トヨタの超小型EV『C+pod』&歩行領域モビリティ『C+walk T』試乗レポート【塩見 智】

トヨタが限定販売している2人乗りの超小型EV『C+pod』と、3輪BEVの歩行領域モビリティとして発売している『C+walk T』に、モータージャーナリストの塩見智氏が試乗。新たな電動モビリティに感じた可能性や課題をレポートします。

トヨタの超小型EV『C+pod』&歩行領域モビリティ『C+walk T』試乗レポート【塩見 智】

『C+pod』に乗って感じたのは「作動音の賑やかさ」

トヨタ自動車がメディア向けに開催した超小型EV『C+pod』と歩行領域における立ち乗り型モビリティ『C+walk T』の試乗会に参加した。C+podは現在法人ユーザーおよび自治体を対象に限定販売中で、2022年をメドに個人向けに本格販売する予定。C+walk Tは10月1日に発売されたほか、レンタリース店でも取り扱いが始まった。

C+podは、国交省がCO2削減やさまざまな移動ニーズへの対応を目的に、軽自動車規格の中に新設した認定制度である超小型モビリティのうち、型式指定車(全長2500mm以下、全幅1300mm以下、全高2000mm以下。定員2名。最高速60km/h。要普通運転免許。高速道路などは走行不可)に適合する小型EVだ。

サイズは全長2490mm、全幅1290mm、全高1550mm、ホイールベース1780mm。車両重量は670〜690kg。最高出力9.2kW、最大トルク56Nmのモーターで後輪を駆動する。総電力量9.06kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、一充電走行距離は150km(WLTC)。電力消費量率は54Wh/km(同)。普通充電に対応し、200V/16Aで満充電まで約5時間、100V/6Aで同約16時間。BEVの普通充電が可能なスポットすべてで充電ができる。緊急時、災害時のために外部給電機能(100V1500Wのコンセントを装備)も備わる。

軽く薄いドアを開けて乗り込むと、車内は外から見るよりも広く感じ、フロント、左右のガラス面積が広いため、閉所感、圧迫感はない。とはいえ室内幅は1100mmなのでカップルディスタンスはミニマム。左手を伸ばしきらなくても助手席のドアに手が届く。170cm前後の成人男性ふたりが乗車してもギリギリ肩がぶつからない程度の幅を確保したという。足元が狭苦しい印象はない。ペダルレイアウトはアクセル、ブレーキペダルともにわずかに左(車体中央)に寄っているが、操作しづらいほどではない。5分も運転しているうちになじんだ。

運転は一般的なクルマと同じ。インパネ上部のセンターにメーター類が配置される。ATセレクターレバーはなく、インパネの「R」「N」「D」のスイッチを押して前進、ニュートラル、後退を選ぶ。「P」ポジションはない。

走らせてまず感じるのが、さまざまな作動音のにぎやかさだ。開発責任者であるトヨタZEVファクトリーZEV B&D Lab主幹の倉知晋士氏は「音は割り切りました」と明言する。とにかくサイズの制限が厳しい超小型モビリティの型式指定車でクローズドボディの車両を開発するとなると、遮音については諦めざるを得ないということか。10km/hを超えるあたりまで目立つ高周波の音は周囲へ車両の存在を知らせるための音。一般的な電動車も発する音だが、遮音対策の限られたC+podだと車内へも盛大に伝わる。20km/hを超えるとモーターなどの作動音が目立つようになる。

国交省が想定する超小型モビリティの有用性は公務・業務利用、観光利用、日常利用などだが、C+podを観光や日常に用いるならば、もう少し騒音面での快適性向上が望まれる。ただ超小型モビリティの開発は始まったばかり。普及に伴って性能は全方位的に向上していくだろう。

走りはスムーズ。街が広くなる可能性を実感

アクセルを踏み込むとEVらしく発進はスムーズ。力強さも問題ない。50km/hを超えると最高速の60km/hを超えないようリミッターが作動するが、その手前の40km/h前後から車速の伸びがかなり緩やかになる。ただC+podは高速道路を走行することはないので、街なかでは十分な動力性能といえる。ブレーキも操作フィールはやや雑なものの制動力は十分で、安心して走らせることができた。衝突被害低減ブレーキも備わっている。

とにかく街なかでの機動力が最高で、狭い道路でのすれ違いやU-ターン(最小回転半径3.9m)などでのストレスがまったくない。国交省によれば、自動車による移動は10km未満が約7割で、乗車人数は2名以下が大半という。つまり現在使われているクルマの多くは超小型モビリティで置き換えられるということ。超小型モビリティが普及すればするほど相対的に道路幅や駐車スペースが広くなるわけで、考えるだけでワクワクする。

C+walk Tの操作は簡単。価格は34万1000円〜

続いて試したC+walk Tは、人々の歩行による移動を補うモビリティとしてトヨタが開発したもの。高齢者や障害者の歩行負担の低減のみならず、広大な施設内での移動や警備なども想定している。現在は公道で使用することができないが、関連法規の改正の動きも見られる。

サイズは全長700mm、全幅450mm、全高1210mm。前1輪、後ろ2輪(いずれもノーパンクタイヤ)の3輪EVで、インホイールモーターで前輪を駆動する。最高出力は0.35kW、ステップ内に総電力量0.27kWhの脱着可能なリチウムイオンバッテリーが搭載され、約14kmの連続走行が可能。100V/6Aの普通充電に対応し、約2.5時間で満充電となる。

前輪のほぼ真上にステアリングバーがあり、バーの中央にメーターが配置される。操作系は左右対称。親指でレバーを押し込むと発進、加速、戻すと減速、停止する。強い減速が必要な場合にはブレーキレバーを使う。後退ボタンも左右両方にある。長時間アクセルレバーを押し続けると親指が疲れる可能性があることや、ステアリングを切った際、身体に近いほう(右旋回時の右)のレバーが操作しにくい可能性があることから左右対称の2系統の操作系を採用する。また左右どちらかの手に障害をもつ人の使いやすさも考慮している。

