目次
充電計画
ええ!電気自動車って旅行するのに計画しないといけないの?面倒~
と思われた方もいらっしゃるかも?テスラほどの長距離を難なく走行できる車でも、今回のように往復1000kmくらいの旅行の際「だけ」には、ある程度計画しておかないと充電時間が旅程に影響します。普段は自宅で充電するので本当に楽なんですけどね。先日「EVsmartアプリ」(ぜひAppStore/Google Playでダウンロードしてください!)に追加された経路検索v2を使って計画してみましょう。今回の旅程は東京大阪往復、その間に名古屋と大阪で1泊ずつ、しかも充電設備のないホテルに泊まります。
まずは東京→名古屋。
358kmを途中、浜松1回15分間の充電休憩で走行する感じです。あれ、画像の下になんか書いてありますね。
今度は充電回数は同じ1回ですが、充電時間が22分に伸びています。そう、これが冬モードです。電気自動車はガソリン車のように、使わない熱をラジエーターで捨てるほど熱が余りませんので、ヒーターで車内を暖める必要があります。今回の外気温は8℃~18℃程度を想定していますので、恐らくどちらかというと夏モードに近い消費量になるのではないかと思います。冬モードは、気温が0-5℃程度を想定しています。これ以降は冬モードだけで見積もることにします。では名古屋→大阪。
出発時90%?さっきは21%で到着したはずだよね?はい、通常だとそうなるわけなのですが、今回は途中の充電時間を節約するため、名古屋スーパーチャージャーという街中にある超急速充電設備を使います。夕食時間程度放置しておくだけで、空に近いところから90%を超えるところまで充電できますので、出発時は90%としているのです。そういう意味では、東京出発時も90%のシミュレーションで作成しています。満充電したところで、結局浜松で60%程度まで回復させるわけなので、そこまで真剣に充電する必要がないのです。超急速充電器では、10%程度の差は数分で埋まってしまいます。大阪→東京はどうでしょう。
到着時の充電残量を見てください。4%!これじゃたどり着けないかもしれないですよね?いえ、実は今は真冬じゃなくて、かつ今回は真冬の見積もりでシミュレーションしているので大丈夫なはずです。それ以外にもよく見てみてください。浜松スーパーチャージャーでの充電時間が48分にもなっています。確かに夕食を浜松SA(鰻?)で食べるならこれでもいいかもしれませんが、今回は行きに名古屋で鰻を食べる計画。もう少し時間を短縮して調整します。
充電1回の場合の充電時間は48分間でしたが、2回に増やしたシミュレーションでは22分+21分の計43分間。あれ5分間短くなっています!はい、電気自動車は充電の際、空に近ければ近いほど、速くたくさん充電されるのです。実はスマホでも同じ。1回目の浜松での充電では50%までしか充電せず、また空に近いところまで使ってから、御殿場で高速に充電するのです。ここ御殿場スーパーチャージャーはコメダ珈琲 御殿場店の駐車場内にあり、営業は午後10時まで。できることなら10時までに入って、何かコーヒーでも買いたいところです。
どちらのプランになるかは、実際に往路を走ってみてから決めたいと思います。帰りの浜松で食事する、またはかなり電池が余りそうであれば、御殿場は飛ばしても大丈夫。最初の夏モードの東京→浜松間では90%→29%なので61%のバッテリーを消費していますから、まあ気温から考えて70-75%くらいあれば充分な気がします。電池が足りなくなっても心配いりません!シミュレーションしているわけですから大幅に足りなくなることはないわけなんですが、「予定より消費多いな、、」となったらどうすればよいのでしょうか?
