テスラモデルS(電気自動車)で冬の長距離走行

11月に大阪・京都に行ってきましたが、12月初旬には名古屋経由で岐阜県の下呂温泉まで行ってきました。現地は初雪となり、朝には車にも10cmくらい雪が積もりました。気温は約0度前後、電気自動車には一般的に厳しいと言われている状況ですが、旅行中特に何の問題もありませんでした。
充電計画の立て方などについては前回の記事を参考にしていただくとして、本記事では冬の旅行がどのように影響するか、ご紹介していきたいと思います。

テスラモデルS(電気自動車)で冬の長距離走行

出発は15:05、ほぼレンジチャージ(満タン充電)で標準値は383kmスタートでした。東京から新東名を経由して名古屋に向かいます。前席のシートヒーターはON、エアコンは22℃設定でつけっぱなしです。充電は通常だと浜松SAになりますが、新東名浜松方面で事故の情報があり、急いで行くと渋滞に追いついてしまいそうだったため、一つ早目の静岡SAで休憩。17:03到着、178kmを電費221Wh/kmで走行しました。前回新東名では東京→浜松SAで203Wh/kmだったので、エアコンの影響はおおよそ9%弱だったことに。まあ静岡SAで気温16℃でしたので、そもそも寒いというほどではないです。静岡SAでは45分間充電し、標準値は175km→339kmに回復。17:48に名古屋に向けて出発です。充電料金は2セッションなので1080円。
総走行距離は354km,平均電費は222Wh/kmでした。気温は10℃まで下がりました。
翌日は下呂まで140kmなので少し追加充電が必要だったのと、標高が上がり気温も下がることが予測されていたので、翌朝、予め見つけておいた日産レンタカー広小路栄店で充電。充電は30分までとのことでしたが、何とか1時間お願いし、標準値は127→325まで回復しました。多くの充電スポットが30分までかつその場にいることを要求される中で、ここのように短時間であれば車を離れられる充電スポットは貴重です。なおここの充電料金は現金払いで1回540円とのことで、1時間なので1080円以上を支払うという要望をしたのですが、540円しか受け取ってもらえませんでした。

その後ホテルで朝食を食べてから名古屋を観光し、夕方になってから下呂に向けて出発しました。下呂着は18:52、名古屋からは139kmを走行し、名古屋→下呂の標準値は325→155、平均電費は233Wh/kmと、秋の新東名に比べると約15%弱下がっています。到着時の気温は約4℃でした。下呂温泉合掌村の急速充電器少し時間があったので、近くの「下呂温泉合掌村」という博物館のようなところの急速充電器を試すことにしました。下呂温泉で唯一の急速充電器です。ここからの帰りのコースは名古屋に戻る(新東名コース)にしても中津川(中央道コース)に向かうにしても、下りなので特段充電しておく必要はないのですが、ついでに充電しておけば帰りの充電時間が節約できるというわけです。しかしここの日産製の急速充電器はテスラモデルSと相性が悪いようで、5回充電しようとしましたが、毎回エラーで数分しか充電できませんでした。そうこうしているうちに天気は雪に変わり、旅館に戻りました。

最終日、朝起きると車に雪が10cm積もっています!車内温度をスマホで確認するとマイナス1℃。取りあえず朝食を食べ、出発の20分前にエアコンをONにし、窓の雪を溶かしておきます。駐車場に行ったらまずは高いところから、屋根の雪をトランクの方へ落とし、トランクの雪を同様に車の後方に落とします。ボンネットの雪はしょうがないので車の横に落とし、スコップを借りて車の前の雪を除けて出発です。雪を車の横に落とすとドアが開かなくなりますし、車の前に前に落とすとその雪をまた自分でスコップで除けないといけません(笑)ので、雪の降ろし方はポイントですね。
下呂温泉と言えばやはり合掌村の観光です。ここは白川郷にある重要文化財を含む合掌造りの建物が10棟移築されてきており、建物だけでなく当時の生活を体験したり食事・みやげ物などもあります。昨日充電のためだけに行ったわけですが、今回はちゃんと(!?)観光のついでに充電します。昨日5回失敗したのであまり期待はしていませんでしたが、充電器に接続すると低速ながら充電できています。バッテリー温度が非常に低いので、最初はバッテリーヒーターが作動し、バッテリーを温めながらだんだんとフルスピードになっていきます。しかし最初の数分でやはりエラーで止まってしまいました。再度接続して放置、30分後スマホで確認してみるとなんと今度は30分フルに充電できていました。気まぐれな感じですが、日産の充電器はテスラだとエラーが多い印象です。そして、エラーになっても少しずつは充電できることが多いので、緊急時は何度も試すことにより、何とかなると思います。今回はもう少し時間があったので、その後充電をもう1回開始して、途中でやめて出発しました。昨日も含めると充電合計8回(そのうち成功1回)で標準値は155→333まで回復しました。充電器の運営会社であるジャパンチャージネットワークのコールセンターに電話し、トータルとしての電力量は2回分に満たず、そのうち成功したのは1回だけであること、最後の1回は自分の判断で中断したので、前日分として1回、当日分として2回、計3回の課金にしていただけることを確認しました。なので充電料金は540×3の1620円です。

