千葉県木更津市とHyundai Mobility Japanの「電気自動車を活用したまちづくり連携協定」締結式が開催され、スモールEV「INSTER」1台が寄贈されました。「オーガニックシティ」プロジェクトに取り組み、公用車のEVシフトなどを進める木更津市の脱炭素&循環型社会を目指すまちづくりに貢献します。
オーガニックシティ実現に向けてEVを活用

2025年12月15日、千葉県木更津市役所朝日庁舎において、木更津市とHyundai Mobility Japan(ヒョンデ)の「電気自動車を活用したまちづくり連携協定」締結式が行われ、ヒョンデから木更津市に今年4月に発売されたスモールEV「INSTER(インスター)」1台が寄贈されました。
木更津市では2016年に「木更津市人と自然が調和した持続可能なまちづくりの推進に関する条例(オーガニックなまちづくり条例)」を策定し、「健康で持続可能な暮らしを守るために、環境や社会に配慮し行動すること」をアピール。地産地消を軸とした経済循環、脱炭素化、支え合いによる防災・減災などを盛り込んだ具体的なアクションプランを示し、地域が一体となって「きさらづ地域循環共生圏」を創造することを目指しています。

EVや再生可能エネルギーの活用推進も重要な「アクション」のひとつです。例年、11月には「木更津オーガニックシティフェスティバル」が開催(関連記事)されて、イベント会場ではEVからの給電を活用。EVの有用性を市民に伝えつつ、「いざ」という時にスムーズな連携をとるためのプラクティス機会としています。

木更津市の渡辺芳邦市長。
木更津市の渡辺芳邦市長は「公用車への電気自動車導入は市民の環境意識啓発にも繋がる取り組みです。これまでも市の屋外イベントではEVを活用して発電機なしで行っており、今後はインスターを活用していきたい」と謝辞を述べました。
地域に貢献し、仲間として迎え入れていただきたい
寄贈されたインスターのバッテリー容量は49kWh。軽自動車に近いコンパクトなサイズでありながら、日産サクラ(20kWh)の約2.5倍、ホンダ N-ONE e:(29.6kWh)の約1.7倍のバッテリーを搭載することで、最長のVoyageグレードでは477km(WLTCモード/国土交通省審査値)の一充電走行距離を実現(Loungeグレードでも458km!)しているので、公用車として日常的に市内を駆け回る実力は十二分。

Hyundai Mobility Japanの七五三木敏幸社長。
セレモニーの中で、Hyundai Mobility Japanの七五三木敏幸社長は「わたしたちのクルマ(インスター)がいろんなカタチでお使いいただけるのはすばらしいこと」とした上で、「日本市場に再参入して4年が経過しました。販売台数という面ではなかなかプレゼンスを見せられていないものの、日本の地域社会に貢献することで、ヒョンデのEVをご理解いただき、仲間のひとりとして迎え入れていただきたい」という思いを述べました。
ヒョンデが地方自治体とこうした協定を結ぶのは、愛知県豊橋市、神奈川県横浜市などに続いて全国で7例目。質疑応答で地域との連携でどんな成果が得られたと感じているか質問したところ「自治体の方々との意見交換によって、たとえば過疎地域での公共交通が直面する課題を知ることができました。ミニバンのようなクルマで地域の足を確保するようなシステムを実現できないかと考えている」といった気付きを得られているとのことでした。
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ミニバンのEVは韓国でもまだ発売されていませんが、11月に開催されたジャパンモビリティショー2025ではグループ企業であるKIAがPV5の日本発売を発表しました。ヒョンデが日本に導入するのは「ZEV限定」ですから、今後「10人乗りのミニバンEV!」といった車種が登場してくるのかどうか気になります。
公用車を年に4台ペースでEVに入れ替えていく計画

木更津市&EVといえば、2021年にEVベンチャーのHW ELECTROが「災害時における電動車両等の支援に関する協定」を締結し、小型商用EV「ELEMO」1台を寄贈したという話題(関連記事)をお伝えしたこともあります。市の公用車がどのくらいEVになっているのか質問すると、65台の公用車のうちすでに8台がEVであり「今後更新する毎年4台はEVに入れ替えていく」計画であるとのことでした。
単純に割り算すると「(65-8)÷4=14.25」で、今から14年後の2039年くらいにはすべての公用車がEVになる計算になります。今後、さらに使い勝手やコストパフォーマンスに優れたEV車種が登場し、ペースアップすることに期待しましょう。

寄贈されたインスターのお披露目は、2026年1月5日に開庁予定の新庁舎前で行われました。
この日の締結式には、渡辺市長、田中幸子副市長をはじめ、企画部、経済部、環境部などのキーパーソン12名が出席していました。ちょっとフランクな問いかけなので恐縮しつつ「すでにマイカーがEVという方は?」と質問すると、渡辺市長と環境政策課の古賀佳代子課長のお二人がEVユーザーであることがわかりました。12名中の2名は約17%ってことになるので、日本の現状から考えると「さすがオーガニックシティ」と評価してよいかと思います。
EVの「魅力」や風評に惑わされることのない「課題」を知り、EV普及を進めていくために、まずは自分がEVに乗ることが大切です。
「きさらづ地域循環共生圏」の実現を応援しています!
取材・文/寄本 好則






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