- ちょっとだけ足りないなら、一番楽なのは速度を落とすこと。100km/h設定で走行しているなら95km/hから90km/hに落とすだけで全然違います。
- それでも足りなさそうなら途中で充電。テスラのスーパーチャージャーは少ししかないので、助手席の方にアプリを見てもらい、足りなくなりそうなポイントより余裕をもって(50km程度以上)公共の充電スタンドを探してもらいます。到着したら充電スタートして、そこから次の目的地までを経路検索にインプット。何%まで充電すればいいかを調べます。
消費が多くなる理由は、一番多いのは飛ばし過ぎです。二番目は気温の急激な低下。三番目は降雪や向かい風です。これらが出てきたら、ちょっと注意して走行しましょう。明日11月13日(金)は、可能な限り継続的に更新します。
往路:東京から名古屋
1330 出発します。バッテリーは98%。トリップメーターをリセットしました。暖房はいらなかったですね。。オフにして出発します。
1549 ちょうど東京と名古屋の中間点に来ました。流れは遅めで電池もあまり減りません。時間がもったいないので浜松の休憩をやめて、直接名古屋に向かうことにします。
バッテリーの残は55%、名古屋到着時の予測は11%なのである程度余裕があります。赤三角が現在地、緑・黄色のラインが実績とこの先の予測、灰色のラインがスタート時点での予測です。右端に到着時の残量予測が表示されています。
1736 名古屋のホテルに到着。ノンストップで運転して14%バッテリーが残りました。後半は特に交通量が多く、速度が出なかったのと、エアコンを全く使わなかったのでかなり節電になってしまいました(笑)
データは以下です。
さていよいよ鰻を食べに行きます(笑) 車はその間、計画通り超急速充電器に接続して置いておきます。バッテリーは8%まで減ってしまいましたが大丈夫。特に残量が少ないとき、バッテリー温度が下がると急激に(4%程度)使える容量が減ります。冬場はギリギリで放置はいけません。
2018 こんなふうに6基、設置されています。金曜日の夜、一緒に充電している方はいらっしゃいませんでした。
充電中のアプリの画面です。10%までは少しパワー抑え気味に充電されますが1分もするとこのとおり。131kWのパワーでどんどん充電してくれます。満タンまで1時間10分の予測ですが食事するので問題ありません。
今晩の夜ご飯はコレ!「鰻う おか富士」さんのうな重です。名古屋ではおなじみ。いわゆる老舗というよりモダンな店内。街中にあるので行きやすく、予約はできませんが何とか入れる、オススメのお店です。
2132 90%まで充電終わりました。もうこれで充分なのでホテルに戻ります。おやすみなさい!
往路:名古屋から大阪
本日は名古屋から大阪にまず移動。その後は遊んだり食事したりして過ごします。夜は大阪泊。
1408 昼ごろに名古屋を出て、特に渋滞もなく大阪に到着しました。
大阪では街なかで用事を済ませたあとこちら!ひらかたパーク。昼間は天気が良く暖かだったのですが、夜はかなり寒くなりました。
1940 バッテリー38%で大阪市内に戻ってきました。ここは大阪スーパーチャージャー。南森町と扇町の間くらいにあります。4基なんですが私は3台目。人気の充電スタンドです。
少し遅めの夕食は軽めにこちら。「大阪うどん・そば てんま」さん。これは山菜おろしうどんです。細めの足踏み自家製麺。コシがしっかりあるタイプ。
2031 94%まで充電できちゃったので終了してホテルに向かいます。
2056 ホテルにやっと到着。バッテリーは余裕です。明日はゆっくり出発する予定です。おやすみなさい!
復路:大阪から東京
1345 いよいよ帰ります。まずは浜松をナビにセットして走行開始。スタート時点ではバッテリー残量は88%、車載のナビによれば浜松には11%で到着予定です。
1627 浜松スーパーチャージャーに16%残で到着。ここは下り線のSAの外側なので、下り線SAを利用できます。トイレ休憩等で早めに切り上げ、御殿場で再度短時間休憩します。
1649 21分間休憩・充電してバッテリーは48%に。これで御殿場を目指します。
1813 御殿場スーパーチャージャー(コメダ珈琲 御殿場店)に残5%で到着。ここまでは予定通りですが、この先が問題。東名高速は足柄SAの先から横浜までかなりの渋滞。充電を開始しつつ、考えて、コメダ珈琲さんではコーヒーをテイクアウトし、箱根を抜けて小田原へ、そこで夕食にすることに。この方法なら渋滞に会わず、かつ食べ終わる頃には西湘バイパス経由で少し東名の渋滞を避けられます。
モデルXが4台並ぶ御殿場スーパーチャージャー。私は向かって一番右で充電しています。これ、選び方があるんですよ。ここは全部で6基ですが、2基ずつ並んでペアになっていて、パワーをシェアしています。つまり私が入る前はみんなペアを避けてパワーを独占していたわけ。私はどこに停めても先の人の充電が進むまで、フルパワーは受けられません。車を寄せるときに音を聞きます。エアコンのうるさい音=充電がハイパワーで行われているということ。つまり静かな車の横は速く充電できるのです(笑) ちょっとしたコツでした。
1842 37%まで充電で切り上げ、小田原に向かいます。私が充電していた3Bは調子が悪いのか、それとも3Aがまだ充電が佳境だったのか分かりませんでしたが、64kW程度しか出ませんでした。
1940 6%使って「あじわい回転寿司 禅」さんに到着!山を降りるだけなので電池は全然減りません。電気自動車の面白いところ。
2146 自宅に到着!小田原ルートのおかげで東名の40km 160分に及ぶ大渋滞を避けられました。今日は運が良かったです。バッテリーは13%と余裕。今回の走行距離は2泊3日で1091kmでした。ではおやすみなさい!
