世界一優雅でタフなSUV「レンジローバーPHEV」現る!【吉田由美】

今年50周年を迎えたランドローバー社のフラッグシップモデル「レンジローバー」のラインアップに新たにPHEV(プラグインハイブリッド)の「レンジローバー PHEV」が加わり、2019年、日本に導入されました。

世界一優雅でタフなSUV「レンジローバーPHEV」現る!【吉田由美】

レンジローバーに電動モデルが加わりました!

英国が誇るプレミアムブランドの頂点が「ロールスロイス」なら、SUV界のラグジュアリーブランドの頂点は「レンジローバー」。英国の女王陛下も愛用していたという「レンジローバー」は、同時に悪路でも使える頼もしさも兼ね備えています。そんな背景やよい意味でのギャップ(伝統と最新テクノロジーの)が魅力なのか、日本でもすごく好感度が高いモデルです。

ジャガー・ランドローバー・ジャパン 公式サイトより引用。

ランドローバーブランドのフラッグシップモデル「レンジローバー」ですが、そのスクエアなボディにラグジュアリー、パフォーマンス、エステート、クロスカントリーの要素がすべて最高のクオリティで詰め込まれているという贅沢さ。しかも吉田由美調べによると、オーナーのイケメン率が高いというのもイメージアップ要因のひとつかも!?(笑)

現在の4代目「レンジローバー」は2013年に発売され、今年で8年目。その間、アップデートされているとはいえ、続々とほかのブランドが高級SUVを登場させています。さすがにロングライフなモデルとはいえ、少し見飽きた感があるかと
思いきや、それでもなお高い人気を誇っているのは圧倒的なブランド力によるもの。

とりわけ、LEDライトが印象的。大きなひし形の中に前に少し浮き出るように配置された小さなひし形のライトがデザイン的な個性になっています。しかもこのライトは標準のLEDライトの5倍の明るさで、照明の無い道を80㎞/h以上で走行するときには500m先まで照射してくれるという、夜ドライブの強い味方。

オールアルミモノコックが採用され、3代目に比べて420㎏も車両重量が軽量化されたというのもトピックです。

そしてその4代目「レンジローバー」をベースに、2018年、ランドローバー初のPHEVモデルとして「レンジローバー PHEV」(車両本体価格1550万円〜)と「レンジローバー・スポーツ PHEV」(車両本体価格1218万円〜)が登場。この2台のパワートレーンは共通で、最高出力300ps、2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、さらに最高出力116psの駆動用モーターが組み合わせたパラレル式。エンジンとモーターの最高出力は404ps、最大トルク640N・m。0-100㎞/hは、6.8秒(レンジローバー・スポーツは6.7秒)。最高速度は220㎞/hです。

レンジローバーPHEV
レンジローバー・スポーツPHEV

走行モードは「EVモード」と「ハイブリッドモード」が選択可能。バッテリー容量はともに13kWhで、EVモードでは約48㎞(欧州仕様値)の走行が可能です。
編集注※国土交通省審査値のWLTCモードによるEV走行航続距離は、レンジローバーが40.7km(EPA換算推計値=約36km)。レンジローバー・スポーツが43.8km(EPA換算推計値=約39km)

充電は200Vの普通充電のみ。充電口はフロントグリル右下の一部が開きます、が、ここだけが私的には唯一のがっかりポイント。デザイン上、仕方がありませんが、プラスチッキーな感じがちょっと残念。デザインとの一体感はありますが、もう少し遊び心が欲しかったかも。

事実上の燃費は約10kmでした。

私が試乗したのは「レンジローバー PHEV」。スタート時、航続可能距離表示は48㎞、98%の充電率でした。しかし次の目的地(ここで充電できました)までわずか7㎞しか走行していないのにEVの航続距離は9㎞、充電率は30%へと一気に減少。この時の気温は11℃で、シートヒーターを最強、室内の温度設定は28℃にしてましたけど。

その後、約1時間の普通充電を行い、航続可能距離は17㎞、充電率55%に回復。続いて約9㎞走行してEVでの航続可能距離は9㎞、充電率は30%になりました。その後の走行の時は、電池残量が自然に減ってしまいハイブリッド走行に。PHEVなので電池残量にはそれほどナーバスになる必要はないですが、すぐに電池が減ってしまうかな、というのが正直な印象ではありました。

ちなみに今回は2泊3日の試乗でしたが走行距離は53km。返却時、ガソリンの給油は5.2ℓだったので、燃費としては約10.1km/ℓでした。ほぼ満充電でスタートして1時間の普通充電をしたとはいえ、さすがに燃費がいいですね。

バッテリー航続可能距離の表示はタッチスクリーン「Touch Pro Duo」とバーチャルコックピットが統合された「インテリジェントプラグインハイブリッドディスプレイ」に表示され、走行中の効率性やエンジンとモーターの稼働状況などをオンタイムで確認することができます。

また、「InControlインフォテイメントシステム」を活用した「インテリジェントルーティング」は、走行ルート上の充電場所や効率の良いルート検索をしてくれるとか。残念ながらカーナビの機能を理解しきれなかったのであまり使っていません。しかし充電情報など「レンジローバーPHEV」の車のグラフックで表示されるので、すごくわかりやすいですね。

ちょっと気になった問題は充電するとき。全長5005㎜、全幅1985㎜、全高1865㎜。最小回転半径6.1mで、充電も行った六本木ヒルズの駐車場で前から駐車スペースに止めようとすると、とくに全長がネックになって入れにくい。アイポイントが高く、車両感覚に慣れていないこともあり、前から駐車する場合には駐車場の中でも後ろに十分な広さがあっていったん下がって止められる場所や、隣の駐車スペースが空いているなど、駐車場所は選んだほうが安心です。

車両の乗り降りはシートもフロアの位置も高いので楽々です。車を止めるとステップが出てきてさりげなくサポートしてくれます。ただ、これも駐車時にはあらかじめ横のスペースに配慮しないといけませんね。

乗降時には自動でステップがサポートしてくれます。

EV走行時はとくに静かですが、さすがのレンジローバー、エンジン音も静かなので、ガソリンエンジンと電動モーターの切り替えは、注意していなければ気が付かないかも。

ドライブモードはほかに「ダイナミック」「エコ」「コンフォート」「草/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」「岩場」の7つのモードが設定されています。SUVの王者らしく悪路での走行がさらに細かくシーンによって分かれています。残念ながらその実力を試す機会はありませんでしたが。

快適な乗り心地は「アダプティブダイナミクス」によるもの。聞くと毎秒500回以上をモニターし、ドライバーの操作や路面状況に瞬時に対応し、最小限のボディロールに抑えることでフラットな乗り心地に。今やクルマが計算をして先読み運転してくれる時代。見た目は伝統的なのに制御は最新。このギャップに人は心を奪われるようです。

(文/吉田 由美)

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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