トヨタが新型BEV『bZ4X』の詳細を発表〜価格や販売目標台数はまだ不明

トヨタが電気自動車『bZ4X』の詳細を公表しました。トヨタのBEV(エンジンを搭載しない電気自動車)シリーズ『bZ』のコンセプトや、新型『bZ4X』の主要諸元などが紹介された一方で、価格や販売目標台数などは未発表。「トヨタの電気自動車」を期待して待っていいものか、まだ少し微妙です。

トヨタが新型BEV『bZ4X』の詳細を発表〜価格は販売目標台数はまだ不明

バッテリー容量は「71.4kWh」

2021年10月27日、トヨタ自動車が新型電気自動車『bZ4X(ビーズィーフォーエックス)』に関するメディア説明会をオンラインで開催。29日にニュースリリースを発表しました。EVsmartブログ編集部は残念ながら説明会に参加できなかったのですが、日本のユーザーの多くが期待する「トヨタの電気自動車」には興味しんしん。複数の自動車評論家と議論しつつ発表された情報を整理、編集部がポイントをまとめた記事として紹介します。

記事中写真の車両はすべてプロトタイプです。

最初のポイントは、なにはともあれ、明らかになったスペックです。

『bZ4X』主要諸元(日本仕様 ※車内測定値)

FWD車4WD車
車両重量・性能
車両重量(kg)1,920~2,005~
車両総重量(kg)2,195~2,275~
最小回転半径(m)5.7
一充電走行距離(WLTCモード)500km前後460km前後
寸法
全長×全幅×全高(mm)4,690×1,850×1,650
※全高にはアンテナを含む
ホイールベース(mm)2,850
乗車定員5人
モーター
種類交流同期電動機
最大出力(フロントモーター)150kW80kW
最大出力(リアモーター)---80kW
最大出力(システム)150kW160kW
動力用主電池
種類リチウムイオン電池
総電圧355V
総電力71.4kWh
充電性能
AC充電器最大出力6.6kWh
DC充電最大出力最大150kW
走行装置
ステアリングラック平行式電動パワーステアリングシステム
フロントサスペンションストラット式コイルスプリング
リアサスペンションダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
ブレーキベンチレーテッドディスク(前後とも)
駆動方式前輪駆動四輪駆動
動力性能
0-100km/h 加速性能8.4秒7.7秒

EVsmartブログ的にいちばん気になったのは、最大150kWと明示されたDC充電=急速充電性能です。これは、日産アリアの130kWを超えて、日本国内のチャデモ規格対応車としてはポルシェタイカンやアウディe-tron GTに匹敵する性能です。

ただし、日本国内の公共充電インフラはまだ最大90kW器の拡充を急いでいる段階で、150kW器の普及は当面見込まれていません。ポルシェやアウディ、そして日産では独自に150kW器によるユーザー向け充電インフラ(少なくとも日産の充電器はeMPネットワークに入るはず)を設置していくことを表明していますが、トヨタはどうするのでしょうか。参加した自動車評論家に確認したところ、残念ながら詳しい説明はなく、質疑応答の質問もなかったようです。

BEV専用プラットフォームを採用。

EVsmartブログの記事ではしばしば提言していることですが、現状のEV普及状況を勘案すると公共の急速充電インフラは最大90kWで十分。20〜30kW程度の充電器も多く広がってしまっている中、ことに高速道路SAPAや主要一般道のハブとなるような地点付近に、最大90kWを目安とした高出力器の複数台(口)設置を急ぐことが課題になっています。

一方で、全国40カ所になろうとしているテスラのスーパーチャージャーをはじめ、日産、ポルシェ、アウディといったメーカーは、自社が誇るEVの性能をユーザーが享受できるよう、最大150kWの超高出力急速充電ネットワーク構築を独自に進めようとしています。つまり、超高出力の急速充電ネットワークは、それに対応できるEVの「性能の一部」といえます。

トヨタではオプションで急速充電可能な『プリウスPHV』や、レクサスブランドから電気自動車『UX300e』などを発売していますが、トヨタディーラーに急速充電器はほとんど設置されておらず、レクサスディーラーに設置が進められている急速充電器も使えるのは営業時間内のみというところが多い現状です。はたして、『bZ4X』の発売をきっかけにして、一気にトヨタディーラーへの150kW器設置が進むのか? 正式な発売発表の際には、ぜひ急速充電ネットワークについて言及してほしい、いや、喜ばしく頼もしい発表を期待したいと思います。

ちなみに、日本仕様の150kWは当然チャデモ規格です。『bZ4X』をはじめとする『bZ』シリーズの電気自動車は、「中国・米国・欧州・日本などの、BEVの需要や再生可能エネルギーによる電力供給が多い地域で発売する」ということで、欧米のコンボ規格、中国のGB-T規格でも最大150kWの対応となります。

価格や販売目標台数などは発表されず

ステアバイワイヤシステムと異形ステアリングホイールを組み合わせた「ワンモーショングリップ」装着車も用意されます。

トヨタの『bZ』シリーズは、「bZ=beyond Zero(ゼロを超えた価値)」を目指して展開される専用プラットフォームによる電気自動車です。『bZ4X』はシリーズの第一弾として、「2022年年央より世界各地(前述の中国・米国・欧州・日本など)」で発売することが発表されました。ざっくり言って半年後、もうすぐです。

トヨタ待ちユーザーとして気になるのはやっぱり値段ですが、今回は未発表。質疑応答で「スバルと共同開発していることもあり、まだ明言できない」旨の説明がありました。同様に、生産する工場や、各国別、ことに日本での販売目標台数なども「まだ発表できない」ということでした。

価格を推察しておくと、71.4kWhというバッテリー容量はテスラ『モデル3』を例にすると、推定54kWhのスタンダードレンジプラス(454万円〜)と、79.5kWhのロングレンジ(534万円〜)の中間程度。日産アリアの65kWhモデルは、実質500万円程度で発売されることがアナウンスされています。

SUVスタイルのテスラ『モデルY』が導入されたらモデル3より80万円くらい高い590万〜600万程度(ロングレンジ)になるとして、『bZ4X』(スバルから発売される『ソルテラ』も)は、実質500万円台前半程度には設定しないと、競合車と勝負できないのではないかと思われます。

