ID.4日記【001】『ID.4』購入への経緯〜私がEVを好きになったきっかけは?

モータージャーナリストの生方聡さんがEVsmartブログ執筆陣に加わってくれることになりました。さまざまなEV関連情報はもちろんですが、まずはご自身の愛車であるフォルクスワーゲンの電気自動車『ID.4』との暮らしについて語っていただきます。第1回は、EVとの出会いについてのエピソードです。

ID.4日記【001】『ID.4』購入への経緯〜私がEVを好きになったきっかけは?

衝撃的だったEV『IZA』との出会い

早いもので、フォルクスワーゲンのSUV型電気自動車(BEV)の『ID.4』が納車されて1年が過ぎました。この間の走行距離は2万4202kmで、充電回数は190回。平均電費は5.9km/kWhです。そんなID.4との暮らしが2年目に突入するのを機に、EVsmartブログで私のID.4ライフを連載させていだくことになりました。

EVsmartブログへの寄稿は今回が初めてということで、まずは自己紹介から。自動車メディア業界で働き始めて31年を迎えたモータージャーナリストの生方 聡(うぶかた さとし)です。大学卒業後、外資系コンピューターメーカーでシステムエンジニアをしていましたが、小さいころから好きだった自動車にまつわる仕事がしたいという気持ちが次第に強くなり、1992年に自動車専門誌「CAR GRAPHIC」(以下CG)の記者として新たなキャリアをスタートしました。

CGでは新車の紹介や試乗記、モータースポーツの取材などに加えて、電気自動車やソーラーカーといった次世代自動車を担当することに。初めてのサーキット取材は1992年の夏に行われた「第1回ソーラーカーレース鈴鹿」でしたし、1993年1月にはEVを人生初試乗。そのときに運転したのが、東京電力が手がけた2ドアクーペEVの『IZA』で、数億円というワンオフのクルマだっただけに、緊張のあまり体中から汗が吹き出したことを今でも覚えています。と当時に、IZAの圧倒的な加速が私を大のEV好きに変えてくれました。

その後は、国内外のEVショーやレースを取材したり、ソーラーカーレースに参加したりと、まさに“電気ざんまい”の日々。当時立ち上がったばかりの「日本EVクラブ」を取材しているうちに、自分でもEVをつくってみたくなり、当時CG編集部にあった『日産サニートラック』を『サニトラEV』へとコンバート。まわりの助けを借りながらナンバーを取得して、街を走らせたのも忘れられない想い出です。

以前は『e-ゴルフ』を所有していたことも

だたし、このサニトラEV、荷台に大量の鉛バッテリーを搭載し、充電には半日以上もかかるにもかかわらず、航続距離はせいぜい30kmと、実用性ほぼゼロの代物でした(笑)。それだけに、「手軽に安心して乗れる市販のEVが登場したら手に入れたい!」という気持ちがずっと心の中にありました。

ゴルフGTE

そんな想いが実現したのは2015年末のことでした。当時(実はいまでも!?)、自宅に充電設備がない私は、『三菱i-MiEV』や『日産リーフ』の購入に踏み切れずにいましたが、自宅で充電できなくても乗れるプラグインハイブリッド車(PHEV)ならなんとかなるだろうとフォルクスワーゲン『ゴルフGTE』を手に入れたのです。スポーツモデルの『ゴルフGTI』に迫る加速性能やEVモードでの上質な走りなど、その仕上がりにはとても満足していましたが、PHEVとしての性能を発揮するにはやはり自宅での充電が不可欠という結論に達し、2年後にはガソリン車に逆戻りするのでした。

そんな私が純粋なEVの購入に踏み切ったのは、2020年夏にたまたまEVを長めに借りたのがきっかけでした。この間、自動車ディーラーや高速道路のサービスエリアにある急速充電スポットを利用したのですが、多少面倒とはいえ、なんとかそれで乗り切れたことから、「EVを買っても大丈夫かも!?」と変な自信がついたわけです。

そんなとき目にとまったのがフォルクスワーゲン『e-ゴルフ』でした。フォルクスワーゲン ジャパンが初めて販売するEVとして、2017年に導入されたEV仕様のゴルフは、35.8kWhのバッテリーと最高出力100kWの電気モーターを搭載し、301kmの航続距離(JC08モード)を達成。価格は499万円でした。その完成度は高かったものの、ゴルフとしてはやや高価だったことから、発売当初は購入候補として考えていなかったのですが、2020年の秋、3年落ちで300万円を切る認定中古車と出逢い、意を決して購入に踏み切りました。

e-ゴルフ

実際に使い始めてみると、コンパクトカーのベンチマークとして知られるゴルフがベースだけに、高い基本性能を誇るうえに、EVならではの力強い走りや高級車顔負けの快適性などに大満足。それまで何台かゴルフを乗り継いできましたが、満足度は最高でした。一方、実質200km台の航続距離や最大50kWの急速充電能力というeゴルフの性能は、急速に進化するEVの世界ではすでに一世代前のものであり、「最新世代のEVに乗り換えたらどんな世界が見えてくるのだろう?」という気持ちが日々強まっていったのです。

そこで、次なるステップとして手に入れたのが、私にとって2台目のBEVとなるID.4でした。次回から、購入して2年目となったID.4とのカーライフをいろいろとご紹介していきます。

私のID.4(2024/1/7現在)

総走行距離 2万4204km
平均電費 5.9km/kWh

取材・文/生方 聡

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この記事の著者


					生方聡

生方聡

1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職し、システムエンジニアを経験。しかし、クルマに携わる仕事に就く夢を叶えるべく、1992年から「CAR GRAPHIC」記者として、新たなキャリアをスタート。その後、フリーランスのエディター/ライターとなり、現在はモータージャーナリストとして自動車専門メディアに試乗記やレースレポートなどを寄稿する一方、エディターとしてウェブサイトの運営などに携わる。愛車はフォルクスワーゲン『ID.4』。

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