ニューヨーク州がEV充電区画へのICE駐車を法律で禁止へ〜電気自動車オーナーの小さな勝利

電気自動車の充電スペースにガソリン車が駐車をしていて充電できないという問題に困っているのは、日本だけではないようです。英語ではICE(内燃機関車)がEV充電スペースを占拠する行為を「ICE-ing」と呼びますが、このたびニューヨーク州でこれを違法とする法案が通りました。『TESMANIAN』の記事を全文翻訳でお届けします。

ニューヨーク州がEV充電区画へのICE駐車を法律で禁止へ〜電気自動車オーナーの小さな勝利

EVsmartブログでは、先日の『東名や新東名、深夜の高速道路でトラックのマナー違反が電気自動車ドライブにも悩ましい件』という記事で問題提起したように、電気自動車の充電スペースを電気自動車ではないクルマが占拠するのは止めて欲しいということを繰り返しアピールしています。日本でもこうした法律ができるといいですね。

Tesla & Other EV Owners Get Small Victory In NY After Senate Passes Anti-ICE-ing Bill by Ma. Claribelle Deveza on 『TESMANIAN

EVの充電を妨げる行為を禁止する法案が州議会を通過

今週ニューヨーク州議会では反ICE-ing法案が通り、電気自動車オーナーは小さな勝利を収めました。法案は州知事の署名を待っている状態です。この上院法案『S6836』は、内燃機関車が充電エリアに駐停車してEVの充電を妨げる行為(EVオーナーが直面する最も厄介な状況の1つで、英語でICE-ingと呼ばれます)を禁止し、EVドライバーの公共充電機器へのアクセスを保護するものです。

EVの充電が妨害されてしまうと、オーナーにとっては少なくとも不便であるし、最悪立ち往生してしまうことになります。今まで妨害行為により多くのショッキングな事件が起こりましたが、このようなICEドライバーの行為は違法になります。

反ICE-ing法案は上院議員のJen Metzger氏と下院議員のAmy Paulin氏により提案されました。ニューヨーク州は2025年までに100万台の電気自動車を路上に走らせるという、積極的なEV普及目標を掲げています。それを踏まえると、ICE-ingから電気自動車オーナーを守るように今日定められたのは、的を射た施策と言えます。シボレーボルトを運転するMetzger氏は、法案の理由について次のように説明しました。

「EVのドライバーはEV以外のドライバーが(ガソリンスタンドの)ポンプを握るように充電ステーションへのアクセスが必要で、充電器用のスペースが “充電する” という目的のためだけに使われることは非常に重要です。電気自動車へのシフトを進めるためには、ドライバーが充電施設を確実に利用できると感じられるのが大切で、法案が上院で可決されたことを嬉しく思います」

下院議員のAmy Paulin氏は、「EVのオーナーは普段は自宅で充電をしているが、家から離れた場所でも車両のサポートが保証される必要ある」と説明を付け加えました。テスラ・モデル3やモデルYのような電気自動車がメインストリームになってきていることを考えると、『SB(Senate Bill=上院法案)S6836』のような法案により、州は増え続けるEVオーナーをサポートしやすくなります。

Paulin氏は、「電気自動車用のパーキング・スペースを確保するのは法的強制力がなければなりません。現場でも、社会政策上の理由でも重要なのです。現場レベルでは、電気自動車のオーナーは家から離れた場所でも車を充電できる必要があります。社会政策上の観点からすると、この法律によりドライバーが電気自動車を買う動機がより深まり、排出ガス削減に繋がります」と語りました。

例えば昨年12月には、マスタングのオーナーがテスラ・スーパーチャージャーステーションに駐車した事件がありました。複数車両が充電器が空くのを待って列を作る中、「そこに駐車はできない」とテスラのオーナーに言われたマスタングのドライバーは、テスラのオーナーに中指を立てたのです。最終的に警察が呼ばれ、マスタングは撤去されました。

不幸なことに多くのEVオーナーがICE-ingに遭遇しており、こういう事件は珍しくないのです。しかしニューヨーク州の『SB S6836』により、このような事件も少なくなるかもしれません。

SB S6836法案

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. 素晴らしいです。
    アメリカのテスラスーパーチャージャーでは、内燃機関SUV軍団による意図的な嫌がらせ行為も有った様ですので、喫緊の課題でしたものね。
    意図的な嫌がらせは日本では聞いた例がありませんが、BEVユーザーにとって大きな問題であることに変わりありません。
    この法案化の動きが世界に広がり、日本でも法案化される事を切に願います。

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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