ヒョンデが2026年の「モータースポーツ戦略発表会」を開催。引き続き「全日本EV-GP」をスポンサードすることや、織戸茉彩選手がHMJモータースポーツアンバサダーに就任することを発表しました。スーパー耐久シリーズで活躍するリ・ジョンウ選手は、日本語ペラペラの好青年でした!
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
「Never just drive」の思いを日本でも!
2026年3月11日、ヒョンデは東京都渋谷区の代官山T-SITE GARDEN GALLERYにて「Hyundai Mobility Japan (ヒョンデモビリティジャパン:HMJ)2026モータースポーツ戦略発表会」を開催。2026年のモータースポーツ活動などについて説明しました。

石澤氏のプレゼンテーション風景。
冒頭、HMJマーケティング室ディレクターの石澤信氏が語ったのはヒョンデのハイパフォーマンスブランドの「N」が掲げる「Never just drive」という言葉が象徴する、モータースポーツの意義でした。
「私たちが日本でお届けしたいのは、単なる移動の手段の提供だけではありません。クルマ本来の操る喜び、そして何より胸が躍る体験です。では、なぜ私たちが今、日本のモータースポーツに注力するのか。モータースポーツの楽しみ方の多様性は、日本の自動車文化の特徴でもあります。私たちヒョンデは、そういった日本の自動車文化により積極的に関わりながら、その喜びを大きく広げたいと考えています。
今回、私たちはIONIQ 5Nというプロダクトを用い、モータースポーツを楽しめるような高い性能を持つEVが、より身近な市販車として楽しめることを、日本のモータースポーツ文化の中に参画することによってお伝えしてまいりたいと考えております。
つまりそれは、日本の自動車文化に対するリスペクトと長期的なコミットメントの証にほかなりません。日本市場で目の肥えたクルマ好きの皆様に認められること、それこそが私たちの真の価値を証明することになり、だからこそ、私たちはこの場で挑戦を続けます」
ヒョンデは2015年に高性能ブランド「N」を立ち上げ、グローバルでモータースポーツ活動を開始。誕生からわずか4年後の2019年にはWRC(世界ラリー選手権)でマニュファクチャラーズタイトルを初めて獲得。ツーリングカーレースにおいてもWTCR(世界ツーリングカーカップ)のドライバータイトルを獲得しています。
2024年には日本でも「N」の名を冠した「IONIQ 5 N」を発売しています。
石澤氏はスピーチのなかで、IONIQ 5 Nのハイパフォーマンスが「EVの楽しさ」への理解を広げるものであることを強調しました。
「2025年、IONIQ 5 Nは世界でパフォーマンスカーを対象とした数々の賞を受賞し、EVでも走りへの妥協はしない、本当のハイパフォーマンスEVであることを国際的に証明いたしました。

プレゼンテーションのスライドより。
IONIQ 5 Nというクルマは、2024年のパイクスピーク・ヒルクライムの改造電動SUV部門で9分30秒852という記録を樹立。また、2025年のAttack筑波においては57秒446という日本でのEV最速タイムも記録しています。タイムアタック用に空力パーツやホイール足回りの変更をしながらも、パワーユニットは市販車と全く同じものを使っており、IONIQ 5 N自体の性能の高さをも証明できたものと思います。
2026年、私たちは日本のモータースポーツ文化を、日本のモータースポーツファンの皆様とともに育てるブランドとして、さらに深く根を下ろします。EVの楽しさを日本のカルチャーにしていくための新たな挑戦に、どうぞご期待ください」
EV-GPチャンピオンの韓国レース参戦を全面サポート

続いてHMJマーケティングチームのモータースポーツ担当である澤村浩一氏から2026年のモータースポーツ活動計画が発表されました。大きなポイントは3つ。
1つめはレースの現場で【走り】を披露すること。WRCのラリージャパンに「i20N」での参戦。スーパー耐久シリーズにWAIMARAMA Racingより「エラントラN」が参戦予定。さらにWEC(世界耐久選手権)の富士ラウンドへ、ヒョンデのグループブランドの「ジェネシス」より「Genesis Magma Racing」が参戦することが改めて発表されました。
さらにうれしいお知らせとなったのが、EVレースへの支援です。ヒョンデは国内唯一のEVレースシリーズ「全日本EVグランプリ(EV-GP)」(関連記事)をスポンサードしています。昨年は「ヒョンデN賞」が設定され、各戦の優勝ドライバーに10万円、2位に5万円、3位に3万円の賞金が贈られました。
https://blog.evsmart.net/?s=EV+GP
今年の「ヒョンデN賞」では、EV-GPのシリーズチャンピオンを韓国で開催される「Hyundai N Festival N1カップ2027」へのスポット参戦に招待し、全面的にサポートする賞典が贈られます。渡航費から滞在費、マシンの用意やメンテナンスまで込みのフルサポート体制で、本国のワンメイクレースに参戦できるスペシャルプライズ。しかもEV-GPでの使用車種にはこだわらない(たとえばテスラでもOK)というのですから、かなりの太っ腹です。
2つめにあげられたのが【熱量】をリアルタイムで届けること。モータースポーツ専用のウェブサイトおよび公式SNS(X、Instagram)を正式にオープン。レース車両の開発風景やメカニックの挑戦、ドライバーの生の声など、現場のリアルな熱量をダイレクトに発信されます。
織戸茉彩選手がEV-GPに参戦
本日、レーシングドライバー 織戸茉彩さん (@maaya_orido_559 )が Hyundai Mobility Japan Motorsport アンバサダーに就任致しました。
相棒は、650馬力のハイパフォーマンスEV #IONIQ5N。
彼女の新しい挑戦がここから始まります。#Motorsport #モータースポーツ pic.twitter.com/KL1Fntk0KW— Hyundai Motorsport Japan (@HyundaiMS_JP) March 11, 2026
3番目のポイントが今回のメインともいえる【人】を通じてモータースポーツの意義を伝えること。この役目を担うのがレーシングドライバーの織戸茉彩選手。織戸選手は「HMJモータースポーツアンバサダー」に就任するとともに「MAX ORIDO RACING」として、自身もIONIQ 5 Nを駆り、第2戦(もてぎ)から全日本EV-GPに参戦することになっています。

