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従来モデルとは別次元のEV性能を実現!/トヨタ「新型bZ4X」1000kmチャレンジ 詳細レポート

従来モデルとは別次元のEV性能を実現!/トヨタ「新型bZ4X」1000kmチャレンジ 詳細レポート

トヨタが2025年10月にビッグマイナーチェンジを行った電気自動車の新型bZ4Xで「1000kmチャレンジ」を行いました。旧型モデルで指摘されていた急速充電における充電回数や電池温度による制限が、ファーストカーとして実用的に使えるようにどれほど緩和されたのか。途中の電費や充電の様子を詳細レポートします。

目次

走行条件やルートを確認

まず、YouTubeの「EVネイティブ」チャンネルで恒例となっている「1000kmチャレンジ」、今回の前提条件は以下の通りです。

Googleマップから引用。

【走行ルート】
佐波川SA上り(山口県)

信楽IC(滋賀県)

佐波川SA下り(山口県)

【走行条件】
●途中充電のための停車以外はノンストップで佐波川SA下りを目指す。
●車内の空調システムは常にONにして快適な状態をキープ。
●追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容。
●渋滞やインフラ側の理由による充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外。
●車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を適宜補正(今回のbZ4X FWD・18インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離と比較して-1.1%下振れしているため、オドメーター上で989kmの段階でゴール)。

【使用車両スペック概要】
●車種:トヨタbZ4X(2025年10月発売モデル)
●グレード:Z FWD
●装着タイヤ:ブリヂストンALENZA 001(235/60R18)
●WLTCモード航続距離:746km(日本のカタログスペック)
●EPA航続距離:505km(アメリカ環境保護庁の基準)
●最大急速充電出力:150kW
●SOC 10-80%急速充電時間:28分(実測値:27.5分)

最初の150kW器では期待した出力は発揮されず

① 佐波川SA上り→福山SA上り(150kW級急速充電器)
●走行距離:204.7km
●消費電力量:100%→43%
●平均電費:5.05km/kWh(198Wh/km)
●外気温:9℃→6℃
●天候:晴れ
●充電セッション:43%→55%(7分)

まず、今回の検証は私が行なっている通常ルート(海老名SAと加古川北IC間往復)と比較して120km/h区間が存在しないため、所要時間や平均電費をこれまで検証を行った競合と比較することにはあまり意味がありません。

一方、旧型モデルで問題視されていたのが繰り返しの急速充電における安定性です。とくにソフトウェアアップデートを行う前の初期モデルでは、24時間で3回目の急速充電を行うと充電出力を大きく絞る挙動があり、多くのユーザーから長距離走行における利便性の低さを指摘されていました(トヨタはソフトウェアのアップデートによって24時間でこれまでの2回から、3.8回程度まで制限を許容する改善を行ってきました)。

また、高速走行と急速充電を繰り返すとバッテリー温度が上昇し、充電出力を制限するという報告も多々みられました(旧型では約51℃で出力制限。夏場でなくても制限が入っている状況もありました)。

そして私自身、旧型モデルで複数回の1000kmチャレンジを行った際に、その充電制限によって想定以上に充電に時間を要してしまった経験があります。いずれにしても、高速走行と連続の急速充電を繰り返すことになる1000kmチャレンジという検証は、旧型モデルの急速充電性能に対する懸念点をどこまで払拭できたのかを判断する重要な検証と言えるのです。

そして、最初に立ち寄った福山SAでは期待通りの充電出力が発揮されませんでした。というのも、新型bZ4Xにはナビリンクバッテリープレコンディショニング機能が新搭載されたため、音声認識によってサービスエリアの充電器を目的地にセッティングしたのですが、なぜか起動しなかったのです。よってこれはバッテリー温度の低さによる充電出力制限であると推測できます。

約7分間の充電で、次の150kW器が設置されている三木SAまで到達するために必要な最低限の電力量を回復して先に進みます。

最大150kW級の急速充電性能を確認

② 福山SA上り→三木SA上り(150kW級急速充電器)
●走行距離:173.1km
●消費電力量:55%→0%
●平均電費:4.85km/kWh(206Wh/km)
●外気温:6℃→3℃(最低2℃)
●天候:晴れ
●充電セッション:0%→82%(37分)