逆に、このスペックで日産アリアのエントリーグレードと同等の「実質500万円」以下〜で登場してくれるのであれば「さすがトヨタ!」と賞賛できます。

説明会では「『bZ4X』の『4』はセグメント、『X』は形状を示す」という説明がありました。『bZ』シリーズには「2025年までに7車種を導入する予定」ということなので、数年のうちにBセグメントやAセグメントの『bZ2』とか『bZ1』と名付けられたトヨタのEVが登場してくるのだと思われます。『bZ4X』の価格が500万円を超えるのはほぼ確定的でしょう。でも、コンパクトなサイズの『bZ1』あたりでは、ぜひ実質200万円で実用的に200kmオーバー(できれば300km)を実現して欲しい、と願います。

コンセプトの真価はまだ未知数

説明会では、『bZ』シリーズのコンセプトとともに、それに対応した『bZ4X』の装備なども紹介されました。

とはいえ、室内空間の静粛性や居心地の良さ、ヒートポンプエアコンやシートヒーターなどによる暖房の効率化(冬場の航続距離確保)、OTAアップデートの採用、エトセトラ、といった内容で、あまり目新しいポイントはありませんでした。

一点、「You & the Environment:ヒトと地球/CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す」というコンセプト実現を目指した装備として、ルーフにソーラーパネル装着車を設定するという説明がありました。ソーラーパネルの発電量は「1年間で走行距離1,800㎞(社内試算値)に相当」とのこと。PVの年間発電量は「1kW出力のパネルで年間1000kWh」が目安といわれています。発表された一充電航続距離は「500km前後」なので、「500÷71.4=約7km/kWh」として、1800km走行分の電力は約257kWh。つまり、出力250W程度のソーラーパネル(自動車の屋根としては「ほぼ全面」じゃないでしょうか)を装着する計画ではないかと推察できます。

外部給電に対応することも発表には明記されているので、非常時などの電源として考えるとEVの新たな価値創出に繋がるアイデアだと思います。ガレージに屋根がなく、週末しかクルマに乗らないというユーザーなら「ほとんどソーラー充電!」といった乗り方ができる可能性もあります。今回の発表に言及はなかったですが、別売機器を使ったV2HやV2Lだけでなく、ぜひ、AC100Vのコンセントを標準装備して欲しいところです。

でも、トヨタはまだEVに本気じゃない?

トヨタが満を持して送り出す電気自動車、『bZ』シリーズには期待したい一方で、今回の発表リリースや説明会での発言には「あれ、トヨタはやっぱりまだ電気自動車に本気ではないのかな」と感じる点がありました。

「You&Your Car:ヒトとクルマ/BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供」というコンセプトを説明する文は、いきなり「「電動車は退屈」という常識を覆す」という電動車=EVへのネガティブな決めつけから始まります。少なくともEVsmartブログ編集部の面々は、「電動車は退屈」とは思っていないし、いったい誰の「常識」なのか疑問です。

説明会、ことに質疑応答のやりとりの中でも「EVはまだまだ」「売れるかどうかわからない」「電池の性能、ことに長寿命を実現しないと」といった、現状の電気自動車にトヨタは満足できていないと受け取れるコメントが散見されました。これからEVを発売しようという発表会で「EVはまだまだ」とか言われてしまうと、『bZ4X』や、すでに発売されているレクサス『UX300e』を買うのは時期尚早? と感じてしまいます。

EVシフトはトヨタにとって「不都合な真実」なのかも知れないですが、世界の流れは止まりません。今後、EVや搭載する電池の性能は急ピッチで進化していくことでしょう。日本の屋台骨を支える世界のトヨタには、現状でベストを尽くしたEVを、自信満々で世の中に送り出して欲しいと願います。また、『bZ4X』の日本国内での年間販売目標台数が「1000台」とかではないことを祈っています。

(文/EVsmartブログ編集部)

この記事のコメント(新着順)18件

  1. 性能に関しては自分もEVのほうがすでに航続距離等を除いて優れているとはおもいますね、

    価格が今後安くなるのかというのがかなり疑問に最近思ってきています。
    前から2020年にはガソリンを越すといわれてきてまだ100万近く高い状態です。
    中国が安いと言われていますが、他国にでた時だいたい中国の価格から100万近くは値上げして入ってきてます。
    欧州の大衆向けハッチバックevの愛猫も400万でしたし、

  2. 熱意は伝わるけど返信が衝撃的に感じ悪いですね
    まさに「論破」という言葉が似合う
    論破と、説得や説明とはやり方が違うんですよ

    「それはあなたの感想ですよね?」「それはエビデンスがないです」と上から目線をはっきり出しながら言うのに、自分も感想やエビデンスのない情報で論を補強していては、言われた方は相当気分悪いのではないでしょうか

    憂さ晴らしが目的なら自由なのでいいと思いますが、情報を正すのが目的ならだいぶやり方しくじってると思います
    「EV推進の奴ら、やっべ〜〜〜」って思われるよりは、「EV、実は結構やるんじゃん」と思われた方が得じゃないですか?

    1. p様、コメントありがとうございます!

      >自分も感想やエビデンスのない情報で論を補強

      この部分、私は意図していないので、欠けているエビデンスがあればご指摘おねがいします。

      >情報を正すのが目的ならだいぶやり方しくじってる

      当サイトは毎日1万人以上の方々が閲覧されています。
      私が時間を取って、記事にいただいたコメントに返信している理由は、書いてくださった方への御礼に加え、「他の読者の方にメリットがあるように」コメントしています。
      ファクトに基づかない、または論理的でない書き込みが記事の下にあった場合、それを読んだ方々によっては、ああ、この記事に書いてあることは話半分で受け取らないといけないんだ、と思う方がいらっしゃいます。その人数は、最初にコメントされた「もやい結び」さんお一人より、多いのです。私が論理的に返信することにより、感じは悪いかもしれませんが、少なくともファクトに基づいてコメントを評価することにより、他の読者の方々は考える機会を与えられると考えています。

