EVライフを「ベンツの認定中古車」でお得にスタート/保証充実&充電半年無料!

メルセデス・ベンツ日本が電気自動車向け充電サービス「Mercedes me Charge」6か月無料提供など、「認定中古車プログラム」の拡充を発表しました。EV人気が今ひとつの日本だからこそ、高級EVの中古車が狙い目では? を確かめてみたレポートです。

EVライフを「ベンツの認定中古車」でお得にスタート/保証充実&充電半年無料!

※冒頭写真はメルセデス・ベンツEQS。

距離無制限で全車2年保証へ

2024年5月27日、メルセデス・ベンツ日本(以下、MBJ)が認定中古車プログラムの拡充を発表した。パワートレインに制限はなく、すべての認定中古車に適応されるプログラムだが、BEVはさらに充電サービスが半年間無料になる。中古車の購入に対する不安は最小限に、安心感は最大限に高めてくれる同プログラムの詳細と、メルセデス・ベンツ製BEV中古車の相場の実態を確かめてみた。

まずは、プログラムの内容を整理しておこう。MBJの認定中古車プログラムの保証期間は、これまでは年式や走行距離に応じて1年間か2年間だったが、2024年6月から「初度登録から10年未満の車両はすべて、走行距離無制限で2年保証」に拡大された。BEVは、全車種がまだ発売から10年以内なので、「走行距離無制限で2年保証」の対象になる。

そもそも、認定中古車プログラムは、「メルセデス独自の厳しい基準をクリアした高品質な中古車」、かつ最大100項目の点検・整備が実施された車両であることが前提となる。万が一のトラブルの際も、全国200拠点以上でのサービスネットワークに加えて、24時間体制のツーリングサポート(トラブル現場での応急処置や牽引など)も無料で付帯する。車両代金の支払方法はスタンダードローンに加えて、月々の支払い額を抑えられるユーズドカー・ウェルカムプラン(残価設定型ローン)も選択可能だ。

EQSセダンの透視図。

中古BEVで最も気になる駆動用バッテリーについては、メルセデス・ベンツ指定サービス工場(正規ディーラー)で専用診断機による点検を実施、バッテリー残容量(SOH)が70%に満たないと診断された場合は保証対象になる。保証対象のバッテリーは、新品部品もしくはMBJではリマン品(remanufactured)と呼ばれるリビルト部品に交換される。もちろんリマン品は性能上の問題はなく、交換後も保証は該当期間内にて有効だ。

駆動用バッテリー以外にも、モーター、AC/DCコンバーター、電動AC(エア・コンプレッサー)などのBEV関連項目も専用診断機により点検され、何か問題があれば修理や調整する対応が取られるので安心できる。

「Mercedes me Charge」で半年間電気代無料

さらに、MBJの充電サービス「Mercedes me Charge」の急速・普通充電器併用プランが6ヶ月間無料で提供される(PHEVは対象外、以下の価格はすべて税込)。このプランは月額基本料金が5,720円、急速充電が16.5円/分、普通充電は0円/分だ。月額基本料金だけでも6カ月分の34,320円が無料になるということだ。

しかも、急速充電は利用する回数や時間に上限なく、6ヶ月間の期間中はずっと無料。普通充電はもともと無料なので、この半年間はMercedes me Chargeによる充電はすべて無料になる。

Mercedes me Chargeは、e-Mobility Power(eMP)ネットワークの全国2万2000口以上(2024年3月末現在)の充電器に対応しているので心強い。高速道路のSAPAはもちろん、道の駅やガソリンスタンド、宿泊施設、ゴルフ場など、eMPネットワークに提携している多くの充電器で利用できる。

この無料期間で、自身のBEVでの走行距離や使い方がある程度確立するだろう。それによって、半年後にMercedes me Chargeを延長するか、e-Mobility Powerに切り替えるかなどの判断ができる。もしくは自宅で普通充電ができ、あまり頻繁に遠出しないという方は、充電サービスは契約せずに、都度のビジター料金での充電(関連記事)としてトータルコストを抑えるという選択もできる。

なお、認定中古車ではないメルセデス・ベンツ車(BEV、PHEV)を購入した場合でも最寄りのメルセデス・ベンツ正規ディーラーで申し込めばMercedes me Chargeに加入できる。

EQA

新車価格から半額のモデルも!

