ボルボが電気自動車『C40』のオンライン販売を開始〜700万円バトルがますます激化

ボルボ・カー・ジャパンが、2021年1月20日から日本初導入となる電気自動車である『C40 Recharge』のオンライン販売を開始したことを発表しました。2025年までに新車販売の35%にあたる約9000台の電気自動車販売を目標としています。

ボルボが電気自動車『C40』のオンライン販売を開始〜700万円バトルがますます激化

カスタマーリレーションセンターを開設

昨年11月から、まずはサブスクリプションで限定100台の予約を募集したボルボ『C40 Recharge』。サブスク受注開始を伝える記事でも紹介した通り、1月から一般向けのオンライン販売が始まりました。ボルボでは、電気自動車専用モデルについては「お客様の利便性を高めるため」にオンライン販売のみとするとしており、購入するには専用の購入サイトから申し込むことになります。

【関連サイト】
ボルボの電気自動車 C40 Recharge オンライン販売について

車両本体価格は719万円〜。サブスク先行受注の際はボディカラーはシンボルカラーでもあるフィヨルドブルー、インテリアはチャコールのみという限定でしたが、今回スタートしたオンライン販売では「ブラック」「フュージョンレッド」「サンダーグレー」「フィヨルドブルー」「シルバードーン」「クリスタルホワイト」「セージグリーン」と7色のボディカラーが選択できます。

ボルボではオンライン販売開始ぬ向けてボルボ・カスタマーリレーションセンター(CRC)を新設。朝9時から夜9時まで、年中無休でユーザーの質問電話(フリーダイヤル:0120-019-270)などに対応し、オンライン購入をサポートする体制を整えたことも発表しました。

サブスクキャンペーンには6倍近い応募が

ボルボでは昨年12月、限定100台(抽選)で募集されたサブスクリプション・キャンペーンに、575件と定数の6倍近い応募があったことを発表しています。各種税金や保険料などを含めて、月額11万円で最長36カ月(3年間)、つまり400万円弱で719万円のC40が利用できるサブスクプラン。ちょっとお得にボルボ初の完全電気自動車を利用できることへの注目度は高かったと言えるでしょう。

さらに、高い安全性への信頼感などで固定ファンが多いボルボブランドですが、サブスクへの応募については「ボルボオーナー以外の応募者が6割を超え、クルマを保有していない方の応募が1割に達する」など、今までとは違う新たな顧客層を広げたことが強調されていました。

電気自動車のオンライン販売という仕組みは、テスラが切り拓いたカタチといえます。ただし、ボルボの場合、注文を受け付けるのはオンラインのみとなっていますが、実際の契約や納車などはユーザーが選択したディーラーで行うことになっています。

また、今回の購入サイトで選択を進めていくと、支払い方法は「現金」と「60カ月のリース」しか選択できません。ローンはないの? と戸惑いつつFAQを確認したら「ローンをご希望の場合はファイナンスプラン選択ページで「60カ月のリース」を選択してください。こちらのページでは一例として月額リース料の表示をしておりますが、ご契約時に様々なファイナンス商品からお選びいただけます」と説明がありました。残価設定型の「VOLVOアクティブローン」やリースプランが用意されています。

5年契約で4年しばり、残価設定で支払い額を抑えつつ、頭金0円でスタートできて、4年終了時から違うモデルに乗り換え可能な電気自動車向けリースプログラム『e-スマボ4/5』というプランも用意されていました。シミュレーションによると、719万円のC40をこのプランでリースした場合、月々の支払い額は約10万3000円(※任意保険は含みません)。5年間60回の総額で約620万円となります。

電気自動車の魅力はこれからしばらく日進月歩で高まっていくでしょうから、合理的な支払い額に抑えつつ、4年、もしくは5年後にはまた最新の電気自動車に乗り替えるという選択肢も魅力的です。

