テスラモデルX(電気自動車)で四万温泉

2017年12月1日から3日でまたまた四万温泉にモデルXで行ってきました。今回は充電計画なし。ぶらっと行くとどうなるか、を報告します。東京から170km、往復は340kmになります。

テスラモデルX(電気自動車)で四万温泉

なぜ四万温泉なのか!?と思う方も多いかと思います。実は四万温泉は中之条町にあり、あのふるさと納税で高額還元50%だったところです。10万円納税すると感謝券が5万円分返ってくる。残念ながら10月より還元率が30%に下げられてしまいました。しかし私は中之条町を応援します。何といっても、ここの感謝券は「町内どこでも」使えちゃうのです。旅館・ホテルだけでなくカフェや売店などまで。どうやって町内を説得したのか疑問なくらい。町役場の方のご苦労がよく分かります。しかし経済効果はそれなりに大きいのではないかと想像します。

モデルX P100Dフル充電
モデルX P100Dフル充電

さて本題に戻って、今回は前日に満充電を行いました。その時の航続距離は433km。これはテスラが決めている「標準値」と呼ばれる数値で、モデルX P100Dでは229Wh/kmくらいの電費を想定しているようです。ちなみにこの車両のEPA航続距離すなわち、米国基準での航続距離は289マイル=465kmで、EPAを達成する想定電費は342Wh/mi=213Wh/kmです。すなわち、日本バージョンの車両の標準値はEPAよりもう少し保守的に低めに設定されているということになります。今回の旅行は冬になりますので気温が低く、暖房を全行程で23℃設定で使用しましたから、それによって実際にはもっと航続距離は減少することになります。なお当然のことですがこの標準値はテスラのモデルやグレードによってすべて異なります。

2017/12/1 1:46pm出発
2017/12/1 1:46pm出発

12/1当日は東京でお昼を食べてから1:46pmに出発。渋川伊香保ICで高速を降りてから、途中の道の駅で少し休憩しましたが充電はせず、現地到着は5:05pmとちょっと遅くなってしまいました。写真のトリップAが消費したエネルギーになりますが、170kmのところ220km走行しているのは空港に家族を迎えに行ったりした分です。おおよそ60.8kWhの電力量を使って、電費は276Wh/km=3.62km/kWhでした。到着時の気温は5℃、標高は700m超くらいですから、仮に車両総重量(車と人と荷物全部)を2.7tとすると、2,700[kg] x 9.8[m/s2] x 700[m] = 18.5MJ(メガジュール)= 5.1kWhが位置エネルギーのために使われたということになります。それを引くと平地ベースでの電費は (60.8 – 5.1) x 1,000 / 220.6 = 252Wh/km。まあだいたい4km/kWhということで、前回の山形とあまり変わらないということになります。

2017/12/1 5:06pm到着
2017/12/1 5:06pm到着

5:06pm現地到着で航続距離残は142km。坂を下ると当然戻ってきますが充電しないと家に帰ることはできません。今回の宿は再び「四万温泉 つるや公式サイト)」さん。人によって評価のポイントはいろいろだと思いますが、泊まり慣れている方にはよい宿だと思います。特に食事はおすすめ。一泊目は取りあえずチェックイン時に充電器に接続し、充電スタートしてからゆっくりします。

一泊目の食事です。地元の食材を使ったもので、かなり手が込んでいるんですが、さっぱりと食べられます。今回も追加なしで標準メニューのみ。
メインはお肉ですね。
最後にお食事が出るわけですが、その時に小さ目のお魚料理が付いてきます。これは案外嬉しいです。何か本格的な懐石になればなるほど、最後はごはんと味噌汁と香の物だけということが多くて、自分としてはちょっとだけ寂しいと感じてしまいます。
朝食もこんな感じで超充実。ちまきに見える笹の葉に包まれた謎のモノは何と超大粒の納豆でした。

2017/12/2 9:49am朝
2017/12/2 9:49am朝

二日目の朝、さっそく出かけようと充電器を切り離した時点の画面がこちら。気温1℃、航続距離残は340km=おおよそ79%(340/433×100)=おおよそ77.9kWh(340×229/1000)くらいです。さすがに3kWの普通充電器では一晩では満タンにはなりません。満タンにする必要もないんです。今回ここに来る時に使った電力量は60.8kWhだったわけですから、もう余裕で帰ることが可能。帰路での経路充電は必要ありません。