      >「EV推進の奴ら、やっべ〜〜〜」って思われるよりは、「EV、実は結構やるんじゃん」と思われた方が得

      それはそうかもしれないですね。同意します。
      しかし、それによって私または当サイトの行動は別に変わらないし、変える必要もないと思っています。
      その理由ですが、主に二点あります。
      1. ファクトやエビデンスに基づかない情報を配信するメディアは存在意義がない。気持ちよくなるためのサイトなら、他にもゲームサイトやコミュニティサイト、エンターテイメントサイトなどがあり、それらを利用するほうが面白いです。わざわざ検索して情報を見るなら、ファクトやエビデンスに基づく情報を配信しているメディアから情報を得ようと思いませんか?
      2. 世の中には、性善説だけでは語ることができない行動をする方がいらっしゃいます。電気自動車には大変多くの利権が絡み、ファクトやエビデンスに基づかない、または単なるデマを流そうとする会社や人もいらっしゃいます。さらに、メディアというのはコンテンツ視聴と収益が連動するビジネスであり、メディアによっては、真実だろうが嘘だろうが関係なく報道したり、本来の姿よりショッキングな形で伝えたりすることが多くあります。これら信頼性の低いメディアにはなりたくないと考えています。

    2. ガソリン車なみの性能があるのか言えば、BEVとガソリン車はほとんどゼロに近づきつつあると思います。静粛性や加速性能、自動運転への対応など一部の機能ではむしろガソリン車を上回っています。
      もしBEVが劣る点があるとすれば、遠距離への対応とこれは性能ではありませんが価格がやや高いこと。しかし、遠距離への対応はバッテリ技術の改善や充電インフラの拡充で解決可能でしょう。価格も、中国の状況をみれば、現時点でもかなり安くすることが可能のように見えます。
      それ以上に問題なのは、ガソリン車は結局のところ二酸化炭素の削減に貢献できないこと。BEVは再エネ化が進めばそうではありません。また、ガソリン車は排ガスで健康に悪影響を及ぼします。熱を大量に出すため、都市ではヒートアイランド現象を引き起こします。エンジンの燃焼は電気に比べ効率が悪いため、エネルギーの効率的な利用ができません。石油という貴重な資源の枯渇を早めます。さらに、エンジン車の技術は成熟していて、新たな進化が考えにくいです。それに対して、BEVはまだ未成熟なぶん、これからの技術進化の可能性が広がっています。政治的な問題や経済上の覇権争いということもあるかもしれませんが、そういった現象の根底にはガソリン車という技術が時代の要請に応えられなくなっていること、技術的な進化の可能性がなくなっていることがあると思います。

  3. 2018年日本のCO2排出の世界に締める割合は3.2%。
    一方中国は28%、アメリカは14%、インドは8%、ここまでで世界の5割を占める。次はロシアの4.7%。5位に日本が来る。
    これまで日本はCO2排出削減に国、民間合わせて大変な努力してきた。
    日本ばかりが石炭火力の使用継続について責められるが、むしろ今回のCOPに参加していない、CO2を多量に排出している中国やロシアに排出削減の努力を促すよう国際的な圧力を強めるべきだ。もちろんアメリカについてもそう。

    アメリカヨーロッパ中国の各自動車メーカーが電気自動車の開発販売に力を入れ専業になると宣言しているメーカーもある。これはそれぞれの国や地域での規制に合わせる事情もあるが、日本の自動車覇権奪取を狙う各国政府やメーカーの政治的な思惑もある。特に中国のそれは経済安全保障上の脅威に直結しているものでもあり、中国経済、中国の労働市場に依存している日本メーカーも努々油断をせぬようにしてもらいたい。

    EVシフトが政治的な思惑で、というのはヨーロッパ中国アメリカの自動車主要市場での人口は26億人、それ以外の東南中央アジアロシアインド中東アフリカ南アメリカの人口は50億人になるが、この50億人の人間の都合を全く無視しているからだ。
    これらの国々では技術水準も低く電源インフラも整っていない。国民の所得も低く先進国の貨幣価値でも高価な車を買えるわけがない。買えても充電インフラが整っておらず車を使っての長期運転をするのもはばかられ、故障した際の保守点検にも技術者がおらずノウハウがないために修理も容易ではない。部品代金も高いものになるだろう。
    また、電気自動車のバッテリーが苦手とする高温低温域での過酷な環境での使用は寿命を縮めさらにコスト負担、故障リスクが増大する。
    これらの地域では、本体価格が安く技術が比較的扱いやすい低水準で保守点検がしやすいICE車の方が適している。高温にも強く、低温域では熱源にもなる。エネルギーの補充も燃料の携行や、GSなどのインフラは発電所建設、電源網の構築に比べ簡単にできる。まだまだ世界ではICE車、HV車が求められる場面は多いのだ。

    このことをEV専業を宣言した自動車メーカーはわからないわけはないはずだが、真相はどうなのだろうか。50億人もの市場をほったらかして日本にくれるというのだろうか?

    日本においてはBEVを走らせることは現時点では全くエコではない。将来的に発電時の環境負荷物質の排出量削減が進んでいけば、発電時も走行時もCO2を出さない本当のゼロエミッションになる可能性はあるが、今すぐではない。今BEVを導入した場合でも、ICE車と比較して最短で10年先の話になる。HV、PHEVと比較すればもっと先になる。

    今の電源状況でBEVを走らせて、従来のICE車と比較してBEVが有利になるには、走行距離にして6万から8万kmを走らないと下回らない。日本においては年に0.6万kmが平均走行距離で、最低限10年以上BEVを乗り続けないとCO2の排出削減効果はない。まして10年以内にもう一度BEVに買い換えるとなるとその分岐点がさらに後ろに伸びる。比較対象がICE車ではなくHVやPHEVにしても同じく後ろに伸びる。
    どれだけの人間が今買ったBEVを10年も乗り続けられるのだろうか。また、さらにその後数年は乗らないと本命のCO2削減の効果は得られないのだ。
    今BEVを乗っているような人たちはイノベーターからアーリーアダプターぐらいだと思うが、そのように感度が高く、おそらく所得も高い人たちが10年も同じモデルの車に乗り続けられるとは到底思えない。それこそ規制で10年か6万kmは最低限乗るように求めなければ、CO2削減効果はないし、BEVの存在意義がなくなってしまう。