データ
今回はシミュレーション時に暖房ありで計算し、実際に走行したときは冷暖房が一切必要ない状態だったので、シミュレーションとは全く違う結果になってしまいました。まあこの時期は暖房ありでシミュレーションしておいた方が、安心にはつながると思うので、そのほうが良いかもしれません。
今回のデータは以下です。
総走行距離 | 1091km | 自宅充電分 | ||
---|---|---|---|---|
消費電力量 | 238.9kWh | (98%-13%)x100kWh=85kWh | ||
電費 | 219Wh/km 4.57km/kWh | |||
自宅充電コスト =2550円 | 85kWhx30円 | |||
外充電コスト =5440円 | 名古屋/74.43kWh | 60kW以上 60kW未満 | 29分間、1160円 46分間、920円 計2080円 | 27.9円/kWh |
大阪/50.82kWh | 60kW以上 60kW未満 | 25分間、1000円 24分間、480円 計1480円 | 29.1円/kWh | |
浜松/28.16kWh | 60kW以上 | 20分間、800円 | 28.4円/kWh | |
御殿場/29.01kWh | 60kW以上 | 27分間、1080円 | 37.2円/kWh |
今回は外での充電はテスラ スーパーチャージャーのみを使いました。これを通常料金で計算すると5440円。これに、出発時の98%から帰宅時に13%を引いた分が自宅充電ですから、その金額が2550円。合計は7990円。これで1091km走行できたわけです。ガソリン1リットルが128円と仮定すると、1091 / (7990 / 128) = 17.5km/l。最新のハリアーハイブリッドと同じくらいの実燃費ですね!
しかしこの車には、スーパーチャージャーの利用が永年無料という権利が付いています。つまりスーパーチャージャーの利用はタダ。ということは、
実際には1091 / (2550 / 128) = 54.8km/lだったというわけなんですね。【2020/11/17更新完了】
「ひらかたパーク」が心に刺さりました(笑)。
幼少時に何度か行きました、懐かしい。
どうでもいい話で失礼、記事は当然のことながらじっくり拝読し、とても勉強になりました。
充電器が「2基ずつ並んでペアになっていて、パワーをシェア」というのは、見かけ上の数を増やす以外に全く意味のないことのように思えて、解せませんでした。
Wakiyasu様、コメントありがとうございます!