2017/12/2 4:53pm夕方
2017/12/2 4:53pm夕方

周りをいろいろ観光して95km走り回り、夕方帰ってきました。航続距離残は222km。山を下りてまた上ってきたせいか、電費は252Wh/kmになりました。気温は2℃と今日も冷え込みそうです。また充電器に接続して宿に入ります。

二泊目の夕食はちゃんとメニューを変えてくださいました。まあこういうの当然とも思えますが、実際には大変なんだと思います。一泊目は牛だったので二泊目は豚。
朝食も一泊目と全然違う!向こうの方にカレイの一夜干しが見えてます。

2017/12/3 10:07amチェックアウト
2017/12/3 10:07amチェックアウト

チェックアウトの朝。とうとう気温はマイナス1℃。航続距離426kmということで、あとちょっとなんですが満タンにはなってません(笑) 画面一番右に表示されているグラフがエネルギーメーターで、オレンジが消費、緑が回生ブレーキによる蓄電をあらわし、走行中は右側のkWのところに現在の出力=馬力がkW単位で表示されます。400kW=536馬力です。ガソリン車と違い、出力計にはマイナスもあります!現在、マイナス10kW位のところで点線になっていますが、これはバッテリーが冷えているため充電速度が制限され、それに伴って回生ブレーキも制限されているということなのです。バッテリーが温まると点線はだんだん短くなって最後には実線だけになります。通常この気温ですとDレンジに入れるとバッテリーヒーターが作動するのですが、この日は夜間ずっと充電していたからか、まだ前日の熱が残っているからか、バッテリーヒーターは作動していませんでした。

充電中の様子です。前回のときは雪だったので結構気を使いましたが、雪が降ってなければここに停めるのは余裕です。

2017/12/3 9:21pm帰宅
2017/12/3 9:21pm帰宅

帰りも途中では充電せず、ちょっと途中で観光しつつノンストップで帰宅。最後、ちょっと寄り道したところにテスラの目的地充電器がありましたので、そこで23分間だけ充電。航続距離が24km増えちゃいましたが結果としては航続距離残157km。最後の23分がなくても残は133kmと余裕です。今回の総走行距離は583.4km(ああ予定よりずいぶん走ってしまいました…)、総消費電力量は145.7kWh、電費は250Wh/km=4km/kWhと、冬の旅行としてはかなり良い結果になりました。
他の電気自動車と比べると電費が悪い、というようなコメントを以前からよくいただくのですが、この車はかなり大きいです。またいくらCD値が0.24と良くても、空気抵抗は全面投影面積とCD値の積になりますので、背が高いSUVは圧倒的に空気抵抗が大きく、その分電費は悪くなります。電費を良くするには車高を下げるのが一番効果的なんですよね。今回の高電費のもう一つの要因は、19インチホイール装着ということもあると思います。大径ホイールになればなるほど接地面積は増え、転がり抵抗が増大しますので、電費は悪くなるのです。

いつものように今回の旅行をガソリン車に換算してみましょう。一応すべての電力を昼間電力相当の30円/kWhで購入したとして試算します。今回の旅行の総消費電力量は145.7kWhですから30円/kWhで4371円。ガソリン価格を125円とすると34.97リットル購入できます。これで583.4km走行したわけですから、16.7km/l相当ということになります。これ以外の仮定の試算も出して比較してみます。

前提条件電気料金ガソリン車燃費換算
@125円/l
全部自宅充電
30円/kWh
4371円16.7km/l
今回の現実パターン
自宅充電100kWh+NCS普通45.7kWh @50円/kWh
5285円13.8km/l
自宅充電100kWh+NCS急速45.7kWh @20円/kWh3914円18.6km/l
スーパーチャージャー50kWh+自宅充電95.7kWh2871円25.4km/l

