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テスラ2025年Q4決算を発表/EV販売は苦戦もエネルギーで利益を支え「自動化」を加速

テスラ2025年Q4決算を発表/EV販売は苦戦もエネルギーで利益を支え「自動化」を加速

テスラは現地時間の2026年1月28日に、2025年第4四半期(10月~12月)の決算を発表した。自動車部門は過去最高の納車台数を記録した第3四半期から一転して41万8227台に減少。一方でエネルギー貯蔵製品は過去最大の14.2GWhの展開であった。決算のハイライトをお伝えしたい。

目次

総売上高と純利益ともに前年同期比で減少に

テスラの2025年第4四半期決算は、総売上高が249億100万ドルで前年同期比3%減、自動車部門の売上は176億9300万ドル(前年同期比11%減)、エネルギー部門は38億3700万ドル(前年同期比25%増)、サービスやその他事業の売上は33億7100万ドルとなった(前年同期比18%増)。調整後EPSは0.50ドルとなり、市場予想を上回った。営業利益は14億900万ドルで前年同期比11%減、調整後純利益は17億6100万ドルで前年同期比16%減となった。フリーキャッシュフローは前期の39億9000万ドルから14億2000万ドルに減少している。

■ 2025年第4四半期の業績
総売上高:249億0100万ドル(前年同期:約257億ドル/3%減)
営業利益:14億900万ドル(前年同期:約16億ドル/11%減)
純利益:17億6100万ドル(前年同期:約21億ドル/16%減)
調整後EPS:0.50ドル(前年同期:0.60ドル/17%減)

連邦税クレジットの終了などによる自動車の売り上げ減を高マージンのエネルギー事業が支え、全体の粗利益率が大幅回復したことで、EPSは予想以上に粘った形だろう。株価についても市場がすでに自動車部門の弱さは織り込み済みで、引き続きエネルギーとAIの成長ストーリー重視と捉え、決算発表後も下げ幅は懸念されたほどではなかった。自動車販売ビジネスの減少傾向が続く中、将来のFSD自動運転、ロボタクシーへのシフトの重要性が増した決算結果であった。

自動車販売からAIプラットフォーマーへのシフト

決算資料のサマリーでは次のポイントが述べられており、今年も自動車販売からAIプラットフォーマーへのシフトがテーマになりそうだ。

2025年はテスラにとって極めて重要な年であり、年初に企業としてのミッションをさらに拡大し、ハードウェア中心の事業からフィジカルAI企業への移行を継続した。FSDのさらなる進化、ロボタクシーサービスの開始、サイバーキャブの生産ラインを構築、そしてAIトレーニングインフラの拡大を行なった。

新型モデルYのリフレッシュとスタンダードモデル発売を含む車両ラインナップを拡大し、そこに最高クラスのソフトウェア、自律走行機能といった高付加価値要素を付けることが、将来の自動車市場で勝ち抜くための正しい戦略と考えている。エネルギー事業においても、手頃な価格、迅速にスケール可能なエネルギーのプロバイダーとして最適なポジションを確立した。

2026年にはインフラへのさらなる投資を進め、車両(サイバーキャブ)、人型ロボット、エネルギー貯蔵製品、バッテリー製造にわたる新生産ラインの本格稼働を開始し、将来の成長を支えていくとしている。

アラスカで寒冷地テストを行うサイバーキャブ。

フリーモント工場はオプティマスの生産工場に

電話会議のガイダンスとQ&Aで話された主なポイントを紹介したい。

イーロン・マスクCEO

●モデルSとモデルXの2つの車を終了し、来期に生産を段階的に停止する。現在生産を担うフリーモント工場はオプティマスの生産工場になる。

●次期ロードスターは4月くらいに発表・販売を開始する予定だ。これまでにみたことのないような車になるだろう。

●オースティンでは安全監視員なしのロボタクシー運行を開始した。昨日あたりからは追尾するサポート車すらなく、車内に誰もいない。年末までに、規制次第だが、米国の25%から50%くらいの地域で完全自律車両のロボタクシーを展開する予定だ。

●将来のテスラの成長に不可欠なものはAIチップだ。AI5は非常に優れたチップになると確信しているし、3~4年後にはチップ生産が成長のボトルネックになるので、テスラ自身がテラ・ファブ(半導体製造施設)を作る必要がある。

●オプティマスについては、数ヶ月後にオプティマス3を公開する予定だ。人々を驚かせるほど非常に優れたロボットになると思う。しかし、オプティマスは完全に新しいサプライチェーンで、既存のものは何一つなく、すべて物理の第一原理から設計している。そのため、通常のSカーブより生産ランプ(立ち上げ期間)が長くなるはずだ。しかし、フリーモントでオプティマス3を年間100万台製造する自信がある。

ヴァイブハブ・タネジャCFO

●FSDの装着率は四半期で改善を続け、グローバルで約110万人の顧客が利用している。このうち約70%が一括購入。今四半期からFSDを完全にサブスクモデルに移行する。

●今後6つの工場(リチウム製錬所・LFPバッテリー・サイバーキャブ・セミトラック・新メガファクトリー・オプティマス)への投資を積極的に進める。2026年のCapex(資本支出)は200億ドル超となる。

グローバルで900万台目の車両を生産(上海工場)。

2026年第1四半期の注目ポイントは

今回の決算発表は自動車事業が減少したため、織り込み済みとはいえネガティブな予想が多かったが、利益自体は予想を上回る結果となり、時間外の株価も比較的堅調に持ちこたえたといえそうだ。

イーロン・マスクと彼のチームも述べていたが、自動車は次期型ロードスターを除いて、自動運転が全てだと示したことが印象的であった。先週から始まった無人走行のロボタクシーは順調にスケールするか、そして、世界各国でのFSD認可はどうなるかが今期のポイントになりそうだ。

※記事中画像はテスラIR資料より引用。

文/前田 謙一郎x.com

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この記事を書いた人

テスラ、ポルシェなど外資系自動車メーカーで執行役員などを経験後、2023年Undertones Consulting株式会社を設立。自動車会社を中心に電動化やブランディングのコンサルティングを行いながら、世界の自動車業界動向、EVやAI、マーケティング等に関してメディア登壇や講演、執筆を行う。上智大学経済学部を卒業、オランダの現地企業でインターン、ベルギーで富士通とトヨタの合弁会社である富士通テンに入社。2008年に帰国後、複数の自動車会社に勤務。2016年からテスラでシニア・マーケティングマネージャー、2020年よりポルシェ・ジャパン マーケティング&CRM部 執行役員。テスラではModel 3の国内立ち上げ、ポルシェではEVタイカンの日本導入やMLB大谷翔平選手とのアンバサダー契約を結ぶなど、日本の自動車業界において電動化やマーケティングで実績を残す。

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