    テスラモデル3を日本で買えば中国の上海で生産された車がくる。中国の電源構成は2015年で石炭発電が7割を占める。そんな国の電気で作られた車のCO2排出は多くなってしまう。その車を環境負荷の高い電源構成の国日本で乗ると環境負荷の軽減に寄与するのか怪しくなる。

    世界に締める日本のCO2排出は3.2%。そのうち運輸部門の割合は18.6%。そのうち自家用自動車の割合は45.9%。
    これら日本で走る乗用車(乗合タクシー含む)の6220万台を全てBEVにして、電源が完全にゼロエミッションだったとしても、世界に締める日本のCO2排出量の0.26%しか削減されない。
    新興国が経済活動を活性化したり、発電量を増やせば、簡単に吹き飛ぶほどの誤差みたいな数値でしかない。今は当然日本の電源はゼロエミッションではないし、全車BEVにすぐ入れ替わるわけではないから、削減幅はもっと小さい。日本国外の状況を加味すると日本でのBEV普及は環境的な貢献にほとんど意味がない。

    そんな大容量バッテリーを積むBEVは一台400万円から。500万円以上するのもザラにある。買う側のユーザーにとってコスト負担が大きすぎる。軽自動車200万円でも高くなったなという人もいるこの日本で、どれだけの人が最低限の装備と内装の400万円のBEVを買えるのだろうか。
    さらに集合住宅に住む人が45%もいる日本で、日本の自家用自動車保有者全員がBEVに乗り換えてもその残りの55%の戸建ての人しか自前で自然エネルギーの整備ができないという環境にある。自然エネルギー発電の設備を導入するコストも課題だが、その導入環境が整備されていない、コストが高いというのも課題として厳然として存在する。しっかりと環境にやさしいBEVライフを実践しようとすると個人的なコスト負担が重くなる。しかも環境保護に関する効果については微妙で、日本が削減しても世界で増えれば意味がなくなってしまう。合理的に考えれば考えるほどそのようなことに投資する価値が見出せなくなる。

    またBEV購入時に国や地方自治体からの補助金が支給されるがそれらは国民の税金が原資だ。バッテリーは中国、韓国メーカーで占有されており国富の流出に日本の税金が投入されていることに違和感を覚える。

    環境のためという意味でBEVを生産販売するのは、ユーザー、メーカー、国や地方自治体にとって現状で良いことはほとんどない。三方悪し(さんぽうあし)のビジネスが流行しているという印象が私にはある。性急に過ぎる。

    日本のメーカーは技術者的な良心から、マーケティングの観点からもこれら大容量BEVを販売することの費用対効果の無さ、意味の無さを重々わかっていた。
    バッテリー性能の向上、サプライチェーンの充実、電源インフラの低環境負荷化が成熟するまで、大容量BEVの生産販売を控えてきたのだが、そのことを国内外のBEV推しのユーザーや世界の日本の自動車覇権潰しを狙う各国政府やメーカーは、無視している。

    主要国ではゲームの土台そのものを、技術的な要請ではなく政治的な思惑を優先し規制によって変えてしまったので、日本メーカーはビジネスで負けるわけにはいかず、仕方なくBEVの生産販売に踏み切った格好になる。

    まさに宗教といっていいほど、BEVの普及はお題目の立派さ、投資の割りに中身が伴っていない。

    本当に自動車を使って環境に配慮したいのならば、現時点ではコンパクトカー、軽自動車に乗るのが全く合理的だ。そもそもBEVを環境対策で使うのなら電源構成から見直さなければいけないはずで、具体策が策定された段階で徐々にBEV普及を進めるか、それが現実化してからBEV普及となるのが順番的に正しいのに、出口側のBEVの環境性能ばかりを謳って普及を推進していてもそれは欺瞞に過ぎない。特に日本においてはそれが顕著。日本に近しい電源構成の国々でもその事情は共通。

    入口の発電環境を整備しないと本当の低負荷、脱炭素の社会は訪れない。そしてそれには時間もお金もかかるし、技術的成熟を待たねばならない。そのことをしっかり啓蒙していくのがマスコミの本分であるはずなのに、不都合な現実を伏せて報道しない自由を発動し、BEV推進のポジショントークに終始して我田引水的に利益を追い求める姿は醜悪に映る。

    1. もやい結び 様、コメントありがとうございます!

      事実と反することについては、その点をいくつかコメントさせていただき、その上で私見をお伝えしますね。

      >日本ばかりが石炭火力の使用継続について責められるが、むしろ今回のCOPに
      >参加していない、CO2を多量に排出している中国やロシアに排出削減の努力を
      >促すよう国際的な圧力を強めるべきだ。もちろんアメリカについてもそう。

      この点、当然米国や中国、ロシアに対する圧力を高め、排出削減に協力させるべきと思います。

      >特に中国のそれは経済安全保障上の脅威に直結しているものでもあり、中国経済、中国の労働市場に依存している日本メーカーも努々油断をせぬようにしてもらいたい。

      これも同意ですね。

      >これらの国々では技術水準も低く電源インフラも整っていない

      残念ながらこれらは異なります。自動車を考えた場合、電源インフラと、ガソリンの補給インフラを比較すれば明確で、電源インフラのほうがはるかに整っています。ガソリンが買えないところと、携帯電話が使われていないところを比較されてはいかがでしょうか?携帯電話を使うには、充電が必要で、そのためには電源インフラが必要です。電気自動車は、携帯電話と同じ電気で充電するのです。

      >故障した際の保守点検にも技術者がおらずノウハウがないために修理も容易ではない。部品代金も高いものになるだろう。

      これらは貴殿の想像ではないでしょうか?
      そもそも化石燃料車と比べ、電気自動車は数倍シンプルです。燃料フィルター、燃料ポンプ、インジェクション。プラグ、点火系システム。マフラー、O2センサー、触媒。エンジン本体、AT(トランスミッション)。ブレーキマスターシリンダーを含むブレーキシステム。これらを支える油脂類。これが化石燃料車ですね。
      電気自動車では、バッテリー、インバーター、モーター複数、ブレーキシステム、コンピューター(これは化石燃料車より量的には増えます)。故障のリスクがそもそも少なく、電気ケーブルのみで接続されている部品が多いので、ばらして修理の必要がなく修理も部品交換で済みますので、高い技術が要らないのです。部品代金は高くなるでしょうけど、大きな故障が出ないのはメリットとなります。

