電気自動車テスラモデルXで長距離500km:東京-福井

以前モデルSで行ったのは約2年前。今度はテスラモデルXで500km走って福井に行きます。今回はスーパーチャージャーをメインで使う計画で、充電計画と移動の記録をご紹介します。本日は2018年6月20日、移動開始日は25日です。

電気自動車テスラモデルXで長距離500km:東京-福井

目次

  1. 充電計画
  2. 往路:東京から福井
  3. 復路:福井から東京
  4. データ

充電計画

今回はスーパーチャージャーメインで利用する予定ですので、充電計画はあまり要らないと言えば要らないのですが、初めてモデルXで行く行き先でもあるので、一応計画してみます。モデルXはモデルSより1割程度電費が悪いですし、タイヤも電費の悪い22インチです。前回の名古屋往復では往路233Wh/km、復路249Wh/kmでしたから、平均241Wh/km=4.15km/kWh。標準値が229Wh/kmですから、241Whだと約5%くらい標準値より悪い値になります。標準値とは、テスラのメーターが表示する航続距離計の数字で、米国基準のEPA値(213Wh/km)よりわずかに悪いほうに調整されています。今回はシミュレーション用にExcelを用意し、余裕値を標準値から+5%として見積もってみました。

今回の計画です。

2018/6/25 充電計画
2018/6/25 充電計画

今回は充電器のある場所から出発しますので、ほぼ満タンの標準値430km(納車時の100%は435kmでした)から出発することを前提に計算します。SC=スーパーチャージャー(テスラ専用の充電設備)、SA/PAは高速道路のSAPAに設置されているチャデモ急速充電器を意味します。
往路、浜松スーパーチャージャー岐阜羽島スーパーチャージャーの間に岡崎・(豊田JCTで東名に入って)上郷・尾張一宮のSAPAをExcel上、入れてあります。この間、距離こそ135kmしかありませんが、万が一全線向かい風が強かったりした場合にはギリギリになる可能性があるので、運転中の参考にするためです。岐阜羽島SCの東京寄り手前に最近オープンしたばかりの名古屋スーパーチャージャーも選択可能なのですが、北陸道で福井に向かうため豊田JCTで東名に移りますので、名古屋市内を通らなければならない名古屋SCは使わないつもりです。新東名→伊勢湾岸道→新名神のルートで関西に向かう標準的なルートの場合は、逆に岐阜羽島SCは北過ぎるので、名古屋SCにいったん入って東名阪→新名神と抜けていくのが効率がよさそうです。
浜松・岐阜羽島の両スーパーチャージャーは120kWの急速充電器が4基設置されています。基本的には充電待ちは発生しない場所となります。今回は東京から岐阜羽島までノンストップ373kmを走破してしまう予定で、そこで45分間ゆっくりおやつでも食べて休憩します。ここから目的地までは140kmしかないのですが、今回福井での予定が結構詰まっており、現地で全く充電しなかった時のことを考えて、少し多めに充電しておきます。また福井では、現地で80km程度を使用する予定です。

復路はまず岐阜羽島スーパーチャージャーまでが141kmですので、福井を出発時に164km以上バッテリーが残っている必要があります。もし不足している場合には、途中にある南条・賤ヶ岳(しずがたけ)・養老の各SAでお助けができます(笑) 岐阜羽島到着時の残16kmが赤くなっていますが、ここはギリギリということ。無理をせず、必要に応じて速度を落として走行します。
往路と同様、復路も岐阜羽島でがっつり充電しても良いのですが、午後3時に出発したと仮定して岐阜羽島は5時ちょっと前。夕食にはまだ早いのでここは20分で切り上げて、次の浜松でゆっくり夕食とします。浜松でも残は17.5kmの計画なので、岐阜羽島で残が173km以上になるまで、必ず充電してから出発しないといけません!浜松の後は余裕ですね。

計画のシートを見ると、黄色や赤や緑の警告がいっぱい出ています!慣れている私はこれでも問題ないのですが、電気自動車に乗って感覚に慣れるまでの間は、このシートで背景色が出ないように計画することをおすすめします。黄色は、その充電器を飛ばすことが(表の上では)できないことを意味し、充電せずに次に行くと電欠することを意味します。赤は航続距離の残が7%(=30km)を切るという意味で、テスラでは出力制限がかかり(制限されても80kW以上は出るのですが)、そのスタンドにたどり着けないリスクがあることを意味します。緑は逆に、航続距離の残が80%を超える(=348km)という意味です。テスラは非常に細かく充電を制御していて、気温やその他の条件にもよると思いますが、私の車の場合前回の名古屋では、58%で100kW、82%で50kWと徐々に充電電力が減っていっています。そのため、このExcelのように120kWが連続して充電されるような前提で計算すると、予定より長い時間がかかるということになります。緑背景のところは、「80%を超えているので充電の効率が悪くなっていますよ」と、「計画より長い時間充電する必要がありますよ」の、両方の意味があるのです。