三木SAでは期待通り140kW級(=350A)の充電出力を確認できました。というのも、福山SAではバッテリープレコンディショニング機能が起動していなかった可能性があるため、到着1時間前を目安に手動のプレコンディショニング機能をオンにしたからです。

とくに、新型bZ4Xでわかりやすくなったと感じているのが、ドライバーディスプレイに表示される充電出力表示です。

注目したいのが「148.25kW」と表示されている二列目の「max」の欄です。一列目には実際に充電器が流している充電出力がリアルタイムに表示されていますが、二列目はbZ4Xが現在対応可能な最大充電出力が同じくリアルタイムで表示されています。つまり電池温度が低い、もしくは高すぎることなどによって充電出力を制限しているという車両側の問題なのか、それとも充電器側に問題があるのかが一目瞭然です。

充電プロバイダーや自動車メーカーはユーザーから充電能力に対するクレームを入れられることが多いと聞きますが、こうした明確な表示で車両側と充電器側のどちらが問題なのかがユーザーに分かりやすくなれば、そのようなユーザーの不満の解消につながると感じますし、今後は他の自動車メーカーも同様のUIに期待したいとも感じます。

ちなみにSOC(バッテリー残量)は0%で到着しましたが、バッテリーが残り少なくなってからも加速力が著しく低下するなどの不安定な挙動は一切見られませんでした。

低い外気温でも出力118kWを発揮

③ 三木SA上り→信楽IC(折り返し)→三木SA下り(150kW級急速充電器)
●走行距離:244.3km
●消費電力量:82%→9%
●平均電費:4.88km/kWh(205Wh/km)
●外気温:3℃→3℃(最低-1℃)
●天候:晴れ
●充電セッション:9%→70%(28分)

すでに折り返し地点を超えました。氷点下で高速走行ということを踏まえるとぼちぼちの電費性能であるように感じるものの、実は充電残量を9%も残しての到着は私の完全なミスです。というのも、三木SA上りの充電セッションが成功したことで安堵してしまったのか、手動プレコンディショニングを起動するのを忘れてしまったのです。到着10分前に気づいて起動したのですが、それによって想定よりもわずかに電費が良くなったことで9%も充電残量が残ってしまったわけです。

とはいえ、SOC16%という充電の初期段階でも118kW(300A×395V)を発揮しており、プレコンディショニングかけ忘れの影響を最小限で留めることができました。新型bZ4XのZグレードはシステム電圧が高めに設計されているのも、急速充電で高出力を得やすいポイントです。

急速充電と高速走行を繰り返すようなケースでは、プレコンディショニングを使用せずとも、真冬でもまずまずの充電性能を達成できるのかもしれません。

ナビリンクバッテリープレコンディショニング活用のコツ

④ 三木SA下り→小谷SA下り(150kW級急速充電器)
●走行距離:222.2km
●消費電力量:70%→2%
●平均電費:4.90km/kWh(204Wh/km)
●外気温:3℃→2℃
●天候:晴れ
●充電セッション:2%→50%(18分)

最後の充電スポットに到着しました。今回の1000kmチャレンジで使用した充電器は全て最大150kW器であり、西日本における急速充電ネットワークが急速に拡充していることが実感できました。そして、ここでついに初めて「ナビリンクバッテリープレコンディショニング機能」が作動しました。

というのも、これまではサービスエリアを検索して、その際に車両側が充電施設と案内していたことから、てっきり車両側が充電施設と認識していると思っていました。ところが今回は小谷SAを目的地にセットした後に、さらに目的地周辺の充電施設から小谷SAをあえて再セット。つまりマップ機能の中にある充電施設から目的地をセットする場合にのみナビリンクプレコンディショニング機能が作動する仕組みになっていると考えられます。