最もコストが高くなる今回のケース、自宅充電+NCS普通充電併用でも、ガソリン車換算燃費は13.8km/l相当。これでもそんなに悪くはないんですよね。大まかに実燃費ベースではレクサスRX450hと同じくらい。RX450hは5000x1895x1725mm/193kW/335Nm、モデルX P100Dは5052x1999x1684mm/539kW/660Nmなので、10cmの幅の差と2倍以上のパワーの差を考えるとかなり低燃費と言えます。

この記事のコメント(新着順)7件

  1. こんにちは。私も質問させてください。
    今回の宿の様に宿泊施設に充電設備がある場合、EV同士でバッティングした場合はどの様な対応の事が多いですか?
    時間で区切られれて順番となると思いますが、夜間なども対応してくれるのでしょうか?
    あと、ヨコですが多分テスラ愛さんが言われているのはコンソールパネルに移るモデルXのイラストの事ではないでしょうか?違っていたら申し訳ありません。

    1. 3_XXX様、ご質問ありがとうございます!
      バッティングしたことは今のところはないですね。海外では、先に使ったもの勝ちというのがまずは一般的な考え方になると思いますが、後に来た方がどのくらいクリティカルかにもよるのではないでしょうか?基本的には普通充電の場合、夜間中使い続けるのが前提なので、途中で交代するなどというのはなかなか難しいと思います。特にここのような3kWの小さな普通充電器の場合は。
      もしこれがテスラ用もしくは海外製のハイパワーJ1772充電器(値段は3kWと全く変わりませんw)の場合は、おっしゃるように時間で区切ることが可能になります。その場合、話し合いが必要だと思いますが、実際には宿の方がかなり精通していないと難しいでしょうね。こちらの記事↓に概要をまとめてあります。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/setting-up-destination-charging/
      あとイラストの件、ありがとうございます!確かにそう見えますね。。でもこれも光の加減かと思います。周りが暗い時、黒い車のイラストがちょっと白っぽく見える、ということなのかなと。

  2. モデルSユーザです。いつも楽しく、また、非常に示唆に富む情報を発信して頂き参考になります。今回のトリップレポート、非常に参考になりました。
    さて、一点問い合わせになります。アップされている画像の下段にあるモデルXの部分をよく見ると、白いボディーと黒いボディーの両方が、交互に貼り付けてありますね。オーナーのモデルXは、黒(もしかしたら紺?)ボディーのはずですが、白いボディーの画像が混在しているのは、どの様な経緯なのでしょうか?ちょっと気になったので、問い合わせてみました。たぶん、写り方の違いで、そう見えているだけかもしれませんが…。

    1. テスラ愛様、ご質問ありがとうございます!ボディ、、ああ分かりました!もしかすると、ダッシュボードの写真で、画面の下にちょっと見えるインテリアの革(合革)が白だったり黒だったり、ということをおっしゃっているのですよね?私の車は白い革のインテリアになりますので、そこの色は白です。スマホの撮影時にはフラッシュを光らせていないので、自然光で撮っているのですが、外が暗くなると白い革が白く写らなくなるのだと思います。確かに言われてみると色が交互に変わっているように見えますね!

  3. 今晩は。素晴らしい所に意見を導き出しましたね。この事こそ既存メーカーが頭でっかちなっている部分で何でも「みんな盛り」になる。昔、クラウンのインパネのエアコンの送風口にスイング機能が付いてました。兎に角豊かさとは何でも付いているんだからこそ高級なんだと。今マイバッハに興味があります。RRの新しいファントムはやっとオートドアが付きましたが本当の意味での寛ぎの中での豊かさはオートドアエントリーよりも移動中にどれだけ快適でまた癒やしえも提供してくれるか。コーナーでは逆ロール。進行している道のキャップのセンシング。そしてマッサージ機能を作動させながら。いずれ四輪ステアと2アクチュエーターのエアサスで殆どアエバスA380に似た乗り心地近付くでしょう。そしてもし高級車に何を求めると問われたら、前に乗るか後ろに乗るかは別にしてもまず平均的な動力特性は当たり前として許されるパッケージングの中での寛げる空間と何より自分のための設定。つまりビスポーク、オートクチュールの指定。右に習わない自分だけのモデルに仕上げられる自由度。この文化こそ押し付けから逃れられる唯一のわざだと思う。機能だけではなく味ですね。テスラはある意味痒いところに手は届いているがその手はややマネキンのような硬く冷たい。形は良いのだが、割り切りがいい分切り捨ても目立つ。物作りはワンウェイでいいのか?それともツゥウエイか?少なくとも高級車は押付ではなく機能のデザインもその自由の選択こそ。これからの高級車に求められるファクターとなると思う。物作りは甘く見ても行けないし、突き抜けた機能の潔さだけがベストとは思えない。つまりダブルスタンダードのジレンマの中で探り座標値を見付けていく。この時真ん中には答えは無いと思えませんか。けれど寄りすぎても真理から遠ざかる。これこそが最も優れた答えに繋がるジレンマコントロールですね。ここで悩まないメーカーが駄目なんでしょうね

