「日産アリア全国オーナーズミーティング」レポート/124台が富士山麓に大集結

日産アリアオーナーズクラブジャパンが2024年7月21日(日)、山梨県鳴沢村で「日産アリア全国オーナーズミーティング」を開催しました。各地からアリア124台が集まって大盛況だったイベントの様子をお伝えします。

「日産アリア全国オーナーズミーティング」レポート/124台が富士山麓に大集結

昨年に続き2回目の開催

会場となったのは、富士山麓にあるスキー場「ふじてんスノーリゾート」です。夏季はMTBやサマーゲレンデなどアウトドアスポーツの施設として営業中。その駐車場のひとつを借り切って、日産アリア全国オーナーズミーティングが開かれました。

写真提供/日産アリアオーナーズクラブジャパン

日産アリアオーナーズクラブジャパン(以下AOCJ)は昨年9月に同じ場所で第1回となる全国ミーティングを開きました。EVsmartブログの記事でもお伝えしましたが、その時は「日産EVオーナーズミーティング」という呼称でした。

昨年の開催時は、アリアを予約注文したものの納車待ちという人が多かったそうです。そこで、乗り換え待ちの人などを想定してリーフやサクラにも門戸を開放。そんな状況でも100台以上のアリアが集まったのですが、第2回となる今回、さらに参加台数を増やして、予定していた名称で開催できたということですね。

開始時間が近付くにつれ、会場になった第3パーキングに続々とアリアが集まってきます。街でもよく見かけるようになってきたアリアですが、これだけ集まると壮観です。

気が利いていたのは誘導スタッフの皆さんでした。ピタッと鼻先が揃うように、細かく駐車位置を指示していきます。「もう少しバックお願いしま~す……もう、ちょい。はいOK!」てな感じ。このひと手間が、映える写真のためにはすごく大事。オーナーの皆さんも合点承知で、「ありがとう」とニコニコ顔です。

広い駐車場がアリアで埋め尽くされているのは、参加者だけが楽しめる貴重な光景。晴天にも恵まれ、写真日和になったのはなによりでした。

日産本社からアリア担当者なども参加

イベントは11時に開幕。AOCJ会長のジャストミート近藤さんとユーチューバーのEV Life Japanさんが、ミーティングの開会を告げ、マイクを手に会場にブースを構えている協賛企業を紹介していきます。フードトラックも来ていて、ランチも会場で済ませられるようになっていました。

特筆すべきなのは、今回、日産自動車本社のアリア担当者が参加していたことでしょう。日本マーケティング本部のチーフマーケティングマネージャー(SUV車種担当)である寺西章さんがマイクを握って、オーナーからの質問に答える時間がありました。

「B6グレードにバッテリーヒーターはついていますか?」
「ディーラーへの大出力充電器の導入時期は?」
「ロールが大きいという声は届いていますか?」
などなど……、オーナーが気になっているポイントの質疑応答が続き、かなり盛り上がる一幕となりました。

日産からは、寺西さん以外にも開発担当者やオンライン情報提供サービス「NissanConnect」をアピールするスタッフなども参加。会場のあちこちでオーナーと対話をしていました。自分が乗っているクルマの作り手と話ができるのはうれしいですよね。オーナーには貴重な体験になったことでしょう。ミーティング参加報告については、日産EVサイトの公式ブログでも紹介される予定とのこと。

寺西さんのマイカーは赤いリーフ。北海道に勤務していたとき、EVは雪国でも大丈夫だと自ら証明するために購入したそうです。EV愛を感じます。

「参加できてうれしい限りです。このミーティングのことは去年から知っていました。まずは納車が遅れたことをお詫びしたかったですし、それでもアリアを愛し続けてくださってるみなさんにお会いできて、お話しができたのはほんとうによかった。日産ファンを増やすことにつながるので、お声がけいただければ、今後もできることをやっていきたいと思っています」(寺西さん)

多彩な出展ブースが並んでいました!