      >電気自動車のバッテリーが苦手とする高温低温域での過酷な環境での使用は寿命を縮め

      これもエビデンスがないです。確かに高温域ではバッテリーの寿命は縮みますが、だからといって20万キロ走行できないものではありません。また高温域に住んでいらっしゃる方向けには、酷暑地仕様みたいな形で、温度変化や劣化に強い鉄系のバッテリーを使うこともできます。LFPというもので、乗用車では、今はテスラがかなり大々的に使用しています。日本に輸入されてきているモデル3も大半がLFPです。この電池は3000サイクル以上使えると言われており、航続距離を仮に300kmとしても、3000サイクル=90万キロの寿命があります。ちなみにモーターは100万キロ持ちます。ここまで、注油の必要もなく、ただただバッテリーの冷却水と、ギアオイルだけを定期交換(ちなみに、このギアもモーターに内蔵されているのですよ)走行するんです。これは化石燃料車では絶対に実現不可能です。

      >まだ世界ではICE車、HV車が求められる場面は多いのだ。

      今だけ、ですね。

      >日本においてはBEVを走らせることは現時点では全くエコではない

      これは100%誤りです。
      https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/electric-is-cleaner-mazda-lca/
      日本は他の先進国に比べて平均の電力の排出係数が高めなので、若干不利ではありますが、現時点での電力で電池生産・走行・リサイクルを行ったとしても、電気自動車はガソリン車より9年間で総排出を下回り、通常の消費サイクル(乗用車は日本国内では平均的に10万キロ程度で寿命を迎えると言われています)では、現時点でも、電気自動車に替えるだけで総排出は減少します。
      そして、将来は、電源の低炭素化が進みますので、今日、低燃費ガソリン車と電気自動車を購入して、10年間10万キロ走行すると、今日の時点でのシミュレーションではライフサイクル排出量がほぼ同等か、電気自動車が若干少ないくらいになっていますが、実際に10年経過後には充電する電気が低炭素なので、差がどんどん開いてしまうのです。

      だから、世界各国は、5年後、10年後、20年後、30年後に電源が低炭素化する時代を見越して、今から電気自動車の普及を推進しているのです。

      >最低限10年以上BEVを乗り続けないとCO2の排出削減効果はない

      おっしゃる通りなのですが、実際に10年が平均である以上、結果として電気自動車に今、乗り換えれば、より低排出を実現できますよね。

      >また、さらにその後数年は乗らないと本命のCO2削減の効果は得られないのだ。

      これももうお分かりですね。今の電源の排出量がそのまま続くわけじゃないんです。

      https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/shigen_wg/pdf/2020_001_04_01.pdf
      こちらの資料のP6から、各年度ごとの排出係数を引用しますね。
      2015 2016 2017 2018 2019
      531 516 496 463 444
      5年間で、(531-444)/531=16%、低炭素化が進展しているのです。当然BEVのライフサイクル排出も16%改善されています。化石燃料車では、購入時の排出がそのまま維持されてしまいます。

      >テスラモデル3を日本で買えば中国の上海で生産された車がくる。中国の電源構成は2015年で石炭発電が7割を占める。そんな国の電気で作られた車のCO2排出は多くなってしまう。

      こういう見方は近視眼的ではないでしょうか?まず上海で使われる電池は多くが中国CATL製ですが、これらの電池メーカーにしろ自動車メーカーにしろ、どういう電気を使うか、というのは選択できます。例えばトヨタは欧州では100%再エネを実現しています。中国CATLは実現できない、と思われますか?日本の事業所はどうでしょう?
      https://www.catl.com/en/news/687.html
      実際に、CATLは(主にテスラ向けと思われる)中国上海工場で、カーボンニュートラルを達成すると発表しています。

      https://www.tesla.com/ns_videos/2020-tesla-impact-report.pdf
      P31、上海工場だけを抜き出した数値ではないですが、テスラが製造した太陽光パネルによる発電量は、4.0GW、20.8TWhに及ぶとしています。工場のルーフトップにあるもの以外に消費者や事業者に販売したものも入れていると思いますが、
      https://www.tesmanian.com/blogs/tesmanian-blog/tesla-giga-shanghai-now-with-solar-panels-for-sustainable-energy
      実際に上海工場でもパネルのインストールが進んでいますし、先ほどのImpact ReportのP18にある通り、ギガファクトリ-ネバダでは、2021年末までに、ルーフトップをソーラーで完全に覆うことで、全米で最大のルーフトップソーラーシステムになると書いています。

      >日本国外の状況を加味すると日本でのBEV普及は環境的な貢献にほとんど意味がない。

      米国や中国が脱炭素に向かわないから、小国日本がやる意味はないとおっしゃっていると理解しましたが、大きく分類して二点の誤りがあります。
      1. 米国や中国は、脱炭素に向かって大きく舵を切り、日本の何倍もの投資を行って推進している。
      2. 米国や中国や欧州は、脱炭素に向かって、大きく投資することによって、新しい産業を生み出し、国際競争力を担保しようとしている。

      これらの2点を見れば、(ちょっと極端に、しかし分かりやすい言い方をすると)貴殿の「他がやらないんだから意味がない」というロジックに対し、「他」は、「とにかく脱炭素を目指し、その上で投資を行って国や国民の経済の成長にコミットしよう」というロジックなのです。

      どちらのロジックが正しいでしょうか?

