ボルボ最小のコンパクトSUV電気自動車「EX30」で新潟県上越市へ長距離&雪道試乗に出かけてきました。約300kmのドライブは充電の心配もなく快適に疾走。AWDモデルは雪道の坂道発進などでも安定した走りを確かめることができました。ボルボならではの洗練されたデザインや安全性に包まれて、この1台を相棒にしたカーライフは幸せに違いありません。
※この記事はAIによるポッドキャストでもお楽しみいただけます!
「EX30」という電気自動車の存在感

2月中旬、新潟県上越市までボルボ「EX30」で長距離&雪道試乗をしてきました。試乗車のグレードは「Ultra Twin Motor Performance」で、バッテリーの総電力量は69kWh。電子制御AWDシステムを搭載する上級グレードです。
EX30が日本で発売されたのは2023年。ボルボ史上最小&最速であるとともに、史上最小のカーボンフットプリント(製品のライフサイクルにおける二酸化炭素排出を数値化する指標)を実現しているのが特長です。日本発売の発表会では、ボルボ・カー・ジャパンの不動奈緒美社長(当時)が、コンパクトで取り回しが良く、それでいて上質なインテリアなどを評して「まるで日本のために開発されたEVだと感じています。日本にベストフィットな車。ワールドプレミアから2カ月でお披露目できるのがうれしい」と紹介しました。
2025年8月には、それまで「Ultra Single Motor Extended Range」の1グレードだったのを5グレードにラインナップを拡大。今回試乗した「Ultra Twin Motor Performance」など、待望のAWDモデルが追加されました。AWDモデルとしては、ボルボ伝統の「Cross Country」の名を冠した「Cross Country Ultra Twin Motor Performance」もこの時に登場しています。
また、エントリーモデルとしてLFP(リン酸鉄)バッテリー(51kWh)を搭載した「Plus Single Motor」を発売。最先端の運転支援機能などは備えながら、パワーシートなど一部装備を抑えることで実現した479万円(価格はすべて税込)という価格は、マイルドハイブリッドなどを含むボルボ車ラインナップのなかで最も安価な一台となりました。この際の発表会では、いかに安価なエントリーモデルであっても「車は人によって運転され、使用される。したがってボルボの設計の基本は常に安全でなければならない」というボルボの理念はいささかも揺らがないことが強調されました。
試乗車の「Ultra Twin Motor Performance」の価格は629万円になりますが、大容量BEVのAWDモデルで比較すると、日産アリア「B6 e-4ORCE」(66kWh)が約728万円〜、改良モデルで価格設定も頑張ったトヨタ「bZ4X Z 4WD」(74.69kWh)でも600万円〜なので、国産車並み、もしくはより手頃な価格でボルボのAWDモデルに手が届くと考えることができます。ただし、EX30への国のCEV補助金額は「Ultra Twin Motor Performance」で46万円であり、130万円の満額を受給できるbZ4Xや129万円のアリアに比べて実質価格では80万円ほど割高となります。つまり「それでもやっぱりボルボがいい!」と思えるかどうか、ってことですね。
東京〜雪道〜上越市は無充電で余裕の完走
今回の取材は、ボルボ・カー・ジャパンが開催した「EX30 Cross Country&Twin Motor Winter Test Drive」に参加するカタチで行いました。上越市内の上越妙高駅を拠点に、数日間にわたりメディアが交替で雪道試乗をするのですが、東京から上越の往路と復路で長距離試乗を兼ねてクルマを運ぶ試乗枠があり、EVsmartブログでは長距離試乗枠を希望した次第です。昨年も同様の試乗会があって、その時は著者陣の木野さんと一緒に復路を担当してレポート(関連記事)しました。

まずは今回の長距離試乗、印象を端的にまとめると「ね、大丈夫でしょ」って感じです。東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」出発時のバッテリー残量(SOC)は97%、航続可能距離は387kmと表示されていました。「Ultra Twin Motor Performance」の一充電走行距離は535km(WLTCモード)ですが、メーターの航続可能距離表示は直前の走行状況などによって変動します。エアコンの暖房は普通に使って走る計画であり、400km弱という航続距離予想は「まあ、そんなものでしょ」という感じです。
最終目的地である上越妙高駅までの距離は、Googleマップで検索すると関越自動車道経由で「298km」、中央自動車道経由で「353km」です。昨年の復路では中央道談合坂SAに新設された150kWの急速充電器を試すため、あえて遠回りの中央道ルートを選択しましたが、今回は関越道ルートをチョイス。途中でスキー場(雪道目当て!)に寄り道しても十分に完走可能。せっかくなので、上越市内の高出力急速充電器で急速充電を試してみようという計画にしました。
途中、高坂SAで一度トイレ休憩しましたが、先進運転支援機能を活用した長距離ドライブは快適そのもの。高原のスキー場まで駆け上り、雪道での試乗&撮影でエネルギーをまき散らしつつ、最終目的地から3kmほどの距離にある急速充電ステーションには、SOC12%で到着することができました。

EX30は、SOCが20%を下回ると残量低下の警告が出て、SOC表示の文字が黒からオレンジに変わります。EVに不慣れな方は「充電しなきゃ、ヤバいよヤバいよ」と焦ってしまうかも知れません。でも、総電力量が69kWhのEX30でSOCが12%ということは、まだ8kWhの電力を使用可能。電費が「5km/kWh」としても、40kmは走れる計算になります。実際、充電スポット到着直前の航続可能距離は「47km」と表示されていました(その後、下り坂が続いて「63km」まで延びました)。ゴールまでは3kmほどなので、余裕の完走と評していいでしょう。
EVは航続距離が短いという懸念は時代遅れということは、いろんな記事で繰り返していることですが。「EVは冬の航続距離がぁ」という論評も、こうして実際に走ってみると「は?」と答えるしかない思い込みであることが実感できます。
湿り気味の雪道でも安定した走りを実感

