集合住宅の電気自動車用普通充電システム紹介~宅配ボックスと併設する『F-charge』

集合住宅の電気自動車用充電設備設置が、日本の電動車普及における悩ましい課題となっています。とはいえ、どんな機器があるのかといった情報さえ見つけづらいのが実状です。EVsmartブログでは集合住宅向けなどの普通充電システムについて、シリーズ企画として取材を進めることにしました。今回は、宅配ボックスと併設する普通充電システム『F-charge』について紹介します。

集合住宅の電気自動車用普通充電システム紹介~宅配ボックスと併設する『F-charge』

宅配ボックス大手のフルタイムシステムが発売

『F-charge(エフチャージ』は、宅配ボックスの販売やサービスを提供する株式会社フルタイムシステムがローンチしている電気自動車用普通充電システムです。1台の充電器で最大4本の充電ケーブルを出すことができるので、限られたスペースを有効活用することができるシステムです。

充電器側にあらかじめ充電ケーブルを備えたタイプのほか、コンセントがあって車載ケーブルを使用するタイプもあり、電気バイク用などとして100V出力にも対応できます。

充電器本体の価格は1台50万円(1口タイプ)程度~。設置や調整のコストは10万円程度が目安とのこと。充電器本体の購入は、集合住宅への設置など条件を満たせば、次世代自動車振興センター(NeV)に申請する『充電インフラ補助金』の対象機種となっています。ただし、ご担当者によると補助金が受けられるのはケーブル付きのタイプのみらしい(NeVには未確認)です。

マンションの部屋の鍵で認証も可能。
コンセントの部分にはケーブルのコントロールボックスを収納して蓋を閉め、ロックすることが可能。

『F-charge』を充電システム単体で導入することはできず、フルタイムシステムの主力商品ともいえる宅配ボックスシステム『フルタイムロッカー』との併設が必須です。その代わり、フルタイムロッカーのために設置されている同社のコントロールセンターのサポートを利用することが可能。利用状況を確認できるウェブチェックシステム(月額6000円)や、充電完了を利用者にメールで通知するサービス(月額5200円)などのオプションも用意されています。
※各料金などは税別の定価です。

【関連ページ】
フルタイムシステム公式サイト
『F-charge』紹介ページ

大規模マンションのEVカーシェアリングにも活用

実は、私はまだ実際に設置されている物件を見たことはなく、今回も現地取材は難しかったのですが、すでに全国で350物件近いマンションなどに導入済み。うち首都圏で約180物件に導入されているそうです。

NCS(今後はイーモビリティパワー)ネットワークの公共充電インフラではなく、マンション居住者のためのクローズドな設備とはいえ、もう20年以上も電気自動車の取材を続けてきたくせに、今まで見たことなかったのが申し訳ないくらいですが、『F-charge』が発売されたのは2010年、アイミーブやリーフのデビューとともにという早い時期のことだったそうです。大手マンションデベロッパーからの「いよいよ発売された電気自動車をEVカーシェアリングに活用したい」という要望に応えて開発されたとのこと。

実際に、宅配ボックスを利用して自動車のキーを取り出すマンションカーシェアリングサービス『フレンツ倶楽部』というシステムは、現在もフルタイムシステムのサービスとして提供されています。

同様に、宅配ボックスのロッカー内で電動アシストサイクルのバッテリーを充電し、利用者がロッカーを開けて自転車のキーと充電済みのバッテリーを取り出す『F-rents(フレンツ)』というレンタルシステムも用意されているとのこと。

折しも新型コロナ禍の影響もあり、宅配ボックスへのニーズは拡大中。現在、約3万6000棟のマンションがフルタイムシステムの宅配ボックスシステムを導入しているそうで、最近はマンションだけではなく、フリーアドレス制が広がったり、リモートワークが増えたオフィスで、社員同士が顔を合わせることなくやりとりできる宅配ボックスの導入事例が増えているそうです。

集合住宅などへの充電設備設置で悩ましいのが、課金や利用者へのサポートなどをどうするかということだと思いますが、ロッカーの機能でもあるネットワーク管理で課金もOK。24時間365日体制でサポートする体制が整っている宅配ボックスのコントロールセンターと連携できることは『F-charge』の大きな強みといえるでしょう。

宅配ボックスシステムと併設が必須であること、また電源増設にコストが掛かるなどの理由から、問い合わせは多いものの既設マンションにはまだ導入した事例がないということでした。ただ、これも既設集合住宅に新たに宅配ボックスの導入を検討する場合、また敷地に平置きの駐車(充電)スペースを設ける余裕があるようなケースでは、一度相談して検討してみるべきシステムであるといえます。

お客さま儲かる営業部の宮地弘尚部長。

今回、取材に対応してくださったフルタイムシステムお客さま儲かる営業部の宮地弘尚部長は「これからもより多くのマンションに『F-charge』を導入いただいて、EV普及に貢献することを目指したい」と話してくださいました。

電気自動車の車種バリエーションはもとより、こうした集合住宅用充電システムもニーズによって選べる選択肢が増えることが、電気自動車普及の根っこを支えてくれることでしょう。今後もますます、ユニークな製品やサービスを繰り出してくださることに期待しています!

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. ほうなるほど、とはいってもどこかで見た記憶がありますな。
    パナソニックのスタンド型普通充電器ELSEEVシリーズが確か最大4台まで接続可能…200V充電ケーブルが2本、あとは100/200V充電コンセントをオプション取付できる仕様です。ただいくら天下のパナソニックでアイミーブデビュー前後から発売されてていたとはいえ実物を見る機会は少なく、ご存じない方も多いかもしれません。

    このシステムは集合住宅だけでなく高圧受電のホテル旅館にも使えると思いませんか?たまたま昨日飛騨小坂の10室程度の温泉旅館で一泊しており、高圧受電設備からそんなに離れていない場所に駐車場があるため(20m程度)下見の結果少ない工事費で取付可能じゃないかと思ってました…もっともコロナ禍で旅行需要自体伸び悩んでおり現段階で可能性は低いですが。

    基礎充電だけならNCS認証は不要、こういう充電設備が量産されて少しでも安価になれば普及率は相当アップするとも思いませんか!?
    電動バイク等の100V充電は某電動バイク充電旅番組で人気も需要もあるうちに普及してくれると有難いです…100V充電なら受電契約が小さくともPHEVやMiEV(低容量EV)ユーザーにも一定の効果があり充電契約料金も安価にできますから。逆に100V/15A充電がある程度普及しないと「ヤバイよヤバイよ」かもしれませんね(ォィォィ)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事