集合住宅電気自動車用充電器設置事例【6】月極駐車場に計画から1カ月でテスラ充電器を設置

今回は集合住宅ではないのですが、山梨県で月極駐車場に充電設備(テスラ用のウォールコネクター)を設置したオーナーの情報をキャッチしたため、お話を伺うべく甲府市を訪れました。

集合住宅電気自動車用充電器設置事例【6】月極駐車場に計画から1カ月でテスラ充電器を設置

会社近くの賃貸駐車場にテスラ専用充電器を設置

今回お話を伺ったのは、県内でソーラー発電所の分譲や施工など太陽光発電事業を展開している、株式会社トラストテック代表取締役の植松憂来(うえまつ・ゆうら)さん。植松さんがテスラ・モデル3を購入したのは昨年12月のこと。会社の駐車場に充電設備を付けたいと大家さんに相談したところ、二つ返事で「原状復帰さえしてくれれば構わない」と承諾頂いたそうです。そこから、電力会社に申請をして電気工事が完了するまでわずか1カ月の出来事でした。

設置費用は充電器が6万円、工事代金は6.5万円だったとのこと。契約は基本料金のかからないLooopでんきの60Aプランですが、設置してからスタンダードレンジプラスというグレードは最大32Aでしか充電できないので、40A契約で十分だったことに気づいたそうです(笑)。最近はテレワーク化により、あまり車で移動することもなくなって、週に2回ほど会社に立ち寄り、1回あたり60km分の走行距離を充電する程度のため、月々の電気代は2500円にも達しません。

【編集部追記 2021年4月10日】
Twitterで「60A契約を200Vで使用すると、半分の30Aしか使えないのでは?」とご指摘を受け、植松さんに確認したところ、その通りでした。幸い、充電するときは滞在時間から逆算してなるべく低い電流で充電しているとのことで、普段は16Aぐらいで利用しておりブレーカーが落ちるトラブルはこれまでありませんでした(※テスラ車はユーザーが任意のアンペア数に設定可能)。設置時にテスラウェブサイトの車載チャージャーページの説明を参考に60Aの契約をされたのですが、下図を見ると確かに60Aでよいのだと思ってしまいますね。100Vで運用する場合は表記の通りですが、200Vで充電される場合は、倍のアンペア数が必要だと覚えておいて下さい。

テスラウェブサイトよりキャプチャ。

植松さんは現在、賃貸住宅にお住まいで、ご自宅には充電設備がないのですが、すぐ近くにテスラ専用の高速充電器「スーパーチャージャー」があったり、甲府市内にも無料充電施設が複数あったりと、充電には困っていませんでした。にもかかわらず、あえて勤務先に充電器を付けたのには理由があったのです。

地方ならではのEVのメリット

その理由とは、太陽光発電も電気自動車(テスラ)も「案ずるより産むが易し」を自ら身をもって示すこと。植松さんに、そもそもの思いを語っていただきました。

「都会と比べて地方都市は一戸建てに住んでいる方が多く、自宅充電がしやすい環境です。また、ガソリンスタンドは年々減少傾向にありますが、電気自動車であれば遠く離れたガソリンスタンドまで給油に行くことなく、車に充電ケーブルを挿すだけで、スマホと同じように『朝起きたら充電が完了している』状態から一日を始めることができます。

また、戸建住宅は屋根にソーラーパネルも設置しやすく、駐車場もゆとりを持ったサイズのため、ソーラーカーポート(太陽光発電パネルを屋根に設置したカーポート)を建てやすいです。ソーラーパネルを設置して車を充電することで、単に電気代が安くなるだけでなく、停電時の備えにもなります。

このように、地方では土地の広さを活かして発電所への依存度が少ないライフスタイルが実現しやすいです。一方で、地方ではまだEVを見かけることも少なく、特にテスラはディーラー網もないため、試乗もせずにインターネットで車を買うことに抵抗を感じる方も多いです。実際に所有してみると、そんな心配は杞憂に過ぎなかったのだと分かるのですが、現物を見ることは何よりも説得力があります」(植松さん)

でもお高いんでしょ?

EVは500万~1000万円もして、地方の給料では買えない高嶺の花だと思われがちですが、テスラ『モデル3』は先日の大幅値下げもあって、補助金を差し引くと350万円ほどで購入できます。日産リーフに至っては、たとえば「S」グレードを選び補助金を活用することで200万円ほど(条件によっては200万円以下のケースも!)での購入も可能で、車検や税金、メンテナンス費用、燃料費(電気代)などは、ワンランク下の車と同じなのに、走りは逆にワンランク上の加速やレスポンスの良さが楽しめます。

「ソーラーパネルも同様に初期投資が高いのですが、一度建ててしまえば長期的に見てお得なのです。例えばソーラーカーポートは約10年で投資を回収することができ、その後は10~20年タダで車を充電することができます。賃貸住宅のオーナーであれば、固定買取制度(FIT)が終了した後も住人に対して売電することも可能ですし、今後増えるであろうEVオーナーに選ばれる物件として資産価値が向上します」(植松さん)

「ソーラーパネルもEVも初期投資が高いため敬遠されがちですが、長期的に見るとやらない理由がありません」(植松さん)

今後のプロジェクト

植松さんの次のプロジェクトには、ソーラーカーポートを建てて、日産リーフを購入しV2Hシステム(車から家に電気を供給する仕組み)を組むというプランを商品化する計画もあります。ソーラーパネルは家庭用蓄電池とセットにすることで真価を発揮しますが、一般的には6~7kWhの家庭用蓄電池で150~200万円もかかってしまいます。前述のリーフSなら40kWhのバッテリーが搭載されていて、補助金を活用すれば200万円程度である上に、車としても利用できます。

首都圏の戸建住宅の1日平均電力消費量は、エアコン(暖房)の利用が増える1月で17.7kWhに上りますが、リーフなら停電してもバッテリーだけで2日間、ソーラーパネルの電力も合わせると3~4日間くらいは耐えられることを意味します。

何事もまず自分が体験して、実際の商品をお客様に見ていただき、理解を深めていただくスタンスは、保守的な土地柄に合った戦略だと感じました。EVの普及を見据えて、ユーザーと大家さん、両方の目線から対策を講じるトラストテックと植松さんの今後に大いに期待しています。

【関連ページ】
株式会社トラストテック公式サイト

(取材・文/池田 篤史)

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					池田 篤史

池田 篤史

1976年大阪生まれ。0歳で渡米。以後、日米を行ったり来たりしながら大学卒業後、自動車業界を経て2002年に翻訳家に転身。国内外の自動車メーカーやサプライヤーの通訳・翻訳を手掛ける。2016年にテスラを購入以来、ブログやYouTubeなどでEVの普及活動を始める。

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