      >大容量バッテリーを積むBEVは一台400万円から。500万円以上するのもザラにある。買う側のユーザーにとってコスト負担が大きすぎる

      恐らく、来年にもなれば、電気自動車とガソリン車のコストは逆転するでしょう。
      何故か?電池は機械で作れるし、太陽光で発電すれば電気はタダだし、エンジンは機械じゃ作れないし、化石燃料は1km走行するたびに燃料を他国から輸入しなければならないからです。

      >さらに集合住宅に住む人が45%もいる日本で、日本の自家用自動車保有者全員がBEVに乗り換えてもその残りの55%の戸建ての人しか自前で自然エネルギーの整備ができない

      私は集合住宅住まいですが、自宅は100%再エネでカバーしていますし、今後、共用部分や充電に使用している電力についても、100%再エネを提案していくつもりです。自前でできなくても、再エネを導入するのは、「紙一枚」ですよ。再エネを提供している電力会社のサイトにいって、申し込みをするだけです。

      >またBEV購入時に国や地方自治体からの補助金が支給されるがそれらは国民の税金が原資だ

      実は、化石燃料の生産、輸入、貯蔵、配送についても多額の国民の税金が使われており、その金額は再エネを遥かに上回ります。

      >環境のためという意味でBEVを生産販売するのは、ユーザー、メーカー、国や地方自治体にとって現状で良いことはほとんどない

      ここ、とても大事なところです。
      「現状で」ですよね?ここは私も100%同意です。

      しかし、貴殿は、今のご自身、ご自身のご家族、ご自身が属している国が「現状」良ければOKなのでしょうか?違いますよね?

      将来の自分、自身の子孫、自身が属している国が、現状苦しい思いをしても、将来、明るい未来を迎えられるよう努力することが、我々の責務であると考えています。

      今、ここで方向転換をしないことは、我々の子供たちの世代にとって、責任を放棄することと変わりありません。

      >日本のメーカーは技術者的な良心から、マーケティングの観点からもこれら大容量BEVを販売することの費用対効果の無さ、意味の無さを重々わかっていた。

      本当にそうでしょうか?
      例えばマツダさんのグローバル電気自動車MX-30 EVを見てください。ここ大事です!
      https://fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=44784&id=43604&id=43404&id=43406
      左から、マツダMX-30 EV、フォードMach-E RWD、テスラモデルXパフォーマンス、テスラモデルY Long Range AWDです。比較すべきは、Electricityと書いてある最初の四角の一番下、37kWh/100miという数字。これは、100マイル走行するのにどれだけの電力量を消費するかを示しています。それぞれ、37,34,35,27ですね。MX-30 EVはこの中で最も後発(2022年モデルですから)であり、最も小さい車であるにも関わらず、最も低燃費のモデルYから比較すると、37%も燃費が悪いのです。

      「技術者的な良心」と言えるでしょうか?
      どちらかと言えば、技術的に追い付いていないのかもしれないですよね。
      ちなみに比較に入れているモデルX パフォーマンスはMX-30 EVよりわずかに燃費が良いくらいで大して変わりませんが、こちらは700馬力です。

      >入口の発電環境を整備しないと本当の低負荷、脱炭素の社会は訪れない。
      >そしてそれには時間もお金もかかるし、技術的成熟を待たねばならない。

      発電網の低炭素化を進める必要があるのは当然です。その点は同意ですね。
      しかし、「待たねばならない」のは誤りなんです。もうお分かりですね。
      当メディアでは、BEVを買うべきとかいうポジションではありません。
      BEVを待たずに、「今」導入すれば、発電網は毎年低炭素化されるので、耐用年数が過ぎるころには現在最高のハイブリッド車よりも、BEVのほうが圧倒的な低炭素になっているということ。また自らの選択により再エネで充電すれば、ハイブリッド車のライフサイクル排出の、半分以下も可能であるということ。これは、簡単に計算で証明できるファクトなのです。

      最後に、ハイブリッド車が低排出であるというような(誤った)概念を持たれているようですので、その点もちゃんと比較しておきましょう。
      https://fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=42810&id=43406&id=42972&id=43403
      やはり米国のEPAのサイトを使って比較します。
      プリウスエコというのは、日本でいうと、プリウスの一番下のグレードで、最高の燃費だけを狙ったプリウスEです。
      g-CO2eq/kmというのは、1km走行当たりに排出されるCO2の量です。
      大体、近いサイズの車両で比較していますが、少し電気自動車に不利なように選定しています。また先ほどの資料で、日本で走行する場合、電力の排出を444g-CO2eq/kWhと想定しています。

      「コンパクトハッチバック比較」
      プリウスE 1.8gal/100mi = 23.6km/l = 98.3g-CO2eq/km
      モデルY LR 27kWh/100mi = 5.96km/kWh = 74.5g-CO2eq/km
      ※コンパクトハッチバックでは、ガソリンハイブリッド車は電気自動車より、32.0%排出が多い。

      「クロスオーバー比較」
      RAV4 HV 2.5gal/100mi = 17.0km/l = 136.5g-CO2eq/km
      モデルX LR 32kWh/100mi = 5.03km/kWh = 88.3g-CO2eq/km
      ※クロスオーバーでは、ガソリンハイブリッド車は電気自動車より、54.6%排出が多い。

      どうですか?想定されている数値とどのくらい乖離がありましたでしょうか?モデルXは、プリウスEより低排出なので、全ての軽自動車より低排出なのですよ。日本は、ココからさらに300g/kWh台の排出を目指しています。
      小型のハイブリッド車・軽自動車のほうが低排出、という考え自体が、既に違っているのです。電気自動車は大型でも小型のハイブリッド車や軽自動車より低排出。小型の電気自動車が、走行時でも、ライフサイクルでも、低炭素化に貢献できることがこれでお分かりいただけたかと思います。

    2. とても勉強になりました。小学生の子供たちに、なぜ世界は脱炭素に向かっているのか、と聞かれた時に答えた自分の大まかさにびっくりしました。例えば、電池の原料になるレアメタルをとっても地球の破壊にならないのか 半導体の元になるケイ素も元素だけどずっと採掘できるのか、など話し合ううちに、太陽光発電の普及でさえ難しいのではないかという結論になりました。
      資本主義が牽引する世界でなくてはならない と前提で、真に脱炭素を考えているのは誰なんだろうね、トトロかな、という話になりそうですが、私自身わからないことだらけなので、勉強してまた子供たちとあれこれ話そうと思います。重ねてになりますが、とても勉強になりました。

  4. ニュースのタイトルを見て「今度こそ本気のEVを発売か?」と期待したのですが、いつもと同じですね。来年発売ならプロトタイプを長距離試乗させて評価してもらうくらいのことはやって欲しいです。実物が無いのに時間稼ぎをしているようにしか見えません。
    トヨタさんの態度は国内シェアを守り他社のEVの普及も遅らすことになると思いますが、結果として日本市場を特殊なものにして国際競争力を損う気がします(企業としては自社第一が当然なのかも知れませんが)。
    欧米(中国も?)をはじめとして日本とは違う常識が世界を駆けめぐっている気がしますが…