  4. こんにちは。算出方法が違いますが私のX100Dは敢えて5人乗りを選びました。荷物を沢山積みたいのと電費を良くしたいの考えから。基本スーパーチャージャーは永久タダだし。チャデモも半年タダ。プレミアムパッケージはドアは自動に開け閉め出来るし機能と電費を考えると現在同じレベルの車は存在しないと思ってます。単純支出で1リッター135円のプレミアムガソリン換算すると自宅200V 24/24Aで計算しても135円で33キロです。ほかのどの車でもあり得ない!あの大きさ、あの加速で!この車はボディの造り込みとオートパイロット以外はズバ抜けて凄いと思いますホ。ホントに既存メーカーを凌駕していると思う。日産は充電タダですか?未来は水素タダですか?先日マクラーレンに行って来ました。720Sをやたら速いと強調します。スーパーファストよりも確実に早く魅力ですと。しかしSP100Dと100キロまでテスラの勝ち。まして今度のGスーツが必要なロードスターはもう並ぶ物がないし、路上ではもう議論が無意味な程突き抜け物を生み出してくるメーカーで、むしろ危惧するのはロードスターの余りの加速性能は危険とも言えます。テスラは見方によっては危うい会社。株主としてハラハラしてます。マスクは余りにマルチタスクで全てのジャンルに片手落ちが目立ちます。それでも幾ら納車が遅れたり、株が下がろうと予約者は文句を言わないし株主が離れないのは明解な意味があると思う。消費者はより優れた物に流れる。5年後既存メーカーがどんなEVを出してくるか、その時テスラがどんな車を出してくるか、その時にマスクの実力が分かると思う。経済性においては移動にかかるお金、維持費、部品代、保険代もズバ抜けて安い。メルセデス、BMW等の部品代の1/2から1/10。フェンダーガーニッシュの交換工賃込みの6000円!保険も車輌1500万円車でもかなり等級が低いと経理が驚いてました。

    1. 9月にオーナー様、コメントありがとうございます!実際に乗ってみるとスーパーチャージャーを活用さえすれば電気代はタダだし、自動ドアも(私も有効にしていますが)非常に便利だと思っています。買い物で両手がふさがっている家族にドアを開け閉めするとか、自分もドアを自分で閉める癖はなくなってしまいました。

      >予約者は文句を言わないし株主が離れないのは明解な意味がある

      世の中あまりにもいろんなことの利便性が高くなった結果、これ以上便利にするためには、既存のやり方を変えるか、またはある程度のリスクを取らなければならなくなってきました。だんだんと、それらの変化に対応してきている消費者が増加しているのだと思います。既存のやり方を変えてもよい。わずかで許容可能なリスクを消費者に与えても、利便性が上回るなら受け入れられ、場合によっては必須のものになる。メルカリが、必ずしも最高額で商品を売却できない・最低額で購入できないのにユーザーが増え続ける。Google HomeやAlexaで音声で指示すると電気を点けようとしてもうまく認識されずつかないこともある。また家庭の照明をハッキングされるリスクもある。しかしユーザーは増え続けています。
      今までとは大きく環境が異なってきているのです。おっしゃる通り、消費者はより優れたものに流れていっていると思います。この流れを、「モノづくりを舐めるな」という態度で見続けていると、大きく見誤ると思います。

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この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

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