ボルボが最もコンパクトなSUVとしてEVの『EX30』を初公開/「small」で世界を制する心意気

ボルボがブランド史上最小のSUVとして、完全な電気自動車『EX30』をワールドプレミア。欧州での価格は約3万6000ユーロ(約539万円)〜と発表されました。日本での発売時期などは未定ですが、すでに車種サイトが公開されています。

ボルボが最もコンパクトなSUVとしてEVの『EX30』を初公開/「small」で世界を制する心意気

ボルボ史上最もコンパクトなSUVがBEVでデビュー

2023年6月7日(日本時間)、ボルボはYouTubeの自社チャンネルで、完全な電気自動車にしてボルボ史上最もコンパクトなSUVとなる『EX30』のワールドプレミアを行いました。

ボディサイズは、全長4233mm、全幅1837mm、全高が1549mm。日本の立体駐車場には全幅1850mm、全高1550mm制限のところが多いので、日本市場的にも待ち望んだサイズといえそうです。

欧州での価格は約3万6000ユーロ(約539万円)~と発表されました。駆動用バッテリーにはLFP(リン酸鉄)のスタンダードレンジと、NMC(三元系)のエクステンデッドレンジが用意されるとのこと。発表された最低価格はLFPバッテリー仕様と思われます。

NMCバッテリー搭載のシングルモーター・エクステンデッドレンジでは、一充電航続距離が480km(WLTP)。ツインモーターを採用した全輪駆動モデルでは、315kW(428hp)のパワーを発揮し、0-100km/h加速で3.6秒を実現するとしています。すでに受注を開始しているUKのボルボサイトで価格を確認してみると、以下のような価格帯でした。

Single Motor/3万3795ポンド(約589万円)~
Single Motor Extended Range/3万8545ポンド(約671万円)〜
Twin Motor Performance/4万0995ポンド(約714万円)〜

いろんな仕組みが日本とは違うのであくまでも参考ですが、ベースモデルと上級モデルでは150万〜200万円くらいの価格差がある感じです。また、LFPバッテリーモデルが見当たらなかったので、英国では当面NMCモデルのみ、ということかも知れません。納期は「最短で6〜8カ月」となっていて、デリバリーは今年末くらいからになるようです。

充電性能についても言及がありました。欧州仕様では、普通充電が最大11kW、急速充電はエクステンデッドレンジのツインモーターで最大153kW、スタンダードレンジは最大134kWということです。ただし、これは欧州のCCS2規格での話。日本仕様が、C40などと同様にチャデモ規格で最大150kW対応になるかどうかといった詳細はまだわかりません。

日本の公式サイトでも車種ページを公開

電気自動車にして、コンパクトでコストパフォーマンスの高いプレミアムSUVのデビューは、日本のカスタマーにとっても朗報です。でも、はたして日本導入はいつになるのやら、と思ってボルボカージャパンの公式サイトを見ると、早々にEX30の車種ページが公開されていました。

【車種ページ】
VOLVO EX30

価格はまだ記載されていませんが、バッテリー容量(総電力量)は69kWh、最高出力は272ps(換算すると約200kW)と明記されていました。どうやら、日本で発売されるのは当面「Single Motor Extended Range」の1グレードと想定されているようです。先のUKの価格は670万円程度ですけど、日本では先行して発売されているC40 Rechargeが699万円〜、XC40 Rechargeが679万円~ですし、EX30は600万円前後の価格を期待したいところです。

さらに、LFPモデルも導入して、欧州並みに500万円台前半の価格で購入できるようなら、ブランドの付加価値を考慮して、BYD ATTO3の440万円とも勝負できそう(個人の感想です)に思います。

広報ご担当者に電話で確認したところ「夏頃(あと数カ月!)には、日本仕様の詳細や価格を発表できる予定」ということでした。楽しみに続報を待ちましょう。

大きな出来事は small から始まる

Volvo Cars のEX30世界初公開に関する動画は、YouTubeで公開されています。

Volvo EX30 – The Unboxing(YouTube)

CEOのジム・ローワン氏は、冒頭で「Big things have small biginnings(大きな出来事は small から始まる)」と述べるなど、終始「small」を強調していました。

ボルボはすでに、2030年にEV100%の自動車メーカーになることを宣言しています。また、今から1年半後の2025年には新車販売の50%をEVにする目標を示しています。それを実現するために「small」で幅広い顧客層が購入できる車種は必要不可欠。今回の「小さな電気SUV」は、ボルボがEVシフトに臨む本気を示すニューモデルであると言えます。

ボルボ(本国)では、6月7日のワールドプレミアに先駆けて、5月に入ってからEX30が「ボルボ史上最少のカーボンフットプリントを実現」や「最高峰のスカンジナビアンデザインを具現化」など、正式な世界初公開前のモデルとしては異例とも感じるくらい、さまざまなプレスリリースを発信していました。まさに気合い満点。「small こそがEV戦争の勝負を分ける」という覚悟を示していると受け取れます。

先ごろ、メルセデス・ベンツがEQS SUVを発表したように、欧州メーカーを中心に高級EVのラインナップはますます充実してきました。とはいえ、本当にEVが普及するためには、より小さくて大衆的なモデルが必要です。はたして、EX30は日本でどのくらい売れるのか。正式な発売を期待して待ちたいと思います。

C40とXC40の後輪駆動モデルも正式にスタート

付け足しみたいになって恐縮ですが、ひとつ耳よりな情報がありました。C40とXC40の2024年モデルがバッテリー容量を69kWhから73kWhに拡大し、RWDのシングルモーターのみになることはすでに発表されていました。このほど、正式に国土交通省の認可がとれて、一充電航続距離は502kmから590km(WLTC)に向上するということです。

いろんなメーカーのいろんなEVが、着々と魅力を磨き上げていきます、ね。

文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)3件

  1. 凄く期待したれモデルです。
    早く試乗をしてみたいです。
    日本に一番向いている大きさとバッテリー容量かなと個人的感想です。

  2. 中国製造らしいのでそれなりの安さを期待
    だけど中国での元plusとzeekr Xの価格差を見るにそんなに安くも無さそうではあるんですよね
    550万切ったらすごいって感じかな

  3. 本日交通安全環境研究所の”カーボンニュートラル社会への選択肢となる自動車の実現を目指して”に関する講演会がありました。
    講演資料は以下のリンクで見ることができます。
    https://www.stage.ac/kotuken05/
    講演会の様子は以下のYoutubeでも見ることが出来ます。
    ttps://youtube.com/live/heGtw8GKbEQ
    資源の少ない日本は全方位で脱炭素技術に取り組む必要がありますが、
    EV開発に遅れない事が大切と思います。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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