NTT東日本が営業車のEVカーシェアリングサービス実証実験を開始!

2019年5月24日、NTT東日本が自社保有の営業車を電気自動車(EV)にして、休日など稼働していない時にはカーシェアリングサービス活用する実証実験を始めることを日刊工業新聞が報じました。これはユニーク! ですが、NTT東日本のウェブサイトを見てもニュースリリースはありません。さっそく、気になる点を広報室に尋ねてみました。

NTT東日本が営業車のEVカーシェアリングサービス実証実験を開始!

自治体やほかの企業が所有するEV活用への発展も

『日刊工業新聞』の記事(全文表示するには会員登録が必要です)によると、NTT東日本では今年中にも、関東地方の自社拠点で所有する営業車を電気自動車にして、カーシェリングサービスに活用する実証実験を始めます。さらに、完全子会社の『NTT ル・パルク』による駐車場システムのノウハウを活かして、車両の管理や運用、サポートなどをネット上で行うシステムを構築し、自治体やほかの企業が所有するEVをカーシェアリングに活用するプラットフォームに育てる構想もあるそうです。

素晴らしい! とてもユニークで有意義なアイデアだと思います。

詳細を確認するためにNTT東日本のウェブサイトをチェックしましたが、まだニュースリリースなどは発表されていません。日刊工業新聞で紹介されていることを整理すると……。

●サービスの名称は「ノッテッテ(仮)」。
●NTT東日本の社用車は約8000台で平均稼働率は約50%。
●NTT東日本では、地域の社会課題を解決する情報通信技術(ICT)ソリューション企業への変革を目指している。

って感じです。うーん、もう少し知りたい。さっそく広報室に電話して、気になるポイントについて質問メールを投げました。ちなみに、リリースを発表していないのは、まだ「広報室でも担当者が決まっていない」くらいホヤホヤのプロジェクトだからとのこと。日刊工業新聞の記者さんは、講演会的な場所で井上福造社長のプレゼンを聞いて記事にしたそうです。

まずは、営業車4000台をEVに!

広報室のご担当者(電話でお話しを伺って、質問への回答を担当してくださった方)への質問とその回答を、サクッとご紹介します。

●カーシェアに活用する車両は新規導入か、すでに導入済みのEVも活用するのでしょうか?

新規導入します。

おおっ、EVの登録台数増加に大きく貢献してくれそうです。

●新規導入の場合、採用車種は決まっているでしょうか。あるいは導入車種の条件などあればご教示ください。

採用車種は決まっていません。市場にある車種から、性能等を勘案し柔軟に選択します。

現状で国産EVとなると、ほぼ日産リーフ一択状態。営業車であれば、e+ではなく40kWhモデルでOKですね。日産&三菱から発売される(はず)軽自動車EVが待ち遠しいところです。

●自社社用車の運用台数(8000台のうち)はどの程度をお考えですか。

8000台のうち、営業車等の一般車両4000台を対象にEV化を進めていきます。カーシェアはまずは数台からスタートし、地域の皆様のご要望等を踏まえ増やしていく予定です。
※先日お伝えした「2025までに50%、2030までに100%」は、一般車両のEV化目標です。
参考)国際イニシアティブ「EP100」、「EV100」への加盟について

注釈の「先日お伝えした」というのは、最初に電話していろいろ伺った時のこと。営業車4000台がEVに! というのは、なかなかインパクトのある数字です。
参考でURLを教えてくださったリリースを見ると、企業によるEV活用促進を目指す「EV100」という国際イニシアチブがあるんですね。自動車メーカーの中国市場対策、欧州などでの規制対策というだけでなく、ユーザーである企業にとっても自動車の電動化が世界的な潮流になっていることがわかります。

●自社以外「地域のシェアリングプラットホーム」としての普及規模はどの程度を想定していらっしゃいますか。

現在、自治体や企業等が保有する車両のシェアリングニーズについて、ご意見・ご要望をお伺いしており、頂いた内容をもとに検討を進めます。

NTT東日本に限らず、休眠している社用車をたくさん抱えている企業や団体は少なくないでしょう。それがどんどんEVになり、カーシェアリングに活用できるとしたら、とても有意義なことだと感じます。
EVsmartブログにも「ご意見があれば教えてください」という依頼も書き添えられていました。読者のみなさん、「こうすればいい」「こうして欲しい」というご意見あれば、コメント欄にお願いします!

ひとつ気になったのが、営業車にはよく社名やロゴなどがラッピングされているけど、カーシェアに活用する車両はどうするのか? ってことです。電話ではお話ししてたんですが、メールの質問に書き忘れたので回答はありませんでした。

【2019.6.5 追記】
公開された記事を見て、広報ご担当者が確認してくださいました。

マグネット等の着脱式のロゴマークを活用し、業務利用の際はロゴマークを付け、地域の皆様がお使いになる際はロゴを外す運用を検討しています。

とのこと。賢明な方法だと思います! ありがとうございました!

●こうしたカーシェアのほか「地域の社会課題を解決する」計画中、あるいは実施中のプロジェクトはありますか。

農業、製造業、オフィスのお困りごとなど、様々な分野で社会課題解決に向けたプロジェクトを進めています。
以下、過去のリリースをいくつかご紹介します。

鳥獣害対策
製造業の生産性向上
伝統技法(酒造り)の伝承

本業での工夫やアイデアが社会課題解決に結びついているところが素敵です。2015年に国連で SDGs が採択されて、着実に世界は変貌しつつあるんだな、と感じます。

さらに……

カーシェア関連では、カーシェアリングのステーションにはEV充電器を設置するため、充電スタンドとしても一般の皆様にお使いいただけるよう検討しております。

とのこと。200Vの普通充電器で十分ですね。パーキングのほかの区画に停めたEVも利用できるようになるということだと思いますが、そのための「工夫」が生まれると、普通のコインパーキングへの充電設備設置拡大にも役立ってくれるのではないでしょうか。

●実証実験のローンチ時期について、具体的なメドや目標があれば教えてください。

2019年内の開始を目標にしています。

期待しています!

●利用料金などについて、具体的なプランは策定済みですか?

現在検討中です。地域の皆様のご要望等をお伺いしながら、皆様にお使いいただきやすいプランをめざしています。

以上。

「動いていない自動車」の活用法としては、個人が所有する車をシェアするアプリ『Anyca(エニカ)』など、ITを活用していろいろなアイデアが生まれています。社有車活用というNTT東日本の試みも、すごくいいアイデアですね。

年内にはスタート、とのこと。成功して発展することを応援しています!

(寄本好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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