EV放浪記2.0【022】東京=鹿島のサッカー観戦ドライブで充電計画大失敗の巻

愛車のHonda eを走らせつつ電気自動車関連の話題をレポートする連載の第22回。高速道路SAPAの充電器で高出力複数口化が進むなど、経路充電がすこぶる便利になりつつありますが、Jリーグ観戦に行ったら久しぶりに電欠ピンチに陥って、右往左往するハメになったのでご報告です。

EV放浪記2.0【022】東京=鹿島のサッカー観戦ドライブで充電計画大失敗の巻

うっかり充電し忘れて無充電往復は、無理!

いや、私が悪いんですよ。出発前の日中にマンションの共用充電器で満充電にしておこうと思いながら、すっかり忘れていた私が。EV(Honda e)に乗り始めて4年目になりますが、ここしばらく、首都圏で充電に困ったことなどなかったので、それでも「まぁ大丈夫でしょ」と油断していました。

目的地は、茨城県鹿嶋市のカシマサッカースタジアム。Jリーグ、鹿島アントラーズ対ガンバ大阪戦の応援です。開催日は6月26日、水曜日のナイトゲームですね。キックオフは午後7時。都内の自宅からカシマスタジアムまでの距離は約100km。いつもの乗り方(エアコンOFFで高速道路は定速走行)だとHonda eの最大航続距離は200km強。前日までは、満充電にしておけばなんとか帰ってこられるかな、と試算していました。

でも充電を忘れたので出発時の充電率(SOC)は70%しかありません。もうひとつの誤算は気温です。30度オーバーで終始エアコンを使うことになって、電費はガタ落ち。学校帰りの長男とガンバサポーター仲間の友人をピックアップして新木場ICから首都高速へ入ってすぐに、無充電はやっぱり無理と判明。いつどこで充電するかを考えながらクルマを走らせることになりました。

東関東自動車道をたどって、スタジアム最寄りの潮来ICで高速を降りた時にはSOCは20%台になっていました。試合開始まで時間があったので、先に充電しておこうと考えました。EV充電エネチェンジのアプリで充電器を探すと、付近に急速充電器が3基あります。コンビニの20kW、道の駅の25kW、日産ディーラーの50kW。まずは日産を目指しましたが、地元ナンバーのリーフが使用中でした。これが最初のつまずきです。

50kWで30分充電できれば復路も無充電でOKでしたが、仕方ありません。「道の駅いたこ」へ戻って、25kW器につなぎます。なかなかSOCは上がってきません。おかわり充電もできそうですが、そうすると試合開始まで余裕がなくなります。もういいや、と帰路に再充電することにして、トイレ休憩とお土産購入の間だけ充電しました。

12分で4.3kWhという、ささやかな継ぎ足しチャージ。SOCは一応42%まで回復しました。全然足りなかったのですが、お土産に求めて家族で食べた茨城産メロンはめっちゃ甘かったので、良しとしましょう。

私の場合、EVドライブで充電は行き当たりばったりということがほとんどです。充電渋滞にでくわしても、充電器の出力が低かったりしても、「どうしよう」と頭をひねることが楽しいですし、情報を収集して切り抜けることにクエスト的な喜びすら感じているのですが、今回はEVに乗るのが初めてという友人も一緒。ついつい「申し訳ない」という気持ちになってしまいます。

両チームとも勝てば首位に立つ可能性もあった試合の方は、スコアレスドローの痛み分け。ガンバサポーターとしてはやや物足りませんでしたが、ゴール裏でチャント(応援歌)を目一杯歌い倒せたので、気分は上々でした。

アテにした酒々井PAの充電器が「満」表示に……

さて問題は帰り道。スタジアム近くの民間駐車場に止めておいたクルマにまた3人で乗り込みます。乗車時のSOCは40%で、航続可能距離は90km弱。どこで充電できるか調べてみると、東関東道(上り線)の急速充電器は2カ所だけ。酒々井PAで充電するのが良さそうです。というか、ひとつ先の湾岸幕張PAまでは届きそうもありません。事実上の「選択肢はひとつ」。めざせ、酒々井PAです。

潮来ICから高速道路に乗る直前にいつものアプリ「高速充電ナビ」(e-Mobility Powerが提供する高速道路SAPAの充電スポット情報アプリ)をチェックしたところ、40kW器が1基の酒々井PAはいきなりの「満」表示でした。ただし、30分ぐらいはかかるはずなので、いま充電中でも問題ありません。PAに着いた時に空いていればいいわけですからね。

このアプリは充電開始時刻が表示されるのがいいところ。充電待ちのクルマがあるかどうかまではわかりませんが、30分間の充電時間と、こちらの到着予想時刻を照らし合わせることで、うまくいけば交替するように充電器を使うことができます。

でも今回は、先行車の充電が終わるのがちょっと早すぎました。すぐにアプリが「空」表示に。「お願いだから、そのまま空いていて!」という願いもむなしく、もうすぐ到着というところで、アプリの表示は再び「満」に。