雪道では「なるほど、こりゃ安心だ」という安定した走りを実感できました。実は、2月上旬まで日本海側で大雪といったニュースが飛び交っていたものの、試乗日の前から急に暖かくなって路上などの積雪は激減。雪道試乗を予定したスキー場に向かう上信越道妙高高原ICまで、さらにはICを下りてからも路上の積雪はまったくない状況でした。でも、妙高高原へ上るとしっかり雪が降り始め、圧雪路での走りを確認することができました。
EVはトラクションコントロールの制御などが緻密で、EX30ではRWDモデルでも雪道で安定感ある走りができることは、前述した昨年の試乗でも体験済みです。今回はAWDモデルですから、安定感がさらに向上しています。
雪上試乗会のために用意された広報車なのでもちろんスタッドレスタイヤを装着していますが、チェーンは未装着です。エンジン車でもEVでも、さらにはAWD車であっても、雪道の上り坂における坂道発進は苦手なもの。スキー宿でお客さん送迎バイトをやってたころの「常識」を思い返して、湿った雪が荒れ気味に張り付いている上り坂であえて一旦停車。強めにアクセルを踏み込んでタイヤを空転させてやろうと企んだのですが、EX30の四輪はしっかりと雪面をグリップ。もちろん空転などすることはなく、想定外の加速を発揮しながら上り坂を突き進んでいきました。
現実のシーンにおいて雪道でフル加速なんてアホなことをやる必要はないし、やる人もいないと思いますが。つまり、雪道だとか新雪だといった条件はあまり気にすることなく、いつも通りの安心なドライブが楽しめることを実感できました。
個人的に、今年初めての雪道だったこともあり、空いている駐車場を見つけて、うっすらと積もった新雪を踏みながらクルクル回る快感を楽しんだりしても、危険を感じるような挙動やスリップは皆無でした。
ただし、止まれるかどうかは別の話です。とくに、下り坂ではAWDだろうがスタッドレスだろうが制動距離が思いのほか長くなってしまうのが、人には抗えない物理の法則です。上り坂でグイグイ走るからといって、下り坂でスピードを出し過ぎると事故に直結してしまうので、くれぐれもご注意ください。
急速充電器の故障に遭遇も充電性能の優秀さを確認

次に急速充電性能の確認です。EX30の急速充電性能は、昨年末のOTAアップデートで最大150kW対応になりました。日本国内の公共用急速充電器の出力は今のところ最大150kW程度なので、ここでも日本への最適化を実現したことになります。
とはいえ、新潟県の地方都市で90kW以上の高出力器があるのかどうか。EV充電エネチェンジアプリで検索してみると、上越妙高駅近くで3カ所の高出力急速充電ステーションがありました。しかも、雪道を走ったスキー場から駅に向かう途上に「240kW」の表示を発見。これは、EVsmartブログでもたびたび紹介しているテンフィールズファクトリーの「フラッシュ」に違いありません。
「これなら最大150kWの充電性能を確認できるはず!」と期待しながら現地に到着。ところが、ケーブルを接続して充電を始めようとしても、充電器の液晶画面は真っ暗なまま無反応。「あちゃー」と思いつつ、もしかすると遠隔操作で復旧できるかもと期待して掲示されていたサポート窓口に電話してみました。でも「液晶が表示されないということは故障で、復旧には時間がかかるので他の充電器をご利用ください」と無情な言葉が返ってきました。

残念ながら故障中で使えませんでした。
急速充電器が故障などで利用できないのは、そう頻繁にあることではないものの、EV乗りとしては想定内のトラブルです。こうした事態を防ぐためにも充電ステーションには「複数口設置」をお願いしたいと期待しつつ、近くに表示されていた90kWのステーションまで少し引き返しました。

ところが、アプリで「西脇建設」と表示されていたこのステーションにびっくり仰天。まるでアウディの「チャージングハブ」と見まごうような屋根付きの立派な場所に、新電元の90kW器が設置されていました。思わず母屋に飛び込んで社長にお話を聞くことができたので、そのあたりは改めて別記事で紹介したいと思っています。ともあれ、SOC11%からの充電は開始直後から90kW器の最大となる200Aを記録。30分間で69%まで、40kWh以上を充電することができ、EX30の充電性能が優れていることを確認できました。

終了1分前に充電電力量が40kWhを超えました。
国内の高速道路SAPAでも、最大150kW器が設置されている箇所は限定的で、90kW器が増えています。そのスペックを存分に引き出せる、そして150kW器の恩恵を享受できるEX30の急速充電性能は、ユーザーにとって心強い「実力」と評することができます。高速道路SAPAや道の駅など経路充電スポットには90kW以上の急速充電器の拡充が進んでいます。30分で40kWh以上(電費が5km/kWhとしても200km走行分以上)の電力を補給できる性能があれば、事前の充電計画などに気を使うことなくロングドライブを楽しむことができるはずです。
【関連記事】
OTAアップデートで進化を続けるボルボ『EX30』試乗レポート/劇的に向上した急速充電性能を試してみた(2025年12月2日)
EVはもう特有の「我慢」や「工夫」を強いられるクルマじゃない。そして、魅力的な選択肢がますます拡大しているということを、じっくりと確認できる雪国遠征となったのでした。
取材・文/寄本 好則







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