往路:東京から福井

1300 残424km満充電で出発!
お弁当と飲み物を搭載しています。
1532 順調に浜松SAを通過。ここまで全線オートパイロット走行です。テスラのファームウェアのバージョンが最新の2018.21.9に上がって以降、初めての長距離ドライブなのですが、今まで約1分おきに表示されていた「ハンドルを握ってください」警告が、30秒おきに短縮されています。とはいえ、片手であってもハンドルに少し荷重をかけてさえいれば警告が一切表示されることはないので、ずっと連続して自動運転レベル2を継続できます。
1657 残15kmで岐阜羽島スーパーチャージャーに到着!ここで少しゆっくり目に休憩します。
スーパーチャージャーは1BでモデルSが充電中だったので、一つ空けて2Bで充電開始。
充電開始直前のバッテリー温度はなんと48.0℃。50℃になるとエアコンがバッテリー冷却にも回されて強制水冷になります。
111kW出ています。
1802 残374km。まだ予定の航続距離に達していませんが、余裕を見てあるので大丈夫。これくらいで切り上げて目的地に向かいます。
バッテリー温度は38.1℃まで低下。
1936 残229kmで福井の目的地に到着!走行距離は508.9km、消費電力117.3kWh、電費は230Wh/km=4.35km/kWhでした。30円/kWhとすると今回の電気代は3519円、リッター140円のガソリンは25.14リットル買うことができます。ガソリン車だったと仮定すると、燃費は20.2km/lになりました。もちろん悪くない数字なんですが、今回はスーパーチャージャー使っているので無料。高速代以外は支払う必要はありませんでした。
鯖江にある「めん房つるつる」で夕食。
本日の最後にオートパイロットの様子をご紹介します。カーブがあって、車線変更の様子が撮影できるようなところはなかなかないのです。例えば箱根では制限速度の80キロで走行していたら煽られてしまいます(笑)。でもガラガラの北陸道なら大丈夫!2分間、アクセルは離した状態、右手はハンドルを握ってはいますが軽く荷重をかけているだけで操作はせず、オートパイロットに任せます。途中、大型車に追いついたところでは、ウィンカーを操作して自動車線変更を行っています。ウィンカーを出すと車線変更が開始され、戻すと終了します。その間、超える車線の表示が実線から点線に変わり、車線変更中であることを教えてくれます。
※撮影は同乗者が行っています。

復路:福井から東京

1506 残167km。岐阜羽島まで余裕で行けそうなので、追加充電せずに出発します。
1637 残12km、岐阜羽島スーパーチャージャーに到着。流れはまあまあ順調です。ここで残173km位まで充電して、浜松SAでの夕食にタイミングを合わせます。この場所にはカフェがミスドしかないのがちょっと残念な感じですね。
1701 残175km。出発します。ミスドで飲み物だけ買いました。バロー岐阜羽島はこんな感じです。ホームセンターに車の修理販売、スーパーに靴屋、そして家電量販店。
スーパーチャージャーでの充電中のデータをグラフにしたものがこれ。TeslaFiというサービスでデータを取得しています。今回22分間でSOC3%から42%まで、22分間で充電したのですが、終始充電器出力は100kWを越えています。
1832 残14kmで浜松スーパーチャージャー到着。ここは、NEOPASA浜松「下り」の外側、ぷらっとパーク浜松にあるため、今回のように名古屋方面から来た場合には、浜松SAに入り、その中にある浜松スマートICでいったん外側に出て、ぐるっと回って下り線方向に向かい、ぷらっとパークの駐車場に入って充電します。言葉で書くと面倒そうに聞こえますが、4基あるので充電渋滞がなく、長時間充電が許容されているのでゆっくり休憩できます。
ブラックのモデルSがスロット1Aで充電していたので、私は2Aを選択。これなら120kWが独り占めできます。
今回もスーパーチャージャーは快調に115kWを出力しています。
ぷらっとパークから坂を登ると3秒で(汗)浜松SA下り(つまり反対側)に徒歩で入れます。目の前がトイレで横がすぐフードコートになっています。今日はせっかく浜松に来たので「うな濱」さんでひつまぶし。ここは本来なら浜名湖産の鰻が食べられるのですが、今年は不漁で中国産。食べ終わる頃には充電は58%、もう自宅まで帰れる残量ですが、あとは東京まで休憩なしの予定なので、少しゆっくりします。
今回3%から84%まで充電してしまった浜松でのデータです。午後6時33分から充電開始で、5分後の6時38分には出力が100kWを越えました。その後午後7時4分に57%で100kWを切ったようなので、26分間100kW以上を継続して充電していました。80%に達したときは42kWで午後7時22分でしたので、充電開始から49分後でした。
1928 残356km。もう80%を越えてしまいました。浜松を出発します。ここから出る場合は、またぐるっと回って浜松SA上りのスマートICからSA内を経由して新東名の上り線の本線に戻ります。
2144 残70kmで自宅に到着!復路は走行距離504.8km、消費電力126.5kWh、電費は251Wh/kmでした。明日またデータなどを追加します。
到着直後のバッテリー温度は43.7℃とホカホカでした。