織戸茉彩選手。
ヒョンデが日本国内でのモータースポーツ活動の軸としている「全日本EV-GP」は、EVの性能と可能性を極限まで引き出す日本唯一のEVレースシリーズで、モーター出力などに基づき公平な競技が行われるようクラス分けがなされています。
【クラス分けと出場車両】
●EV-1クラス:モーター出力400kW以上の最速クラス。テスラ・モデルSプラッドなどが参戦。今回織戸選手が使用するヒョンデの「アイオニック 5N」が該当し、最も激しい接戦が繰り広げられるトップカテゴリー。
●EV-2クラス:モーター出力250kW以上400kW未満のクラス。テスラ・モデル3やBYDシールなどが参戦。
●EV-3/4/Sクラス:その他の出力帯の市販EV。
●C/P/F/Rクラス:コンバートEV、プロトタイプ、市販ECV、レンジエクステンダー車など。
2025年シーズンは、長年王座を守り続けてきたテスラ勢に対し、ヒョンデのIONIQ 5 Nが猛追を見せる「EV2強時代」の幕開けとなりました。シリーズチャンピオンはテスラ モデルSプラッドを操るKIMI選手が、その圧倒的な経験値とマシンポテンシャルを活かして7戦中5勝でシリーズ連覇を達成。一方で、マイカーでもあるIONIQ 5 Nで参戦する小峰猛彦選手が、筑波サーキットの最終戦でKIMI選手のモデルS プラッドを抑えて逆転優勝を飾り、2026年のさらなる盛り上がりへの期待を抱かせる劇的な展開でシーズンを終えました。
スーパー耐久チャンピオンが織戸選手にアドバイス
HMJモータースポーツアンバサダーに就任した織戸茉彩選手は「EVに乗るのは初めての経験でしたが、少し街乗りしただけでも強烈な加速感や乗り心地の良さに魅了されました。EVはたくさんの可能性を秘めており、レースという舞台でその魅力を存分に楽しみたいと思います」と、EV-GP参戦を楽しみたい思いを語りました。
また、スペシャルゲストとして招かれた2025年スーパー耐久ST-TCRクラスチャンピオンのリ・ジョンウ選手は「IONIQ 5 Nは前後輪へのトルク配分などをドライバーのスタイルに合わせて仕様を自由に変えられるのが面白い。公道でもレースでも楽しめる、非常にエキサイティングなクルマです」とIONIQ 5 N の魅力を紹介。

リ・ジョンウ選手(左)と織戸茉彩選手(右)。
織戸選手、ジョンウ選手2人によるトークショーでは「EVについてわからないことがまだ多い」という織戸選手に、ジョンウ選手が「ブーストボタンの使い方」などを解説。ステアリングにある赤いブーストボタンを押し続けるとスピードは上がるが(ボタンを押して10秒間、最高出力が30kWアップする)、バッテリーが消耗しやすいこと。レース距離の設定によってはブーストボタンを押し続けると電気が足りなくなり、ブーストボタンを押さないとタイムが出ないケースがあり、レースで好結果を出すためにもブーストボタンの使い方が大切であることを丁寧に説明していました。
驚いたのがジョンウ選手の日本語がネイティブかと思うほどに日本語が流ちょうなこと。聞けば、子供のころから日本のレースに憧れて独学で学習。現在は韓国に住んでいるものの、日本に初めて来てからはもう15年も経っているという。受け答えも本当にていねいで、非常に好青年だという印象でした。
そんなジョンウ選手から織戸選手に「真夏のレースで、1つコツがあります。EVのレースではバッテリーの残量はもちろん、温度管理がとても大切です。スポーツ走行ではエアコンをつけないのが常識ですが、IONIQ 5 Nの場合はエアコンの冷気をバッテリー冷却にも活用しているから、逆にエアコンつけた方がバッテリーの温度が下がることがあるんですよね」と意外なアドバイスが送られていました。
この点について、会見後にジョンウ選手に直接聞いてみると「これはエンジニアにアドバイスされたことです。もちろんかけっぱなしでは、バッテリーを余計に消費するのでオンオフして調整します」と教えてくれました。IONIQ 5 Nのスポーツドライブでは、ブーストスイッチとエアコンをいかに上手に使いこなせるかがポイントとなりそうです。

なお、HMJでは織戸選手のモータースポーツアンバサダー就任を記念し、「IONIQ 5 Nミニ四駆」などのオリジナルグッズが当たるSNSキャンペーンを3月25日まで実施中。先に紹介した、InstagramまたはXをフォローして、指定フォームからエントリーできます。
取材・文/諸星 陽一






コメント