設立からわずか3年の若いスタートアップ企業
Northvoltは電気自動車に欠かせないリチウムイオンバッテリーを生産する会社で、2016年に元テスラの幹部Peter Carlsson氏により設立されました。
今回のニュースに関して氏は、
「今日はNorthvoltだけでなく、ヨーロッパにとっても節目の日になるでしょう。電動化の波への準備が整ったのです。」と述べています。
世界的な開発競争が本格化
リチウムイオンバッテリー開発競争において、アメリカからはTesla、アジアからは韓国のLGや中国のCATLがしのぎを削っていますが、ヨーロッパは後塵を拝してきました。欧州自動車メーカーは、現時点まではアジアのバッテリー技術に依存してきましたが、今回の計画により遂にヨーロッパにもバッテリーの生産拠点が設立される事になったのです。
特にフォルクスワーゲンは9億ユーロを投資してNorthvoltと合同事業を始め、16GWhのリチウムイオンバッテリー工場を南ドイツのSalzgitterに設立する予定です。工場建設は早ければ2020年に始まり、フォルクスワーゲン用のバッテリー供給を2023年終わりから2024年始めにスタートさせたい考えです。
Northvoltはこのフォルクスワーゲンとの共同事業の前に、第一号の工場をスウェーデン北部Skellefteaに8月から建設する予定です。こちらも16GWhの生産から始まりますが、最低32GWh以上の容量まで増やす計画です。ちなみにネバダにあるテスラのギガファクトリーでは計算上年間35GWhを提供しています。
アジア勢もLGがポーランド、CATLもドイツに工場を建設予定です。バッテリー生産競争がますます本格化していくようです。
《参照記事》
・Volkswagen invests in Northvolt AB
・VW and Goldman lead $1bn investment in Swedish battery project
・VW, BMW invest in Swedish battery cell producer Northvolt
(文・杉田 明子)
本件については、こういう記事もありました。
「VWのバッテリー投資、高リスクも他に選択肢なし」
https://diamond.jp/articles/-/205763
裏にはいろいろな事情が絡んでいるようです。
@mambo2016様、記事の紹介ありがとうございます!拝見しましたがフォルクスワーゲン社を取り囲む事情が良く分かりますね。
実際のところ、リンク先記事では韓国系バッテリー製造企業の名前が挙がっていましたが、現実には中国CATL, BYDが世界の半分以上を占めています。この状態が続けば確実に自動車産業の心臓部は中国に握られることは間違いなく、フォルクスワーゲン社とテスラ社はそれに直近の危機感を抱いていると考えられるのではないでしょうか?それ以外の企業は、もう少し投資を先送りしたいという考え方だと思いますが、電池の製造コストが車のマージンを決定し、ライフサイクルでの温室効果ガス排出も決定※することが分かっている中、どちらも不確定な中国企業に命を預けることはどこの会社も、長期的には避けると思われます。まだまだこの分野、激動がありそうです。
※電池を製造する際の電力の発電にかかわる排出が影響する