  5. EVとガソリン車を比べてみると、性能面での大きな差は遠距離への対応です。ガソリン車は軽自動車から高級車まですべて遠距離に対応しています。しかし、EVは高級車は対応していますが、それでも十分ではありません。中級車から低価格EVは遠距離には対応していません。その理由は充電スピードが遅いからです。航続距離300km程度のEVでも短時間(約20分)で200km程度追加充電できるなら遠距離は問題なくなるでしょう。そのためには、中級程度のEVも150KWに対応すべきだと思います。
    1日の走行距離が平均約30数kmと言っても、それは平均であって普段は使用せず週末だけ長距離を走るという人も多いでしょう。また急用時に長距離が走れないと困るという人もいると思います。そういった人はEVは高級車は別にして購入対象にならないと思います。このような要求に応えられないとEVの普及は進まないと思います。優先度から考えると、充電器の数を増やすと同じくらい充電スピードの高速化は急務だと思います。充電インフラの高速化が進まないとメーカー側も対応車の生産を増やさないでしょう。
    まだ対応車種が少ないことを考えると最大90kWの複数ケーブルでもいいと思いますが、その他に1台150kWの充電器を設置することがEVの普及を進ませると思います。海外メーカーの購入者も増えます。その際、対応以外のEVの使用を防ぐため充電料金を少し高めにしてもいいのではないでしょうか。

  6. トヨタの該当ニュースリリースを読んでアイ・ミーブX乗りの私が気になった部分を列記します。
    全体で見れば、大きな期待を抱かせる内容です。
    特に気になった部分を下記に記載します。

    >実用上、特に冬場の航続距離*2の確保や、世界トップレベルの電池容量維持率(10年後90%*3)
    >*2 一充電走行距離は500km前後(FWD車・WLTCモード・社内測定値)
    >*3 開発中の目標値。使用期間・走行距離は10年または24万km(15万マイル)のいずれか短い方を想定
    一充電走行距離500kmはともかく、10年または24万kmでSOH 90%をキープできるなら良いですよね。
    この記載を読む限りだと、10年または24万kmでSOH 80%程度まで劣化すれば保証で対応してくれると言う意味かな?

    >走行時の省エネ性能向上と実用上(特に冬場の)航続距離の確保
    >特に冬場の暖房による消費電力を減らすため、以下の機構・装備を採用
    >ヒートポンプ式エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーター、前席乗員足元の輻射ヒーター(トヨタ初)
    EVに乗っていない人が「EVダメ」と毛嫌いする1つが走る以外の冷暖房の目減り。
    最後の前席乗員足元の輻射ヒーターは後発ならではの気付きかな?と期待します。

    >短い充電時間・・・世界各地域の高出力充電にも対応(DC急速充電では150kWに対応)
    この記載している以上、トヨタ販売店には高出力充電できる設備を設置してくれると言うことで良いのですよね??

    引用元:2021年10月29日 新型BEV、bZ4Xの詳細を公表
    https://global.toyota/jp/newsroom/toyota/36254708.html

    あとは車両価格かな。
    明日の総選挙とも関連しますが、給料は増えていないのに、モデルチェンジの度に新車価格だけはきっちり高くなっていってるので。

  7. 電気自動車が退屈ではないとするのは現時点でEVを積極的に購入する客層の中での常識で、ガソリン車を選んでいる客層にとっての常識ではないというだけなのでは。
    単純にこれまでEVに興味のなかった客層にもアピールしていきたいという程度のことでしかないと思う。

  8. 「電動車は退屈」というのは、自分のところのHEVを指しているのかと受け取っていました。
    燃費は誇れるものがありますが、アクセルレスポンスが悪いものばかりですし。楽しくないし。
    BEVは退屈ではありませんが、小容量電池のEVでは長距離旅行が苦行になってしまうのは事実ですので、インフラや電池コストで革命が起こって欲しいですね。

    1. 既存の「車好き」の方たちには振動と騒音とガソリン(燃料油)臭こそが車の醍醐味という人は多い
      だがそういうものから解放されたいというのがEVの魅力の1つなわけで
      喫煙者と非喫煙者のような断絶を感じる

  9. 「全固体電池ちゃうの?」という質問はなかったのか気になります^_^;

    トヨタ・ディーラーに急速充電器が設置されることは確実ですから、500万円の車は買うことができなくても、軽EVトラック(ミニキャブミーブ・トラック)でトヨタ・ディーラーへ行く機会は増えるかもしれません(^O^)

  10. ここでも書かれていましたね

    「EVsmartブログの記事ではしばしば提言していることですが、現状のEV普及状況を勘案すると公共の急速充電インフラは最大90kWで十分。」

    EVのこれからを考えていると思われるこのブログがコレですからね。
    過去を見て満足しているとしか思えません。
    書き方が
    「現状の電力インフラでは1口最低90kWを数多く設置した方が良い」
    ならまだわかりますが。
    実際のところ、すぐにでもSA.PAに最低1口150kWを複数台設置していかないと、今後のEV普及時に手遅れになるんじゃないですか?

    今後発売されてくるEVの急速充電性能は150kW程度以上のものが大半になるんじゃないのですか?
    それらの車が十分に短時間で充電できるようにするのが充電インフラのやるべきことでは?

    メーカーがインフラを独自に構築すればいいと思われる記述もありますが、それならSA.PAに充電器の設置を各メーカーに認めさせるような提案なども積極的にしていくべきかと。

    考え方でさえEVニュースメディアまでも諸外国に比べ遅れていると思う現状は残念ですね。

    1. F,z さん、コメントありがとうございます。
      EVsmartブログ編集長の寄本と申します。

      編集部で記事をまとめる際にも「90kWで十分」とするのは、ご指摘のような意見をいただくのではないか、と議論がありました。

      電気のインフラや法の不備、デマンド料金やらは、ひとまず関係ありません。SAPAのQC設置はNEXCO各社や国交省判断の範疇でしょうから、普通に考えると自動車メーカーの意図が関与できるところではないと思います。

      F,z さんは、出力90kWのQCを繋いでEVでのロングドライブをしたことはありますか?