設定速度を2、3、4、5、6、10km/hの中から選ぶことができる。ただし10km/hは熟練者用で、別の専用キーが必要。6度までの坂道を登ることができる。また25mmまでの段差を乗り越えることができ、50mmまでの段差を降りられる。オプションでセーフティサポートを装着すると、前方に障害物を検知すると警告音とメーター表示で警告するとともに2km/hまで減速する機能が付き、回避や停止をアシストする。自動停止しないのは転倒を避けるため。

全長700mmというのは人の歩幅に近く、人が歩行する際に専有するスペースに留めている。歩行者と並んで移動する際にコミュニケーションを取りやすいようステップの高さを150mmとできるだけ低くしたという。

操作がごく簡単で乗り始めてすぐにスムーズに、自在に移動することができた。設定速度3km/hで移動中、横をトヨタZEVファクトリーZEV B&D Lab主幹の山田雅司氏が歩行しながらいろいろと説明してくれた。設定速度にかかわらず、旋回中はステアリング操作に連動して転倒しない速度まで下がるので、立っていて重心は高いが、遠心力で外側に倒れそうになることはなかった。今回は平地のみでの移動だったので試せていないが、斜面を降坂する際にも自動的に速度を抑制する機能が付く。

歩行困難者の移動のため、座って運転するいわゆるセニアカーはすでに存在するが、C+walk Tは、立っていられる人には健康維持のため、立って移動できる手段があったほうがよいという考えに基づいて開発された。また立ったままの移動のほうが専有面積を取らないため、混雑した場所でも移動しやすいというメリットもある。

トヨタはC+walk Tのステップ部分をシートに付け替えたタイプやC+walk Tを車椅子と結合するタイプも同時開発している。


C+podは165万〜171万6000円、C+walk Tは34万1000円(セーフティサポート付きは35万4200円)。これまでにない存在のため現時点では高いとも安いとも判断が付かないが、C+podの場合、上級の軽自動車と同等ということを考えると、決して購入しやすい価格とは言えない。移動の自由を拡大するモビリティとして普及するには、将来的には大幅に価格を下げる必要があるだろう。

(取材・文/塩見 智)

この記事のコメント(新着順)11件

  1. 単純にこんな小さな車に160万円も出せるか、って話になってしまうのがね
    ただこのサイズ、価格の事もそうですけど結局安全性とか高速道路に乗れないとか
    不便さを考えるともっと安くてもどうなのかと思いますけどね。

    1. おはようございます、同意見です
      コムスの二の舞いになるでしょう
      軽四の新車はぶったぐりなので中古を買えば安くて高速も乗れます
      トヨタは高利益を上げているので普及させたいなら国内還元で超低価格にすべきです、買い替えた為に近場のスーパーにしか行けない

  2. EV-LANDのEV-TUK TUK(EV-トゥクトゥク)と比較してください。
    車検不要、車庫証明不要、普通自動車免許だけで乗れる3人乗り。
    100v充電。80km走行。そして66万円。
    C+Podに魅力ないですね。

    1. 確かに安いですが、濡れないところしか充電できない、エアコンなし、保証期間一年、安全性を考えると人によってはあるとは思います、

      ただ、こんな価格出すくらいなら日本の軽自動車の最安値トヨタのエポック85万のがよっぽどましですね、大体ついてますし

    2. 岡山県西粟倉村役場の奥にEV-TUKTUKを見つけました。
      敢えて言うならドアがついているので”全天候型”ですかね、、、

  3. C+Pod,魅力を感じにくいクルマですね。特にi-MiEV(軽EV)に慣れるとメリットが見出せないというか。
    軽EVを渇望する声が多く、しかもi-MiEVが売れなかった理由にハイトワゴンを選ぶ主婦の目線が足りないという声が聞こえてくるあたり爆売れは考えられませんよ。来年発売予定の日産三菱軽EVはそこを考えて発売するはず、比較される可能性大。
    あとは衝突安全性がどうか。日本の軽自動車が海外輸出されないのは後面オフセット衝突非対応だから。唯一それに対応したi/i-MiEVがプジョーやシトロエンへOEM輸出されたのが論より証拠!

  4. たとえ排気量が50㏄しかなくてもトライクなら高速道路を走れてしまう不合理な状態。
    このクラスの存在意味ってあるのでしょうか?

  5. 通勤用のサブとしてならこのくらいの性能でいい。というか性能多少犠牲にしてでもこのくらいのサイズにおさめる方が個人的に良い。
    ただ税制や車検制度など簡単に調べる程度では、超小型モビリティって規格が軽規格に対して優位性が見えてこないのがネックに思う。逆に軽に準ずるって理屈で軽EVと同等の補助金貰えるならそれでもいいけど。
    早く本格的にこの規格での競争が始まって色々なデザインの中から選べるようになってくれるのを期待。

  6. 中途半端!

    来春発売がアナウンスされてるサクラ?を待つでしょ!

    この車売るつもりならなら価格は100万円。

    立ち乗り需要ってどうなのかな?

  7. C-PODね?

    中国のハンガンminiだったか?

    軽自動車typeのバッテリーは、超少しですが(笑)
    こんな車を出せないのかな?
    オモチャとしか思えない(泣)
    国内の大メーカーが出す車ね?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この記事の著者


					塩見 智

塩見 智

先日自宅マンションが駐車場を修繕するというので各区画への普通充電設備の導入を進言したところ、「時期尚早」という返答をいただきました。無念! いつの日かEVユーザーとなることを諦めません!

執筆した記事