動車のデザインにおいてはかなりのデザイン力が発揮されていて、先入観抜きに見られれば日本でももっと受け入れられるはず。近年、日本車メーカーをはじめ、欧州メーカーなどにも若い韓国人のデザイナーが多く、元日産のデザインのトップだった中村史郎氏も数年前に、「韓国の方のセンスに嫉妬する」と語っていたほど。たしかに自動車に限らず、韓国のデザインはかなりのハイセンス。とはいえ、韓国車だからといって韓国の方がデザインしているとは限らず、欧州や日本メーカーの有能なデザイナーが移籍して手掛けていることも多いのも実状。自動車のデザインはグローバルです。

「ソウルモビリティショー2025」は2025年4月3日~13日までの開催です。今回は、初日のプレスデーに行ってきました。今年は12か国から450社以上が参加し、歴代最大規模とのこと。

また、韓国のモーターショーはソウルと釜山の交互開催。規模は首都ソウルのほうが大きいものの、日本や他国の国際モーターショーと比べると小規模です。そして日本と同様、「モーターショー」から「モビリティショー」へ名称を変更。

私は13年前にソウルモーターショーを訪れていますが、その時は今回と同じKINTEXの全部のホールを使用し、もう少し規模が大きい印象でした。しかし現在は中国やアジアの一部の国以外、ほとんどの「モーターショー」が苦戦しています。

日本は自動車だけでなく、もう少し幅を拡げて「モビリティショー」に進化。それが功を称して2023年の「ジャパンモビリティショー2023」では11日の開催で入場者数は112万2000人を記録しています。

国産自動車メーカーの数が多い日本もモーターショーでは苦戦していましたが、韓国には現代自動車(ヒョンデ)、起亜自動車(キア)、双竜自動車(サンヨン)韓国GMルノーサムソンの5つしかないため苦戦しているのがうかがえます。しかも、今回のモビリティショーへの参加はヒョンデとキアのみ。海外勢も、メルセデスベンツ、BMW、MINI、ポルシェ、BYD、ロータスと、自動車メーカーの出展そのものはちょっと寂しい印象でした。

ヒョンデのプレゼンテーションが華やかでした

最も華やかだったのは、ヒョンデのプレゼンテーション。ヒョンデのブースを中心に、ヒョンデのラグジュアリーブランド「ジェネシス」のブースなどからヒョンデのステージに走ってきてお披露目されるというスタイルです。ヒョンデのブースにいれば、すべて見られました。

まずトップバッターは世界初公開の2代目「NEXO」(ネッソ)。これは昨年発表されたコンセプトカー「INTIUM」からインスピレーションを受け、ボクシーでモダンなデザインへと進化。印象的なヘッドランプのデザインや今ドキな直線的なライトバーが未来感を醸し出しています。

水素タンクは改良され、54.2ℓの水素タンクが3基(合計162.6ℓ)、使用可能なH2は最大6.69㎏。燃料電池スタックは110kW/94kW。フロントに搭載したモーターの出力は150kW(350Nm)。高電圧のバッテリーは80kWのパワーで2.64kWhのエネルギーを発生。また、モーターホイールを空力を最適化するなどで1回5分の充填で700㎞以上の走行をが可能にしています。

また、先進運転支援システム(ADAS)やサスペンション、ブレーキシステムのソフトウェアを無線で更新できるオーバー・ジ・エア(OTA)機能を搭載しています。ボディカラーは6色。中でもステージにも登場した「Goyo Coppr Parl」は、韓国の自然と文化からインスパイアされた「コリアニズム」のエッセンスを加えた新色。

こちらは韓国国内には2025年第二四半期に発売予定。

続いて登場したのは、マイナーチェンジした「IONIQ6」と「IONIQ6 N」。リアのスタイリングが印象的。

大注目の「インスタロイド」

そして個人的に大注目だったのは、日本でも発売が開始された「インスタ―」(韓国名はキャスパー)に遊び心を加えた「インスタロイド」(コンセプトカー)。

これは小型の電気自動車でSUVタイプのインスタ―にゲームから受けたインスピレーションを加えたとうことで、小さいながらもダイナミックで遊び心満点!

ちなみに名称は、「インスター」と「ステロイド」を合わせた造語だそう。外観だけでなく、室内もデジタル要素やインストロイドのキャラクター「ブースト」があしらわれてとてもキュート。これはぜひとも日本の皆さんにも実車をご覧いただきたいものです。

「ジェネシス」は韓国車の中で最も高価でジェネシスのフラッグシップモデルの「G90」をベースにした「Xグランクーぺコンセプト」と「Xグランコンバーチブルコンセプト」の2台を出展。

ほかのブースも少しだけご紹介。ポルシェは日本でも昨日発表された「新型マカン」、BYDは「SEAL」を発表。

自動車以外では、三宝モータースの垂直着陸型都心航空モビリティ「UAM」やロッテイノベートの自動運転シャトルなどが目に留まりました。

韓国もモータショーからモビリティショーになりました。自動車文化が「第二形態」へ進化しつつあるのかも知れません。

取材・文/吉田 由美

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この記事を書いた人

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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