ボルボ『EX30』の実車を日本初公開~価格は500万円台か

ボルボの新世代コンパクトSUV『EX30』が6月14日、東京・南青山の「Volvo Studio Tokyo」でメディア向けに本邦初公開されました。一媒体約15分と短時間でしたが、間近でじっくりと見ながら、社長にお話を聞くことができたのでご紹介します。

ボルボ『EX30』の実車を日本初公開~価格は500万円台か

顔付きは「ボバ・フェット」にインスパイア

『EX30』は6月7日、ミラノでワールドデビューしたボルボ史上最小の電気自動車です。EVsmartブログでも「ボルボが最もコンパクトなSUVとしてEVの『EX30』を初公開/「small」で世界を制する心意気」という速報をお伝えしました。

ヨーロッパでの発表からわずか一週間後に日本で実車が公開されるスピード感にも、ボルボの気合いを感じます。この日、展示されていたのは欧州仕様の左ハンドル車。モーターの特性など細部はリファインされるそうですが、外観については、日本仕様もほとんどこの状態で市販されると思われます。

グリルレスで、パッと見てピュアEVだとわかるデザイン。先行の『C40 Recharge』『XC40 Recharge』よりも、フラット感、統一感が高まっています。車のフロントフェイスはよく擬人化されますが、チーフデザイナーは「スター・ウォーズ」シリーズに登場する賞金稼ぎ「ボバ・フェット」のヘルメット(『The Book of Boba Fett』のYouTube予告編はこちら)にインスパイアされたそうです。リアルに「顔」だったのですね。

ボルボの象徴となっている北欧神話の雷神が持っているトールハンマーを模したヘッドライトも健在です。こちらも映画「マイティー・ソー」を思い出させてくれます。アクション映画好きにはダブルでググッとくるかもしれません。

社長自らディテイルを説明してくれました

サイドを眺めると、タイヤとフェンダーを強調するように、同心円状に盛り上げたプレスラインがアクセント。SUVっぽいですね。リアに視線を移すとボディーのボリュームがグッとアップして、上部が絞り込まれていきます。で、後ろから見ると下半分が膨らんでみえるボルボ的フォルム(凸←こんな感じ)の出来上がり。コンパクトカーでもボルボらしいプレミアム感は失われていません。

イベントに立ち会っていたボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長が、そばに来てあれこれ説明してくれました。「リアのこの四角いラインは、フロントのデザインを受け止めているんですよ」とアピール。なるほどたしかに。なんと呼べばいいのかわからなかったのです(社長も「なんて言うんでしょう」と笑っていました)が、ゲート部に長方形に描かれた黒いラインは、いいアクセントになっています。「ボバ・フェット」の後頭部がどんなだったか覚えていないので、また今度映画で確かめてみようと思います。

充電口は左後部。日本仕様のデザインも変わることはなく、急速充電と普通充電は共通の充電口になるそうです。『C40 Recharge』と『XC40 Recharge』では急速と普通が別々の充電口となっていましたが、これは給油口が必要なPHEVと共通の開発だったためだとか。今後、ボルボの新車はBEVのみ、と案内されているので、この配置がスタンダードになりそうです。

インテリアも上質で個性的

かなりグッとくる外観デザインに加えて、残念ながら内部は撮影できなかったのですが、内装も魅力的です。

まず目につくのは、初採用だというカクカクしたハンドルと、メーターパネルを廃止したミニマル感。センター部の縦長スクリーンにすべての表示機能が集約されています。じつは最近『C40 Recharge』に試乗させてもらって、充電プランまで一瞬で立ててくれるインフォテイメントシステムの賢さ・スマートさに驚いたばかり。『EX30』の使い勝手はどうなのか、ぜひ試してみたいものです。

まだ車内の撮影はできなかったので、外からパチリ

ダッシュボードの左から右まで占めているHarman Kardon(ハーマンカードン)のスピーカーも新機軸。代わりにフロンドドアにはスピーカーがありません。どんな音がするんでしょうか。個人的に気に入ったのはドアオープナー。ちょっと見たことのない金属製のシャープなデザイン。グリルに配された金属製VOLVOマークと共通の質感を感じさせるのが、おしゃれ。行き届いてますね。

さらに素材にリサイクルプラスティックを積極的に採用していたりと、語ることが多すぎる。ボルボ・カー・ジャパンのみなさんも、あれこれ話したくて仕方ない様子。「この車を売っていきたい」という思いがビシバシ伝わってきました。

社長インタビュー「このクルマでシェアを取る!」

『EX30』をアピールするボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長。

パーソン社長にインタビューする時間もいただきました。『EX30』をシェア拡大の起爆剤にしたい、と意欲的に語ってくれました。

−『EX30』について
私たちはこの車で台数を売りたい。シェアを取りたいと思っています。日本にちょうどいいサイズのコンパクトSUVは他にまだ出ていない。だから大きなチャンスなのです。

−フルEVメーカーへのステップは
ボルボは2030年にフルEVメーカーになることを宣言しています。ボルボ・カー・ジャパンの昨年のBEV販売比率は約6%でした。あと7年で100%に達するには、ハイペースで比率を上げていかなくてはいけない。そういう意味でもこの車には期待しています。今年は昨年の3倍、約18%ぐらいには持っていきたいですね。

−EV普及のカギは
EVに乗ったことがない方は、先入観を持っていることが多い。いつもいつも充電のことを心配しなくちゃいけない、とか。でも『EX30』の航続距離なら、毎日充電しなきゃいけないようなことはありません。一回乗ってもらえれば、大丈夫なことがわかってもらえると思います。

どんなマーケットでも、5%に達したら急速にシェアが広がる。輸入車のプレミアムマーケットではBEVの販売比率が約8%に達していいます。BEVが珍しいものではなく、普通の車になる日は近いと思っています。

価格は「ICEと同じくらい」に

さて、気になってしまうのはやっぱり価格。『EX30』はハウマッチ? パーソン社長は「ヒントです」とリップサービスをしてくれました。その言葉は「ICE(内燃車)と同じくらいにしたいと思っています」とのこと。現在、ボルボのICEで最もお手頃なのは『XC40』の529万円~。日本に導入されるのは最安グレードではないようですが、ズバリ『EX30』には500万円台、できれば前半! を期待です。

経産省のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金が65万円(給電機能なしの上限額)、さらに自治体独自の補助金(東京都なら45万円)があるので、お住まいのエリアによっては400万円台で買えちゃうかも。価格などは7月末にも正式発表予定とのこと。楽しみに待ちたいと思います。

取材・文/篠原 知存

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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