      私は、仕事柄テスラ車でスーパーチャージャー活用してのロングドライブを繰り返し、今年の夏には最大100kW対応のメルセデス・ベンツEQAで90kW器独り占め長距離ドライブを経験することができました。その実感として。EVsmartブログの記事では「公共QCインフラは当面最大90kWで十分」という提言をしています。

      bZ4Xが150kW対応となったのは、日本国内というよりも、欧州やアメリカ市場をターゲットとした選択かと感じています。日本のトヨタディーラーに、また高速道路SAPAにも150kW出力のQCはないですからね。

      あ、テスラスーパーチャージャーをトヨタのEVでも使えるようにする、ということであれば、それはそれで喝采しますけど、

      また、日本EVクラブでメルセデスベンツAクラスを改造したEVで、鉛電池で100V電源で数時間充電を繰り返しながら日本一周を成功させた「2001年充電の旅」や、2013年の「EVスーパーセブン急速充電日本一周」などのチャレンジにも深く関わっていた経験から、大容量電池を搭載して超高出力QCでエンジン車と同等、もしくはそれ以上の利便を獲得するだけがEVの正義ではないと感じています。

      中国で宏光MINI EVがヒットしているように、これからは「高級車EV=ロングツアラー」と、「大衆的EV=バッテリー容量はそこそこ」というEVの二極分化というか、ユーザー選択肢の明確化が進んでいくと想定しています。私は大衆的EV派なので、当面は2C充電くらいが無難だよね、と考えると、せいぜい最大100kW程度が実用範囲。公共インフラが150kWを目指す必要はない、という考えです。

      たとえば東芝の次世代SCiBが、CATLのLFPや、テスラ&パナソニックが進めている4680を凌駕するエネルギー密度やコストパフォーマンスを実現してくれたら基準が変わるかも知れませんが、現状の理解では、というところです。

      もちろん、トヨタが全固体電池でこうした常識を覆してくれるのであれば、平身低頭、EVsmartブログの記事でも懺悔した上で、魅力的なトヨタのEVを購入したいと思います。

      個人的な思いになりますが、EVシフトはエンジン車文化を置換するものではなく、個人のモビリティライフに新しい世界を切り拓くための変革だと思っています。要するに「まあ、このくらい走ってくれればいいんじゃないの」って感じ、ですね。

      欧米で最大350kWのQCネットワークを推進しているのは、EAやIONITY、つまりはVWグループをはじめとする高級車EVの優位を確立したい自動車メーカーだと、私は解釈していて、メディアがそれを賞賛しているのかどうかは知りません。明確に断言できるのは、800Vシステムのポルシェタイカンや、アウディe-tronGTを、私自身は「欲しいけど、買えないよぉ」ということです。

      ご理解いただければ幸いです。

    2. 90kWでは足りる方も居られるでしょうが、足りない方もそれなりにおられるかと思います。
      長距離移動時の推奨休憩時間はたとえば2時間毎に10~20分ぐらい。10分しか休まない人が長距離運転を続けるには、10分間で200km分(例えば30~40kWh)を充電する必要がありますので、最大180~240kWぐらい必要です。
      もちろんこれは極端なケースで、実際には
      ・目的地充電があって到着時はカラで良ければ、その分要求される充電速度も減少
      ・途中で10分でなく食事等も取るので、やはりその分減る
      という要素はありますが、休憩の4割が10分以下との統計データから考えても、90kWでは足りないケースもそれなりにあるかと思われます。
      https://www.i-transportlab.jp/_userdata/papers/1232_JSTE36_kyuukei.pdf

      また充電器の運営側としても、一台あたりの販売電力量を増やす観点から、充電速度を上げたいというインセンティブが働くのではないかと思われます。

    3. 桜井先生、コメントありがとうございます。

      体験的な私見ですけど、今年の夏、66.5kWhのEQAで、往路が「東京ー長篠設楽原PA(愛知)ー草津PAー兵庫但馬」、復路「但馬ー草津PAー遠州森町PA(静岡)ー東京」の往復を走ってきました。休憩は充電を兼ねた2回のみ。おおむね200km間隔。残量30〜40%でQCに到着し、30分で38kWh程度=200kmちょっと走行相当分を充電できて。あと1〜2回はどこかで休憩したいくらいだったんですけど、90kW器は他のSAPAにはなく。90kWで繋いだレポートにするために頑張って走っちゃいました。

      そんなわけで、高速SAPAに90kW器複数台設置が進んでくれたら、公共のQCインフラとして当面の利便はまったく問題ないというのが実感です。個人的なベストバランスとしては、バッテリー容量50kWhでQC100kW対応のコンパクトなセダンかハッチバックEVが、できれば200万円台で買えるようにならないかなぁ(ACCは欲しいけど、インターフェースのモニターやナビは「スマホ接続がデフォルト」でOK)、と夢想しています。

      公共のQCに150kWオーバーの超高出力器が必要になるとしたら、EVのシェアが30%くらいまで増えて、なおかつ150kW以上のQCに対応するEVが30%以上ある、というような状況になった頃、利便というより混雑緩和のために有効なのではないか、と考えています。今から150kWなどのオーバースペックなQCを設置しても、高出力で充電可能なEVが5台に1台くらい程度の状況になるまでに更新時期、なんてことになりはしないかと。

      日産がアリアに続く次期リーフで高出力対応したり、2025年までに7車種と明示しているトヨタのEVが軒並み対応すれば、案外早くそんな状況になる可能性もありますが。

      その時は、eMPに超高出力器の拡充をせがむだけでなく、高出力対応EVのメーカーが責任をもって拡充を進めるのが理にかなっているのではないか、と。

      一台あたりの販売電力量を増やす=従量課金。先日eMP取材の際に伺いましたが、現状はまだ時間課金でも従量課金でも充電利用料金で先行投資を回収できるEV普及状況ではなく、月額会費を含めたインカムを活用しながら、さらに先行投資を積んでEV普及時代に対応できるインフラ整備を進めているところ、ということで、従量課金移行のプライオリティはまだ高くない印象でした。

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