湾岸幕張の充電開始時刻が15時台だったのは、謎です。

あちゃー。酒々井PAに向かっても充電待ちはほぼ確定……どうしましょ。PA手前の酒々井ICで降りたら、コンビニにも急速充電器があるようです。少し迷いましたが、えいやっ、と高速を出ました。

一般道に下りて急速充電器巡りをするハメに

ファミリーマートの駐車場にある充電器は空いていました。それは良かったのですが、9%まで落ちていたSOCがなかなか上がってくれません。20kW器は久しぶりだったのですが、こんなに遅かったっけ、とジリジリ。経過時間とSOCの増加率を見ていて、ふと気づきました。これって30分入れても自宅に届かないのでは……。おかわり充電してもいいのですが、効率が悪すぎます。

あわてて再検索すると、7、8キロ先のガソリンスタンドに50kW器がありました。そこでSOCが36%まで増えたところで切り上げて、2台目の充電器目指して移動開始。こんなことなら酒々井PAで充電待ちしておけば……というのは後悔先に立たずってやつなので、考えないことにします。

夜道は空いていて、ナビのおかげで迷わず到着。充電器はエネオスのガソリンスタンドの敷地内にありました。エネオスチャージプラスの50kW器です。SOC29%から順調に70%まで増えたところで、充電を切り上げて自宅へGO。佐倉ICから東関東道に乗り直し、友人を送り届けてから長男と一緒に帰宅しました。無事に帰れて良かったのですが、日付は変わっていました。

もともとHonda eの急速充電は、充電出力(受け入れ電力)の期待値が30kW程度。なので20kW器や25kW器でも構わずに充電しています。しかし、こうやって連続使用すると違いは明らか。20kW器が23分間で6.4kWhだったのに対して50kW器だと20分間で10.5kWh。マイカーの平均電費である8.8km/kWhで航続距離に換算すると、入れた電気で走れるのが約56kmに対して約92km。差はかなり大きいですね。

旅程に余裕がある時ならともかく、自宅まで充電一回で辿り着けるかどうかというシチュエーションだったので、低出力器の給電力不足を痛感したのでした。10年ぐらい前に全国各地に整備された20kW器などの急速充電網が、当時のEVユーザーを支えたと聞きます。でもバッテリー容量の大きなEVも増えていますし、90kW以上の超高速充電もポピュラーになりつつあるいま、やはり時代遅れの感は否めません。ファミリーマートのチェーン店でも最大90kW器への置き替えが進んでいるようですが、早く更新が進むといいですね。

ちょっとした回り道は楽しいけれど……

私個人としては、Honda eのバッテリー容量35.5kWh(いま実質約30kWh)に、とくに不足を感じていません。「街なかベスト」であるのは確かですけれど、遠出の際に、こうやって寄り道する(させられる)のも楽しみです。充電クエストのおかげで、東関東道の酒々井IC―佐倉IC間を一般道で走ったり、道の駅でメロンを買ったりできたわけです。

とはいえ、無充電で走るつもりだった200kmで3つの充電器に立ち寄る経路充電は、まぁ失敗ですよね。コンビニの20kW器もエネオスの50kW器も空いていたから良かったものの、そこでも充電待ちという事態もあったわけですし。同行した友人は「EVって面白いね。ありがとう」とニコニコしていましたが、きっとクソ面倒だと思ったに違いありません。いや、滅多にこんなことはないんですよ。ほんとに。

てなわけで、サッカースタジアムの駐車場にぜひ普通充電器をプリーズ、と痛感。さっそく、EV充電エネチェンジのアプリで「カシマサッカースタジアム」への充電器設置をリクエストしておきました。
(編集部注:アプリの地図画面でスポットを長押しするとリクエスト画面が表示されます)

スポーツ観戦を楽しんで、帰る時にはマイカーがしっかりチャージされているというのは、目的地充電の理想型。スタジアムによっては公共交通機関の利用が推奨されていますが、カシマのようにマイカー観戦のほうが便利な場所もあります。Jリーグのみなさま、スタジアムへのEV用充電器設置も、ぜひご検討ください。

私のHonda e(2021/4/29~2024/7/16)

総走行距離 5万8037km
平均電費 8.8km/kWh
累計充電回数 急速409回、普通108回

取材・文/篠原知存

この記事のコメント(新着順)2件

  1. おはようございます。
    今更ながらですが、普通充電・急速充電の回数をしっかりカウントされててびっくりしました。

    もう10年近くになるうちのリーフも数えておけば良かった。
    (とはいえ、ZESP,ZESP2の恩恵?制約?で急速ばかりでしたが。)

    24リーフをe+化して実感としてありますが、充電スピードは遅くとも容量が多いとずっと入り続けるので、大分楽になります。まだあと10年は乗りたいと思ってますw

    1. ねもさん
      コメントありがとうございます!
      Honda eに乗り始めてすぐ、
      EV周辺のことがいろいろ面白くて原稿を書き始めたので、
      たまたま記録していました。ご参考になれば幸いです。

      バッテリー換装は小容量車のあこがれです。
      ぜひぜひ末長く乗り続けてください!

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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