ひらかたパークは初めて行きました。園の中に食べるところがいっぱいあって、さすが大阪、、と変なところに感心してしまいました。これだけ軽食がたくさんあるとレストランはないんだろうな、と思っていたら、最後に発見して二度驚きました(笑)
さて2台シェアの件、これはそのスタンドが多くの曜日や時間帯で、割と満室にならないと思われるサイトで使われる仕組みのようです。例えば1Aと1Bがペアを組んでいる場合、ユーザーが1台だけなら、1Aにつないでも1Bにつないでも、フルパワーの130-150kW程度が得られます。
もし2台が時間をずらして到着するとします。この場合は先着が1Aで充電開始したとすると、後に来た方は1Aが使っている残りのパワーを使えます。例えば1Aが充電中盤で、60kWで充電中の場合、おおよそ70kWが1Bに割り振られます。合計で130kWとなるのです。
正確には、この切り替えは13kW単位だと言われています。すなわち130kWピークのスーパーチャージャーでは、キャビネット内に10個の充電器が内蔵されており、13×5=65kWずつの配分になります。1Bが到着した時点で1Aがすでに20kW以下まで下がっていれば、残りの8個すなわち13×8=104kWが1Bに与えられます。
一見良さそうに思えるこの仕組みは、都市部の(アーバン)スーパーチャージャーでは使われず、1基ずつに独立して64-72kWが割り当てられます。お隣さんは関係ありません。恐らく都市部では長い間満室が続くことが予測されるので、無駄が多くなるパワーシェアリングではなく、均等分割が使われているのだと推察します。
また日本にはまた来ていませんが、V3という250kWスーパーチャージャーは、やはりアーバンタイプと同じく1基ずつ250kWが配分されるそうですが、4基でペア(だからといって制限はないそうです)になっているようです。
分かりにくい質問で申し訳ありませんでした。
将来的にEVが普及した時の(私は懐疑的ですが)シミュレーション的にEVに乗った複数人(施設の充電機の数を上回るような)が同じ目的地に向かって移動した場合はどうなるのかな?という素朴な疑問です。交通というのはそういうものだと思いますから。
TATSUTA様、追記ありがとうございます。なるほど、経路充電器(今回の旅行で使ったのは、主に名古屋、大阪、浜松、御殿場でした)の台数を超える人が旅行したらどうなるのか、というご質問で良いでしょうか。
答えは簡単です。経路充電器の数を増やせばいいのです。テスラの例で言えば、日本でも大阪豊中
https://blog.evsmart.net/quick-charger/tesla-osaka-toyonaka-supercharger/
や徳島県鳴門
https://blog.evsmart.net/quick-charger/tesla-naruto-supercharger-open/
は8基ずつ設置されています。海外では電気自動車の数がもっと多いので、
米国カリフォルニア州Firebaugh(56基-世界最大): https://www.youtube.com/watch?v=ocJC9vgmuQE
米国カリフォルニア州Kettleman City(40基): https://www.youtube.com/watch?v=290OqXt8z3U
ノルウェーNebbenes(44基): https://www.youtube.com/watch?v=wAUXV1NCQhA
中国上海Lilacs International Commercial Centre(50基): https://www.youtube.com/watch?v=v2Q0MDtFCHc
こんな風に設置すれば、全然問題ないと思います。
自宅に充電設備の置けない集合住宅に住む人間が複数人で移動したらどうなるんでしょうね?
TATSUYA様、ご質問ありがとうございます!複数人で移動、というのは、一緒に同じ場所に同じスケジュールで移動する、ということでしょうか?遠足みたいなイメージですか?
ちょっとどういうパターンを想定されているのか分かりませんでした。申し訳ないのですが、追記お願いできますでしょうか?
もう、スーパーチャージャーの利用が永年無料という権利を前提にした燃費計算をやめてww
12月テスラモデル3納車待ちです。
美味しそうな旅 いいですね
EV充電しながら食事の提案良いですね
先日、あさぎりフードパークにEVイベントに子供を連れて
初参加してきました
EV車がいっぱいいて楽しかったです。
日本はEV技術はまだまだみたいですが、これから少しずつ普及していくと思います。
仕事が設備設計なので必ずテスラ等のEV充電設備は電気容量単相200V16KW必要なので
配線やブレーカー用意しましょうかと聞くようにしています。
EV,普及すると高速道路のチャージャーのインフラが追いつかないというジレンマ
どうしたものか、、
dmd様、コメントありがとうございます。以下私見です。
電気自動車の充電スタンドがSAPAにある場合、これは当然ですが元々は道路公団の土地ということになり、今は日本高速道路保有・債務返済機構の所有物となっています。高速道路事業会社はここから土地を借り受けて不動産賃貸事業を営んでおり、SAPAは主要な収益源となっています。(つまり通行料にはあまり利益が乗っていない)
となると充電スタンドには当然賃料が発生するということになり、それも比較的高額となります。これを満たすためにはこの金額をユーザーから徴収する必要があり、これではいつまでたっても低価格での急速充電は実現することができません。
現時点では、高速道路外の充電設備へ、自動車メーカーが投資していくしか方法がないように思われます。電気自動車の利用者が10%を超えてくるまでには大分の時間があると思いますが、そのころになるとその、道路外施設にお客を取られている債務返済機構も、賃料につき検討をするのではないかと思います。