EV用充電サービス「エコQ電」を運営する株式会社エネゲートが「全国のEVユーザーによる太陽光余剰電力の有効活用に向けたEV充電実証(秋)」を実施します。太陽光発電の余剰電力が生じる時間帯の急速充電料金を最大50%割引とする試みで、今年のGWに続いて2回目の実施となります。
対象スポットでの急速充電が最大50%割引に!
急速充電器を中心としたEV用充電サービス「エコQ電」を運営する株式会社エネゲートが「全国のEVユーザーによる太陽光余剰電力の有効活用に向けたEV充電実証(秋)」を実施します。EVの急速充電に着々と普及が進む太陽光発電の余剰電力を有効活用することを目的として、期間中、余剰電力が発生しやすい時間帯に、急速充電を「最大50%割引」の料金で利用できるキャンペーン。サステナブルな電力を充電に活用したいと考えるEVユーザーにとって、いいことずくめの試みといえるでしょう。
【実証の概要】
●実施期間:2025年10月11日(土)~2025年11月3日(月)期間中の土・日・祝日
●割引時間帯:9時〜16時
●対象充電器:全国で約3,200台のエコQ電ネットワークの急速充電器
●実施エリア:全国を10エリアに分けて実施
●割引率:最大50%
●割引率の事前通知:休前日の15時にエリアごとの割引率をユーザーへ通知
エコQ電が展開するチャデモ規格の急速充電器で充電できるEVやPHEVユーザーであれば誰でも参加可能ですが、事前にエコQ電のスマホ用アプリをインストールして会員登録(無料)しておくことが必要です。
天気予報次第で全国10エリアの割引率を事前通知
●割引対象急速充電器(約3,200台)の分布

エネゲートの説明資料より引用。
実施期間は10月11日(土)~2025年11月3日(月)のうちの土・日・祝日ということなので、10月13日の「スポーツの日」、11月3日の「文化の日」を入れて合計で10日間。9時〜16時の時間帯の充電が割引の対象となります。この期間は、2024年秋の太陽光発電余剰電力の発生状況を参考にして設定されました。
【参考】2024年秋の太陽光余剰発生状況

エネゲートの説明資料より引用。
割引率は「0〜50%」で、電力会社の管轄ごとに全国10エリアを設定。天気予報を参考にして各週末(祝日含む)の割引率を定め、休前日(金曜日)15時に、エコQ電アプリに通知が届く仕組みです。天気予報が外れた場合も、事前に通知された割引率が適用されます。
余剰電力が大きなエリアほど割引率も高くなります。とはいえ、2024年の実績で余剰電力が発生していない東京などのエリアでも、キャンペーンへの参加を感謝するため一定の割引を行う予定とのこと。
自宅の基礎充電より安価に充電できるケースも
エコQ電の急速充電器は、設置場所ごとに充電料金が異なります。たとえば、東京都が主体となって設置している「代々木公園駐車場(最大50kW器)」の充電料金は「21円/分」で「630円/30分」(東京都設置の充電器は同様)となっています。
これが仮に「50%割引」となった場合、30分間の充電料金は315円ポッキリ。30分間で18kWh充電できたとすると、電力料金の単価は「17.5円/kWh」。一般家庭の電力契約は「30円前後/kWh」が多いでしょうから、自宅のEV用コンセントで充電するより格段に安価で充電できることになります。
2024年の余剰電力発生状況をみると東京で50%割引は期待薄って感じもありますが、余剰が多い九州エリア、たとえば「福岡市役所(最大50kW器)」の料金も「22円/分、660円/30分」なので、割引適用時に充電するとお得です。
身近なスポットはエコQ電アプリや充電スポット検索アプリで見つけよう

App StoreのエコQ電公式アプリ紹介画像。
日本全国の急速充電器の数は現状で9,510(EVsmart調べ)で、今回キャンペーンの対象となるエコQ電ネットワークの充電器は「約3,200」とのこと。「エコQ電の充電器ってどこにあるの?」っていう方も多いかと思いますが、エコQ電のアプリを開けば、マップ上に対象の急速充電器が表示されます。
また、充電スポット検索アプリの「EV充電エネチェンジ」でも、認証システムを「エコQ電」にしたり、施設種別や充電器出力でフィルタリングできます。上手に活用して、お出かけのついではもちろん、自宅周辺などで割引充電できるスポットを探してください。
全国50万人のEVユーザーにより多く参加して欲しい
エネゲートによる太陽光余剰電力の有効活用に向けたEV充電実証の取り組みは、今年のゴールデンウィークに続いて2回目です。前回の実証実験の結果は、EVsmartブログでもレポートしています。
参加したEVユーザーの感想はおおむね好評。余剰電力発生時間の充電利用回数の増加など一定の効果が確認できました。とはいえ、たとえば5月5日、割引時間帯のEV充電電力量は7,423kWhであるのに対して、太陽光発電の出力抑制量は1,366万kWhとまったく桁数が違っており、「有効活用」というにはちょっと物足りない印象というのが現実でした。
直近1年間で1回以上充電を行ったエコQ電アプリのアクティブな会員(登録者)数は約2万8,000人とのこと。一方、GWの実証に参加したEVユーザーの数は3,500人だったそうです。そもそも、日本でもEV普及率が向上すれば、こうした取り組みの効果はどんどん大きくなっていくはずです。
次世代自動車振興センターの統計によると、2023年度のEV・PHEV保有台数は約55万台(うちPHEVが約25万台)。急速充電できないPHEVを除き、2024年度以降の増加分を加えれば、現状でも日本には50万人くらいのEVユーザーが存在すると推定できます。
太陽光発電の余剰電力で充電すれば、EVはより脱炭素に貢献できる乗り物です。一人でも多くのEVユーザーがこうした実証に参加して、さらに気持ちいいEVライフが広がっていくといいですね。
取材・文/寄本 好則
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