いずれにせよ、新型bZ4Xユーザーのみなさんには、必ず充電施設の欄から充電器の目的地をセットするのがオススメです。

テスラ「モデルY」と同等の快適な長距離移動性能

⑤ 小谷SA下り→佐波川SA下り(ゴール)
●走行距離:156.4km
●消費電力量:50%→6%
●平均電費:5.43km/kWh(186Wh/km)
●外気温:1℃→9℃
●天候:晴れ

佐波川SA直前で走行距離1000kmを達成しました。佐波川SAには充電残量6%で到着。この佐波川SA到着時点での充電残量が少なければ少ないほど、最後の充電時間を短縮することができるわけですので、綿密な充電残量コントロールが求められるわけです。その意味において、今回の1000kmチャレンジではまずまずの充電残量コントロールを達成できたと言えそうです。

トータルの所要時間は10時間39分と、私がこれまで行ってきた1000kmチャレンジの検証の中でも平均以上のタイムとなりました。特に今回のルートでは120km/h区間がなかったため、他車の検証と同じルートで検証すると、おそらく10時間20分弱程度を達成できる計算です。これはチャデモ規格を採用する電動SUVとしては優れた結果といえます。

とはいえ、テスラモデルYロングレンジAWDとは充電時間で差がついています。確かに新型bZ4XではSOC10%-80%を27.5分で充電でき、モデルYは32分を要するため、一見するとbZ4Xの方が充電時間は短く済みそうです。ところがモデルYは低SOC下では最大250kWを許容でき、SOC50%程度までは100kWが持続するため、SOC10-50%程度の範囲内だと新型bZ4Xよりも充電が速くなります。この充電効率の高いSOC域をうまく活用すると、新型bZ4Xよりも長距離走行における充電時間を短縮できるのです。

とはいえ、タイムトライアルや急ぎの人でなければ、新型bZ4Xは高速道路上に設置されているチャデモ規格の高出力急速充電器で充電できるのでより実用的でしょうし、テスラと比較した長距離走行の快適性では「同等」を実現していると評しても過言ではないでしょう。

いずれにしても、トヨタの最新電動SUVである新型bZ4X Z FWDはEV性能を飛躍的に改善してきたことで、ファーストカーとしても実用的に運用できるEVに仕上がったと断言できます。

利便性をさらに向上させるための期待ポイント

その上で、今後トヨタにさらに期待したい点を列記しておきます。

●目的地をセットしても到着時の充電残量予測値が分からない。
●ADAS使用時にインター直前で左車線が分岐すると、それに引っ張られてLKA(レーンキープアシスト)が不安定になる場合がある。
●ナビリンクプレコンディショニング機能が起動する際にいくつか条件がある。できれば充電器のあるサービスエリアを目的地にセットした段階で、充電器を目的地にするかそうでないかを選択できるようにしてほしい。もちろん充電器を選択するとプレコンディショニングがかかるように。
●ナビの充電器検索で、充電出力別の充電器検索機能が欲しい。
●満充電で走行不可な目的地をセットしたら、途中の推奨充電器を提案して欲しい。もちろん到着時の充電残量が低い状態、かつ150kWの充電出力を優先的に案内するようなアルゴリズムが望ましい。
●ナビリンクプレコンディショニングが目的地到着130km以上前から起動したケースがあり、効率性向上のためにもう少し充電器に近づいてから起動する方が望ましいのでは?

これらの点が改善されると、ファーストカーとしての利便性がさらに向上することは間違いありません。

いずれにしても新型bZ4Xの受注動向は順調と聞いています。ぜひ新型bZ4Xオーナーには街乗りだけでなく長距離走行もどんどん試して、新型bZ4Xの長距離走破能力を体感していただきたいです。そして、新型bZ4Xで気になる点などをどんどんトヨタに伝えていくことで、トヨタがさらにより良いEVを開発してくれることにも期待していきたいと思います。

取材・文/高橋 優(EVネイティブ※YouTubeチャンネル

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この記事を書いた人

免許を取得してから初めて運転&所有したクルマが電気自動車のEVネイティブ。

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