電気自動車とZEHの夢を一挙に実現できるパッケージローンが登場

車をローンで購入した後に、家を買おうとするとローンの審査が通りにくいという悩みを解決するパッケージローンがヤマト住建とイオンプロダクトファイナンスから登場しました。夢のEVとV2Hに対応した脱炭素型住宅のローン審査が通りやすくなるパッケージローンとはどのようなものなのか、両社の担当者にインタビューしました。

電気自動車とZEHの夢を一挙に実現できるパッケージローンが登場v

EV&脱炭素型住宅のパッケージローンとは?

2022年1月6日、注文住宅を手がけるハウスメーカーのヤマト住建株式会社とイオンプロダクトファイナンス株式会社が提携して、住宅ローンとマイカーローンをセットで申込みできる取り組み(詳細紹介サイト)を開始しました。

このパッケージローンは、脱炭素型ライフスタイルを一般家庭へ浸透させることを目的として、脱炭素型住宅(※ZEH=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と電気自動車(EV)をパッケージにしてローンの申込みができるというものです。

(※)ZEHとは、断熱性能の向上と高効率な住宅設備による省エネとともに、太陽光発電など再生可能エネルギーによる創エネを組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。

イオンプロダクトファイナンスのWebサイトから引用。

パッケージとして組めるのは、太陽光パネルが装備され、電気自動車のバッテリーを家の電力と連携するためのV2Hシステムを搭載したヤマト住建のZEHを購入するための住宅ローンと、V2H対応のEVを購入するためのイオンプロダクトファイナンスのマイカーローンです。

V2Hを利用した生活は、家庭の電気代節約や停電になった際に安心して過ごせることが主なメリットとして挙げられます。また、地球環境を守る脱炭素社会へ貢献することもできます。

パッケージローンは、現在(2022年1月時点)大阪府と兵庫県在住のイオンカード会員を対象としたサービスですが、順次全国へ展開する予定とのことです。

具体的にどのEVが対象なのか、V2H機器はどのようなものになるのか。ヤマト住建とイオンプロダクトファイナンスの担当者に詳細を確認しました。

最大40万円分のWAON POINTをプレゼント

マイカーローンの対象車種は日産リーフ「X」と「e+X」に限定とのこと。この写真は旧型リーフなので、あくまでもイメージです。

マイカーローンと住宅ローンを同時に組もうとすると、審査が通りにくいケースが多いです。特に、車をローンで購入してから住宅ローンを組もうとすると、審査が厳しいことがほとんどです。この審査のハードルを低くするのがヤマト住建とイオンプロダクトファイナンスの提携により誕生したパッケージローンということでした。

イオンプロダクトファイナンスの担当者は「先に車を購入してから住宅のローンを組もうとすると、ローン契約の条件が厳しくなってしまうことがあります。しかし、パッケージローンの場合、イオンプロダクトファイナンスのマイカーローンで電気自動車の購入していることを加味して、ヤマト住建が提携しているローン会社が住宅ローンの審査をしてくれます」と話します。

当然、ローンの審査をクリアするには年収などの要件を満たしていることが必要でしょうが、今回のパッケージローンでは成約すると最大40万円分のWAON POINTのプレゼントキャンペーンが実施されています。金利などの詳細は未検証ですけど、条件を満たす方にとってはお得なプランといえそうです。

パッケージローンの対象となる車種について

今回のパッケージローンの対象となる車種は、日産 リーフ(Xまたはe+ X)のみとなっています。車種の追加についてイオンプロダクトファイナンスに聞いたところ、「今のところ、車種を拡大するかどうかは未定」とのことでした。今年は日産アリアのデリバリーがようやく本格的に始まりますし、日産&三菱の軽EVや、トヨタやスバルからもV2H対応でバッテリー容量の大きなEVが登場するので、車種の選択肢が増えることに期待したいところです。

住宅に設置されるV2Hはニチコン製

ひろがるニチコンの未来社会~これからの暮らしに快適と安心を~(YouTube)

住宅に設置されるV2H機器について、ヤマト住建に聞いたところ「住宅に設置されるV2H機器は、ニチコン『EVパワー・ステーション』のプレミアムモデルを標準採用としています。ただ、お客様の要望や用途に応じて、他メーカーのV2Hを設置することもあります」という回答でした。

ニチコンの『EVパワー・ステーション』は、一般家庭のV2H機器の代表的な製品です。価格を抑えた(約40万円〜)スタンダードモデルもありますが、約80万円のプレミアムモデルでは、スマートフォンの専用アプリを使って、EVへの充放電のスタート時間の設定や、電力収支の履歴や稼働状態の確認を簡単に行うことができます。

自宅に設置するいわゆる「拠点充電」機器ではありますが、充放電はチャデモ規格の急速充電口を使い、一般的な普通充電出力である3kWの倍に相当する6kWでの充電が可能(契約電力などには要注意)であることも特長です。

また、太陽光パネルの設置容量や売電契約についてサポートがあるのか聞いたところ「住宅を購入するときに太陽光パネルや売電契約についてのサポートはあります。また、ヤマト住建は、LCCM住宅(※)の普及も促進していますので、お客様の暮らしに合わせてシミュレーションを行いながら最適な提案をすることができます」とのことでした。

(※)LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅とは、建設・運用・廃棄において二酸化炭素の排出を抑え、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用し、住宅のライフサイクルにおいて、二酸化炭素の収支をマイナスにする住宅のことです。

国土交通省のWebサイトから引用。

電気自動車を買いやすくする方法を考えたパッケージローン

ヤマト住建とイオンプロダクトファイナンスの提携により誕生したパッケージローンは、EVとZEHなど、脱炭素型のライフスタイル実現に興味がある方に最適なプランと言えるでしょう。

イオンプロダクトファイナンスと提携したパッケージローンについてヤマト住建の担当者は「蓄電池としても使えるEVを買いやすい方法がないか考え、イオンプロダクトファイナンスと協力しました。EVは、移動手段ではありますが、蓄電池として使うこともできるため、電気代の節約や万が一の時の電源供給源として役立ちます。今回のパッケージローンは、新築の高性能住宅もEVも買いたいという方におすすめのプランだと思います」と話します。

脱炭素社会実現に個人として貢献するために、マイカーをEVにするだけでは排出削減の効果は限定的です。自宅の太陽光発電による電気でEVを充電しながら、ZEHによる快適な脱炭素型ライフスタイルを実現できるのは、素晴らしいことだと思います。現状では車種や地域限定ですが、こうした発想と仕組みがより大きく広がるといいですね。

(取材・文/齊藤優太)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. 自分も先に車を購入してから住宅ローンの審査に時間がかかったので、素晴らしい取り組みですね。(自分はテスラ車なので対象外ですが💦)
    一方で「住宅」と「車両・V2H」で製品寿命が大分変わりますが、それぞれの返済や買い替えが考慮されているのかが気になるところです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					齊藤 優太

齊藤 優太

静岡県静岡市出身。大学卒業後、国産ディーラー営業、教習指導員、中古車買取を経て、フリーランスへ。現在は、自動車ライター、ドライビングインストラクターとして活動をしている。保有資格は、教習指導員(普通自動車一種・普通自動二輪)、応急救護指導員、運転適性検査指導員。

執筆した記事