路面状況は融雪剤のおかげで特に問題なく、一部日陰にシャーベット状の雪が残るくらいだったので、帰りは中津川インターチェンジから中央道経由で帰宅することにしました。朝食の量がかなりあったので、下呂でちょっとコーヒーを飲んでから13:08に下呂温泉を出発し、中津川までの間にある宿場町、馬籠宿(まごめじゅく)でランチ休憩、14:38着で標準値は333→245になりました。15:40に馬籠宿を出発、中津川インターチェンジで中央道上りへ。

下呂を出発前に充電しておいたおかけで中央道駒ケ岳SA上りをスキップし、次の諏訪湖SA上りで休憩することにしました。到着は17:07、標準値は245→65に。下呂温泉からは馬籠宿を経由して計200km走行、諏訪湖までは結果としてかなり標高が上がるため、電費は区間最低の253Wh/kmに。秋の新東名と比べると、25%弱悪化しています。諏訪湖SA上りでは再び別の問題発生。ここの急速充電器は出力50kWなのですが、フルパワー125Aのところ107Aしか出ておらず、止まってしまうということはないものの、充電時間が伸びてしまいました。想像ですが、テストされていない車種の場合はフルパワーが出ないようになっているのかも!?原因ははっきりとは分かりませんが、結果として充電器の占有時間が増え他の方にも迷惑ですので、直していただけると嬉しいところですね。気温は0℃、1時間以上走ってきたにも関わらずバッテリーヒーターが入り、最初は340V 91A(30kW)から充電がスタート。だんだんと出力が上がり、しばらくして107Aで頭打ちになってしまいました。

結局諏訪湖SA上りでいろいろ買い物もしてしまい、70分後の18:17に標準値281kmで諏訪湖SA上りを出ました。東京に入ってからせっかくなので(!?)グランドハイアット東京スーパーチャージャーに寄っていこうということになり、21:13に標準値36kmでグランドハイアットに到着しました。この区間の電費は下りということもあり207Wh/km。到着時の六本木の気温は10℃でした。またバッテリーが冷えてしまったのか、スーパーチャージャーでは52kWから充電がスタート(フルパワーは120kW)しました。10分ほど滞在してすぐ帰宅しました。

TRIP Aが今回の走行データです今回の旅行をまとめます。総走行距離916km、消費電力210kWh(家庭の昼間電気代換算6300円)、平均電費229Wh/kmで、行きと帰りを通算すると今回は秋と比べて13%電費が悪い結果となりました。また実際に払った電気代は往復で1080+540+1620+1620=4860円でした。ガソリンで走ったと仮定してリッター140円で換算すると、4860/140=34.7リットル。ガソリン換算燃費は916/34.7=26.4km/lでした。

よく言われていることですが、テスラでは冬は30%の余裕を見るのが安全のポイント。行きたい距離に1.3を掛けて、現在表示されている標準値より多かったら、途中充電が必要ということになります。

参考までに、今回の旅行データをまとめておきます。

1日時出発地到着時刻到着地走行可能距離実走行距離消費電力電費
212/5 15:05東京17:03新東名静岡SA下り175km178km39.3kWh221Wh/km
317:03(充電)17:48(充電)339km
417:48新東名静岡SA下り19:48名古屋137km176km39.5kWh224Wh/km
512/5 8:40(充電)9:40(充電)325km
617:00名古屋18:52下呂温泉155km139km32.5kWh233Wh/km
712/6 11:01(充電)12:20(充電)333km
813:08下呂温泉17:07諏訪湖SA上り65km200km50.5kWh253Wh/km
917:07(充電)18:17(充電)281km
1018:17諏訪湖SA上り21:13グランドハイアット東京36km216km44.7kWh207Wh/km

この記事のコメント(新着順)5件

  1. こんにちは!私たちも12月下旬、東京からテスラモデルSで白川郷と下呂温泉に2泊で行きました。充電プランは立てて行ったのですが、無料充電をメインに考えたので道の駅が頼り。かなり節電モードでしたので、4人でしたが後ろの二人はちょっと寒かったようです。
    うちはテスラで推奨のチェーンを買って付けてみました。でも多少の雪ならノーマルタイヤでもトラクションコントロールのお陰で問題ありませんね。

    1. きらら様、コメントありがとうございます。なるほど、確かに道の駅をはしごして行けば、完全に無料電力だけで移動できますね。それも一つの旅のスタイル。いろんな道の駅でいろいろ面白いものに出会えたりするので、ゲーム感覚で行けるかも。チェーンの情報もありがとうございました。

  2. いつも楽しみに拝見しています。

    質問ですが、下呂温泉の旅、スノータイヤ装着だったのでしょうか?
    また、ノーマルタイヤだった場合に 急に雪降ってちょっとした斜面で身動きができなくなってる ベンツ等みたいな感じになっちゃうのでしょうか?

    1. コメントありがとうございます。今回は降らないと思っていたのと、ほとんど国道走行の予定でしたのでノーマルでした。融雪剤ありですので、この程度の雪の場合はノーマルでも何とかなりました。もちろん現在はスタッドレスタイヤを装着しています。
      面白いのは、トラクションコントロールが非常によく効くことです。ちょっとでも滑るとすぐ介入。そしてそれがもの凄く高速で介入してくるので、何か不思議な感じがするほどです。いつか完全な雪道も試してみたいと思いますが、案外普通の前輪駆動車と同じくらい安定しているのではないでしょうか?

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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