データ

充電計画のExcelデータはこちらからダウンロードできます。
実際の走行結果をまとめると以下のようになりました。

往路時刻運転時間充電時間標準値
km
走行距離
km
平均電費
Wh/km
東京出発13:00424
岐阜羽島スーパーチャージャー到着16:573:5715375230
岐阜羽島スーパーチャージャー出発18:021:05374
福井到着19:361:34229133.9231
合計時間5:311:05計6:36
合計走行距離508.9km
平均速度92.2km/h
(休憩除く)
77.1km/h
(休憩込み)
復路
福井出発15:06167
岐阜羽島スーパーチャージャー到着16:371:3112132.8245
岐阜羽島スーパーチャージャー出発17:010:24175
浜松スーパーチャージャー到着18:321:3114137.8244
浜松スーパーチャージャー出発19:280:56356
東京到着21:442:1670234.2258
合計時間5:181:20計6:38
合計走行距離504.8km
平均速度95.2km/h
(休憩除く)
76.1km/h
(休憩込み)

いつも思うのですが、往路と復路の電費の差はこれはなぜなんでしょうね。帰りのほうが今回は少し流れが早かったのですが、帰りが比較的混んでいた時も結局、電費は悪くなっています。心理的に、無駄な動きがあるのかも知れません(笑) あと新東名では一時的なかなり激しい雨に見舞われまして、それも多少消費電力の増加につながっているのかも。いずれにしろ、スーパーチャージャーを使うと、ガソリン車と同等とまでは言えないものの、食事休憩を1回挟めば充分に余裕を持って長距離移動が可能なことが分かりました。今まで机上では「できるはず」と分かっていても、実際に走ってみると安心感が増しました。(更新終了)

この記事のコメント(新着順)13件

  1. お返事ありがとうございます。
    複数回の移動を繰り返した合算値です。アイドリング時や要所要所の条件によりバッテリー消費が起きてるんですかね。お教えいただいたアプリでも計測してみようと思います。冬の間にスキー等で長距離ドライブを考えているのですが、前述してきた不安点によりバッテリーに関する懸念を払拭しておきたくて。
    色々とご助言ありがとうございました!

  2. お返事ありがとうございます。
    根拠としては100%充電時の表示走行可能距離325km から走行を始めて残り44km まで来た時点で以下の数値になったんですね。
    実走行距離 186.5km
    消費電力 49.3kWh
    表示上の残り走行可能距離 44km
    75Dが75kWh のバッテリー容量を積んでいるならもうちょっと走れるのではないかと思ったんです。残り25kWh あるとしたらこれまでの平均走行距離 3.78km/kWh で計算すると94kmくらいになるのですが、もし60kWh が実際の容量だとしたら残バッテリーは10kWh になり3.78×10=37.8 で44と近いので、そう推測しただけなのですが。。
    実際上記の状態でもグラフの標準値線を下回る安定走行をすれば90km くらい走れると思われますか。まだ乗り始めたばかりなのでご経験による分析お聞きできたらとてもありがたいです。
    普通に100Dにすればこのような心配をすることもなかったのかもしれないのですが、、。