さて今回、アリアオーナーの声については別記事でまとめることになったので、私はイベントを盛り上げていた企業や業者さんのことを紹介したいと思います。

【関連記事】
EVの魅力って何?「日産アリア全国ミーティング」で参加したオーナーに聞いてみました(2024年7月30日)

ミーティングの最大の魅力が、オーナー同士のコミュニケーションにあるのは言うまでもありません。ただいろいろと新たな発見があるので、協賛企業のブースを見て回ることも楽しみです。今回の会場にはEV充電サービス、車体ラッピング、コンサルティング会社、天然石アクセサリーなど13の企業や業者が並んでいました。

カーラッピングのフィルムを扱うNKD JAPANのブースで、PPF事業推進グループの山本雄司さんがイマドキのカーラッピング事情について教えてくれました。車体を塗装するのではなく、フィルムを貼ってイメチェンするカスタマイズです。「高級車向けの商品と思われていますが、もっと幅広い層に広めたい」と出展したそうです。フルラッピングされたEV Life Japanさんのアリアが、展示車代わり。塗装なのかフィルムなのか、近くで見ても、素人には見分けがつきません。

業界には、この数年で大きな技術革新があったのだとか。それまで色付きはPVC(塩ビ)製品が定番だったのが、透明だったポリウレタン製のペイントプロテクションフィルム(PPF)がカラー化。黄変も大幅に抑えられるようになったそうです。同社の「NKODA(ナコダ)」という製品は、「生産する段階でもVOC(揮発性有機化合物)を作らないので、環境に配慮したEVユーザーに訴求できると考えています」とのこと。

施工業者によって価格差があるそうですが、アリア1台を加工して100万円~200万円。車体全部となると気軽に試せる価格ではないものの、ヘッドライトに透明PPFを施工して黄変を防ぐなど、部分的なラッピングもできます。一気にマーケットが広がる可能性もある、というのが山本さんの見立てです。

「アメリカでは今年、テスラがサイバートラックに純正オプションとしてラッピングを採用しましたし、中国では1年間の施工台数が500万台に達しています。日本でもいずれ常識になっていくと思いますよ」

EVには欠かせない充電サービス会社のブースも並んでいました。

最大180kWの急速充電器「FLASH」を運営するテンフィールズファクトリーについては、テスラ用のNACSケーブルを搭載した急速充電器のリポートを先日EVネイティブさんが当ブログで紹介したばかりですね。

この日は、充電器をマップで検索できるアプリ「EVナビ」をリリースしたことを告知していました。CEOの市川裕さんが「アプリのマップに掲載している情報は、自分たちの充電器だけでなく、全国の充電器網の約8割をカバーしています。EVユーザーが必要とする情報をマップ上で確認できるようにデザインしました」とアピールしていました。

日本で初めて従量課金制の急速充電器を導入し、設置を進めているグリーンチャージは、来場者にドリンクを無料配布。時間課金から従量課金に移行することのメリットを訴えていました。車種や状況によって充電電力量に違いがあるのに時間単位で一律料金というのは、納得しにくいポイント。従量制の導入はEVユーザーの多くが待望しているところでは。

同社のサービスは、会員カードやアプリを必要とせず、クレジットカードとQRコードで決済できるという手軽さと、設置者が充電料金を決められて収益性が高いのも特徴だそうです。現在稼働しているのは14カ所ですが、道の駅への大規模な設置計画が進んでいて、年内に100カ所への設置を目指しているとか。うかつにも利用経験がなかったのですが、使ってみてレポートをお届けしたいと思います。

充電無料キャンペーンで話題のPower Xも注目の的でした。低圧電力契約での接続が可能な蓄電池を使って、最大150kWの超急速充電が可能で、充電時間は最大60分で予約もできて、太陽光発電による「純再エネ」……などなど、画期的な充電サービスを実現しています。しかもデザインがかっこいい。EVユーザーが頷ける要素を「全部盛り」といった感じ。

