CATL製『麒麟電池(Kirin battery)』の電荷量は「4680セル」に比べて13%増

電気自動車用バッテリー関連の技術は日進月歩で進化しています。世界最大手のCATLから登場する、その名も「麒麟電池」は4680セルの先を行くものになるのでしょうか。米メディア『CleanTechnica』の記事を全文翻訳でお届けします。

CATL製『麒麟電池(Kirin battery)』の電荷量は「4680セル」に比べて13%増

元記事:CATL Kirin Battery Has 13% More Energy Density Than 4680 Cells by Steve Hanley on『CleanTechnica

世界がEV革命に突入してから12年しか経っていないのを時々忘れそうになります。コンピューター用半導体の進化があまりに速く、今日買ったコンピューターが家に着く頃には時代遅れになった時のように、電気自動車もものすごい速さで進化しており、その変化についていくためにはスコアカードが必要なくらいです。

複数の報道によると、ドイツのグリューンハイデで生産されているテスラのモデルYは新しい4680バッテリーセルを使っています。しかしChEVPostによると、CATLの主任研究員であるWu Kai氏はChina EV 100 forumで、CATLの「麒麟電池(編集部注/Kirin もしくは Qilin battery と呼ばれる第三世代技術を用いた電池)」パックは、4680セルよりも13%電荷量が多いと発言しました。

CATLの麒麟電池

各セルの容量が大きいのではなく、CATLの第3世代セル・トゥ・パックテクノロジーでは同じスペースにより多くの電気を詰め込めるのです。秘密はパッケージングにあり、バッテリー化学に新たなブレイクスルーを起こしたわけではありません。Wu氏は麒麟電池が重量、エネルギー密度、体積エネルギー密度において業界をリードするものだとし、「私達は過去3年間の乗用車の航続距離分布を分析し、今でも消費者は長い航続距離を求める傾向にあると分かりました」と話しました。

AutoEvolution によると、CATLとテスラは(想像ですが)友好的な競争をしています。最近テスラが160万kmバッテリーをそのうち保有すると発表した後、CATL側は200万km分のバッテリーになると宣言しました。

Wu氏は他にもちょっとしたニュースを携えてきていました。熱伝導率の操作により火災を防ぐことのできる、新しい非熱拡散テクノロジーをもうすぐ社がリリースすると言及したのです。このテクノロジーを使ったバッテリーパックの航続距離は1,000kmで、2023年に登場予定です。

重要なのは…

AuotEvolutionは、米国内では4680セルを搭載したモデルYを手に入れるため、注文をいったんキャンセルして再オーダーする人達がいると伝えています。EVの顧客は現時点で最新で一番良いテクノロジーを持とうとするため、この種の愚かなまでに手間を惜しまぬ行為は珍しくありません。

何年か前に、「テスラ車を買うのにベストな時期はいつか?」と聞かれた時にイーロンが答えた言葉が思い出されます。「今日」というのが彼の答えで、テスラ車は日々生産プロセスにアップデートを加えていると説明していました。「一番良いテスラは生産ラインから今この瞬間に出てくる一台です」。

2030年までには、EVを含む世界での技術的な変化は多少ゆっくりになるかもしれませんが、20年代の残り数年間で進歩は速く、厚いものになるでしょう。読者の皆様には待たないことをお薦めします。EV革命に参加すべき最善の時期は「今日」なのです。排出ゼロのドライブを楽しむチャンスは、立ち止まった時間の分だけ失われてしまいます。電気自動車を買って、幸せなドライブを楽しみましょう!

(翻訳・文/杉田 明子)
※記事中画像はCATLのグローバルニュースリリースから引用。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事