現在、日本で販売されているメルセデスのBEVは、EQA、EQB、EQC、EQEセダン、EQE SUV、EQSセダン、EQS SUVの7車種だ。各車種の相場を、認定中古車検索サイトとカーセンサーで調べると下記のようになった。

発売年月確認サイト掲載台数支払総額
(万円)
新車価格
(万円)
下限支払総額
との比較
下限上限
EQA2021年4月認定中古車3742967764067%
カーセンサー6340066863%
EQB2022年7月認定中古車7446165482256%
カーセンサー9639867948%
EQC2019年7月認定中古車2153571999154%
カーセンサー3942479843%
EQE
セダン
2022年9月認定中古車576441,4991,25151%
カーセンサー4961495949%
EQE
SUV
2023年8月認定中古車69901,1741,36972%
カーセンサー71,0441,17976%
EQS
セダン
2022年9月認定中古車448211,5781,56353%
カーセンサー617281,59947%
EQS SUV
450
2023年5月認定中古車31,2361,2721,54280%
カーセンサー71,1961,31478%
EQS SUV
580
2023年5月認定中古車21,5851,6141,99979%
カーセンサー31,5851,61479%
※ 新車価格について:EQAにまだ250+の在庫はなかったので250の640万円。EQBは250の価格。EQCは2022年9月モデル。EQEセダンは2023年4月モデル。
※ EQS SUVは450と580で新車価格に457万円と大きな差があるので、分けている。
※ 検索結果は5月30日時点。

各車種の支払総額の下限と新車価格を比較すると、2019年発売とブランド初のBEVとして投入されたEQCと並んで、EQBとEQEセダン、EQSセダンの4車種が50%前後と半額になっている。EQAは65%ほど、EQE SUVは75%ほど、EQS SUVは80%ほどで、EQEとEQSシリーズをボディタイプでみても、セダンとSUVでくっきり差が出ている。

EQE SUV

認定中古車は大半がカーセンサーにも掲載されているので、掲載台数自体はカーセンサーの方が多い(EQEセダンを除く)。支払総額は、カーセンサーでヒットする認定中古車以外の車両が圧倒的に安いのではと想像したが、意外にそうでもなかった。

カーセンサーで認定中古車以外の車両の保証を見てみると、初回車検の期間まで走行距離無制限の店舗もあれば、購入から3ヶ月、走行距離3,000kmまでの店舗もあったりと、その内容はまちまちだった。

それならば、全車が距離無制限で2年保証の認定中古車の方が安心だ。よほどこれまでに付き合いがあって信頼のおける店舗がある方はそちらでもいいかもしれない。メルセデスの認定ではない中古車(エンジン車)を購入した筆者の知人は、その店舗が用意する手厚い保証プログラムに10万円で加入したそうだ。

2022年以前のEQCは急速充電性能に注意

メルセデス・ベンツの高級電気自動車生活を始めるのに、購入のハードルが低く、保証面でも安心できるMBJの認定中古車だが、EQCを選ぶ場合は気をつけたいことがある。

EQCは2019年7月の発売からこれまでに3回マイナーチェンジが行われた。2回目である2022年1月には急速充電性能が50kWから110kWへと大幅に引き上げられた(関連記事)。EQCの駆動用バッテリー容量は80kWhなので、仮にSOC 0%からだと50kWでの充電では30分を3回行っても満充電にできない。110kWなら1回で50%程度の充電ができる性能だ。

EQC

モーターの種類にも注目したい。発売が早かったEQCとEQA(250)には交流誘導電動機(非同期モーター)が搭載されている。現在主流の交流同期電動機(同期モーター)と比較すると電費が悪いため、航続距離が短い。EQAは2024年4月に新型の「EQA 250 +」に生まれ変わった(関連記事)のを機に、モーターを交流同期電動機に更新した。下記の表の航続距離を比較してもらえば、その効果は一目瞭然だ。