全国で稼働している公共充電器はそれほど多くありませんが、アウディ・ジャパンと提携してディーラーに設置も進行中。タクシー会社などにも導入されているので、これから見かける機会も増えそう。無料キャンペーンもまだ続いているので、ぜひ一度トライしてみてください。

全国に普通充電網を展開しているエネチェンジは、充電出力や、新たにスタートしたEV充電定額プラン「エネチェンジパスポート」についてのアンケートを実施していました。EV関係のイベントやミーティング会場では、アンケート回答者に抽選でエネチェンジグッズをプレゼントするのが恒例になっています。今回は新グッズとしてマグカップが登場していました。

基礎充電を中心にビジネスを展開するユアスタンドは、1.2kWから8kWまで手軽に出力が変更できる普通充電器「Wallbox PULSAR PLUS」の利便性をアピールしていました。1.2kWのような低出力にニーズはあるの?と思えるのですが、バッテリー容量が小さいEVで、契約電力を上げたくない場合などに、いい選択肢になるようです。こちらもアンケートを実施していて、回答者はカー用品のくじ引きを楽しんでいました。

改めてこうして眺めてみると、本当にいろいろな充電サービス会社が登場していることを実感できます。それぞれに特徴があって、独自の戦略で普及拡大に取り組んでいることもわかります。楽しいEVライフのためには、充電インフラの充実が欠かせません。みなさんにがんばってほしいところです。

充電器周辺のグルメ情報を共有するコミュニティーサイト「EVごはん」と充電スポット検索アプリ「おでかけEV」は、共同でブースを構えていました。6月から「おでかけEV」内で、現在地や目的地の周辺で投稿された「EVごはん」の情報を表示したり、新規で投稿できるようになったのです。

石井啓介さん(EVごはん)と加藤謙二さん(おでかけEV)は「お互いにメーカー系などではなかったことと、充電時間を楽しくしよう、EVライフを充実させよう、という思いが一致しました」とコラボについて解説。ユーチューバーのミヤタネットさんもお手伝いに駆けつけて、来場者にアプリのダウンロードを勧めていました。

他にもいろいろ。写真とともに紹介します。

Bell Energyは給電車両のMESTAを展示して「電気の宅配便」をアピール。
コンサルティング会社のJ.D. POWERは公共充電設備に関する調査を実施。
BLITZは車高調キットなどアリア用のアフターパーツを展示していました。
テスラのパワーウォールと耐久性抜群の太陽光パネルを展示していたSIソーラー。
天然石のアクセサリーを販売していた丹羽さん夫妻。AOCJのオリジナルグッズも製作中だそうです.

オーナー仲間がつながっていくのが楽しい!

という具合に、ブースを回ってお話を聞いたり、ばったり出会った知人と近況報告を交わしたりしているうちに、あっという間に時間は過ぎていきます。盛り上がったビンゴ大会なども終了して、オーナーのみなさんは「また会いましょうね」と名残惜しげに会場を後に。アリアに埋め尽くされていた駐車場がガランとしてきたところで、AOCJ会長のジャストミート近藤さんに、感想を聞きました。

「去年から参加台数も増えてくれましたし、運営としても去年よりはスムーズに対応できたのかな、と思います。もちろん今後も続けていきますよ」

普段からLINEなどを通じてメンバー同士が情報交換をしているAOCJは、この全国ミーティングだけでなく、関西や関東、中国などでもそれぞれにミーティングを開いています。コミュニケーションが活発なことがうかがえます。去年は「新しい出会いが素敵」と話していたジャストミート近藤さんでしたが、今年はこんな言葉がありました。

「なんなら、来てくれたオーナー全員、顔と名前が一致するところまでやりたいですね(笑)。じつは自分のことよりも、みんながつながっていくのを見るほうが楽しかったりします」

オーナーズクラブって、そういうものなのかもしれません。今年も楽しませていただいて、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

取材・文/篠原知存

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

執筆した記事