    1. コイケ様、データありがとうございます。
      いろいろ思いつくことはあるのですが、このドライブは一回のドライブですか?
      例えば短距離を繰り返した走行で、エアコンが入っていると、最初の数分はエアコンがかなり電力を食いますので、その分電費が悪化します。またとても寒い場所では、一定時間バッテリーを暖めるためのバッテリーヒーターが入りますので、これも電費に大きく影響します。
      もう一点大きく考えられるのは、停車中の消費電力です。先ほどのデータはトリップメーターから出されているのではないかなと思ったのですが、もしそうでしたら、そこには速度がゼロの間の消費電力は、全く含まれていません。例えば冷暖房を入れたまま駐車していたり、信号待ちなどの間の電力量も計算に入らないです。

      正確に消費電力を測るためにには、英語のサービスになりますがTeslaFiや、iOS専用となりますがTesla Statsというものが有名です。これらは走行中の消費電力を、走行ごとに分割して記録してくれますので、全部合算になったデータに惑わされずすみます。でもいろいろ面倒ですし、前者は有料サービスなのでちょっとハードルは高いと思います。

  3. はじめてコメントします。モデルX のD75 に乗り始めたのですがバッテリー容量が気になっていて。100Dのバッテリー容量は満充電でギリギリまで走行した場合何kWh 消費になりますか? まだギリギリを攻めていないのですが諸々の数字から算出すると60kWh 位で電力ゼロになるのでは、と思い色々調べているのですがバッテリーの実際値が載っているサイトが無くって、よろしければ参考までに100Dの場合どうなのかお教えいただけるとありがたいです。

    1. コイケ様、テスラの各モデルの実際のバッテリー容量は以下の通りです。一番最後の数字がそれです。

      60kWh使って空になる、というのはどういう事象でそう思われたのでしょうか。

      Model S 60 (s/w limited 75): 210 rated miles * 295 Wh/mi = ~62 kWh usable

      Model S 75: 249 rated miles * 295 Wh/mi = ~73.5 kWh usable

      Model S 60D (s/w limited 75): 218 rated miles * 285 Wh/mi = ~62.1 kWh usable

      Model S 75D: 259 rated miles * 285 Wh/mi = ~73.8 kWh usable

      Model S 90D: 294 rates miles * 285 Wh/mi = ~83.8 kWh usable

      Model S P100D: 315 rated miles * 314 Wh/mi = ~98.9 kWh usable (* Estimated Wh/mi)

      Model X 75D: 237 rated miles * 320 Wh/mi = ~75.8 kWh usable

      Model X 90D: 257 rated miles * 320 Wh/mi = ~82.2 kWh usable

      Model X P100D: 289 rated miles * 342 Wh/mi = ~98.8 kWh usable

  4. スーパーチャージャー無料の紹介制度のことですよね?自分は間に合いました。7月中旬の申し込み迄とのことですが、続くかもしれませんとのディーラー談でした。

    1. 良かったです。一回の旅行で何千円程度なんですが、やはりタダで充電できるのは何か得な気がしますから!

  5. 早速のご返事ありがとうございました。
    一つ置きに停めると最大のkWを得るのですね。是非参考にさせていただきます。
    実は…今度モデルSを購入しました。今から納車が楽しみです!

    1. はっち様、購入おめでとうございます!無料スーパーチャージャー特典が終了しそうですが、適用されておりますか?それだけご確認くださいませ。

  6. 初めて質問します。
    テスラのHPではスーパーチャージャーの欄でup to120kwと有る場所とそうでない場所(佐野や名古屋)では充電の速さに差があるのですか?

    1. はっち様、現時点では、日本国内のテスラのスーパーチャージャーはすべて同じ規格で、120kWが最大となっています。2基がペアになっており、2基で150kWを分配する仕組みなので、ペアになっている充電器で充電すると、二台合計で150kWとなります。ペアの状態は充電器に書かれていて、1A 1B 2A 2B 3A 3Bのようになっているのですが(充電器数が増えると数字が増えます)、同じ数字を持つ充電器はペアになっています。
      なお、海外では街中用の72kWシングルタイプの充電器も出てきているようで、日本ではこれも今後採用される可能性があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					安川 洋

安川 洋

日本アイ・ビー・エム、マイクロソフトを経てイージャパンを起業、CTOに就く。2006年、技術者とコンサルタントが共に在籍し、高い水準のコンサルティングを提供したいという思いのもと、アユダンテ株式会社創業。プログラミングは中学時代から。テスラモデルX P100Dのオーナーでもある。

執筆した記事