モーター種類バッテリー容量
kWh
航続距離
km
電費
km/kWh
EQC交流誘導電動機804005.0
EQA 25066.54106.2
EQA 250 +交流同期電動機70.55918.4

ただし、自宅で充電ができて、近所しか乗らないという人には、EQCの初期モデルやEQA 250でも「メルセデス・ベンツブランドの静かで速い電気自動車」を所有できるという価値があることは間違いない。

現在のメルセデスBEVラインナップで交流誘導電動機を搭載しているのは、EQBのAWDモデル「EQB 350 4MATIC」のフロントモーターとEQCのみだ。

EQB

なお、AWDのEQE SUVのフロントモーターには、減速時に回生よりも効率の良いコースティングにするためのディスコネクトユニットを搭載し、航続距離伸長を図るなど、メルセデスは性能向上にあくなき姿勢を示している。

高年式の高級中古BEVは魅力的な選択肢

昨今、「EVは販売台数が減速」「HEVが見直されている」などといったニュースをよく目にするが、中長期的な視点では、PHEVを含めて電動車が増えていくことは間違いないだろう。今後はPHEVもモーター走行領域を増やして、よりBEVの性格が強くなる傾向だ。

そういった風潮もあり、もともとEVシェアの低い日本でのEV販売と中古EVの価格が、メルセデス・ベンツ製であっても、モデルによっては半額近くまで下がっている現実があると確認できた。

もし自分でEQEセダンやEQSセダンを新車で買って1年半で価値が半減してしまったら、確かに衝撃を覚える。ただし視点を変えて中古として買う場合、EQA 250 +の新車を、CEV補助金を使って購入する場合(686万円)と同等の価格でEQEセダン(644万円〜)が、同じくEQB 350を補助金購入(841万円)と同等の価格でEQSセダン(821万円〜)に手が届くのは、(駐車場問題などは別として)とても魅力的ではないだろうか。

EQEセダン

ICEではGLBの新車価格(638〜916万円)で、現行の中古Sクラス(登録から2年以内の認定中古車で最安は1,014万円)は買えない。残価設定型ローンであれば、リセールバリューの心配も最小限にできる。

PHEVとともに電動車としてBEVの価値が見直される未来が来るとすれば、中古BEVの価格は現在が「底」なのかもしれない。中古車の場合、新車という条件がある国のCEV補助金を受けることはできないが、現在の中古EV相場は魅力的だ。BEVの購入を考えている方は、安心の保証内容で、充電も半年無料になるMBJの認定中古車も候補に加えてみてはいかがだろうか。

最後に、MBJの認定中古車プログラムについて、詳細に教えていただいた担当者さんの声を紹介しておく。

●車齢を重ねたからこそわかる、メルセデス・ベンツの魅力である耐久性を、2年間の安心とともに、じっくりと味わっていただける。
●保証期間内は必ず正規販売店で整備されるため、車齢やマイレージを重ねても、きちんと整備された車両が多く流通することになり、お客様に良質な認定中古車の選択肢が増える。
●幅広いお客様に、正規販売店での質の高いサービスを体感いただける機会が増える。
●メルセデス・ベンツとしてのみならず、電気自動車へのファーストアプローチとして、充電の不安なく、(新車より)お求めやすい中古車から始めていただける。
●車検ごとに乗り換えるお客様には、幅広い車齢のモデルで常に保証が効いた状態でお乗りいただける。
●認定中古車の対象・保証内容が充実することにより、新車のご購入のお客様にも再販する際の価値向上によるメリットがある。

文/烏山 大輔

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					烏山大輔

烏山大輔

1982年生まれ、長崎県出身。高校生の時にゲームソフト「グランツーリスモ」でクルマに目覚め、 自動車整備専門学校を卒業後は整備士、板金塗装工、自動車カタログ制作、 自動車雑誌カーグラフィック制作、ALPINA総輸入代理店のNICOLEで広報・ マーケティングと一貫してクルマに関わる仕事に従事。 現在の所有車はインテグラ・タイプR、ハイゼットとガソリン車のみだが、BEVにもFCEVにもとても興味を持っている。

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