テスラ 大型蓄電池 パワーウォール、パワーパック発表

本日、米国ロサンゼルス空港近くのホーソーンにて、テスラモーターズCEOのイーロン・マスク氏が家庭用・産業用の定置バッテリーソリューションを発表しました。製品は、家庭用のものは「PowerWall」(パワーウォール)、産業用のものは「PowerPack」(パワーパック)と呼ばれ、PowerWallについてはTesla Eneregyサイトで予約を受け付け開始しました。

テスラ 大型蓄電池 パワーウォール、パワーパック発表

PowerWallは10kWhの容量を持ち、3500米ドル(約42万円)で、3-4か月以内に納品が開始されるそうです。もちろん、ギガファクトリーが2017年に稼働開始するまでは、生産に時間がかかるようです。7kWhのバージョンもあり、そちらは3000米ドル(36万円)とのことです。なお、10kWhはウィークリーサイクル、7kWhはデイリーサイクルとありますので、もしかすると、10kWhは日中の電力の平準化用ではなく、バックアップ用としているのかも知れません。7kWhは毎日、充放電を繰り返して使うイメージです。

このPowerWallは壁掛けが可能で、サイズは幅の狭い畳一枚くらいです(130 cm x 86 cm x 18 cm)。色がいくつかから選べます。内部にはバッテリーのみならず、バッテリーの電力を家庭で使う交流に変換したり、逆に電力会社(系統電力)からバッテリーを充電できるインバーターや、各種温度センサーなどの安全装備も備えているとイーロンは語っていましたが、Webサイトによると「AC-DCインバーターは含まれていない」とのこと。それじゃ充電できないので、何らかの外付けシステムが必要になるのかも知れません。電力会社の系統網に接続する機能については、期待はされていたと思いますが、発表はされませんでした。
PowerWallは一般の家庭であれば1基で十分ですが、2-9基まで並べて設置することも可能とのことです。そのため、最大は90kWhにも及びます。まあ10kWhと言えば日本の一般家庭の(あまり節約していない)1日の電力量に相当しますから、日本ならこれ7kWh 1基あれば、電力料金を完全に夜間にシフトすることが可能になります。

PowerPackは大型自動販売機のような形をしており、容量は100kWhで、GWクラスの蓄電設備も作れるそうです。実際にこのホーソーンの発表会場の屋上には太陽光パネル、会場内にはPowerPackが何基か設置されており、イベント自体を太陽光由来の電力だけで賄ったそうです!実際にメーターが映されましたが、約90kWを指していました。

このコスト感は凄いですよね。PowerPackの価格はリリースされませんでしたが、単純に10倍と仮定すると420万円。
東北電力 西仙台変電所の大型蓄電池システムが20,000kWhなので、PowerPack 200基分。これ全体で、電池だけですが8億4千万円しかかかりません(1kWhあたり350米ドル、4.2万円)。。ちなみに、この西仙台変電所蓄電設備の受注額は約100億円。テスラ+パナソニックの技術を使えば、もっと下げられるかも知れませんね。
追記:放射線科医 高原様のブログには、日本の同等製品との比較も詳しく掲載されています。ぜひご覧ください。

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 本来は 家庭用の蓄電池は もっと普及した方が良いんですよね でも 昨年は 国の補助金で自治体や企業などは全額補助で実施してましたし 蓄電池メーカーさんなどもそちら一本で 今年からやっと 一般家庭用にV2Hなどに力が入って来た状態なんですよね。 でも 確かにこのテスラはお安いです 大手量販店で販売している家庭用蓄電池システムは5kwで100万ぐらいですものね ただし 今は電力会社との設備(家庭配線)への接続許可が厳しいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

執筆した記事