細かいところで恐縮ですが、この『e-スマボ4/5』というプログラムの説明サイトによると、リース価格には重量税や毎年の自動車税が含まれていることになっているのですが、電気自動車の重量税は2回目の車検まで免税だし、東京や愛知などの自治体では自動車税も免税となります。そのあたり考慮いただいて、さらにお得になるとうれしいのにな、と思ったりもして。まあ、グリーン化特例などもあり、どの都道府県在住であろうと、電気自動車にかかる税金は車両価格の総額と比べると小さなものではありますが。

700万円クラスのバトルにボルボも参戦

先日、アウディ『Q4 e-tron』の日本発売を伝える記事で、2022年の日本における電気自動車販売は「500〜700万円クラスの高級SUVあたりが激戦区になる」と紹介しました。C40は約720万〜なので、このクラスのEVとしてはハイエンドのモデルではありますが、日産アリアもおおむねこの価格帯。電気自動車の高級SUV(C40はクーペSUVと称しています)バトルがますます悩ましいものになりました。

参考までに、このクラスの電気高級SUVのスペックや価格を比較してみました。

車名バッテリー容量3サイズ(mm)
全長×全幅×全高
駆動方式QC最大出力車両本体価格価格/kWh
ボルボ
C40 Recharge
78kWh4440×1875×15954WD150kW7,190,000円〜約9万2000円
日産アリア
B6 e-4ORCE limited
66kWh4595×1850×16654WD130kW7,200,600円〜約10万1000円
日産アリア
B9 e-4ORCE limited
91kWh4595×1850×16654WD130kW7,900,200円〜約8万7000円
アウディ
Q4 40 e-tron
82kWh未発表RWD125kW5,990,000円〜約7万3000円
メルセデス・ベンツ
EQA
66.5kWh4465×1835×1625FWD100kW6,400,000円〜約9万6000円
マツダ
MX-30 EV
35.5kWh4395×1795×1565FWD40kW4,510,000円〜約13万5000円
プジョー
e-2008
50kWh4305×1770×1550FWD50kW4,526,000円〜約9万円

比較のために、やや車格が下のマツダ MX-30 EV と、プジョー e-2008 も入れておきました。バッテリー容量71.4kWhで最大150kW出力の急速充電対応であることが発表されている トヨタ bZ4Xとスバル ソルテラもおそらく500万円前後〜の高級電気SUVバトルに参戦すると思われますが、まだ価格が未発表なので今回の表には入れませんでした。テスラ モデルYが日本導入されたら、700万円EVバトルはさらに激化します。

電動車販売台数は前年比63.9%増加

ボルボでは、2022年1月11日、世界全体の販売台数実績として「通年で販売増を記録」し、リチャージモデルと呼ぶBEV及びPHEV車両の販売台数は前年比で63.9%増加したことを発表しています。総販売台数のうち、リチャージモデルが占める割合、つまり電動車比率は27%を記録したそうです。

世界各国に比べて電動車普及が遅れている日本でも、全体の販売台数16,633台のうち、リチャージモデルであるPHEVが1,688台、通年の販売台数に占める割合は10.1%、前年比で85&増加しています。ボルボが意欲的にリチャージモデル(今まではPHEV)のラインナップを拡充した成果ではありますが、ボルボを選ぶ顧客層の方にとって、電動車は次第に「普通の選択肢」になってきていると考えることもできそうです。

プレスリリースでは、ボルボ・カーズが2030年までに新車販売の100%を電気自動車にすることを目標にしていることをアピール。日本でも2025年に新車販売の35%、約9000台の電気自動車を販売する計画であり「それは2025年に新車販売の35%をオンライン販売に移行するということ」であると強調されていました。ユーザーにとっても、自動車の「買い方」が変化しつつあるということですね。

今回始まったオンライン注文によるC40のデリバリー開始時期はまだ明示されていませんが、サブスクキャンペーン当選者へのデリバリーは4月から順次行っていくとのこと。夏を迎える頃には、街を走るC40の姿を見られるようになりそうです。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. C40って全幅はバカでかいけど全長的にはCセグの車だよね。
    インテリアもCセグなりで安っぽいとこは安っぽいし
    その車に700万かあ

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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